142 / 296
男娼の館編
走る悪寒
しおりを挟む
館の外の木陰に、静かに佇むマントにフードの男。
見る人が見れば、今なら彼に気付いたであろう。
何故なら、不穏な空気をその身に纏わせていたからだ。
隠れるならばせめてその殺気を隠さんかい。
(くそ…)
流れ出る殺気に気付かずに、木陰に隠れてるつもりになっているテルディアス。
バレないのはそれほど館の警備が厳重ではないからだ。
館の警備は、外からの侵入者よりも、中からの逃亡者向けになっている。
『動くなよ、テルディアス』
突然テルディアスの耳元で声がする。
「分かってる!」
近くに人がいれば、何この人突然独り言言ってるんだろうと首を傾げたかもしれない。
幸か不幸か?周りには誰も居ないので、怪しい人にはならないでいる。
いや、すでに怪しい人か。
サーガの風に乗せた声は、届けられた本人にしか聞こえない。便利な物だ。
「早く来い!」
またまた独り言を呟くテルディアス。
少し遅れて、
『もう着く』
またテルディアスの耳元に声。
イライラジリジリしながら、テルディアスは声の主が到着するのを待った。
少しすると、上空からゴウ…と何かを燃やすような音が近づいてきた。
そして目の前に下りてきた赤い髪の女性と、女性に負ぶわれた黄色い髪の男。
赤い髪の女性の足元から、鉄腕○トムのようなロケット噴射のように伸びる炎。
それが収まると、ストンと地面に降り立った。
「はあ~、着いた」
「ご苦労さんっす」
ゆっくりとメリンダの背中から下りるサーガ。
テルディアス特製松葉杖を付き付き、ひょこりと地面に降り立つ。
メリンダがう~んと伸びをした。
「風ほど飛ぶのは慣れてないから」
と腕を回し、肩を回す。
慣れない事をしたので、ちょっとくたびれたらしい。
「いやいや、大したもんだよ」
サーガ素直に褒める。
風ほど早くはなかったが、街からここまで飛んでこれたのだ。火の魔法だけでこれだけの距離を飛ぶなど、普通の人にはできまい。
「おい…。早くキーナの居所を調べろ!」
ほんわか雰囲気をぶちこわし、テルディアス割って入ってきた。
「わーってるってば」
一応怪我人なのよ?とぶちぶち言いながらも、側に倒れていた倒木に腰掛け、早速館の内部を探り始める。
イライラしながらその様子を眺めるテルディアスに、メリンダが声を掛ける。
「よく動かないで待てたわね。テルディアス。あんたの事だから、皆殺しに行ってるんじゃないかって、サーガと心配してたのよ」
と冗談半分に言うと、
「…キーナが悲しむからな」
ボソリとテルディアスが呟いた。
(悲しまなかったら殺ってたと…?)
冷や汗タラリ。
キーナが良い子で良かったと、メリンダ胸を撫で下ろした。
「オッホホ~。いたぜ~。キーナだ」
「どこだ?!」
「どこに?!」
サーガの言葉にすぐに食いついてくる二人。
「慌てんなって。まだ無事だぜ」
サーガがニヤリと笑った。
地下から階段を上がって行く。
目の前には案内の青年。
手首には、シャワーから出てすぐに付けられた鉄枷。
(シャワー出たらこれだもんね。タクトと離されちゃったし。上に向かってるみたいだし…)
コツコツと狭い通路に固い音が良く響く。
階段を上がると細い廊下が目の前に延びていた。
案内の青年が脇にどくと、
「このままお進み下さい」
と廊下の先を指し示す。
「は、はあ…」
嫌な感じしかしないけれども、他に行く事もできず、廊下を進んでいく。
少し暗い廊下を進んでいくと、突き当たりがバルコニーのようになっている。
柵にもたれ、あのピンクの旦那様が立っていた。
こちらに振り向くと、扇で口元を隠しながら、
「待ってたわ。あたしの子羊ちゃん♡」
キーナの背筋が凍った。
すると、ピンクの旦那様が向こうに振り向き、両手を上げると、
「さあ、お集まりの皆様! 今宵も甘美な時を存分にお楽しみ下さいませ!!」
と声を張り上げた。
途端に、バルコニーの向こう側がざわめく。
どうやら外では無く、室内のホールのようになっているらしい。
廊下を出て下を覗き込むと、煌びやかな衣装を纏い、顔に仮面を付けた大勢の人々がひしめいていた。
幾人かの人々がキーナを見て、何か呟いているのが聞こえてくる。
「まあ、領主様のお連れの子、なんと可愛らしい」
「おお、次は私がお相手願いたいものだな」
その台詞を聞いて、キーナの背筋が北極圏に突入した。
「さあ、子羊ちゃん。いらっしゃい」
そう言って、ピンクのどうやら領主様が、キーナの肩に手をかけ、バルコニーの端の部屋へと連れて行く。
その肩に置かれた手がとても気持ち悪い。
(分かる! 見なくても鳥肌になっているのが分かる!)
