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記憶喪失編
バレた?!
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お姉ちゃんは玄関でもう一度振り返り、その顔を覗き込む。
「大丈夫?」
「大丈夫大丈夫。ちょっと寝付けなかっただけだから」
昨夜よく眠れなかったと言って、ヒドイ顔をしている。
「じゃ、行ってくるわね」
「いってらっしゃ~い」
まあ寝付けなかっただけならば、昼寝でもすれば大丈夫だろうと、お姉ちゃんはいつも通り出かけていった。
扉が閉まったと同時に、キーナはすばやく動き出す。
ささっと着替えて窓から出て、いつもの通りに外へ出た。
「あら? あん、いけない、あれを忘れたわ」
お姉ちゃんが持っていた鞄の中をゴソゴソ。
何か忘れ物をしたらしい。
「トマムに今日中にって思ってたのに」
そう呟いて、今来た道を戻る。
その視線の先、家の裏手から出てきた人影が、森の中へ消えていくのを見た。
(フロウ? あんなに急いでどこに行くのかしら? ダーディンがいるかもしれないから外出は控えなさいと言っておいたのに・・・)
その慌てっぷりに奇妙なものを感じ、お姉ちゃんはその後ろ姿を追いかけ始めた。
森の中から誰かが走ってくる。
(今日はいつもより早いな)
テルディアスが洞窟から顔を出す。
茂みを掻き分け出てきたキーナの顔は何故か必死さを感じた。
「どうした? 随分早いな?」
「早い? そう?」
確かに、なんだか早く会いたくて、いつもよりも早く走ってきたのではあったりもするが。
本人あまり気づいてない。
「あ!」
そこで気づく。
「慌てててご飯忘れてきた・・・」
そっちかい。
「や、別に構わないから・・・」
まあテル君その気になれば自分で食料を探すことはできますので。
キーナがやっぱりそれはまずいと家に帰りかける。
いや、大丈夫だと宥めるテルディアス。
キーナに気を取られていて気づかなかった。
ガサリ
木の陰から除く顔。
(! ダーディン!)
言い争う二人を見つめ、ご飯がどうのと騒いでいる会話を聞く。
(ダーディン・・・! フロウが危ない?!)
全てを(自分の中で)察したお姉ちゃんは、そのまま気づかれないようにその場を後にする。
そして、全速力で、村へ向かって走り出した。
そんなことに気づかない二人は、相変わらず言い合い続けている。
「だって、人間食べちゃうんでしょ?」
「食べないっつーに!」
いつもならば、キーナが聞いてもいないことをペラペラと喋っているのだが、何故か今日は、
じいいいいぃぃぃぃーーーー・・・
と飽くる事なくテルディアスの顔を眺めていた。
眺められているテルディアスは落ち着かない。
(痛い・・・、もんのすんごく視線が痛い!)
とひたすら耐えていた。
眺めている張本人キーナはそんなテルディアスに気づくこともなく、
(不思議だなぁ。この人の顔見てると安心する)
などと呆けていた。
だがしかし、時間は確実に過ぎるもので、
「でもそろそろ行かなきゃ!」
と、やっと眺めるのをやめて、スクッと立ち上がる。
「早いな・・・」
「今日はお姉ちゃん早いって言ってたから」
テルディアスも立ち上がり、見送ろうとする。
その手を掴んでブンブン振って、本人は何気ない挨拶のつもりなのだろうけど、勢いがありすぎる。
「また明日来るからね! 明日こそご飯忘れないから!」
「ああ・・・」
「絶対・・・」
そう言ったまま、固まる。
「?」
何か見ているのか?と不思議に思ったテルディアス。
しかし、キーナが見ているのは自分の顔。
手を放さないし動かない。
「・・・、帰らないのか?」
いい加減気まずくなったテルディアス。
「か、帰るよ!」
と言ってパッと手を放すも、
(どうしよう、帰りたくない)
なんとなく動けないキーナ。
またテルディアスの顔をじっと見つめて・・・、いや、見とれて?
