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黒猫と共に迷い込む
イスタの独り立ち
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そんな事など露程も知らず、八重子達一行はのんびりと依頼を片付けて行った。
時に野営をする時もあり、その時はコハクから多少教えてもらったと、クレナイが調理を担当したのだった。まあ、コハク程ではないが、八重子の様にダークマターになることもなく、食べられる食事を提供できるほどの腕前。
「むう、料理とは奥が深いものじゃのう…」
クレナイが自分が作った物を口に含みながら呟いていた。
「いやいや、食べられる物を作れるという時点で、クレナイ殿は凄いと思うのだの」
「そう言われると少し嬉しい気もするのじゃが…」
ちらり、と八重子を見ながらも、すぐにそっぽを向くクロとクレナイ。
「何か言いたいことがあるのかな? お二人さん」
無言で食事を続けたのだった。
1日1依頼の調子で片付けて、余った時間は食べ歩きや久しぶりのラーメンなどで費やし、10日で依頼を片付けた。
その後もオンユさんに懇願されたけど、断固拒否。
ちょっと小声で、クレナイ達のランクをSに出来ないかと相談を持ちかけたら、とても深く頷いて、
「そういえばそうだね。Aランクで止まっていたんだっけ。十分にSランクの実力もあるし、今手続きをしてしまおう」
早速とばかりに皆の冒険者証を預かって飛び出して行くオンユさん。いや、忘れてたんかい。
そういえば、来る度書類の束を持って来ているだけだったな。あれ、Sランク普通に混じってたんじゃ…?
もちろんだけど、私のは持って行かなかったよ!
高速で処理してくれたようで、ものの数分で帰って来た。
「さあ、これが新しい冒険者証だよ」
と言って1人1人に手渡す。ついでに持って来たその書類の束、まだ諦めてないんかい。
「い、いやこれは、私の事務処理の仕事だよ…」
と苦笑い。本当かな?
「どうしても、の時は、懇願してもいいよね?」
ガタイのいい男の人がそんな顔しても、可愛くないですよ。
「まあ、危険が高い物ならば考えてやるのじゃ。しかし、妾達以外にも出来そうなものはそちらへ回せ。でなければ、人材が育たぬぞ」
「それは、分かっておりますが…」
冒険者達も色々選り好みするようで、ランクが高くなると余計に選り好みが激しくなるのだそう。まあ仕方ない気もする。そこはギルドマスターの腕の見せ所では?
話を終えて、ギルドを出る。
と、ばったりと、思いもかけない人物に出会った。
「イスタ?」
「あ、こんにちは」
ぺこりと頭を下げた、そのはち切れんばかりの胸の前に抱える白いモフモフ。腕に抱えているというよりは、胸に乗せているという表現が似合いそう。じゃなくて。
「あれ? 1人?」
イスタの他には誰もいない。
「はい。実は、追い出されてしまいました」
「追い出された?!」
少し困った風に笑うイスタ。何があった。
折角なので、ちょっとお話を聞くことに。出たばかりのギルドへ入る。なかなか従魔連れOKのお店はないんだよ。
奥の食堂のテーブルに着いて、イスタを囲む。
「で? 何があったの?」
「実を言いますと…」
あれからイスタは、私に言われた通りの事を実践した。角ウサギに優しくして、可愛い可愛いと褒め称えるなど、今までの待遇を180度改善したらば、視線を合わせなかった角ウサギが、段々と視線を合わせるようになってくれたと。怖々ブラッシングもしてあげると、驚いたことになかなか気に入ってくれたようで、その日から毎晩せがんでくるようになったのだと。
ただ、そうやって近づけば近づくほど、パーティーメンバーの顔色は悪くなっていった。
最初のうちは、あんな奴の言うことなんか聞いてだの、そんなこと無駄だの、汚いだの言っていたが、それでもめげずに続けるイスタに、とうとうメンバーは近づかなくなっていった。
メンバーとの距離が開くほどに、角ウサギとの距離は近づいて行ったが、まだまだ戦闘ではあまり素直に言うことを聞いてくれない。
そんなこともあり、つい先日、アルダールがイスタに告げた。
「このパーティーから出て行ってくれ」
と。
大ショック、となるはずだったのが、何故かイスタはほっとしていた。
角ウサギを可愛がる様になってから、彼らの行動に疑問を持つことが増えていったからだ。
角ウサギが頑張っても礼も言わない、普通に足蹴にする、罵声を浴びせる。これでも食っとけと残飯を放る。その度に、イスタの心に、もやっとしたものが湧き上がった。
この子が何をした? 命令通りに頑張ってくれているのに。何もしていないのに。まあ、アルダールには顔面蹴りを食らわせてはいたけど。
心を通わせるほどに、角ウサギを手荒に扱う彼らに嫌悪感を意識するようになってしまっていた。これは自分がおかしいのかと悩んだりもした。
だから、出て行ってくれと言われて、イスタはほっとした。これで、この子をいじめる者達と離れる事が出来る。
「だって、あの人達、分からないんですよ…。この、この子の、この子のこの、モッフル感が!!」
「なるほど! そんな奴等、離れて正解だよ!」
モフモフモフモフ。
触らせてくれるというので、遠慮なく触らせて頂いてます。ついでにイスタもクロを触っています。お互い嫌そうな顔、それもそそるぜ!