肩から右腕にかけてがザワザワしている。絶対に鳥肌になっている。
かと言って振りほどけるわけもなく、大人しく連行されていく。
早く追い出されないかと願いながら。
キーナが去る後ろから声が聞こえてきて、思わず振り向いた。
「それでは、今日一番最初の子。今日来たばかりの正真正銘の初夜です!」
先程案内していた青年が、別の少年を横に立たせ、階下の人達によく見えるようにしている。
下からは、
「100だ!」
「200だ!」
「500!!」
などと競り合う声が聞こえてきた。
立たされた少年は、青い顔をして震えていた。
(震えて…)
苦々しく思いながらも、キーナはピンクの領主に連れられて行った。
一番端の部屋に入ると、しっかりと扉を閉められる。
「さあ、あたしの子羊ちゃん。まずは上着を脱ぎましょ」
と言って、キーナの胸元に手を伸ばしてくる。
キーナの全身に、南極ほどの悪寒が走り去る。
「フギャ――!!」
思わずおもっくそ力を込めて、肘鉄をお見舞いしてしまう。
ドゴン!
いい音を響かせ、ピンクの領主はズッデンと床に倒れた。
これ幸いと、キーナ部屋の隅まで超速で距離を取った。
「な、なんてこと…!」
鼻に当たったのか、鼻血をボタボタたらしながら、ピンクの領主が起き上がる。
部屋の隅でガタガタと震えるキーナ。
「とんだじゃじゃ馬だわ」
流れ出る鼻血を拭きつつ、ピンクの領主がキーナに近づき、その腕を取る。
「いらっしゃい」
「いやああ!」
目一杯暴れるキーナだったが、手に枷があり、一応領主様も男であり力があるので、抵抗虚しく引き摺られて行ってしまう。
ベッドの上に乗せられ、手かせに付けられた輪に、鎖がはめ込まれる。
真ん中の鍵穴に鍵を入れて捻ると、枷が真ん中から分かれた。
鎖の長さを調節し、キーナは両手を広げたまま、身動きが取れなくなってしまった。
「…う…ぬ」
さすがにこの状況では、一応腰元に忍ばせてきたドロボウ七つ道具も使えない。
「ホホホホホ。ふふ、これで動けないわよ」
そう言ってピンクの領主がキーナの上から覗き込んできた。
そのあまりの気持ち悪さに、
「う…、フンギ――!!」
と思わず左足を思い切り振り上げてしまう。
そして上手い具合にピンクの領主の頭にその足が当たった。
「ぶへっ」
無様な声を出し、ピンクの領主がキーナの上に倒れ込んできた。
攻撃の方向を考えれば当然だ。
キーナの顔の横に、ピンクの領主の顔が落ちてきた。
考えていなかった状況に、体が強ばるキーナ。ついでに鳥肌MAX。
「…っの…、このガキィ!!」
ピンクの領主がさすがにぶち切れたのか、手をついて身を起こす。
ところがその手をついた所が問題だった。
「ニャ―――!!」
キーナの胸だった。
「ムニュ?」
その柔らかさに、一瞬止まるピンクの領主。
確かめるように2、3度モミモミ。
キーナの顔が青ざめた。
ピンクの領主の顔も青ざめた。
「イ…」
「きゃああああああああ!!!!」
「やぁぁぁ…あ?」
キーナの悲鳴はピンクの領主の悲鳴で掻き消された。
超速でベッドの端まで逃げ、天蓋の柱に縋り付く。
「む…、胸…、胸が…、小さいけど胸がある!」
