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黒猫と共に迷い込む
トレントを狩りに行こう
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この依頼を受けます、とウルグさんに見せたら、目を見開き、隣のギルドマスターを凝視した。
ギルドマスターは予測していたのか、ウルグさんの顔を見つめて、軽く頷いた。
若干顔をひきつらせながら、ウルグさんは「そうか」と言って、ではいつ行くかと話始めた。
だがしかし、そこはうちの子。
「これからすぐに」
と答え、ウルグさんから、冒険者の心得などを聞かされることに。
途中でギルドマスターが止めてくれたけど。
場所はこの街から半日程の村。これから行くと中途半端な時間になってしまう。
さすがに夜に森を彷徨くのは私が勘弁なので、出発は明日朝と話が決まる。
それまでに必要な物を揃えておくようにと、ウルグさんに注意された。
必要な物って、携帯食料とかかしら?
まだ若干ストックはあるけど、買っておこうかしら?
でも最悪、ハヤテが狩って来てくれるし、リンちゃんが食べられる野草なんか教えてくれるから、困らないくらいの調味料持ってればなんとかなるんだよね。
え?料理の腕?そこは聞かないお約束でしょ。
ギルドを出て、何がいるかと皆と話すが、皆何があるかと首を捻るばかり。
うん、今日行ってしまっても良かったかもしれない。
でもウルグさんと連れだって行かないと、皆のクラスアップが出来なくなるかもだから仕方ない。
どうせ暇ならと王都観光することにした。
いや、クレナイがいるから、王都食べ歩きかな?
次の日の朝早く、ギルドの前でウルグさんと待ち合わせ。
欠伸をかみ殺しながら歩く私に、クロの呆れた視線が。とりあえずモフっておく。
「おはよう」
「おはようございます」
昨日とほぼ同じ格好をしたウルグさんが、こちらに気づいて手を上げた。
背中の大剣は重くないのだろうかと疑問に思うが、鍛えた筋肉を見て納得。私が心配するようなことじゃない。
手に荷物が入っていると見られる袋を持っている。
うーん、身軽だな。
必要最低限の荷物しか入れてないんだろうな。この王都に拠点を構えているのかもしれない。
私もお金は溢れる程にあるし、拠点を考えてみようかしら?
シロガネが背負う荷物をチラリと見て、そんなことを考える。
宿に置いておいてもいいんだけどね。まだどこを拠点にするか決めてないし、気が向いたらまたどこかに出かけるかもしれないし。それにシロガネが何も言ってこないし、しばらくこのままでいいか。
そう結論づける。
八重子は忘れている。
従魔が主に文句など言えないことを。
だがしかし、八重子に使われる事に喜びを感じているから、問題はなかったりする。
特にシロガネは、元が馬だけに、これだけの荷物もそれほど重くも感じておらず、しかも八重子の荷物を持つ役割を任されている事に誇りを感じている。
結局何も問題ないということだね。
ウルグさんと連れだって、寄り合い場所の乗り場まで行く。
さすがにシロガネに乗って行く訳には行かなかった。
シロガネが男を乗せるということに頑として首を縦に振らず、そしてこっそり教えてくれたが、私とクレナイで重量ギリギリなのだと。
クレナイが元が元だけに、人の姿であってもかなり重量が在るとのこと。
クレナイには言わないでくれと頼まれたので、きちんと約束は守っているが、クレナイ、実は気づいてる?
まあ、その話は置いといて。
寄り合い馬車に詰められて、馬車がガタガタと動き出す。
考えてみれば、寄り合い馬車に乗るの初めてだわ。
ラノベなんかで言ってた通り、結構ガタガタしてお尻にくるものだね。
マントを外して、畳んでお尻の下に敷いてみる。うん、ちょっとはいいかな?
こっそり皆に大丈夫かと聞くと、コハク以外は全員大丈夫と言った。魔獣だからか?