しばらくお互いモフってから、お互いのモッフルを返す。
「「やっぱりうちの子が一番」」
と声が揃ってしまったのは、やはり飼い主だからか。
「それと、名前、というか、呼び名というか、ツノリン、って呼んじゃってます」
「可愛い! いいと思う!」
名前がついたか。
「パーティーから離れたら、この子、私の腕に飛び乗ってくるようになってくれて…」
嬉しそうにイスタが話す。
「分かるわ! うちのクロも甘えん坊さんだから、暇があると人に乗ってくるの!」
「まあ、そうなんですね! 今は私が食べる物も欲しがっちゃって…」
「あるある。でも、人の食事と動物の食事は色々塩分過多になるみたいだから、気をつけないとね」
「塩分過多?」
イスタに説明。
「なるほど。確かに、体が小さいんですものね。私も気をつけなくちゃ」
とツノリンを見ると、ひくひく鼻を動かしている。ぶふう! 可愛い!
「分かってるんだけどね…。ちょっぴりあげちゃうのよね…」
「ですよね! だって、おねだりしてくる顔って、最っ高に可愛くないですか?!」
しばし飼い主談義で盛り上がった。
飼い主あるある。うちの子が可愛すぎて同胞と盛り上がる。しかし、やはり一番可愛いのはうちの子と思っている。
「で、イスタはこれからどうするの?」
「はい、しばらくこの子と2人、簡単な依頼をこなしながら暮らしていこうかなって。お金もほとんど向こうに取られちゃったので、今馬小屋で寝てるんです」
ぺろりと下を出す。
「な、な、な、なんだって…」
うら若き乙女を馬小屋なんかに泊まらせるのかあの前髪すっぱり男!
「よし。では、私がイスタに投資をしましょう」
「とうし?」
「うん。活躍したら返してね。これはその元手にして」
と、持っていたお財布代わりの革袋をヂャリン、とテーブルに置いた。
目が点になっているイスタ。
「投資って言うのは、将来活躍するんじゃないかって人にお金をあげて、その人が活躍してお金を稼げるようになったら、そのお金を返して貰うっていう奴なのよ。これを先行投資と言います」
多分。
「はい?」
イスタ、目が点から帰って来ていない。こら、正気に戻りなさい。
「だから、このお金はイスタにあげる。私からの先行投資。稼げるようになって、倍にして返してくれれば良いから」
「倍?」
戻ってこーい。
「キュキュ」
ツノリンが小さく鳴いて、イスタの頬に手を触れた。
「は! 可愛い手が…」
立派なモフリン愛好家ですな。
「戻って来た? イスタ。じゃあこれ、持って行っていいよ」
と、その手に財布を押しつける。
「え? いや、待って下さい…。これ、いくら入ってるんですか…」
「多分、金貨40枚くらいかな?」
「き…よ…」
再びフリーズ。
「足りなければもっと出す?」
「いいえ! これで結構です! いりません!」
イスタが激しく首を横に振った。髪が乱れて凄いことになってまっせ。
なにせクレナイが食べるからね。いつも少し多めに持ち歩いてるんだよね。お金はクレナイ達のおかげで、減るどころか増える一方だし…。
「で、でも、私、こんなに、返す当てなんて…」
「投資は失敗することもあるから、いいのよ。だめだったら返さなくても。気負わなくていいから」
「で、でも、こんな大金…」
「だって、先のパーティーからふんだくった金貨150枚もあるし」
「・・・・・・」
思い出したか。
「ああ、あのお金を投資の資金に使おうか?」
「いいいえええ!! これで結構ですう!!!」
そんなに激しく首を振ったら、むち打ちになっちゃうよ?