「小さいは余計じゃ!!」
キーナ思わず突っ込んでしまった。
「ま、ままま、まささか…、女の子ぉ!!」
「そーです」
失敬な奴だなと睨み返すキーナ。
ピンクの領主の顔は青ざめたまま。
「イヤアアアアア! なんで女なんかいるのよぉ! どっか行ってえええぇぇぇ!!」
とギャーギャー喚きだした。
「なら外せ」
キーナの突っ込みも聞こえていないらしい。
と、
「アラ?」
ふとピンクの領主気付いた。
「変ねぇ。じんましんが出ないわ?」
と自分の手を眺めている。
早く外してくれないかな?とキーナがピンクの領主を眺めていると、何やらピンクの領主の目つきが変わってきた。
チラリとキーナを見ると、
「あなた本当に女?」
と失礼な事を聞いてきた。
「今触ったでしょう!!」
触って悲鳴を上げてたのはどこのどいつだ。
ピンクの領主が再び自分の手を見る。
「女なのに…、じんましんが出ない…?」
と何やら呟いている。
チラリとキーナを見る。
頭から足の先まで。
「見た目は少年だし…」
ぺろりと舌舐めずりし始める。
「何か、新しい趣向を試したいとは思っていた所なのよね…」
ジリジリとキーナに近づいて来る。
再びキーナの体を氷河期の極寒と、鳥肌MAXの悪寒が走る。
「女なんて好きじゃないけど…」
だったら近づいて来るな―!と心で悪態を吐くが、両手は動かない身動き取れない。気持ち悪すぎて声も出てこない。
ピンクの領主がキーナの膝に手をかける。
その手の感触がまた気持ちが悪い。必死に力に抗い、膝を開かせまいとする。
「ちょっとくらい試してみても…、面白いわよね♡」
男の力にはやはり叶わない。
必死で抗うも、少しずつ膝は開かれ、ピンクの領主が体を入れてくる。
「イ…イヤアアアアア!」
あまりの悍ましさに、キーナは悲鳴を上げた。
見る人が見れば、今なら彼に気付いたであろう。
何故なら、不穏な空気をその身に纏わせていたからだ。
隠れるならばせめてその殺気を隠さんかい。
(くそ…)
流れ出る殺気に気付かずに、木陰に隠れてるつもりになっているテルディアス。
バレないのはそれほど館の警備が厳重ではないからだ。
館の警備は、外からの侵入者よりも、中からの逃亡者向けになっている。
『動くなよ、テルディアス』
突然テルディアスの耳元で声がする。
「分かってる!」
近くに人がいれば、何この人突然独り言言ってるんだろうと首を傾げたかもしれない。
幸か不幸か?周りには誰も居ないので、怪しい人にはならないでいる。
いや、すでに怪しい人か。
サーガの風に乗せた声は、届けられた本人にしか聞こえない。便利な物だ。
「早く来い!」
またまた独り言を呟くテルディアス。
少し遅れて、
『もう着く』
またテルディアスの耳元に声。
イライラジリジリしながら、テルディアスは声の主が到着するのを待った。
少しすると、上空からゴウ…と何かを燃やすような音が近づいてきた。
そして目の前に下りてきた赤い髪の女性と、女性に負ぶわれた黄色い髪の男。
赤い髪の女性の足元から、鉄腕○トムのようなロケット噴射のように伸びる炎。
それが収まると、ストンと地面に降り立った。
「はあ~、着いた」
