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緑の男
夜明けの戦闘
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「領主様…、領主様…」
ゆさゆさと揺さぶられ、グレッドムスは目を覚ました。
「うう…?」
「領主様、朝でございますよ」
心地よい女の声が耳に届く。
実際はまだ領主になってはいないが、領主様と呼ばれて悪い気はしない。
「う…む?」
そこで初めて、グレッドムスは眠っていたのだと自覚した。
横を見ると、赤毛の美しい女。
布団に隠れて見えないが、その体の美しさはその曲線から想像出来る。
「むう…? 私は…?」
「覚えてらっしゃらないのですか? あの後、すぐに眠ってしまわれたのですよ」
あれほどに抵抗していたはずの女が、何故か優しげな視線をこちらに向けてくる。
「あの後?」
「嫌だ、本当に覚えてらっしゃらないので? あれほど激しかったのは、私、初めてでしたのに…」
女が顔を赤らめた。
「私、あんなに感じたのは、初めてです…」
恥じらいながら言う女に、グレッドムスは血が滾るのを感じた。
「そ、そうかそうか。ま、まあ、わしにかかれば…」
実を言うと、途中からさっぱり覚えていなかった。
女が抵抗していたところまでは覚えているのだが…。
胸と股間の高まりを感じつつ、グレッドムスは女に手を伸ばす。
「どれ、もう一度、良い思いをさせてやろうじゃないか」
「あら、領主様、もう朝ですよ」
女が笑顔で窓を指さす。
「む…?」
窓の外はすでに明るくなり始めていた。あと数十分もすれば夜が明けるだろう。
「夜明けと同時に襲撃があるのでは? さすがにこんな所で寝ているわけにはいきませんでしょう?」
女のちょっと心配そうな顔に、残念ではあったが手を引っ込めるグレッドムス。
昨夜の覚えていない所をもう一度しっかり再現したかったのだが…。
「うむ。確かにな。私が出ないとな」
渋々ベッドから出て、脱ぎ散らかされた服を身に纏う。
女も胸元を布団で隠しながら起き上がる。
「いってらっしゃいませ、領主様。全てが終わったら…、また…」
女の熱い瞳がグレッドムスに注がれる。
その白い肌に目が釘付けになりつつ、グレッドムスは頷いた。
全てが片付いたら、また…。
「うむ。いってくる」
にやけそうになる顔を頑張って引き締め。身支度を整えたグレッドムスは、部屋を後にした。
全てを片付けて、また今夜…。
その時のことを考え、廊下に出たグレッドムスの顔が緩む。
と、部屋の前の警備兵が、自分を見ていることに気付き、慌てて顔を引き締めて、廊下を歩き出した。
その足取りは、いつもよりも自信に溢れ、力強いものだった。
万全の警備態勢を敷き、グレッドムスはテラスから、襲撃があるだろう東の方向を眺めていた。
もうすぐ陽が昇る。
「さすがですね。こりゃ、奴らも手も足も出ないんじゃないんですかね?」
いつの間に来たのか、昨日の黄色い髪の男が後ろにやって来ていた。
「何をしている。お前も担当の場所があるだろう」
「いやなに、是非俺の活躍を間近で見て貰いたかったので、貴方の身辺警護に変えてもらったんです。腕は、兵士長の保証付きです」
「ほお?」
兵士長と呼ばれるほどの者だ。実力は折り紙付き。それが保証すると言っているのであれば、この男は見かけによらず、かなり腕が立つのかも知れない。
だとしたら、まあ側に置いていても良いかもしれない。
あの女と良い、この男と良い、なかなかの拾い物をしたと、グレッドムスは密かに微笑んだ。
妻は理由を付けて王都にでも縛り付け、あの女はこちらで妾にでもしてしまおうと、グレッドムスは考える。まだこの領地を治めることも決まっていないのに。
陽が差した。
「おおおおおお!!」
東の森の中から雄叫びが聞こえ、木々の間から人々が飛び出して来た。
その手に持つのは、斧や鉈や鎌。まともに武器と呼べるものではない。
「第一陣! 迎え撃て!」