「コハク、このマント敷く?」
「それは、ご主人様のです」
うーん、コハク、まだ固いな。
「よし、コハク、おいで」
「は?」
クロが空気を読んで、私の肩に移動した。なんて賢い子。
「さ、おいで」
膝を叩いておいでと誘うが、何故か顔を赤くして動こうとしない。
「ハヤテもー」
ハヤテが膝に乗ろうとするが、ここは遠慮してもらう。
「ごめんねハヤテ。今はお姉ちゃんに譲ってあげて?」
そんなに悲しい顔しないで。
「ハヤテ。妾の膝で良ければ乗るのじゃ」
「あるじがいい…」
ハヤテ、クレナイが落ち込んでるから、乗ってあげてくれ。
「あ、あの、私はいいですから、ハヤテを…」
「コハク、命令して欲しい?」
コハクがうっとした顔をする。
命令すれば逆らえないことを、私は知っている。ふふふのふ。
「お願い、コハク。私はコハクを乗せたいの」
最後の手段、泣き落とし。
泣いてはいないが、悲しそうな顔をしてコハクを見つめる。
コハクがあわあわしていたが、最後は諦めたのか、揺れる馬車に気を付けながら、私の元にやって来た。
その小さな体を抱き上げて、膝に乗せる。
10歳にしては小さな、痩せたその体を抱きしめて、もっとこの子に美味しい物をたらふく食べさせなければと、心に誓うのだった。
馬車に揺られ、朝早かったこともあり、うつらうつらとしている間に、目的地に到着した。
「よく寝られるものだな」
そんなことをウルグさんに言われた。いや~、どこでも寝られるのが私の特技です。
コハクの頭に涎が付いてないことをちょっと確認してしまった。ついてないよ。もちろんだよ。
小さな村だった。100人もいないだろうその村。村長さんの所に訪ねて行って、依頼内容を詳しく聞く。ついでにお昼をご馳走してくれた。良い人だ。クレナイ、足りないなんて呟かない。
その村の東の森に、トレントが現われたそうだ。木こりっぽい人が連れられてきて、話を聞いた。
森に慣れていたその木こりさんは、いつもと違う森の様子に警戒しながら進んでいたら、突然木が動き出したとのこと。
多少の怪我はしたものの、運良く逃げ出すことが出来たらしい。良かった良かった。
ただ、このままでは森に入ることが出来ない。しかも、トレントがいつこの村を襲うかも分からない。なのでギルドに依頼を出したのだそう。
しかし、見ての通りの小さな村。報酬はそれほど出せず、しかもトレントは魔術師のいるパーティーでなければ受けることは難しい。なのでなかなか冒険者が来てくれなかったと。
トレントはその素材はいい建材として重宝されるのだが、如何せん倒し方が倒し方なので、なかなか素材を剥ぎ取れず、冒険者の中でも不人気な魔獣なのだそうだ。ウルグさん談。
まあ、私達は今回は点数稼ぎに来ているのであって、報酬は二の次になってるからいいんだけどね。
大体の場所を聞き、さっそく行ってみることに。ハヤテとクレナイの顔が輝いてます。
森の中はまあ、それほど暗くもなく、下草が生えて道が見づらいくらいで、それほど歩きにくくもなかった。道というより獣道だけど。
シロガネを先頭に、私、コハク、ハヤテ、クレナイ、ウルグさんと、一列になって歩いて行く。目的の場所はもうすぐだ。
「ふむ。主殿、あの者、トレントを見たのは1体と言っておったよのう?」
「そうだね。って、その言い方だと…」
「うむ。複数あるぞ」
「まぢかい…」
顔が引き攣る。
「まて、どういうことだ? 複数とはなんのことだ?」
ウルグさんが聞いてくる。
「この依頼って、誰か調査したとかありますか?」
「いや、そんな話は聞いてないな」
村人の証言しかないのか。ちゃんと調査しろっての。
「で、どうなの? クレナイ」
「すでに囲まれておる」
「にゃんじゃとう?!」
ちょっと待て!囲まれてるって、どーすんのよー!
ギルドマスターは予測していたのか、ウルグさんの顔を見つめて、軽く頷いた。
若干顔をひきつらせながら、ウルグさんは「そうか」と言って、ではいつ行くかと話始めた。
だがしかし、そこはうちの子。
「これからすぐに」
と答え、ウルグさんから、冒険者の心得などを聞かされることに。
途中でギルドマスターが止めてくれたけど。
場所はこの街から半日程の村。これから行くと中途半端な時間になってしまう。
さすがに夜に森を彷徨くのは私が勘弁なので、出発は明日朝と話が決まる。
それまでに必要な物を揃えておくようにと、ウルグさんに注意された。
必要な物って、携帯食料とかかしら?
まだ若干ストックはあるけど、買っておこうかしら?
でも最悪、ハヤテが狩って来てくれるし、リンちゃんが食べられる野草なんか教えてくれるから、困らないくらいの調味料持ってればなんとかなるんだよね。
え?料理の腕?そこは聞かないお約束でしょ。
ギルドを出て、何がいるかと皆と話すが、皆何があるかと首を捻るばかり。
うん、今日行ってしまっても良かったかもしれない。
でもウルグさんと連れだって行かないと、皆のクラスアップが出来なくなるかもだから仕方ない。
どうせ暇ならと王都観光することにした。
いや、クレナイがいるから、王都食べ歩きかな?
次の日の朝早く、ギルドの前でウルグさんと待ち合わせ。
欠伸をかみ殺しながら歩く私に、クロの呆れた視線が。とりあえずモフっておく。
「おはよう」
「おはようございます」
昨日とほぼ同じ格好をしたウルグさんが、こちらに気づいて手を上げた。
背中の大剣は重くないのだろうかと疑問に思うが、鍛えた筋肉を見て納得。私が心配するようなことじゃない。
手に荷物が入っていると見られる袋を持っている。
うーん、身軽だな。
必要最低限の荷物しか入れてないんだろうな。この王都に拠点を構えているのかもしれない。
私もお金は溢れる程にあるし、拠点を考えてみようかしら?
