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黒猫と共に迷い込む
刺されそうになる
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「そうじゃ! エリクサーという霊薬があると聞いたことがあるぞ! それを飲めば体の欠損もあっという間に治るとか」
「へえ、あるんだ。どこにあるの?」
「・・・・・・」
しらんのかい。
「レシピとかは?」
「・・・・・・」
しらんのかい。
「主、リンならば、体の欠損もなんとか治せるのではないかと思うが」
シロガネ、余計なこと言わない。
「なんと! 妖精族はそんなことまで出来るのか?!」
ほら、クレナイが反応した。
「いやいや、我が輩は治してもらうつもりはないの」
「クロ殿。せっかくなのじゃ。男《お》の子の証を取り戻してはどうじゃ?」
「いやいやいやいや、我が輩は遠慮するのだの」
「クロ殿、クロ殿」
「いやいやいやいや」
「はいはい、クレナイそこまで。クロはこのままで行きます」
「そんな、主殿…」
「主…」
「いや、もしあっちの世界に戻った時、大変だから」
説明的にも、お財布的にも。
取ったのに戻ってたら、家族が驚く。
「私もクロの子供は見てみたいけど、ゴメンね」
クロがほっとした顔してる。
「あっちの世界? もしかして、主殿は迷い人なのか?」
「うん。そのうち話そうとは思ってたけど。詳しくは宿でね」
「うむ。分かったのじゃ」
クロのことは諦めてくれたようだ。
「ということで、シロガネ殿。今宵にでも♡」
「あ、主! 助けて!」
クレナイに腕を掴まれて、シロガネが藻掻いている。
「頼んだ、シロガネ」
「主ぃぃぃぃぃ!!」
「主殿公認じゃの」
クレナイの世話は頼んだぞ、シロガネ。君の犠牲は無駄にしない。2人?共見た目は大人なのだし、ゆっくり話し合ってくれ。
長い廊下を抜けて、コロシアムの外に出る。
さて、これからどうしようかと考えたその時。
「この女―――!! 死ねえええぇぇぇ!!!」
あのウェヌルとか言う男が物陰から飛び出して来た。
手に刃物を持っているのが見える。
「・・・!」
咄嗟にクロを庇うように背中を向けた。何も考えずに、体が動いた。
目を瞑り、来るだろう衝撃に体を強ばらせる。
痛いのか、熱いのか、はたまた最初は何も感じないのか。
そんなことを考えていたが、一向に刃物が突き刺さる感触は来ない。
恐る恐る目を開けると、私と男の間に、ハヤテとクレナイが立ち、後ろでシロガネが防御魔法を張っていた。
あらま、皆に助けられたよ。
ほっと息を吐く。いくらリンちゃんに治して貰えると言っても、痛いのは嫌だもの。
「なんじゃ此奴は。おかしな奴じゃの」
「クエ」
クレナイとハヤテが男の方に近づく。
2人?の間から男の方を覗くと、何故かこちらに駆けて来るような姿勢のまま、固まった男。
目はボンヤリとしていて、微動だにしない。
キャリン
手から刃物が落ちた。
「おかしな奴とは思っていたが、ここまでおかしな奴じゃったかの?」
クレナイが近づいても、男は何の反応も示さなかった。
「ヤエコさん! 無事ですか!」
あのターレンさんと、屈強そうな男の人が走って来た。
「ちょっと油断した隙にウェヌルが逃げてしまって。誠に申し訳ない」
私が不正をしたと散々騒いでいたので、逃げても私を追っているのではと、探してくれていたらしい。ちょっと遅かったけど、ありがとうございます。
「皆のおかげで、何もありませんでしたよ」
「それは良かった。本当にヤエコさんは従魔に慕われているのですな」
これが普通だと思ってましたが。
改めてウェヌルが連れて行かれたが、何故か最初の頃のように騒ぐこともなく、大人しく連れられて行った。
ターレンさん達も、聞き分けが良くなったウェヌルに首を傾げていた。
「あ~、びっくりした」
「何事もなくて何よりじゃ、主殿」
「ご無事で良かったである」
「クア」
ハヤテの頭をナデナデして、癒やされる。
あ、クロが体を押しつけて来る。うふふん、ヤキモチかしら?