(もっと話してたい・・・。ずっと――)
「帰らないのか?」
再びテルディアスに言われ、我に返るキーナ。
「か、帰るもん!」
そう言ってやっと足を踏み出した。
最期にもう一度テルディアスの顔を見ると、
「ぁ、明日また来るもん!」
と叫んで家に向かって走り出した。
後は振り返らずに、ただただ一直線に家を目指していく。
その後ろ姿を見送りながら、テルディアスは考え込む。
(いっそのこと、攫ってしまえたら・・・)
だがそんなことをしたら、またキーナがパニックになってしまうかもしれない。
キーナの泣き顔は見たくない。
それに、今のキーナは、自分のことを怖がってはいないが、ダーディンとして扱ってくる。
それも悲しかった。
(俺は、どうしたらいいんだ・・・)
果てのない疑問が、頭の中を回り続ける。
家の近くまで来ると、なにやら大勢の人の足音、ざわめきが聞こえてきた。
なんだろう?と思いながら走って行くと、お姉ちゃんを先頭に村の人々がいた。
「フロウ!」
「お姉ちゃん?!」
「よかった! 無事だったのね!」
とお姉ちゃんが思いっきり抱きついてくる。
「ぶへ」
胸の谷間に思いっきり頭を沈められた。
「お、お姉ちゃん? 何かあったの?」
胸の谷間から脱出したキーナがお姉ちゃんに問いかける。
「もう大丈夫よフロウ。お姉ちゃん全部分かってるから」
(全部って、ダーディンさんのこと、バレた?!)
お姉ちゃんの優しい微笑みに、背中を垂れる冷や汗。
「辛かったわね。ずっとダーディンに脅されて食料を運んでいたんでしょ?」
「い“」
お腹が空いたからちょっとつまみ食いしたのだという嘘もバレていたらしい。
「ち、違うよ! 違うよお姉ちゃん! あの人はダーディンじゃないの!」
「フロウ?」
「だから・・・!」
「大丈夫よフロウ。分かってるから」
と優しく頭を撫でてくれるが。
(分かってなーい!)
なんと説明したらいいのかも分からずまごついていると、
「安心して家に帰ってなさい」
と行ってしまいそうになる。
「お姉ちゃん! 待って! 違うの!」
必死に腕にすがりつき、なんとか止めようとする。
「あの人は人間を食べたりしないから!」
「フロウ、あなた、ダーディンに魅入られたのね?」
「え?」
「仕方ないわね」
そう言ってお姉ちゃんが手をかざすと、呪文を唱えた。
「地縛《ウルバル》」
木の根、ツタがが伸びてきて、キーナの手足を束縛する。
「あうっ!」
ギリリッと締め付けられ、痛みに声が漏れる。
「そこで待ってなさい」
そう言うとお姉ちゃんは、村の人達を引き連れて、森の中へと進んで行ってしまった。
「待ってお姉ちゃん! お姉ちゃん!」
キーナがいくら呼んでも、誰も振り向いてはくれなかった。
「ローザ」
「何? トマム」
「あの子、フロウって呼んでたけど・・・。どういうことだ?」
「フロウはフロウよ。それがどうかしたの?」
「だがあの子は――」
「トマム! あの子がフロウよ。分かった?」
「ローザ・・・」
「う、く・・・」
どんなにもがいても木の根もツタもびくともしない。
「どうしよう・・・」
(ダーディンさんが危ない!)
知らせにいかなければ。
(僕のせいだ。僕がちゃんと注意してなかったから・・・)
今朝は慌てていたから、余計に注意がおろそかになっていた。
今日に限ってお姉ちゃんも、どこかでUターンして家に戻ってきたのだろう。
不運が重なった。
でももっと自分が注意していれば、ダーディンさんの居場所までは知られなかったはずなのに。
(早く報せに行かなきゃ・・・、でも・・・)
キーナはもがく。
だがやはりびくともしない。
(これは、どうやって取ったらいいの?!)
ぼんやり空を見上げながら、テルディアスは考え込んでいた。
ほぼ満月になる昼の月が見えている。
(あいつの記憶が戻らなければ、また、一人で旅を続けるか・・・。だが、考えようによってはその方が安全だな。危険で辛い旅に付き合わせるより、安全な場所にいることができるほうが・・・。キーナにとってもいいことかもしれない・・・)
今回のようにダーストの群れに襲われることもない。
野宿してお腹を空かせながら寝ることもない。
雨風に悩まされず、温かい食事と布団がある環境。
キーナにとってはその方がいいのかもしれない。
そんなことをボンヤリと考えていた。
ボンヤリし過ぎていたのだろう。
その気配に気づくのが遅れた。
後ろから迫り来る魔力の気配。
咄嗟に身を躱すが、右の腹が抉られた。
「が・・・」
キーナの脳裏に何かよく分からない感覚が奔る。
分かったのはダーディンさんが危機に陥っているということ。
「だ、ダメ――――――――――!!!」
ズバッ!