「ご苦労さんっす」
ゆっくりとメリンダの背中から下りるサーガ。
テルディアス特製松葉杖を付き付き、ひょこりと地面に降り立つ。
メリンダがう~んと伸びをした。
「風ほど飛ぶのは慣れてないから」
と腕を回し、肩を回す。
慣れない事をしたので、ちょっとくたびれたらしい。
「いやいや、大したもんだよ」
サーガ素直に褒める。
風ほど早くはなかったが、街からここまで飛んでこれたのだ。火の魔法だけでこれだけの距離を飛ぶなど、普通の人にはできまい。
「おい…。早くキーナの居所を調べろ!」
ほんわか雰囲気をぶちこわし、テルディアス割って入ってきた。
「わーってるってば」
一応怪我人なのよ?とぶちぶち言いながらも、側に倒れていた倒木に腰掛け、早速館の内部を探り始める。
イライラしながらその様子を眺めるテルディアスに、メリンダが声を掛ける。
「よく動かないで待てたわね。テルディアス。あんたの事だから、皆殺しに行ってるんじゃないかって、サーガと心配してたのよ」
と冗談半分に言うと、
「…キーナが悲しむからな」
ボソリとテルディアスが呟いた。
(悲しまなかったら殺ってたと…?)
冷や汗タラリ。
キーナが良い子で良かったと、メリンダ胸を撫で下ろした。
「オッホホ~。いたぜ~。キーナだ」
「どこだ?!」
「どこに?!」
サーガの言葉にすぐに食いついてくる二人。
「慌てんなって。まだ無事だぜ」
サーガがニヤリと笑った。
地下から階段を上がって行く。
目の前には案内の青年。
手首には、シャワーから出てすぐに付けられた鉄枷。
(シャワー出たらこれだもんね。タクトと離されちゃったし。上に向かってるみたいだし…)
コツコツと狭い通路に固い音が良く響く。
階段を上がると細い廊下が目の前に延びていた。
案内の青年が脇にどくと、
「このままお進み下さい」
と廊下の先を指し示す。
「は、はあ…」
嫌な感じしかしないけれども、他に行く事もできず、廊下を進んでいく。
少し暗い廊下を進んでいくと、突き当たりがバルコニーのようになっている。
柵にもたれ、あのピンクの旦那様が立っていた。
こちらに振り向くと、扇で口元を隠しながら、
「待ってたわ。あたしの子羊ちゃん♡」
キーナの背筋が凍った。
すると、ピンクの旦那様が向こうに振り向き、両手を上げると、
「さあ、お集まりの皆様! 今宵も甘美な時を存分にお楽しみ下さいませ!!」
と声を張り上げた。
途端に、バルコニーの向こう側がざわめく。
どうやら外では無く、室内のホールのようになっているらしい。
廊下を出て下を覗き込むと、煌びやかな衣装を纏い、顔に仮面を付けた大勢の人々がひしめいていた。
幾人かの人々がキーナを見て、何か呟いているのが聞こえてくる。
「まあ、領主様のお連れの子、なんと可愛らしい」
「おお、次は私がお相手願いたいものだな」
その台詞を聞いて、キーナの背筋が北極圏に突入した。
「さあ、子羊ちゃん。いらっしゃい」
そう言って、ピンクのどうやら領主様が、キーナの肩に手をかけ、バルコニーの端の部屋へと連れて行く。
その肩に置かれた手がとても気持ち悪い。
(分かる! 見なくても鳥肌になっているのが分かる!)