クロもナデナデしてやると、嬉しそうに目を細めた。可愛い。
「で、主、これから何か用事はあるのかえ?」
「う~ん、特にないからどうしようか」
「ならば! 街を見て回っても良いじゃろうか!」
「観光か。そう言えばコロシアムしか見てないね」
「ならば! 行こう! 観光じゃ! 今まで閉じ込められていたからのう。久々に羽を伸ばすのじゃ!」
クレナイが嬉しそうだったので、そのまま夕方まで観光した。と言っても、他に特に見るものはなかったから、お店なんかを覗いたりして歩き回っていただけだけど。
うん、従魔関係の道具とかいろいろ売っていて面白かったわ。
首輪とかも小さなものから大きなものまで用意されていて。
犬猫のように首輪でオシャレを楽しむこともあるのかしら?
宿に帰ると、シロガネがいつもよりも早く厩舎へと入って行ってしまった。
クレナイが余程苦手なのかしら?というか言い寄られるのが嫌なのだろうな。
クレナイはと言えば、
「人間の食べ物で大丈夫なの?」
「人の食べ物だからこそ美味いのじゃ」
一緒に夕飯を食べた。
ドラゴンだからいっぱい食べるのかと思ったけど、3人前ほどでお腹いっぱいになったらしい。小食?
「この姿ならば、そこまで食べずとも腹一杯になれるのじゃ」
3人前は結構な量だとは思うけど。
まあドラゴンの姿だと、オーク3頭は軽くいけるとのこと。
人の姿の方がいいですね。
部屋も2人部屋に変えてもらう。
女同士だからタライ風呂も遠慮なく。
いや~、ボンキュッボンは、同じ女性でもつい見入ってしまうよ。
「久々の水浴び、いや、お湯浴びなのじゃ!」
クレナイも楽しそう。クロのシャワーにもはしゃぎまくってました。
寝る支度もすんで、クレナイのこれまでの半生の話も聞くことに。
「妾は卵の時に、どうやら巣から盗み出されたらしいのじゃ。その盗人がどうなったかは知らぬが、落ちていた卵を商人が拾い、妾の最初の主に売り渡したそうじゃ。最初の主は魔獣について研究していた者での。妾が産まれた時は大層驚いていたが、妾をそれは大切に育ててくれたぞ。まあ、研究体ということもあったのじゃろうが」
最初の主が死に、次にその息子が主になった。
その息子も同じように魔獣を研究する道へと進んだため、クレナイのことはそこそこ大切にしてくれたらしい。
時折奇妙な実験などに付き合わされたとか。
そして、その2番目の主が死んだ後、その息子が3番目の主になったらしい。
「彼奴は小さい頃から我が儘というか、楽して儲けることしか考えないような狡賢い奴での。彼奴が主になった時は悲嘆に暮れたわ」
クレナイの主となると、早速この街へ来て、従魔バトルに興じたらしい。
「ドラゴンを連れているということで注目は浴びたが、本人がどうしようもない奴じゃったからの。微妙に周りの者達からも煙たがられておったぞ」
ある意味王座に着いてはいたが、ドラゴンが強すぎて対戦相手も見つからず。対戦しなければお金も入ってこず。
「稼いだ先から湯水のごとくにお金を使ってしまうような奴じゃ」
いつもお財布は空っ風に吹かれていたらしい。アホだ。
「戦う時も注文がうるさくてのう。登場時はいつも一声吠えるようにと命令されておったのじゃ」
あの、クロが「デモンストレーションだの」と呟いたあれか。
「あいつは半殺しだの、時間をかけろだの、派手な技を使えだの。もうとにかくうるさいのじゃ! 妾は戦いなんぞしたくもないのに!」
無理矢理戦わされていたようです。
「出番がなければあそこに閉じこもりっぱなしじゃし、餌もまともなものをくれないし。まったく、最低の主じゃったわ!」
つつけばもっと愚痴が出て来そう。溜まってたんだね。
「それに、妾も年頃になって来て、そろそろ番も見つけたいなと思い始めていたのに。自由もなし、恋愛対象となる輩もなし。人生灰色じゃった」
竜生かな?