木の根やツタがあっという間にズタズタになって解けた。
「あ、取れた?」
何故取れたのかよく分からないが、
「ま、いいや! 急がなきゃ!」
細かいことは気にせず(いや、そこは気にしようよ)、キーナは全速力で走り出した。
「大丈夫?」
「大丈夫大丈夫。ちょっと寝付けなかっただけだから」
昨夜よく眠れなかったと言って、ヒドイ顔をしている。
「じゃ、行ってくるわね」
「いってらっしゃ~い」
まあ寝付けなかっただけならば、昼寝でもすれば大丈夫だろうと、お姉ちゃんはいつも通り出かけていった。
扉が閉まったと同時に、キーナはすばやく動き出す。
ささっと着替えて窓から出て、いつもの通りに外へ出た。
「あら? あん、いけない、あれを忘れたわ」
お姉ちゃんが持っていた鞄の中をゴソゴソ。
何か忘れ物をしたらしい。
「トマムに今日中にって思ってたのに」
そう呟いて、今来た道を戻る。
その視線の先、家の裏手から出てきた人影が、森の中へ消えていくのを見た。
(フロウ? あんなに急いでどこに行くのかしら? ダーディンがいるかもしれないから外出は控えなさいと言っておいたのに・・・)
その慌てっぷりに奇妙なものを感じ、お姉ちゃんはその後ろ姿を追いかけ始めた。
森の中から誰かが走ってくる。
(今日はいつもより早いな)
テルディアスが洞窟から顔を出す。
茂みを掻き分け出てきたキーナの顔は何故か必死さを感じた。
「どうした? 随分早いな?」
「早い? そう?」
確かに、なんだか早く会いたくて、いつもよりも早く走ってきたのではあったりもするが。
本人あまり気づいてない。
「あ!」
そこで気づく。
「慌てててご飯忘れてきた・・・」
そっちかい。
「や、別に構わないから・・・」
まあテル君その気になれば自分で食料を探すことはできますので。
キーナがやっぱりそれはまずいと家に帰りかける。
いや、大丈夫だと宥めるテルディアス。
キーナに気を取られていて気づかなかった。
ガサリ
木の陰から除く顔。
(! ダーディン!)
言い争う二人を見つめ、ご飯がどうのと騒いでいる会話を聞く。
(ダーディン・・・! フロウが危ない?!)
全てを(自分の中で)察したお姉ちゃんは、そのまま気づかれないようにその場を後にする。
そして、全速力で、村へ向かって走り出した。
そんなことに気づかない二人は、相変わらず言い合い続けている。
「だって、人間食べちゃうんでしょ?」
「食べないっつーに!」
いつもならば、キーナが聞いてもいないことをペラペラと喋っているのだが、何故か今日は、
じいいいいぃぃぃぃーーーー・・・
と飽くる事なくテルディアスの顔を眺めていた。
眺められているテルディアスは落ち着かない。
(痛い・・・、もんのすんごく視線が痛い!)
とひたすら耐えていた。
眺めている張本人キーナはそんなテルディアスに気づくこともなく、
(不思議だなぁ。この人の顔見てると安心する)
などと呆けていた。
だがしかし、時間は確実に過ぎるもので、
「でもそろそろ行かなきゃ!」
と、やっと眺めるのをやめて、スクッと立ち上がる。
「早いな・・・」
「今日はお姉ちゃん早いって言ってたから」
テルディアスも立ち上がり、見送ろうとする。
その手を掴んでブンブン振って、本人は何気ない挨拶のつもりなのだろうけど、勢いがありすぎる。
「また明日来るからね! 明日こそご飯忘れないから!」
「ああ・・・」
「絶対・・・」
そう言ったまま、固まる。
「?」
何か見ているのか?と不思議に思ったテルディアス。
しかし、キーナが見ているのは自分の顔。
手を放さないし動かない。
「・・・、帰らないのか?」
いい加減気まずくなったテルディアス。
「か、帰るよ!」
と言ってパッと手を放すも、
(どうしよう、帰りたくない)
なんとなく動けないキーナ。
またテルディアスの顔をじっと見つめて・・・、いや、見とれて?
