キーナの魔法

小笠原慎二

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はぐれ闇オルト編

戦闘

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「すごいや。どんぴしゃりだったね!」
「1日2日ズレるかと思ってたけど、丁度良かったみたいね」
「こっちの準備も良い感じに出来たし、これで明日は面白い事になりそうだよ」
「本当。どうなるのかしらね」

闇の間にオルトとルーンの楽しそうな声が響く。
少し離れた部屋から、

「ぅぐっ…ぐ…」

苦しそうな呻き声が聞こえていた。











オルトが指定してきた5日目。
キーナにとっては一番体調が悪い2日目。ダンから薬をもらって痛みは抑えているが、体の重さ怠さ、熱っぽさは消えない。何故か月のものが来ると、見えない大岩でも頭の上に乗っているのではないかと思うほどに体が重くなる。出来るならば寝転んでいたいが、そうもいかない。
歩くのも億劫だったので、ダンに姫抱っこで運んで貰う事になった。おんぶはちょっとね。お股が開くのはちょっとね…。
遺跡に着いて下ろして貰う。

「時間の指定とかはあったの?」
「特になかったな」

メリンダとサーガが辺りを見回し、人影を探す。
するとそれに応えるかのように、先の空中に1本の黒い線が入った。その隙間から手が覗き、カーテンを開くかのような手つきで穴を押し広げる。

「やあ。来たね」

その穴から出て来たのはキーナに良く似た少年オルト。そしてその後ろからルーンが出て来てオルトの隣に並んだ。
メリンダ、ダン、シアが、オルトの顔を見てびっくりしている。しかし当のキーナは気付いていない。

「テルは?! どこにいるの?!」

キーナが声を張り上げる。

「もちろん。ちゃんと無事だよ。体はね」

オルトが意味深に笑みを浮かべる。

「テルを返して!」
「もちろん。でもただ返すんじゃ面白くないでしょう? だからね、ちょっと手を入れてみたんだ」
「! テルに何をしたの?!」

オルトが楽しそうに笑った。

「ほうら、返してあげるよ。ただ、君達が無事でいられたらだけどね」

オルトが指を鳴らすと、また空中に黒い穴が開いた。そしてそこから、剣先が突き出してきた。次に腕、頭、体、そして全身が出てくる。

「ぐるるるるる…」

明らかに正気の眼ではない。
サーガが剣を抜き、前に出る。

「そら、行っといで」

オルトの声を聞き、テルディアスがキーナ達に向かって襲いかかってきた。

「ダン! 守れ!」

サーガの声にハッとなったダンが、急いで地の結界を張る。サーガがテルディアスの前に出て、振り下ろされた剣を受け止めた。

ガギィィィィン

(重い?!)

辺りに高らかに響き渡る金属のぶつかり合う音。

「ぐがあああああ!!」

テルディアスがサーガに向かって剣を振り回す。サーガはなんとかそれを受けきる。

(なんつー馬鹿力だこいつ!!)

テルディアスとは何度も剣を合わせた事はある。なんとなくだがサーガもテルディアスの癖などは把握していた。力にしても、これほどまでに強くは無かったはずだ。

(正気を失って馬鹿になってるってか!)

人は肉体を傷つけないように、常時体に制御を掛けているという話しは聞いた事があった。火事場の馬鹿力というのはその制御が一時的に外れた状態の事を言うのだと。本当の窮地に陥った時に人はその制御が外れて生き延びる為に渾身の力を使うのだと。
今のテルディアスはまさにそれが外れているのではないかとサーガは推測した。明らかにいつものテルディアスとは違う。

「テル!」

結界の中からキーナが叫ぶ。しかしその声に反応も見せない。

「くそっ」

反撃する隙も見いだせず、サーガはテルディアスの剣を受け止め続ける。












サーガが一方的に受け続けているのをみて、メリンダも焦る。端から見てもテルディアスは尋常ではない。

「テル! テル!」

飛び出しそうなキーナを抑えつつ、どうにかキーナの声で多少正気に戻らないかとも思うが、その気配は全くない。

「テルディアス様!」

この声援は放っておこう。
足元を見ればシアも足を木の枝のようなもので固定されていた。ダンも結界に気を使っているのでシアの相手をしている暇はないのだろう。

(そうよ。テルディアスじゃなくて…)

その元凶、はぐれ闇を叩けば良いのだ。
離れた所でこちらの様子を楽しそうに見ているはぐれ闇の2人。隙をついてあの2人を倒せば、テルディアスも正気に戻るかもしれない。
火は四大精霊の中でも最も攻撃力が高い。メリンダは初めて自分の力に感謝する。そして見えないように火の力を集め始めた。