肩から右腕にかけてがザワザワしている。絶対に鳥肌になっている。
かと言って振りほどけるわけもなく、大人しく連行されていく。
早く追い出されないかと願いながら。
キーナが去る後ろから声が聞こえてきて、思わず振り向いた。
「それでは、今日一番最初の子。今日来たばかりの正真正銘の初夜です!」
先程案内していた青年が、別の少年を横に立たせ、階下の人達によく見えるようにしている。
下からは、
「100だ!」
「200だ!」
「500!!」
などと競り合う声が聞こえてきた。
立たされた少年は、青い顔をして震えていた。
(震えて…)
苦々しく思いながらも、キーナはピンクの領主に連れられて行った。
一番端の部屋に入ると、しっかりと扉を閉められる。
「さあ、あたしの子羊ちゃん。まずは上着を脱ぎましょ」
と言って、キーナの胸元に手を伸ばしてくる。
キーナの全身に、南極ほどの悪寒が走り去る。
「フギャ――!!」
思わずおもっくそ力を込めて、肘鉄をお見舞いしてしまう。
ドゴン!
いい音を響かせ、ピンクの領主はズッデンと床に倒れた。
これ幸いと、キーナ部屋の隅まで超速で距離を取った。
「な、なんてこと…!」
鼻に当たったのか、鼻血をボタボタたらしながら、ピンクの領主が起き上がる。
部屋の隅でガタガタと震えるキーナ。
「とんだじゃじゃ馬だわ」
流れ出る鼻血を拭きつつ、ピンクの領主がキーナに近づき、その腕を取る。
「いらっしゃい」
「いやああ!」
目一杯暴れるキーナだったが、手に枷があり、一応領主様も男であり力があるので、抵抗虚しく引き摺られて行ってしまう。
ベッドの上に乗せられ、手かせに付けられた輪に、鎖がはめ込まれる。
真ん中の鍵穴に鍵を入れて捻ると、枷が真ん中から分かれた。
鎖の長さを調節し、キーナは両手を広げたまま、身動きが取れなくなってしまった。
「…う…ぬ」
さすがにこの状況では、一応腰元に忍ばせてきたドロボウ七つ道具も使えない。
「ホホホホホ。ふふ、これで動けないわよ」
そう言ってピンクの領主がキーナの上から覗き込んできた。
そのあまりの気持ち悪さに、
「う…、フンギ――!!」
と思わず左足を思い切り振り上げてしまう。
そして上手い具合にピンクの領主の頭にその足が当たった。
「ぶへっ」
無様な声を出し、ピンクの領主がキーナの上に倒れ込んできた。
攻撃の方向を考えれば当然だ。
キーナの顔の横に、ピンクの領主の顔が落ちてきた。
考えていなかった状況に、体が強ばるキーナ。ついでに鳥肌MAX。
「…っの…、このガキィ!!」
ピンクの領主がさすがにぶち切れたのか、手をついて身を起こす。
ところがその手をついた所が問題だった。
「ニャ―――!!」
キーナの胸だった。
「ムニュ?」
その柔らかさに、一瞬止まるピンクの領主。
確かめるように2、3度モミモミ。
キーナの顔が青ざめた。
ピンクの領主の顔も青ざめた。
「イ…」
「きゃああああああああ!!!!」
「やぁぁぁ…あ?」
キーナの悲鳴はピンクの領主の悲鳴で掻き消された。
超速でベッドの端まで逃げ、天蓋の柱に縋り付く。
「む…、胸…、胸が…、小さいけど胸がある!」
「小さいは余計じゃ!!」
キーナ思わず突っ込んでしまった。
「ま、ままま、まささか…、女の子ぉ!!」
「そーです」
失敬な奴だなと睨み返すキーナ。
ピンクの領主の顔は青ざめたまま。
「イヤアアアアア! なんで女なんかいるのよぉ! どっか行ってえええぇぇぇ!!」
とギャーギャー喚きだした。
「なら外せ」
キーナの突っ込みも聞こえていないらしい。
と、
「アラ?」
ふとピンクの領主気付いた。
「変ねぇ。じんましんが出ないわ?」
と自分の手を眺めている。
早く外してくれないかな?とキーナがピンクの領主を眺めていると、何やらピンクの領主の目つきが変わってきた。
チラリとキーナを見ると、
「あなた本当に女?」
と失礼な事を聞いてきた。
「今触ったでしょう!!」
触って悲鳴を上げてたのはどこのどいつだ。
ピンクの領主が再び自分の手を見る。
「女なのに…、じんましんが出ない…?」
と何やら呟いている。
チラリとキーナを見る。
頭から足の先まで。
「見た目は少年だし…」
ぺろりと舌舐めずりし始める。
「何か、新しい趣向を試したいとは思っていた所なのよね…」
ジリジリとキーナに近づいて来る。
再びキーナの体を氷河期の極寒と、鳥肌MAXの悪寒が走る。
「女なんて好きじゃないけど…」
だったら近づいて来るな―!と心で悪態を吐くが、両手は動かない身動き取れない。気持ち悪すぎて声も出てこない。
