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黒猫と共に迷い込む
ダンジョン脱出!
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「ハヤテ! リン!」
「グア!」
リリン!
クレナイがハヤテとリンのいる階まで降りてきて、2人を見つけた。
さすがに2人の気配を感じ取っていたので、この階は炎の海にはなっていない。
クレナイを見つけたハヤテとリンも、嬉しそうにクレナイに駆け寄っていった。
「クアクア!」
リンリン!
「よしよし、よく頑張ったのう2人共」
ハヤテの柔らかい頭をナデナデ、リンちゃんの小さな頭もナデナデ。
(おお、主殿はいつもこのような感触を味わっておるのか…)
2人の可愛さに、顔を綻ばせるクレナイ。
「さあ、上に参ろうか。出口ならもう見つけてあるでな」
後ろから忍び寄ってきた影に、振り向きもせず火の玉をぶつけてやる。
木でできた人形のような魔物が、炎に焼かれて崩れ落ちた。
「さあ、行くぞ」
ハヤテの頭にリンちゃんが乗っかり、クレナイと仲良く歩き始めた。
(そういえば、シロガネ殿は…)
ふと疑問に思ったが、シロガネならば1人でも大丈夫だろうと、気にせずに足を進めた。
「一番に、一番に出るのだーーーーー!!」
シロガネはまだ走り回っていた。
1つ上の階に上ると、火の海になっていた。
「おっと、忘れておった」
クレナイが袖を一振りすると、燃えたぎっていた炎があっという間に消えた。
「さ、進むぞ」
何事もなかったかのように進み始める。
ハヤテとリンはまだ人生経験が少なすぎた。
「クア!」
リン!
消えた炎に疑問も持たず、2人はクレナイの後を付いて行った。
さらに上の階に上がると、他の部屋に比べると小さな白い部屋に出た。
部屋の中央の床に、魔法陣が描かれている。
「ほれ、あれに乗るのじゃ」
クレナイが指さし、3人で一緒にその魔法陣に乗ると、魔法陣が淡く光り始めた。
光りが収まり、目を開けると、
「遅かったの」
「皆~、無事~?」
先程より少し広い黒い部屋で、クロと八重子が隅に座って待っていた。
「クア!」
リン!
ハヤテとリンが嬉しそうに八重子の元へと駆け寄っていく。
八重子も立ち上がり、2人を腕を広げて迎えた。
その腕の中へ飛び込むハヤテ。リンも飛び上がり、八重子の頬に頬ずりする。
「お帰り。大変だったね~」
「クアグア」
リリン
2人をナデナデしながら、顔を綻ばせる。
クレナイも静々と近づいて来た。
「主殿、ご無事でなりよりじゃ」
「うん。クレナイも無事で良かった」
2人を撫でていた手を止め、クレナイの手を取る。
「大丈夫だろうとは思ってたけど、やっぱり姿を見るまで心配だったからね。良かった」
八重子のほっとした顔に、クレナイの顔が少し赤く染まる。
「わ、妾は、ドラゴンじゃぞ。心配されるほどではないわ」
ついと視線を外す。
「うん。クレナイなら大丈夫だろうとは思ってたよ。2人をありがとうね、クレナイ」
八重子の言葉に、クレナイの顔がますます赤くなる。
「主殿は、不思議なお方じゃな」
「ん? 何か言った?」
「なんでもないわ」
赤い顔のクレナイを不思議に思いつつも、もっと撫でてと擦り寄ってくる2人の頭を撫で始める。
しばらくモフモフタイムである。
クロも立ち上がり、クレナイに近寄って来た。
「クレナイ殿。無事で何より。そして、2人をありがとうなのだ」
「其方もか…。ま、まあ、ハヤテとリンは、妾にとっても可愛い子のようなものじゃからな」
「ふ、そうであるの」
人の姿のままのクロが、八重子と戯れるハヤテとリンを優しげに見つめる。