「補助! 入る!」
「え?! は、はい! でも…」

ダンの言葉にシアもサーガの助けに入ろうかと力を集め出す。しかし早すぎてシアの眼では追えない。

「は、早すぎて、ついていけませんわ…」

ダンの顔も苦しそうになる。
ダンも隙をついてサーガの助けに入りたいのだが、如何せん戦闘はど素人。シアならばなんとかなるのではと思ったが、シアでも難しいようだった。
しかしこのままではサーガが押し負けるのは目に見えている。
キーナ一行の中でもテルディアスとサーガは戦玄人。テルディアスの相手はサーガ以外には難しい。これでサーガが倒れるともなれば、後は防戦一方となってしまう。

「ダン、光の宮の時みたいにできる?」

メリンダが声を掛けてきた。
ダンが振り向いてメリンダの顔を見た。そして頷く。

「メリンダさん?」
「キーナちゃん、大丈夫よ」

メリンダは掌に小さく小さく固めた力を握り締める。

「今よ!」

メリンダがその力をオルト達に向かって投げつける。
ダンが一瞬地の結界を解き、すぐに結界を張り直す。見事な連係プレー。
凝縮された力がオルト達の側まで行き、一気に膨れあがった。

ズドオオオオン!!

爆発と爆風が踊り狂う。結界の中にいたキーナ達は無事である。

「め、メリンダさん…、テルと、サーガが…」

サーガは外にいた。

「多分あいつらなら大丈夫よ」

大丈夫なの?
爆発の衝撃で2人共吹っ飛んだように見えたのだが…。

「これではぐれ闇を倒せたのなら、テルディアスも正気に戻るだろうし、そしたら治療も出来るでしょ」

怪我する前提でしょうか。怖いですね。
少しすると巻き上げられた砂煙が晴れてくる。目を凝らしてオルト達がいた場所を眺める。人影がなかった。

「倒した?」
「待って、喜ぶのは早いわ」

今の爆発の衝撃か、周りにあった大岩なども綺麗さっぱり無くなってしまっている。爆心地にも何もない。

「酷くね? 俺も巻き添え食う所だったよ?」

背後からサーガの声。

「サーガ!」
「ほらね、無事だった」

結界にもたれかかるようにしてサーガが座っていた。咄嗟に風の結界を張ったのだろうが、多少食らったのか、服が煤けている。
サーガの無事な姿を見て、メリンダがほっとしている。実はちょっと心配していたのだろう。

「テルは?」
「テルディアス様はどうしたのですの?!」

すかさずテルディアスの事を聞いてくる2人。

「目の前から吹っ飛んでったのは見たけど」

さすがに爆発の衝撃やら砂埃やらで見失ったようだ。

「大丈夫だよ。こっちにいるよ」

予期せぬ方から声がした。楽しそうなオルトの声だった。
そちらに視線を向けると、無事な姿のオルトとルーン。そして、砂埃などで汚れた姿のテルディアス。しかし怪我などはなさそうだった。

「ぐるるるるる…」

その眼は正気を失ったまま。

「そう簡単にいくまいとは思ってました!」

サーガがぱっと立ち上がり、再び剣を構える。

「ダン! テルディアスの動きを止めたりなんか出来るか?!」

サーガがダンに向かって問う。

「やって、みる!」

ダンが力強く答えた。

「ほら、行っておいで」

オルトがテルディアスに話しかけると、再びテルディアスが襲いかかってきた。
再びテルディアスの剣を受けるサーガ。しかしその動きは先程よりもやや鈍いように見える。1人でテルディアスの剣を受け続けているのだ。疲れが出て来ているのかも知れない。
ダンがテルディアスの動きを止められないかとタイミングを測るが、如何せん早すぎてタイミングが掴めない。

「私も助勢しますわ!」

攻撃することは難しいが、動きを邪魔する事ならば出来るかも知れない。シアが力を練り始める。
キーナは見ているしか出来なかった。皆が頑張っているのに、自分だけ何もできない。

(皆…。テル…!)