兵士長の声が飛び、布陣を敷いた兵士達が、飛びかかってきた村人達を迎え撃つ。
両者激突。激しい金属音が鳴り響く。
だがしかし、やはり村人達の方が不利だ。
しっかりと布陣を敷いた兵士達に、じりじりと押されていく。
「地球《ウルテマ》!」
森の中から声がして、石ころが雨のように兵士達に降り注いだ。
これには兵士達もたまらない。
石から身を庇おうとしたところに、村人達が襲いかかる。
布陣が瓦解し、村人達がさらに村の中へと押し寄せて来た。
「第二陣! 前へ!」
兵士長の声が飛ぶ。
後ろに控えていた後続の兵士達が、村人達を迎え撃った。
第一陣よりもさらに厚い層に、村人達も蹈鞴を踏む。
「地球《ウルテマ》!」
同じ声が聞こえ、やはり石の雨が降り注ぐも、第二陣は盾を持ちそれを躱す。
「同じ攻撃が通じるか!」
誰かの叫び声が聞こえ、村人達の足が止まる。
そのままじりじりと押され出す。
「ふん。これは、決まったな」
グレッドムスが鼻を鳴らす。
再度石の雨が降るが、兵士達には通じない。村人達が後退し始める。
「だめだ! 逃げるよ!」
村人のリーダーらしき声が響き、村人達が一目散に逃げ始めた。
「ああ! 領主様! 逃げちゃいますよ! 今しっかり追いかけてトドメをささないと!」
黄色い髪の男が後ろで喚き散らす。
「分かっておるわ。皆の者! 追いかけて仕留めよ!」
テラスから威厳があるように命令する。
ところが、兵士達が一瞬困ったような顔をした。
「何をしておる。命令だ。追いかけよ!」
兵士長の声がすると、兵士達はしっかりと前を向き、逃げる村人達を追いかけ始めた。
「人望ないんすね。領主様」
「やかましい!」
黄色い髪の男の言葉に怒鳴り返すと、グレッドムスは下を見下ろす。
ここで一番偉いのは自分だ。なのに、兵士達は自分の言うことを素直に聞かない。
(わしが正式に領主になったら…、みておれ)
グレッドムスは心の中で呟いた。
その時、
ズン!
突然大きな音がして、兵士達の姿がかき消えた。
「な、なんだ?!」
みれば、村と森の間に、いつの間に掘ったのか、大きな穴が開いているではないか。
その穴の縁で、村人達が穴を覗き混み、罵声を浴びせている。
どうやら兵士達はその穴に落ちたらしい。
「な、なんだあれは?! いつの間にあんな穴を…!」
グレッドムスが驚いている間に、村人達が穴に橋を渡し、再びこちらに攻め入って来る。
「迎え撃て! 蹴散らせ!」
グレッドムスが怒鳴ると、兵士長の声が響く。
「隊列を崩すな! 迎え撃つぞ!」
残っていた兵士達が、村人達を迎え撃つ。
数が減ったとは言え、やはり本職の兵士達の方が実力は上。どうあっても村人達に勝機があるようには見えなかった。
「ちきしょう! やっぱりダメか?!」
リーダーらしき声が聞こえ、村人達が撤退し始めた。それを追う兵士達。
残った兵士達が、また何か罠でもあるのではと、警戒し始める。
しかし、もう策はないのか、村人達は一目散に森へと逃げていく。きちんと渡した橋を落とすことも忘れずに。
「領主様。ここは全兵士をけしかけて、もう2度と刃向かう気力が起きないように叩いとくべきですよ」
こっそりと黄色い髪の男が進言してくる。
「じゃないとあいつらしつこいですから、またけしかけて来るかも知れませんぜ?」
確かに男の言う通りかもしれないと、グレッドムスは頷く。
「兵士長! 全兵力を持って、やつらを始末しろ!」
「グレッドムス様、しかし…」
「いいから! わしの言う通りに動け!」
「は…。しかし、念のため、少数の兵士を残していってもよろしいでしょうか?」
「うむ。まあ良いだろう。必ず奴らを始末するのだぞ」
「は…」
兵士長が敬礼し、少数を人選して村を任せ、自ら部隊を率いて、村人達が逃げていった森を目指して進み出した。
「さすがは領主様ですね! 見事な手腕だ!」
黄色い髪の男が後ろでグレッドムスを賛美する。
「ふん。これくらい、わしにかかれば…」
いい気になって胸を張るグレッドムス。
そして、
ドゴ!
鈍い音がして、グレッドムスは意識を失った。
ゆさゆさと揺さぶられ、グレッドムスは目を覚ました。
「うう…?」
「領主様、朝でございますよ」
心地よい女の声が耳に届く。
実際はまだ領主になってはいないが、領主様と呼ばれて悪い気はしない。
「う…む?」
そこで初めて、グレッドムスは眠っていたのだと自覚した。
横を見ると、赤毛の美しい女。
布団に隠れて見えないが、その体の美しさはその曲線から想像出来る。
「むう…? 私は…?」
「覚えてらっしゃらないのですか? あの後、すぐに眠ってしまわれたのですよ」
あれほどに抵抗していたはずの女が、何故か優しげな視線をこちらに向けてくる。
「あの後?」
「嫌だ、本当に覚えてらっしゃらないので? あれほど激しかったのは、私、初めてでしたのに…」
女が顔を赤らめた。
「私、あんなに感じたのは、初めてです…」
恥じらいながら言う女に、グレッドムスは血が滾るのを感じた。
「そ、そうかそうか。ま、まあ、わしにかかれば…」
実を言うと、途中からさっぱり覚えていなかった。
女が抵抗していたところまでは覚えているのだが…。
胸と股間の高まりを感じつつ、グレッドムスは女に手を伸ばす。
「どれ、もう一度、良い思いをさせてやろうじゃないか」
「あら、領主様、もう朝ですよ」
女が笑顔で窓を指さす。
「む…?」
窓の外はすでに明るくなり始めていた。あと数十分もすれば夜が明けるだろう。
「夜明けと同時に襲撃があるのでは? さすがにこんな所で寝ているわけにはいきませんでしょう?」
女のちょっと心配そうな顔に、残念ではあったが手を引っ込めるグレッドムス。
昨夜の覚えていない所をもう一度しっかり再現したかったのだが…。
「うむ。確かにな。私が出ないとな」
渋々ベッドから出て、脱ぎ散らかされた服を身に纏う。
女も胸元を布団で隠しながら起き上がる。
「いってらっしゃいませ、領主様。全てが終わったら…、また…」
女の熱い瞳がグレッドムスに注がれる。
その白い肌に目が釘付けになりつつ、グレッドムスは頷いた。
全てが片付いたら、また…。
「うむ。いってくる」
にやけそうになる顔を頑張って引き締め。身支度を整えたグレッドムスは、部屋を後にした。
全てを片付けて、また今夜…。
その時のことを考え、廊下に出たグレッドムスの顔が緩む。
と、部屋の前の警備兵が、自分を見ていることに気付き、慌てて顔を引き締めて、廊下を歩き出した。
その足取りは、いつもよりも自信に溢れ、力強いものだった。
万全の警備態勢を敷き、グレッドムスはテラスから、襲撃があるだろう東の方向を眺めていた。
もうすぐ陽が昇る。
「さすがですね。こりゃ、奴らも手も足も出ないんじゃないんですかね?」
いつの間に来たのか、昨日の黄色い髪の男が後ろにやって来ていた。
「何をしている。お前も担当の場所があるだろう」
「いやなに、是非俺の活躍を間近で見て貰いたかったので、貴方の身辺警護に変えてもらったんです。腕は、兵士長の保証付きです」
「ほお?」
兵士長と呼ばれるほどの者だ。実力は折り紙付き。それが保証すると言っているのであれば、この男は見かけによらず、かなり腕が立つのかも知れない。
だとしたら、まあ側に置いていても良いかもしれない。
あの女と良い、この男と良い、なかなかの拾い物をしたと、グレッドムスは密かに微笑んだ。
妻は理由を付けて王都にでも縛り付け、あの女はこちらで妾にでもしてしまおうと、グレッドムスは考える。まだこの領地を治めることも決まっていないのに。
陽が差した。
「おおおおおお!!」
東の森の中から雄叫びが聞こえ、木々の間から人々が飛び出して来た。
その手に持つのは、斧や鉈や鎌。まともに武器と呼べるものではない。
「第一陣! 迎え撃て!」
兵士長の声が飛び、布陣を敷いた兵士達が、飛びかかってきた村人達を迎え撃つ。
両者激突。激しい金属音が鳴り響く。
だがしかし、やはり村人達の方が不利だ。