クレナイもその姿を眺めながら、不思議な温かさを胸の内に感じていた。
「さて、あとは、あの駄馬だけだが…」
クロが魔法陣を振り返った。
あの白い羽の生えた馬は、いまだに現われそうになかった。
「出口! 出口―――――!!」
「おい馬。聞け」
「出口! 出口―――――!!」
「聞けというに!」
クロが現われても足を止めないシロガネ。
なんだか、必死すぎて周りが見えなくなっているような…。
「馬!」
「は! 主?!」
シロガネが足を止めたところで、クロが八重子の姿から、元の男の姿に戻る。
「またしても! 騙したな!」
「やかましい! お主が止まらぬからであろう!」
睨み合う2人。それどころではないのだが。
「八重子から伝言だの! 皆もう出て来たから、お主もさっさと出てこいと!」
「な、何?! 皆、もう出たと…!」
よろめくシロガネ。
「そうだの。後はお主だけだの。不本意ではあるが、我が輩が迎えに来てやったのだの」
クロが嫌そうに腕を組む。
クロはいずれ自力で出てくるだろうからほっとけと言ったのだが、八重子はさすがに可哀相だからクロに迎えに行ってくれと頼み込んだのだった。
あの場で迎えに行けるのはクロしかいなかったのだし、仕方ないのではあるが。
「ほれ、こっちに上に上る階段がある。付いてこい」
そう言ってクロが歩き始めようとするも、
「そうか、貴様、主の名を騙って、誑かそうという魂胆であろう!」
「何故そうなるのだ! こちとら嫌々案内してやろうというのに!」
「嫌ならば案内など結構! 自力で行けるわ」
「行けとらんから我が輩が来たのであろうが! 我が輩とてお主なんぞに手を貸したくはないが、八重子の頼みだから仕方なく来てやっているのだ!」
ダンジョンの真ん中でギャンギャン騒ぐ2人に向かって、魔物達が近寄って来ていた。
「んかー」
あまりに遅かった為、八重子はハヤテを枕に、リンちゃんを頭に乗せ、眠っていた。
側にクレナイが座り、八重子の周りの温度を適度な温度に調整していた。
「遅かったのう」
ようやっと現われたペガサスと黒い人影に、クレナイが声をかけた。
「此奴が言うことを素直に聞かなくての」
「貴様がおかしな行動を取るから悪い」
「おかしな行動をしておったのはお主であろうが」
「ふん。貴様なんぞいなくても、我は自力で出られたわ」
「それが何時間後になったか分かるか?」
「もっと早く出られたわ」
「迷っておったくせに」
「迷ってなどおらん!」
睨み合う2人。
「まあまあ、出られたから良いではないか。あまりうるさくすると主殿が起きてしまうのじゃ」
クレナイにそう言われ、黙る2人。
まあ、そう簡単に起きるような神経の持ち主でもないだろうと、心の中で思うクロ。
だがしかし、頭の上で吐く真似でもしたら、きっと飛び起きるのであろうけれど。
猫飼いあるある。猫の吐く音で信じられない程素早く飛び起きる。何故なら、布団には吐かれたくないから。
しかしそんなことはしません。
「もう夜明け頃か。このまま静かに寝かしておいてやろうかの」
「うむ。今日は疲れたであろうからのう。そっとしておいてやりたいのじゃ」
クレナイの、八重子を見つめる瞳に、微妙な変化を感じ取ったクロ。しかし、そんなことは口にしません。
「我も少し寝るかな。さすがに走り回って疲れたである」
と、八重子の近くに寄って座り込むシロガネ。
ちょっとイラッとしたが、八重子の側に寄るだけで、触れようとはしないのでよしとする。
さすがに馬のままで側で寝たら、押しつぶしてしまうことも考えているのだろう。そこまでバカではないはず。
クレナイも目を閉じ、体の力を抜いた。
クロも八重子の側に座り、眠るその姿を一頻り眺めた後、軽く目を閉じたのだった。
「グア!」
リリン!