キーナは皆の無事を祈る。
メリンダもなんとか出来ないかと考えるが、先程の攻撃もまったく効いた様子がないはぐれ闇の2人。

(地下からマグマを喚んで…。でも空間に逃げられたら意味が無いか…)

どんな攻撃も空間の狭間に逃げ込まれたら全く意味が無い。戦いにくい相手だと、メリンダも内心舌打ちをする。

「捉えにくいですわ…」

シアもサーガとテルディアスの動きを見ているが、やはり2人の動きが早すぎて捉えきれないようだった。

「! そうですわ! メリンダさん! 力を貸して頂けませんこと?」
「何?」
「今のままではテルディアス様を捕らえる事は難しいですわ。でも、空気中に水分まき散らすことが出来れば、テルディアス様のお体に水を付ける事が出来ます。そうしたら私がなんとかすることが出来ますわ」
「はあ」

要領を得ないメリンダ。

「ですから! 貴女の力で水を蒸発させて下さいと言ってるのですの! 霧を発生させることが出来たら上々ですわ!」
「! そういうこと!」

2人が力を練り出す。キーナも初めて見る技なので、ドキドキしながら2人を見守る。

「え~と、どうすればいいのかしら?」
「まずはとにかく蒸気を発生させて欲しいですわ」

なんだかどんどん暑くなっていく。シアが水を喚んでいるのか、湿気も酷くなっていく。しかも結界で覆われているので少し息苦しい。

「こ、これくらいでいいのかしら?」
「だ、大丈夫? だと思いますわ…」

確かに湿気は酷くなっているのではあるが…。ダンも心なしか息苦しそうである。

「あとは多分、冷やすと良いのだと思う…」

キーナが横から口出し。元の世界の霧の発生条件は、確か気温が下がった朝に多かったと思い出す。今のままではただの湿気が多いだけの空気だ。まあこれでも良いのかも知れないが。

「冷やす?」

メリンダがキーナを見ると、

「多分…」

とキーナも首を傾げている。さすがに詳しいことまでは知らないらしい。

「冷やすことなんて出来ますの?」
「出来るわよ」

蒸し暑い空気がすうっと冷えていく。
途端に結界内が霧で満たされ、真っ白になった。

「いい感じですわ! ダン! 一度結界を解いて下さいませ!」

ダンが結界を解く。
霧がまるで生き物のように動き、テルディアスとサーガの周りに纏わり付いた。
すぐに結界を張り直すダン。

「なん、じゃ、こりゃ…」

テルディアスの剣を受けながら、サーガは周りが真っ白になったことに驚く。

「捉えましたわ!」

シアが嬉々として叫んだ。
途端、テルディアスの顔が水で覆われた。テルディアスの頭が水球の中に没する。

がぼっ

突然の事にテルディアスの動きが止まる。そこを逃さずダンがテルディアスの四肢を木の根で縛り上げた。

(良かった。効いてますわ…)

サーガに効いた様子がなかったので、若干自信を喪失していたシアだったが、藻掻き苦しむテルディアスを見てほっと胸をなで下ろす。やはりあれはサーガが異常だったのだと。
テルディアスが動けなくなると同時に、サーガの姿がかき消えた。

「え?!」

サーガの姿を目で追っていたメリンダが驚きの声を上げる。キーナもあたふたと周りを見渡す。

ボムン…

異様な音がオルト達の方から聞こえキーナ達が目を向けると、オルトの後ろに剣を振り下ろしたサーガの姿があった。剣先はオルトには届いていない。

「ち、油断はしてくれてなかったか…」
「まあ、一応ね」

一瞬にしてサーガの体に闇の触手が絡みつく。

「が…」

後ろを振り向いたオルトがにこりと笑う。

「いや~、さすがの僕も君の早さには感服したよ。まさか視界から消えられるとは思わなかった」
「ぐ…、あぁ…」

徐々に締め付けが酷くなっているのか、サーガが呻き声を上げる。

「こっちに来ちゃって良かったの? 向こうがお留守になっちゃうよ?」
「な…ん…?」











「サーガ!!」

苦しそうなサーガの姿を見てメリンダが声を上げる。

「ダン! 結界を解いて! 今なら…!」
「駄目だ! 解ける!」
「え…?」

シアの水球はすでに消えている。木の根に絡まれて藻掻いていたテルディアス。それをなんとか押さえつけようとしていたダンだったが…。

「がああ!!」

バン!!

気合いなのか、闇の力なのか、テルディアスを縛り付けていた全ての力が弾き飛ばされる。

「く…!」

そのショックからか、ダンの集中が途切れ、結界も解けてしまう。慌ててダンが結界を張り直そうとするが、テルディアスがそこに迫る。

どごっ!