シロガネが背負う荷物をチラリと見て、そんなことを考える。
宿に置いておいてもいいんだけどね。まだどこを拠点にするか決めてないし、気が向いたらまたどこかに出かけるかもしれないし。それにシロガネが何も言ってこないし、しばらくこのままでいいか。
そう結論づける。
八重子は忘れている。
従魔が主に文句など言えないことを。
だがしかし、八重子に使われる事に喜びを感じているから、問題はなかったりする。
特にシロガネは、元が馬だけに、これだけの荷物もそれほど重くも感じておらず、しかも八重子の荷物を持つ役割を任されている事に誇りを感じている。
結局何も問題ないということだね。
ウルグさんと連れだって、寄り合い場所の乗り場まで行く。
さすがにシロガネに乗って行く訳には行かなかった。
シロガネが男を乗せるということに頑として首を縦に振らず、そしてこっそり教えてくれたが、私とクレナイで重量ギリギリなのだと。
クレナイが元が元だけに、人の姿であってもかなり重量が在るとのこと。
クレナイには言わないでくれと頼まれたので、きちんと約束は守っているが、クレナイ、実は気づいてる?
まあ、その話は置いといて。
寄り合い馬車に詰められて、馬車がガタガタと動き出す。
考えてみれば、寄り合い馬車に乗るの初めてだわ。
ラノベなんかで言ってた通り、結構ガタガタしてお尻にくるものだね。
マントを外して、畳んでお尻の下に敷いてみる。うん、ちょっとはいいかな?
こっそり皆に大丈夫かと聞くと、コハク以外は全員大丈夫と言った。魔獣だからか?
「コハク、このマント敷く?」
「それは、ご主人様のです」
うーん、コハク、まだ固いな。
「よし、コハク、おいで」
「は?」
クロが空気を読んで、私の肩に移動した。なんて賢い子。
「さ、おいで」
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「ハヤテもー」
ハヤテが膝に乗ろうとするが、ここは遠慮してもらう。
「ごめんねハヤテ。今はお姉ちゃんに譲ってあげて?」
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「ハヤテ。妾の膝で良ければ乗るのじゃ」
「あるじがいい…」
ハヤテ、クレナイが落ち込んでるから、乗ってあげてくれ。
「あ、あの、私はいいですから、ハヤテを…」
「コハク、命令して欲しい?」
コハクがうっとした顔をする。
命令すれば逆らえないことを、私は知っている。ふふふのふ。
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泣いてはいないが、悲しそうな顔をしてコハクを見つめる。
コハクがあわあわしていたが、最後は諦めたのか、揺れる馬車に気を付けながら、私の元にやって来た。
その小さな体を抱き上げて、膝に乗せる。
10歳にしては小さな、痩せたその体を抱きしめて、もっとこの子に美味しい物をたらふく食べさせなければと、心に誓うのだった。
馬車に揺られ、朝早かったこともあり、うつらうつらとしている間に、目的地に到着した。
「よく寝られるものだな」
そんなことをウルグさんに言われた。いや~、どこでも寝られるのが私の特技です。
コハクの頭に涎が付いてないことをちょっと確認してしまった。ついてないよ。もちろんだよ。
小さな村だった。100人もいないだろうその村。村長さんの所に訪ねて行って、依頼内容を詳しく聞く。ついでにお昼をご馳走してくれた。良い人だ。クレナイ、足りないなんて呟かない。
その村の東の森に、トレントが現われたそうだ。木こりっぽい人が連れられてきて、話を聞いた。
森に慣れていたその木こりさんは、いつもと違う森の様子に警戒しながら進んでいたら、突然木が動き出したとのこと。
多少の怪我はしたものの、運良く逃げ出すことが出来たらしい。良かった良かった。
ただ、このままでは森に入ることが出来ない。しかも、トレントがいつこの村を襲うかも分からない。なのでギルドに依頼を出したのだそう。
しかし、見ての通りの小さな村。報酬はそれほど出せず、しかもトレントは魔術師のいるパーティーでなければ受けることは難しい。なのでなかなか冒険者が来てくれなかったと。
トレントはその素材はいい建材として重宝されるのだが、如何せん倒し方が倒し方なので、なかなか素材を剥ぎ取れず、冒険者の中でも不人気な魔獣なのだそうだ。ウルグさん談。
まあ、私達は今回は点数稼ぎに来ているのであって、報酬は二の次になってるからいいんだけどね。
大体の場所を聞き、さっそく行ってみることに。ハヤテとクレナイの顔が輝いてます。
森の中はまあ、それほど暗くもなく、下草が生えて道が見づらいくらいで、それほど歩きにくくもなかった。道というより獣道だけど。
シロガネを先頭に、私、コハク、ハヤテ、クレナイ、ウルグさんと、一列になって歩いて行く。目的の場所はもうすぐだ。
「ふむ。主殿、あの者、トレントを見たのは1体と言っておったよのう?」
「そうだね。って、その言い方だと…」
「うむ。複数あるぞ」
「まぢかい…」
顔が引き攣る。
「まて、どういうことだ? 複数とはなんのことだ?」
ウルグさんが聞いてくる。
「この依頼って、誰か調査したとかありますか?」
「いや、そんな話は聞いてないな」
村人の証言しかないのか。ちゃんと調査しろっての。
「で、どうなの? クレナイ」
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「にゃんじゃとう?!」
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