ピンクの領主がキーナの膝に手をかける。
その手の感触がまた気持ちが悪い。必死に力に抗い、膝を開かせまいとする。
「ちょっとくらい試してみても…、面白いわよね♡」
男の力にはやはり叶わない。
必死で抗うも、少しずつ膝は開かれ、ピンクの領主が体を入れてくる。
「イ…イヤアアアアア!」
あまりの悍ましさに、キーナは悲鳴を上げた。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
彼女にも愛する人がいた
まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。
「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」
そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。
餓死だと? この王宮で?
彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。
俺の背中を嫌な汗が流れた。
では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…?
そんな馬鹿な…。信じられなかった。
だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。
「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。
彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。
俺はその報告に愕然とした。
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
旦那の真実の愛の相手がやってきた。今まで邪魔をしてしまっていた妻はお祝いにリボンもおつけします
暖夢 由
恋愛
「キュリール様、私カダール様と心から愛し合っておりますの。
いつ子を身ごもってもおかしくはありません。いえ、お腹には既に育っているかもしれません。
子を身ごもってからでは遅いのです。
あんな素晴らしい男性、キュリール様が手放せないのも頷けますが、カダール様のことを想うならどうか潔く身を引いてカダール様の幸せを願ってあげてください」
伯爵家にいきなりやってきた女(ナリッタ)はそういった。
女は小説を読むかのように旦那とのなれそめから今までの話を話した。
妻であるキュリールは彼女の存在を今日まで知らなかった。
だから恥じた。
「こんなにもあの人のことを愛してくださる方がいるのにそれを阻んでいたなんて私はなんて野暮なのかしら。
本当に恥ずかしい…
私は潔く身を引くことにしますわ………」
そう言って女がサインした書類を神殿にもっていくことにする。
「私もあなたたちの真実の愛の前には敵いそうもないもの。
私は急ぎ神殿にこの書類を持っていくわ。
手続きが終わり次第、あの人にあなたの元へ向かうように伝えるわ。
そうだわ、私からお祝いとしていくつか宝石をプレゼントさせて頂きたいの。リボンもお付けしていいかしら。可愛らしいあなたととてもよく合うと思うの」
こうして一つの夫婦の姿が形を変えていく。
---------------------------------------------
※架空のお話です。
※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。
※現実世界とは異なりますのでご理解ください。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
異世界着ぐるみ転生
こまちゃも
ファンタジー
旧題:着ぐるみ転生
どこにでもいる、普通のOLだった。
会社と部屋を往復する毎日。趣味と言えば、十年以上続けているRPGオンラインゲーム。
ある日気が付くと、森の中だった。
誘拐?ちょっと待て、何この全身モフモフ!
自分の姿が、ゲームで使っていたアバター・・・二足歩行の巨大猫になっていた。
幸い、ゲームで培ったスキルや能力はそのまま。使っていたアイテムバッグも中身入り!
冒険者?そんな怖い事はしません!
目指せ、自給自足!
*小説家になろう様でも掲載中です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる