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時の狭間の魔女編
時の狭間の魔女
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「おい、入口はどこだ?!」
朝になり簡単に食事を終えると、テルディアスが急かしたようにサーガに問いかける。
「ああ、こっちだ」
身支度を整えてサーガが歩き出し、一行がそれに付いていく。ほどなくして人1人が通れるくらいの細い道が現われた。
「これっぽいな」
「よし」
道さえ分かればと、テルディアスが先頭に立って歩き出した。
苦笑いしつつ、サーガとメリンダも後に続く。ダンとシアも山道に足を踏み入れていった。
そこそこ険しい山道を歩いて行く。道は人が滅多に通らないせいか、然程舗装されてもおらず、ともすれば小石に足を取られそうになる。時に小さいが落石などもあり、安全とは言えなかった。
それでもテルディアスの足が止まるわけもなく、その後ろに続く者達も足を早めた。時折休憩などを挟みつつ昼に近くなった頃、そこに着いた。
「ここか…?」
山の中腹に開けた場所が現われた。地面も坂ではなく平らになって歩きやすくなっており、手前に小さな家と可愛らしい庭と畑のようなもの。奥にこの標高の高い場所に何故と思われるような小さな森があった。それと不思議な事に、その場所に入った時から空気が変わった。山特有の冷たい刺すような空気から、まるで草原の春のような空気に。
とにかく家があるのだからそこにいるのだろうと、手前の家へと近づいて行く。
テルディアスが呼び鈴の紐を引こうとしたその時、
ガチャリ
扉が開かれた。
「来たか」
中から出て来た小さな白いお婆さんが静かに言った。白髪に白い服を着ているので白く見える。
「こっちじゃ」
テルディアス達が何かを言う前に、背を向けて歩き出す。
「お、おい婆さん」
サーガの声にも一切反応を見せず、ただ家の奥へと歩いて行ってしまう。仕方なくテルディアス達はお婆さんの後ろを追った。
他に人の気配もなく、見た所お婆さんの1人だけが暮らしているのだろうことが窺える。しかし何故か部屋数が多い。一番奥の正面の扉の他に、左右に3つずつ、計6つの扉があった。
(そんなに物を置いているのかしら?)
山の上なので某か買いだめをして置いているのかもしれない。メリンダは思った。
一番奥の正面の扉をお婆さんが開き、中へと入っていく。一行もその後に続いた。そこは食堂らしき所だった。真ん中に丸円のテーブルが置かれ、何故か椅子が7脚。一人暮らしなのに何故こんなに椅子が置いてあるのか。不思議だった。
「好きな所に座りなされ」
お婆さんはそう言うと、左手にある小さな台所へと進む。お茶を用意するようだ。
それぞれになんとなく、いつもの配置で椅子に座る。テルディアス、メリンダ、サーガ、シア、ダンの順に。
お婆さんがコップを6つ用意して、お茶を持って席へと運ぶ。
「聞きたい事が山ほどあるのは分かるが、一旦茶でも飲んで落ち着きなされ」
とそれぞれの前に茶を差し出した。そして何故かダンの隣に座る。
「ありがとうございます」
「ありがとうございますわ」
礼を言ったのは女性だけだった。しかし誰も口を付けようとはしない。さすがに光の者の時に懲りたようだ。
「何も入っとらんよ」
お婆さんがそれを証明するかのように自ら口を付け、茶を飲んだ。それを見てメリンダがサーガを見て、シアを見た。
「大丈夫のようですわ」
シアが茶を手にした。
シアの確認ももらい、ようやくメリンダもお茶を手にする。山を登ってきたせいか喉が渇いていた。怖々茶を口にする。一口飲んで様子を見て、大丈夫そうだとまた口に含んだ。
男性陣はなかなか手に取ろうとはしなかった。
「それで、あなたが時の狭間の魔女様ですか?」
テルディアスが尋ねた。見るからにずっとソワソワしていたのだ。無理もないか。
「如何にも。私は私を知る者からそう呼ばれているよ」
テルディアスの瞳を真っ直ぐ見返す。
「では…、その…」
質問しようとしてテルディアスが口ごもる。もとより口下手なのが、ここにきて上手く言葉を紡ぎ出せない。
「何が起こったかは既に知っているよ。お前達は攫われた光の御子を助けたいのだろう?」
皆が驚く。何故こんな山の上に住んでいて、状況を察しているのか。
「あんたらが何を思っているのかは大体分かるが、今はそんな説明をしている時じゃない。すぐにでも助けに行きたいのだろう?」
「は、はい! 行けるのですか?!」
テルディアスが身を乗り出した。
「残念だけど、すぐには無理なんだ。こちらにも準備がいる」
お婆さんが首を振った。テルディアスの肩が下がる。
「しかし、助ける方法はあるのですね?」
「ああ。それをするには、あんたらの力が必要だ。とにかく3日お待ち。その間に体調を整えておくことだね。いざって時に動けなければ意味がない」
テルディアスとメリンダとシアが頷いた。
「その方法ってのは? 聞いちゃ駄目なのか?」
サーガが口を挟んで来た。
「今は説明している時間も惜しいんだけどね。まあ簡単に説明してやろうか。まず、光の御子が今いるだろう場所だけどね。私の推察だけど、この世界の外にいると言う感じかね」
「どういうこった?」
サーガの目が見開かれる。
「お前達も闇の者の力は知っているね? あの者達は空間の狭間に入る事が出来る。その空間の狭間というのもね、この世界の中の事なんだよ。だからこの世界に戻って来られる。だが今光の御子がいるだろう場所はそれよりも外側。ともすればこの世界に戻って来られるかも怪しい所にいるんだよ。そしてそこまでの扉を開くには、かなりの魔力がいる」
そこで言葉を止め、お婆さんが茶を一口啜った。
「あの子、闇の魔女と呼ばれている者は今、闇の神とも言える存在の力を使えている状態だからね。その魔力量も尋常じゃない。普通の人間のあたしじゃあ、その魔力を溜めるのにも時間が掛かると言うことだよ。で、溜まるだろう時間が3日。分かったかい?」
サーガが無言で頷いた。なんとなくだがやろうとしていることは分かったのだ。
「よろしい。じゃああたしはこれから部屋に籠もって魔力を溜めるからね。あんたらはここに来るまでに部屋があったろう? それを自由に使って良いからね。とりあえず体を休めておいで」
そう言うとお婆さんは席を立った。そして入った扉から正面に2つ見える、右手の扉を開けてその部屋に入っていった。その部屋に入っていった。皆の目に、ちらりと床に魔法陣らしき物が見えた。
扉が閉まると、
「あの魔法陣がそうなのか…」
サーガがぽつりと呟いた。
「とにかく、あたし達は待つしかないみたいね」
メリンダが立ち上がる。
「ほら、テルディアスも。3日待つとは言え方法がなくなったわけじゃないんだから。言われた通りに体を休めましょ」
手に力が入りすぎて今にもコップを割りそうになっていたテルディアスが、その力を緩める。
「ああ…」
3日。なんと長い3日となるだろう。
「まずお部屋を見てみませんこと?」
シアの提案に、全員が頷いて立ち上がった。
6つの扉はそれぞれ個室になっており、寝心地の良さそうなベッドと物書きでもするのか、机と椅子があった。きちんと手入れされていたのか、まったく埃っぽくない。
食堂の方から右手にテルディアス、サーガ、ダンと入り、サーガの前の部屋にメリンダ、ダンの前の部屋にシアが入った。シアが少し駄々をこねたが、ダンの「テルディアスに嫌われる」の一言で黙ったのは言うまでもない。
ゆっくりしろと部屋をあてがわれても、気が逸るテルディアスがゆっくり出来るわけもない。
適当に荷物を下ろすと、剣を持って外に出た。そして少し広くなっている場所で剣を振り始めた。その他の面々も同じようなものだった。メリンダはサーガを誘って散歩に出掛け、シアは部屋を出た所でダンに捕まった。ダンはお目付役としてシアに付き添うようだ。
ダンは多少荒れていた畑に手を入れ始めた。そして暇なメリンダを誘って料理などにも精を出した。シアはダンについてそれぞれの仕事を習った。頑張れ。
サーガも暇になり、テルディアスとは別に鍛錬をしていた。
皆何かをしていないと不安に苛まされそうだったからだ。
お婆さんは3日の間ほとんど部屋から出て来なかった。食事も心配したメリンダが扉をノックして中に持って行こうとしたら烈火の如く怒り出した。なので外から確認を取るようになった。どうやら中に入ると何か効力が薄まるらしかった。
それぞれに3日という時間を過ごした。ジリジリと過ぎていく時間を思うだけで心苦しくなる長い時間だった。
約束の3日目が終わり、4日目の朝になった。
「遅くないか?」
テルディアスが朝食を頂きながら、ソワソワとお婆さんがいるだろう部屋を見る。
「もしかしたらあたしが部屋を開けちゃったせいで何かあったのかも」
メリンダも心配そうに扉を見つめる。
「まあそれは姐さんのせいじゃねーだろ。あのばーさんがちゃんと言っていかなかったせいじゃねーか」
サーガも手早く朝食を片付ける。いつでも動けるようにと。
「いくらなんでも遅いですわね。もう3日経ちましたのに。何かあったらなら言って頂きたいですわ」
シアも待つのに疲れたようだった。
ダンは無言である。
その時、ドアノブが動き、扉が開いた。
「丁度全員揃っているね。丁度良い、部屋へおいで」
顔を覗かせたお婆さんが扉を大きく開け、中へ入れと手で示した。
片付けに入っていた食器はそのままに、全員足早に部屋へと入る。その部屋の床には大きな魔法陣が描かれており、奥の壁には水晶のような柱が2つ立っていた。
朝になり簡単に食事を終えると、テルディアスが急かしたようにサーガに問いかける。
「ああ、こっちだ」
身支度を整えてサーガが歩き出し、一行がそれに付いていく。ほどなくして人1人が通れるくらいの細い道が現われた。
「これっぽいな」
「よし」
道さえ分かればと、テルディアスが先頭に立って歩き出した。
苦笑いしつつ、サーガとメリンダも後に続く。ダンとシアも山道に足を踏み入れていった。
そこそこ険しい山道を歩いて行く。道は人が滅多に通らないせいか、然程舗装されてもおらず、ともすれば小石に足を取られそうになる。時に小さいが落石などもあり、安全とは言えなかった。
それでもテルディアスの足が止まるわけもなく、その後ろに続く者達も足を早めた。時折休憩などを挟みつつ昼に近くなった頃、そこに着いた。
「ここか…?」
山の中腹に開けた場所が現われた。地面も坂ではなく平らになって歩きやすくなっており、手前に小さな家と可愛らしい庭と畑のようなもの。奥にこの標高の高い場所に何故と思われるような小さな森があった。それと不思議な事に、その場所に入った時から空気が変わった。山特有の冷たい刺すような空気から、まるで草原の春のような空気に。
とにかく家があるのだからそこにいるのだろうと、手前の家へと近づいて行く。
テルディアスが呼び鈴の紐を引こうとしたその時、
ガチャリ
扉が開かれた。
「来たか」
中から出て来た小さな白いお婆さんが静かに言った。白髪に白い服を着ているので白く見える。
「こっちじゃ」
テルディアス達が何かを言う前に、背を向けて歩き出す。
「お、おい婆さん」
サーガの声にも一切反応を見せず、ただ家の奥へと歩いて行ってしまう。仕方なくテルディアス達はお婆さんの後ろを追った。
他に人の気配もなく、見た所お婆さんの1人だけが暮らしているのだろうことが窺える。しかし何故か部屋数が多い。一番奥の正面の扉の他に、左右に3つずつ、計6つの扉があった。
(そんなに物を置いているのかしら?)
山の上なので某か買いだめをして置いているのかもしれない。メリンダは思った。
一番奥の正面の扉をお婆さんが開き、中へと入っていく。一行もその後に続いた。そこは食堂らしき所だった。真ん中に丸円のテーブルが置かれ、何故か椅子が7脚。一人暮らしなのに何故こんなに椅子が置いてあるのか。不思議だった。
「好きな所に座りなされ」
お婆さんはそう言うと、左手にある小さな台所へと進む。お茶を用意するようだ。
それぞれになんとなく、いつもの配置で椅子に座る。テルディアス、メリンダ、サーガ、シア、ダンの順に。
お婆さんがコップを6つ用意して、お茶を持って席へと運ぶ。
「聞きたい事が山ほどあるのは分かるが、一旦茶でも飲んで落ち着きなされ」
とそれぞれの前に茶を差し出した。そして何故かダンの隣に座る。
「ありがとうございます」
「ありがとうございますわ」
礼を言ったのは女性だけだった。しかし誰も口を付けようとはしない。さすがに光の者の時に懲りたようだ。
「何も入っとらんよ」
お婆さんがそれを証明するかのように自ら口を付け、茶を飲んだ。それを見てメリンダがサーガを見て、シアを見た。
「大丈夫のようですわ」
シアが茶を手にした。
シアの確認ももらい、ようやくメリンダもお茶を手にする。山を登ってきたせいか喉が渇いていた。怖々茶を口にする。一口飲んで様子を見て、大丈夫そうだとまた口に含んだ。
男性陣はなかなか手に取ろうとはしなかった。
「それで、あなたが時の狭間の魔女様ですか?」
テルディアスが尋ねた。見るからにずっとソワソワしていたのだ。無理もないか。
「如何にも。私は私を知る者からそう呼ばれているよ」
テルディアスの瞳を真っ直ぐ見返す。
「では…、その…」
質問しようとしてテルディアスが口ごもる。もとより口下手なのが、ここにきて上手く言葉を紡ぎ出せない。
「何が起こったかは既に知っているよ。お前達は攫われた光の御子を助けたいのだろう?」
皆が驚く。何故こんな山の上に住んでいて、状況を察しているのか。
「あんたらが何を思っているのかは大体分かるが、今はそんな説明をしている時じゃない。すぐにでも助けに行きたいのだろう?」
「は、はい! 行けるのですか?!」
テルディアスが身を乗り出した。
「残念だけど、すぐには無理なんだ。こちらにも準備がいる」
お婆さんが首を振った。テルディアスの肩が下がる。
「しかし、助ける方法はあるのですね?」
「ああ。それをするには、あんたらの力が必要だ。とにかく3日お待ち。その間に体調を整えておくことだね。いざって時に動けなければ意味がない」
テルディアスとメリンダとシアが頷いた。
「その方法ってのは? 聞いちゃ駄目なのか?」
サーガが口を挟んで来た。
「今は説明している時間も惜しいんだけどね。まあ簡単に説明してやろうか。まず、光の御子が今いるだろう場所だけどね。私の推察だけど、この世界の外にいると言う感じかね」
「どういうこった?」
サーガの目が見開かれる。
「お前達も闇の者の力は知っているね? あの者達は空間の狭間に入る事が出来る。その空間の狭間というのもね、この世界の中の事なんだよ。だからこの世界に戻って来られる。だが今光の御子がいるだろう場所はそれよりも外側。ともすればこの世界に戻って来られるかも怪しい所にいるんだよ。そしてそこまでの扉を開くには、かなりの魔力がいる」
そこで言葉を止め、お婆さんが茶を一口啜った。
「あの子、闇の魔女と呼ばれている者は今、闇の神とも言える存在の力を使えている状態だからね。その魔力量も尋常じゃない。普通の人間のあたしじゃあ、その魔力を溜めるのにも時間が掛かると言うことだよ。で、溜まるだろう時間が3日。分かったかい?」