「じゃ、これでしばらくは頑張れるよね? 何かあったら言ってね。同じ従魔師なんだし」
「は、はい…。ありがとうございます…」
何か、ショックが抜けきらない顔してますが。
「でさでさ、イスタ」
「は、はひ、なんでしょう?」
「これ以上、従魔は、というか、角ウサギは、仲間にするの?」
聞いてみる。
「…。その考えはありませんでした…」
「この子、男の子みたいだしさ、もし女の子を迎えてあげられたら…」
「ま、まさか…、子供…」
想像して、鼻血を吹きそうになる。
「い、いや…、反則過ぎる可愛さ…」
「や、ヤエコさん…、そんな反則的な…」
と言いながら、悶えてまっせ、イスタちゃん。
従魔に関しては保留中だそうです。やっぱり、グリフォンのような攻撃力を持った頭の良い従魔が欲しいとのこと。まあね~、ハヤテがいれば勝手に狩りに行って獲物持ってきてくれるし、守ってくれるしなんと有り難い。
まあこればかりは運や縁だろうと、イスタは笑った。まあそうだね。
私が皆に会ったのも、そんなものだし
色々お礼を言われつつ、そのまま別れて、私達はお金を下ろしてからギルドを出た。イスタは手続きがあるのだとかで、カウンターへ行った。仕事が終わった所だったのかな?
そのまま行こうとしたら、知らない人が目の前に立った。
「あ、あの、私にも投資しませんか?!」
とギラギラの瞳で見つめてくる。
やべ、話聞かれてたようだよ。そういえば、なんだか周りにいる人達が、ちらちらこちらを見ているような…。まさか、ここにいる全員来るんじゃなかろうね?!
そのまさかだった。
時に野営をする時もあり、その時はコハクから多少教えてもらったと、クレナイが調理を担当したのだった。まあ、コハク程ではないが、八重子の様にダークマターになることもなく、食べられる食事を提供できるほどの腕前。
「むう、料理とは奥が深いものじゃのう…」
クレナイが自分が作った物を口に含みながら呟いていた。
「いやいや、食べられる物を作れるという時点で、クレナイ殿は凄いと思うのだの」
「そう言われると少し嬉しい気もするのじゃが…」
ちらり、と八重子を見ながらも、すぐにそっぽを向くクロとクレナイ。
「何か言いたいことがあるのかな? お二人さん」
無言で食事を続けたのだった。
1日1依頼の調子で片付けて、余った時間は食べ歩きや久しぶりのラーメンなどで費やし、10日で依頼を片付けた。
その後もオンユさんに懇願されたけど、断固拒否。
ちょっと小声で、クレナイ達のランクをSに出来ないかと相談を持ちかけたら、とても深く頷いて、
「そういえばそうだね。Aランクで止まっていたんだっけ。十分にSランクの実力もあるし、今手続きをしてしまおう」
早速とばかりに皆の冒険者証を預かって飛び出して行くオンユさん。いや、忘れてたんかい。
そういえば、来る度書類の束を持って来ているだけだったな。あれ、Sランク普通に混じってたんじゃ…?
もちろんだけど、私のは持って行かなかったよ!
高速で処理してくれたようで、ものの数分で帰って来た。
「さあ、これが新しい冒険者証だよ」
と言って1人1人に手渡す。ついでに持って来たその書類の束、まだ諦めてないんかい。
「い、いやこれは、私の事務処理の仕事だよ…」
と苦笑い。本当かな?
「どうしても、の時は、懇願してもいいよね?」
ガタイのいい男の人がそんな顔しても、可愛くないですよ。
「まあ、危険が高い物ならば考えてやるのじゃ。しかし、妾達以外にも出来そうなものはそちらへ回せ。でなければ、人材が育たぬぞ」
「それは、分かっておりますが…」
冒険者達も色々選り好みするようで、ランクが高くなると余計に選り好みが激しくなるのだそう。まあ仕方ない気もする。そこはギルドマスターの腕の見せ所では?