クレナイがハヤテとリンのいる階まで降りてきて、2人を見つけた。
さすがに2人の気配を感じ取っていたので、この階は炎の海にはなっていない。
クレナイを見つけたハヤテとリンも、嬉しそうにクレナイに駆け寄っていった。
「クアクア!」
リンリン!
「よしよし、よく頑張ったのう2人共」
ハヤテの柔らかい頭をナデナデ、リンちゃんの小さな頭もナデナデ。
(おお、主殿はいつもこのような感触を味わっておるのか…)
2人の可愛さに、顔を綻ばせるクレナイ。
「さあ、上に参ろうか。出口ならもう見つけてあるでな」
後ろから忍び寄ってきた影に、振り向きもせず火の玉をぶつけてやる。
木でできた人形のような魔物が、炎に焼かれて崩れ落ちた。
「さあ、行くぞ」
ハヤテの頭にリンちゃんが乗っかり、クレナイと仲良く歩き始めた。
(そういえば、シロガネ殿は…)
ふと疑問に思ったが、シロガネならば1人でも大丈夫だろうと、気にせずに足を進めた。
「一番に、一番に出るのだーーーーー!!」
シロガネはまだ走り回っていた。
1つ上の階に上ると、火の海になっていた。
「おっと、忘れておった」
クレナイが袖を一振りすると、燃えたぎっていた炎があっという間に消えた。
「さ、進むぞ」
何事もなかったかのように進み始める。
ハヤテとリンはまだ人生経験が少なすぎた。
「クア!」
リン!
消えた炎に疑問も持たず、2人はクレナイの後を付いて行った。
さらに上の階に上がると、他の部屋に比べると小さな白い部屋に出た。
部屋の中央の床に、魔法陣が描かれている。
「ほれ、あれに乗るのじゃ」
クレナイが指さし、3人で一緒にその魔法陣に乗ると、魔法陣が淡く光り始めた。
光りが収まり、目を開けると、
「遅かったの」
「皆~、無事~?」
先程より少し広い黒い部屋で、クロと八重子が隅に座って待っていた。
「クア!」
リン!
ハヤテとリンが嬉しそうに八重子の元へと駆け寄っていく。
八重子も立ち上がり、2人を腕を広げて迎えた。
その腕の中へ飛び込むハヤテ。リンも飛び上がり、八重子の頬に頬ずりする。
「お帰り。大変だったね~」
「クアグア」
リリン
2人をナデナデしながら、顔を綻ばせる。
クレナイも静々と近づいて来た。
「主殿、ご無事でなりよりじゃ」
「うん。クレナイも無事で良かった」
2人を撫でていた手を止め、クレナイの手を取る。
「大丈夫だろうとは思ってたけど、やっぱり姿を見るまで心配だったからね。良かった」
八重子のほっとした顔に、クレナイの顔が少し赤く染まる。
「わ、妾は、ドラゴンじゃぞ。心配されるほどではないわ」
ついと視線を外す。
「うん。クレナイなら大丈夫だろうとは思ってたよ。2人をありがとうね、クレナイ」
八重子の言葉に、クレナイの顔がますます赤くなる。
「主殿は、不思議なお方じゃな」
「ん? 何か言った?」
「なんでもないわ」
赤い顔のクレナイを不思議に思いつつも、もっと撫でてと擦り寄ってくる2人の頭を撫で始める。
しばらくモフモフタイムである。
クロも立ち上がり、クレナイに近寄って来た。
「クレナイ殿。無事で何より。そして、2人をありがとうなのだ」
「其方もか…。ま、まあ、ハヤテとリンは、妾にとっても可愛い子のようなものじゃからな」
「ふ、そうであるの」
人の姿のままのクロが、八重子と戯れるハヤテとリンを優しげに見つめる。
クレナイもその姿を眺めながら、不思議な温かさを胸の内に感じていた。
「さて、あとは、あの駄馬だけだが…」
クロが魔法陣を振り返った。
あの白い羽の生えた馬は、いまだに現われそうになかった。