サーガが無言で頷いた。なんとなくだがやろうとしていることは分かったのだ。
「よろしい。じゃああたしはこれから部屋に籠もって魔力を溜めるからね。あんたらはここに来るまでに部屋があったろう? それを自由に使って良いからね。とりあえず体を休めておいで」
そう言うとお婆さんは席を立った。そして入った扉から正面に2つ見える、右手の扉を開けてその部屋に入っていった。その部屋に入っていった。皆の目に、ちらりと床に魔法陣らしき物が見えた。
扉が閉まると、
「あの魔法陣がそうなのか…」
サーガがぽつりと呟いた。
「とにかく、あたし達は待つしかないみたいね」
メリンダが立ち上がる。
「ほら、テルディアスも。3日待つとは言え方法がなくなったわけじゃないんだから。言われた通りに体を休めましょ」
手に力が入りすぎて今にもコップを割りそうになっていたテルディアスが、その力を緩める。
「ああ…」
3日。なんと長い3日となるだろう。
「まずお部屋を見てみませんこと?」
シアの提案に、全員が頷いて立ち上がった。
6つの扉はそれぞれ個室になっており、寝心地の良さそうなベッドと物書きでもするのか、机と椅子があった。きちんと手入れされていたのか、まったく埃っぽくない。
食堂の方から右手にテルディアス、サーガ、ダンと入り、サーガの前の部屋にメリンダ、ダンの前の部屋にシアが入った。シアが少し駄々をこねたが、ダンの「テルディアスに嫌われる」の一言で黙ったのは言うまでもない。
ゆっくりしろと部屋をあてがわれても、気が逸るテルディアスがゆっくり出来るわけもない。
適当に荷物を下ろすと、剣を持って外に出た。そして少し広くなっている場所で剣を振り始めた。その他の面々も同じようなものだった。メリンダはサーガを誘って散歩に出掛け、シアは部屋を出た所でダンに捕まった。ダンはお目付役としてシアに付き添うようだ。
ダンは多少荒れていた畑に手を入れ始めた。そして暇なメリンダを誘って料理などにも精を出した。シアはダンについてそれぞれの仕事を習った。頑張れ。
サーガも暇になり、テルディアスとは別に鍛錬をしていた。
皆何かをしていないと不安に苛まされそうだったからだ。
お婆さんは3日の間ほとんど部屋から出て来なかった。食事も心配したメリンダが扉をノックして中に持って行こうとしたら烈火の如く怒り出した。なので外から確認を取るようになった。どうやら中に入ると何か効力が薄まるらしかった。
それぞれに3日という時間を過ごした。ジリジリと過ぎていく時間を思うだけで心苦しくなる長い時間だった。
約束の3日目が終わり、4日目の朝になった。
「遅くないか?」
テルディアスが朝食を頂きながら、ソワソワとお婆さんがいるだろう部屋を見る。
「もしかしたらあたしが部屋を開けちゃったせいで何かあったのかも」
メリンダも心配そうに扉を見つめる。
「まあそれは姐さんのせいじゃねーだろ。あのばーさんがちゃんと言っていかなかったせいじゃねーか」
サーガも手早く朝食を片付ける。いつでも動けるようにと。
「いくらなんでも遅いですわね。もう3日経ちましたのに。何かあったらなら言って頂きたいですわ」
シアも待つのに疲れたようだった。
ダンは無言である。
その時、ドアノブが動き、扉が開いた。
「丁度全員揃っているね。丁度良い、部屋へおいで」
顔を覗かせたお婆さんが扉を大きく開け、中へ入れと手で示した。
片付けに入っていた食器はそのままに、全員足早に部屋へと入る。その部屋の床には大きな魔法陣が描かれており、奥の壁には水晶のような柱が2つ立っていた。
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