(もっと話してたい・・・。ずっと――)
「帰らないのか?」
再びテルディアスに言われ、我に返るキーナ。
「か、帰るもん!」
そう言ってやっと足を踏み出した。
最期にもう一度テルディアスの顔を見ると、
「ぁ、明日また来るもん!」
と叫んで家に向かって走り出した。
後は振り返らずに、ただただ一直線に家を目指していく。
その後ろ姿を見送りながら、テルディアスは考え込む。
(いっそのこと、攫ってしまえたら・・・)
だがそんなことをしたら、またキーナがパニックになってしまうかもしれない。
キーナの泣き顔は見たくない。
それに、今のキーナは、自分のことを怖がってはいないが、ダーディンとして扱ってくる。
それも悲しかった。
(俺は、どうしたらいいんだ・・・)
果てのない疑問が、頭の中を回り続ける。
家の近くまで来ると、なにやら大勢の人の足音、ざわめきが聞こえてきた。
なんだろう?と思いながら走って行くと、お姉ちゃんを先頭に村の人々がいた。
「フロウ!」
「お姉ちゃん?!」
「よかった! 無事だったのね!」
とお姉ちゃんが思いっきり抱きついてくる。
「ぶへ」
胸の谷間に思いっきり頭を沈められた。
「お、お姉ちゃん? 何かあったの?」
胸の谷間から脱出したキーナがお姉ちゃんに問いかける。
「もう大丈夫よフロウ。お姉ちゃん全部分かってるから」
(全部って、ダーディンさんのこと、バレた?!)
お姉ちゃんの優しい微笑みに、背中を垂れる冷や汗。
「辛かったわね。ずっとダーディンに脅されて食料を運んでいたんでしょ?」
「い“」
お腹が空いたからちょっとつまみ食いしたのだという嘘もバレていたらしい。
「ち、違うよ! 違うよお姉ちゃん! あの人はダーディンじゃないの!」
「フロウ?」
「だから・・・!」
「大丈夫よフロウ。分かってるから」
と優しく頭を撫でてくれるが。
(分かってなーい!)
なんと説明したらいいのかも分からずまごついていると、
「安心して家に帰ってなさい」
と行ってしまいそうになる。
「お姉ちゃん! 待って! 違うの!」
必死に腕にすがりつき、なんとか止めようとする。
「あの人は人間を食べたりしないから!」
「フロウ、あなた、ダーディンに魅入られたのね?」
「え?」
「仕方ないわね」
そう言ってお姉ちゃんが手をかざすと、呪文を唱えた。
「地縛《ウルバル》」
木の根、ツタがが伸びてきて、キーナの手足を束縛する。
「あうっ!」
ギリリッと締め付けられ、痛みに声が漏れる。
「そこで待ってなさい」
そう言うとお姉ちゃんは、村の人達を引き連れて、森の中へと進んで行ってしまった。
「待ってお姉ちゃん! お姉ちゃん!」
キーナがいくら呼んでも、誰も振り向いてはくれなかった。
「ローザ」
「何? トマム」
「あの子、フロウって呼んでたけど・・・。どういうことだ?」
「フロウはフロウよ。それがどうかしたの?」
「だがあの子は――」
「トマム! あの子がフロウよ。分かった?」
「ローザ・・・」
「う、く・・・」
どんなにもがいても木の根もツタもびくともしない。
「どうしよう・・・」
(ダーディンさんが危ない!)
知らせにいかなければ。
(僕のせいだ。僕がちゃんと注意してなかったから・・・)
今朝は慌てていたから、余計に注意がおろそかになっていた。
今日に限ってお姉ちゃんも、どこかでUターンして家に戻ってきたのだろう。
不運が重なった。
でももっと自分が注意していれば、ダーディンさんの居場所までは知られなかったはずなのに。
(早く報せに行かなきゃ・・・、でも・・・)
キーナはもがく。
だがやはりびくともしない。
(これは、どうやって取ったらいいの?!)
ぼんやり空を見上げながら、テルディアスは考え込んでいた。
ほぼ満月になる昼の月が見えている。
(あいつの記憶が戻らなければ、また、一人で旅を続けるか・・・。だが、考えようによってはその方が安全だな。危険で辛い旅に付き合わせるより、安全な場所にいることができるほうが・・・。キーナにとってもいいことかもしれない・・・)
今回のようにダーストの群れに襲われることもない。
野宿してお腹を空かせながら寝ることもない。
雨風に悩まされず、温かい食事と布団がある環境。
キーナにとってはその方がいいのかもしれない。
そんなことをボンヤリと考えていた。
ボンヤリし過ぎていたのだろう。
その気配に気づくのが遅れた。
後ろから迫り来る魔力の気配。
咄嗟に身を躱すが、右の腹が抉られた。
「が・・・」
キーナの脳裏に何かよく分からない感覚が奔る。
分かったのはダーディンさんが危機に陥っているということ。
「だ、ダメ――――――――――!!!」
ズバッ!
木の根やツタがあっという間にズタズタになって解けた。
「あ、取れた?」
何故取れたのかよく分からないが、
「ま、いいや! 急がなきゃ!」
細かいことは気にせず(いや、そこは気にしようよ)、キーナは全速力で走り出した。
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