話を終えて、ギルドを出る。
と、ばったりと、思いもかけない人物に出会った。
「イスタ?」
「あ、こんにちは」
ぺこりと頭を下げた、そのはち切れんばかりの胸の前に抱える白いモフモフ。腕に抱えているというよりは、胸に乗せているという表現が似合いそう。じゃなくて。
「あれ? 1人?」
イスタの他には誰もいない。
「はい。実は、追い出されてしまいました」
「追い出された?!」
少し困った風に笑うイスタ。何があった。
折角なので、ちょっとお話を聞くことに。出たばかりのギルドへ入る。なかなか従魔連れOKのお店はないんだよ。
奥の食堂のテーブルに着いて、イスタを囲む。
「で? 何があったの?」
「実を言いますと…」
あれからイスタは、私に言われた通りの事を実践した。角ウサギに優しくして、可愛い可愛いと褒め称えるなど、今までの待遇を180度改善したらば、視線を合わせなかった角ウサギが、段々と視線を合わせるようになってくれたと。怖々ブラッシングもしてあげると、驚いたことになかなか気に入ってくれたようで、その日から毎晩せがんでくるようになったのだと。
ただ、そうやって近づけば近づくほど、パーティーメンバーの顔色は悪くなっていった。
最初のうちは、あんな奴の言うことなんか聞いてだの、そんなこと無駄だの、汚いだの言っていたが、それでもめげずに続けるイスタに、とうとうメンバーは近づかなくなっていった。
メンバーとの距離が開くほどに、角ウサギとの距離は近づいて行ったが、まだまだ戦闘ではあまり素直に言うことを聞いてくれない。
そんなこともあり、つい先日、アルダールがイスタに告げた。
「このパーティーから出て行ってくれ」
と。
大ショック、となるはずだったのが、何故かイスタはほっとしていた。
角ウサギを可愛がる様になってから、彼らの行動に疑問を持つことが増えていったからだ。
角ウサギが頑張っても礼も言わない、普通に足蹴にする、罵声を浴びせる。これでも食っとけと残飯を放る。その度に、イスタの心に、もやっとしたものが湧き上がった。
この子が何をした? 命令通りに頑張ってくれているのに。何もしていないのに。まあ、アルダールには顔面蹴りを食らわせてはいたけど。
心を通わせるほどに、角ウサギを手荒に扱う彼らに嫌悪感を意識するようになってしまっていた。これは自分がおかしいのかと悩んだりもした。
だから、出て行ってくれと言われて、イスタはほっとした。これで、この子をいじめる者達と離れる事が出来る。
「だって、あの人達、分からないんですよ…。この、この子の、この子のこの、モッフル感が!!」
「なるほど! そんな奴等、離れて正解だよ!」
モフモフモフモフ。
触らせてくれるというので、遠慮なく触らせて頂いてます。ついでにイスタもクロを触っています。お互い嫌そうな顔、それもそそるぜ!
しばらくお互いモフってから、お互いのモッフルを返す。
「「やっぱりうちの子が一番」」
と声が揃ってしまったのは、やはり飼い主だからか。
「それと、名前、というか、呼び名というか、ツノリン、って呼んじゃってます」
「可愛い! いいと思う!」
名前がついたか。
「パーティーから離れたら、この子、私の腕に飛び乗ってくるようになってくれて…」
嬉しそうにイスタが話す。
「分かるわ! うちのクロも甘えん坊さんだから、暇があると人に乗ってくるの!」
「まあ、そうなんですね! 今は私が食べる物も欲しがっちゃって…」
「あるある。でも、人の食事と動物の食事は色々塩分過多になるみたいだから、気をつけないとね」
「塩分過多?」
イスタに説明。
「なるほど。確かに、体が小さいんですものね。私も気をつけなくちゃ」
とツノリンを見ると、ひくひく鼻を動かしている。ぶふう! 可愛い!