「出口! 出口―――――!!」
「おい馬。聞け」
「出口! 出口―――――!!」
「聞けというに!」
クロが現われても足を止めないシロガネ。
なんだか、必死すぎて周りが見えなくなっているような…。
「馬!」
「は! 主?!」
シロガネが足を止めたところで、クロが八重子の姿から、元の男の姿に戻る。
「またしても! 騙したな!」
「やかましい! お主が止まらぬからであろう!」
睨み合う2人。それどころではないのだが。
「八重子から伝言だの! 皆もう出て来たから、お主もさっさと出てこいと!」
「な、何?! 皆、もう出たと…!」
よろめくシロガネ。
「そうだの。後はお主だけだの。不本意ではあるが、我が輩が迎えに来てやったのだの」
クロが嫌そうに腕を組む。
クロはいずれ自力で出てくるだろうからほっとけと言ったのだが、八重子はさすがに可哀相だからクロに迎えに行ってくれと頼み込んだのだった。
あの場で迎えに行けるのはクロしかいなかったのだし、仕方ないのではあるが。
「ほれ、こっちに上に上る階段がある。付いてこい」
そう言ってクロが歩き始めようとするも、
「そうか、貴様、主の名を騙って、誑かそうという魂胆であろう!」
「何故そうなるのだ! こちとら嫌々案内してやろうというのに!」
「嫌ならば案内など結構! 自力で行けるわ」
「行けとらんから我が輩が来たのであろうが! 我が輩とてお主なんぞに手を貸したくはないが、八重子の頼みだから仕方なく来てやっているのだ!」
ダンジョンの真ん中でギャンギャン騒ぐ2人に向かって、魔物達が近寄って来ていた。
「んかー」
あまりに遅かった為、八重子はハヤテを枕に、リンちゃんを頭に乗せ、眠っていた。
側にクレナイが座り、八重子の周りの温度を適度な温度に調整していた。
「遅かったのう」
ようやっと現われたペガサスと黒い人影に、クレナイが声をかけた。
「此奴が言うことを素直に聞かなくての」
「貴様がおかしな行動を取るから悪い」
「おかしな行動をしておったのはお主であろうが」
「ふん。貴様なんぞいなくても、我は自力で出られたわ」
「それが何時間後になったか分かるか?」
「もっと早く出られたわ」
「迷っておったくせに」
「迷ってなどおらん!」
睨み合う2人。
「まあまあ、出られたから良いではないか。あまりうるさくすると主殿が起きてしまうのじゃ」
クレナイにそう言われ、黙る2人。
まあ、そう簡単に起きるような神経の持ち主でもないだろうと、心の中で思うクロ。
だがしかし、頭の上で吐く真似でもしたら、きっと飛び起きるのであろうけれど。
猫飼いあるある。猫の吐く音で信じられない程素早く飛び起きる。何故なら、布団には吐かれたくないから。
しかしそんなことはしません。
「もう夜明け頃か。このまま静かに寝かしておいてやろうかの」
「うむ。今日は疲れたであろうからのう。そっとしておいてやりたいのじゃ」
クレナイの、八重子を見つめる瞳に、微妙な変化を感じ取ったクロ。しかし、そんなことは口にしません。
「我も少し寝るかな。さすがに走り回って疲れたである」
と、八重子の近くに寄って座り込むシロガネ。
ちょっとイラッとしたが、八重子の側に寄るだけで、触れようとはしないのでよしとする。
さすがに馬のままで側で寝たら、押しつぶしてしまうことも考えているのだろう。そこまでバカではないはず。
クレナイも目を閉じ、体の力を抜いた。
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