しっかりと布陣を敷いた兵士達に、じりじりと押されていく。
「地球《ウルテマ》!」
森の中から声がして、石ころが雨のように兵士達に降り注いだ。
これには兵士達もたまらない。
石から身を庇おうとしたところに、村人達が襲いかかる。
布陣が瓦解し、村人達がさらに村の中へと押し寄せて来た。
「第二陣! 前へ!」
兵士長の声が飛ぶ。
後ろに控えていた後続の兵士達が、村人達を迎え撃った。
第一陣よりもさらに厚い層に、村人達も蹈鞴を踏む。
「地球《ウルテマ》!」
同じ声が聞こえ、やはり石の雨が降り注ぐも、第二陣は盾を持ちそれを躱す。
「同じ攻撃が通じるか!」
誰かの叫び声が聞こえ、村人達の足が止まる。
そのままじりじりと押され出す。
「ふん。これは、決まったな」
グレッドムスが鼻を鳴らす。
再度石の雨が降るが、兵士達には通じない。村人達が後退し始める。
「だめだ! 逃げるよ!」
村人のリーダーらしき声が響き、村人達が一目散に逃げ始めた。
「ああ! 領主様! 逃げちゃいますよ! 今しっかり追いかけてトドメをささないと!」
黄色い髪の男が後ろで喚き散らす。
「分かっておるわ。皆の者! 追いかけて仕留めよ!」
テラスから威厳があるように命令する。
ところが、兵士達が一瞬困ったような顔をした。
「何をしておる。命令だ。追いかけよ!」
兵士長の声がすると、兵士達はしっかりと前を向き、逃げる村人達を追いかけ始めた。
「人望ないんすね。領主様」
「やかましい!」
黄色い髪の男の言葉に怒鳴り返すと、グレッドムスは下を見下ろす。
ここで一番偉いのは自分だ。なのに、兵士達は自分の言うことを素直に聞かない。
(わしが正式に領主になったら…、みておれ)
グレッドムスは心の中で呟いた。
その時、
ズン!
突然大きな音がして、兵士達の姿がかき消えた。
「な、なんだ?!」
みれば、村と森の間に、いつの間に掘ったのか、大きな穴が開いているではないか。
その穴の縁で、村人達が穴を覗き混み、罵声を浴びせている。
どうやら兵士達はその穴に落ちたらしい。
「な、なんだあれは?! いつの間にあんな穴を…!」
グレッドムスが驚いている間に、村人達が穴に橋を渡し、再びこちらに攻め入って来る。
「迎え撃て! 蹴散らせ!」
グレッドムスが怒鳴ると、兵士長の声が響く。
「隊列を崩すな! 迎え撃つぞ!」
残っていた兵士達が、村人達を迎え撃つ。
数が減ったとは言え、やはり本職の兵士達の方が実力は上。どうあっても村人達に勝機があるようには見えなかった。
「ちきしょう! やっぱりダメか?!」
リーダーらしき声が聞こえ、村人達が撤退し始めた。それを追う兵士達。
残った兵士達が、また何か罠でもあるのではと、警戒し始める。
しかし、もう策はないのか、村人達は一目散に森へと逃げていく。きちんと渡した橋を落とすことも忘れずに。
「領主様。ここは全兵士をけしかけて、もう2度と刃向かう気力が起きないように叩いとくべきですよ」
こっそりと黄色い髪の男が進言してくる。
「じゃないとあいつらしつこいですから、またけしかけて来るかも知れませんぜ?」
確かに男の言う通りかもしれないと、グレッドムスは頷く。
「兵士長! 全兵力を持って、やつらを始末しろ!」
「グレッドムス様、しかし…」
「いいから! わしの言う通りに動け!」
「は…。しかし、念のため、少数の兵士を残していってもよろしいでしょうか?」
「うむ。まあ良いだろう。必ず奴らを始末するのだぞ」
「は…」
兵士長が敬礼し、少数を人選して村を任せ、自ら部隊を率いて、村人達が逃げていった森を目指して進み出した。
「さすがは領主様ですね! 見事な手腕だ!」
黄色い髪の男が後ろでグレッドムスを賛美する。
「ふん。これくらい、わしにかかれば…」
いい気になって胸を張るグレッドムス。
そして、
ドゴ!
鈍い音がして、グレッドムスは意識を失った。
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