「分かってるんだけどね…。ちょっぴりあげちゃうのよね…」
「ですよね! だって、おねだりしてくる顔って、最っ高に可愛くないですか?!」
しばし飼い主談義で盛り上がった。
飼い主あるある。うちの子が可愛すぎて同胞と盛り上がる。しかし、やはり一番可愛いのはうちの子と思っている。
「で、イスタはこれからどうするの?」
「はい、しばらくこの子と2人、簡単な依頼をこなしながら暮らしていこうかなって。お金もほとんど向こうに取られちゃったので、今馬小屋で寝てるんです」
ぺろりと下を出す。
「な、な、な、なんだって…」
うら若き乙女を馬小屋なんかに泊まらせるのかあの前髪すっぱり男!
「よし。では、私がイスタに投資をしましょう」
「とうし?」
「うん。活躍したら返してね。これはその元手にして」
と、持っていたお財布代わりの革袋をヂャリン、とテーブルに置いた。
目が点になっているイスタ。
「投資って言うのは、将来活躍するんじゃないかって人にお金をあげて、その人が活躍してお金を稼げるようになったら、そのお金を返して貰うっていう奴なのよ。これを先行投資と言います」
多分。
「はい?」
イスタ、目が点から帰って来ていない。こら、正気に戻りなさい。
「だから、このお金はイスタにあげる。私からの先行投資。稼げるようになって、倍にして返してくれれば良いから」
「倍?」
戻ってこーい。
「キュキュ」
ツノリンが小さく鳴いて、イスタの頬に手を触れた。
「は! 可愛い手が…」
立派なモフリン愛好家ですな。
「戻って来た? イスタ。じゃあこれ、持って行っていいよ」
と、その手に財布を押しつける。
「え? いや、待って下さい…。これ、いくら入ってるんですか…」
「多分、金貨40枚くらいかな?」
「き…よ…」
再びフリーズ。
「足りなければもっと出す?」
「いいえ! これで結構です! いりません!」
イスタが激しく首を横に振った。髪が乱れて凄いことになってまっせ。
なにせクレナイが食べるからね。いつも少し多めに持ち歩いてるんだよね。お金はクレナイ達のおかげで、減るどころか増える一方だし…。
「で、でも、私、こんなに、返す当てなんて…」
「投資は失敗することもあるから、いいのよ。だめだったら返さなくても。気負わなくていいから」
「で、でも、こんな大金…」
「だって、先のパーティーからふんだくった金貨150枚もあるし」
「・・・・・・」
思い出したか。
「ああ、あのお金を投資の資金に使おうか?」
「いいいえええ!! これで結構ですう!!!」
そんなに激しく首を振ったら、むち打ちになっちゃうよ?
「じゃ、これでしばらくは頑張れるよね? 何かあったら言ってね。同じ従魔師なんだし」
「は、はい…。ありがとうございます…」
何か、ショックが抜けきらない顔してますが。
「でさでさ、イスタ」
「は、はひ、なんでしょう?」
「これ以上、従魔は、というか、角ウサギは、仲間にするの?」
聞いてみる。
「…。その考えはありませんでした…」
「この子、男の子みたいだしさ、もし女の子を迎えてあげられたら…」
「ま、まさか…、子供…」
想像して、鼻血を吹きそうになる。
「い、いや…、反則過ぎる可愛さ…」
「や、ヤエコさん…、そんな反則的な…」
と言いながら、悶えてまっせ、イスタちゃん。
従魔に関しては保留中だそうです。やっぱり、グリフォンのような攻撃力を持った頭の良い従魔が欲しいとのこと。まあね~、ハヤテがいれば勝手に狩りに行って獲物持ってきてくれるし、守ってくれるしなんと有り難い。
まあこればかりは運や縁だろうと、イスタは笑った。まあそうだね。
私が皆に会ったのも、そんなものだし
色々お礼を言われつつ、そのまま別れて、私達はお金を下ろしてからギルドを出た。イスタは手続きがあるのだとかで、カウンターへ行った。仕事が終わった所だったのかな?
そのまま行こうとしたら、知らない人が目の前に立った。
「あ、あの、私にも投資しませんか?!」
とギラギラの瞳で見つめてくる。
やべ、話聞かれてたようだよ。そういえば、なんだか周りにいる人達が、ちらちらこちらを見ているような…。まさか、ここにいる全員来るんじゃなかろうね?!
そのまさかだった。
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