「ぐっ…!」

強烈な足蹴りをくらい、ダンが吹っ飛んだ。

「ダン!」

シアが水を喚び、テルディアスに向けた。

「テルディアス様! お許し下さいませ!」

無数の水の矢がテルディアスへと向けられる。しかしテルディアスはそれを避け、時には剣で切りつけて消し、シアへと迫った。

「なんてこと…!」

テルディアスが横薙ぎに剣を払う。シアが持っていた杖で辛うじて防ぐ。

「か…」

勢いを殺しきれず、シアも吹っ飛んだ。










「次は赤髪のお姉さんかな?」

オルトの呟きに、サーガの眼がギラリと光った。
途端、オルト達の周りで風が巻いた。












メリンダがキーナを後ろに庇いながら、テルディアスに向けて無数の火の球を放つ。

「あたしに防御力が無いのが悔やまれるわね…」

ダンのように強固な結界を張れるならば、テルディアスが疲れるのを待って攻撃を仕掛けることも出来たかもしれない。しかし火の力はほぼ攻撃特化。壁を作るにしても今のテルディアスではやすやすと突破されるのは目に見えている。
火の球を空中に次々と生み出し、テルディアスへと向けて放ってはいるものの、すべて避けるか切られて消されている。

「は…!」

気付けばテルディアスは目の前にいた。

「テル!」

キーナが気付いて声を出す。しかしテルディアスは剣を振り上げる。

「っの野郎ああああ!!」

怒声と共にサーガがテルディアスに切り込んできた。寸前で気付き、迎え撃つテルディアス。
先程よりも激しい剣戟の音が響き渡る。














「まさか無理矢理風で切り裂いていくなんて」
「信じられないわ。どうして風で闇の力を?」
「さあね。僕にも分からないよ」

渋い顔をしたオルトとルーンがテルディアスとサーガの斬り合いを見つめる。















防戦一方だった先程と違い、サーガも攻撃に移ることが増える。風の力も駆使し頑張ってはいるが、やはり正気を失ったテルディアスは手強そうだ。
メリンダはこの隙にキーナを逃がすことは出来ないかと考える。しかし先程メリンダが起こした爆発のせいで辺り一帯更地になってしまい、身を隠す場所が見当たらない。少し離れた森にでも行かせたかったが、そこへ行くまでにはぐれ闇の2人の目にとまってしまうだろう。

(どうしたら…)

「が…!」

サーガが吹っ飛び、転がった。体中あちらこちらが切り裂かれ、満身創痍だ。それでもなお体を起こそうとするが、直前に腹に入った蹴りが効いたのか、立ち上がれないようだった。
テルディアスもあちこちに傷を作ってはいるが、その目は正気の光を取り戻してはいない。
テルディアスがくるりとメリンダに向き直る。

「テル!」

キーナが思わず叫ぶ。しかし地面を蹴り、メリンダに迫る。
メリンダはキーナを庇いながら炎の龍を出す。怪我をさせないように多少気を使っていたが、もうやめた。

「テルディアス! 多少の火傷は勘弁なさい!」

龍がテルディアスを飲み込む。しかし、

ズバッ!

テルディアスが剣で龍を切り裂いた。

「まさか!」

テルディアスがメリンダに迫る。慌ててメリンダが炎の壁を作る。しかしそれさえも切り裂いて迫って来た。

「な…」

メリンダが身を捻って躱そうとするも、テルディアスの左手がメリンダの腹にめり込む。

「かはっ…」

メリンダが体を折って、どさりと地面に倒れ込んだ。

「メリンダさん!」

倒れ込むメリンダに寄ろうとするが、その前にテルディアスが立った。

「テル…」

キーナが思わず後退る。
テルディアスが感情のない瞳でキーナを見下ろす。そして徐に剣を振り上げる。

「テル!」

キーナの叫び声に、テルディアスがビクリとなった。

「う…ぐ…あ…」

そのまま固まってしまう。何かに抗うかのように、体が小刻みに揺れる。

「テル…?」

キーナが一歩テルディアスに近づく。

「ぎ…な…」

テルディアスが剣を下ろし、頭を抱え出す。瞳が揺れた。

「テル!」

キーナがテルディアスに向かって手を伸ばす。

「何やってんの。早くれよ」

オルトの非情な声が聞こえた。
その声にビクリとなり、テルディアスがぎこちない動きで突きの構えを取った。

「うぐ…ぐ…」
「テル…」

キーナが後退る。
テルディアスの瞳を見つめるが、そこにキーナは映っていない。

「う…がああああああ!!」

テルディアスが剣を突き出した。
キーナは目を閉じた。
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