「そこに現われたのが主殿とクロ殿じゃ! 妾はなんと運が良いのじゃろう!」
クロとの恋愛は禁止します。
「まあ、クロ殿は諦めたとして、シロガネ殿もいるしの」
「クレナイ、同じドラゴンで番を見つけた方が良いんじゃないの?」
「それは、できれば同じ種族の者の方がいいのじゃが。出会えんしの」
「そうだね」
そっからですね。
「でも、例え、何かの間違いで、シロガネと交尾出来たとしても、子供は出来ないと思うよ」
「人型で交尾しても無理かのう」
「無理だと思います」
まず、捕食者と被捕食者。爬虫類と哺乳類。遺伝子的に遠すぎると思う。
「いつか、時間があったらドラゴンの、里があるのか分からないけど、会いに行けたら行ってみようよ。お婿さん探しに」
「誠か?! 主殿!! 妾は主殿に出会えて幸せじゃ!」
飛びついて来るのはいいけど、その巨乳で私窒息しそうになるからやめましょう。
「そういえば、主殿は迷い人じゃと言っておったのう。そこの所も話を聞きたいのじゃ」
「うんとね…」
クロの注釈も入れつつ、簡単に今までの事を話した。
「ほう。それで、元の世界に戻る方法を探していると」
「うん。そう」
「主殿、もし…、もし主殿が元の世界に変える方法を見つけたら、妾達はどうなるのじゃ…?」
悲しそうな顔をして聞いてくる。
「従魔紋を外して、皆を自由にする。そして涙を流しつつさようなら、かな」
それが今思い描いているこの世界での最後の景色。それまでは、私の我が儘だけど、皆と一緒に旅をしたい。寂しいけれど、別れはいつか必ず来るものだしね。
それが叶う時が来るといいな。
クレナイが眉をひそめた。
ん?何か変なこと言った?
「主殿…。誠に言いにくいのじゃが…」
「何?」
「妾はその、博士達に囲まれ、それなりに人の社会についての知識も深く持っている。じゃが…、妾が学んだ中での話にはなるが、従魔紋を消す術など、聞いたこともないぞ?」
なんだって!?
「へえ、あるんだ。どこにあるの?」
「・・・・・・」
しらんのかい。
「レシピとかは?」
「・・・・・・」
しらんのかい。
「主、リンならば、体の欠損もなんとか治せるのではないかと思うが」
シロガネ、余計なこと言わない。
「なんと! 妖精族はそんなことまで出来るのか?!」
ほら、クレナイが反応した。
「いやいや、我が輩は治してもらうつもりはないの」
「クロ殿。せっかくなのじゃ。男《お》の子の証を取り戻してはどうじゃ?」
「いやいやいやいや、我が輩は遠慮するのだの」
「クロ殿、クロ殿」
「いやいやいやいや」
「はいはい、クレナイそこまで。クロはこのままで行きます」
「そんな、主殿…」
「主…」
「いや、もしあっちの世界に戻った時、大変だから」
説明的にも、お財布的にも。
取ったのに戻ってたら、家族が驚く。
「私もクロの子供は見てみたいけど、ゴメンね」
クロがほっとした顔してる。
「あっちの世界? もしかして、主殿は迷い人なのか?」
「うん。そのうち話そうとは思ってたけど。詳しくは宿でね」
「うむ。分かったのじゃ」
クロのことは諦めてくれたようだ。
「ということで、シロガネ殿。今宵にでも♡」
「あ、主! 助けて!」
クレナイに腕を掴まれて、シロガネが藻掻いている。
「頼んだ、シロガネ」
「主ぃぃぃぃぃ!!」
「主殿公認じゃの」
クレナイの世話は頼んだぞ、シロガネ。君の犠牲は無駄にしない。2人?共見た目は大人なのだし、ゆっくり話し合ってくれ。
長い廊下を抜けて、コロシアムの外に出る。
さて、これからどうしようかと考えたその時。
「この女―――!! 死ねえええぇぇぇ!!!」
あのウェヌルとか言う男が物陰から飛び出して来た。
手に刃物を持っているのが見える。
「・・・!」
咄嗟にクロを庇うように背中を向けた。何も考えずに、体が動いた。
目を瞑り、来るだろう衝撃に体を強ばらせる。
痛いのか、熱いのか、はたまた最初は何も感じないのか。
そんなことを考えていたが、一向に刃物が突き刺さる感触は来ない。
恐る恐る目を開けると、私と男の間に、ハヤテとクレナイが立ち、後ろでシロガネが防御魔法を張っていた。
あらま、皆に助けられたよ。
ほっと息を吐く。いくらリンちゃんに治して貰えると言っても、痛いのは嫌だもの。
「なんじゃ此奴は。おかしな奴じゃの」
「クエ」
クレナイとハヤテが男の方に近づく。
2人?の間から男の方を覗くと、何故かこちらに駆けて来るような姿勢のまま、固まった男。
目はボンヤリとしていて、微動だにしない。
キャリン
手から刃物が落ちた。
「おかしな奴とは思っていたが、ここまでおかしな奴じゃったかの?」
クレナイが近づいても、男は何の反応も示さなかった。
「ヤエコさん! 無事ですか!」
あのターレンさんと、屈強そうな男の人が走って来た。
「ちょっと油断した隙にウェヌルが逃げてしまって。誠に申し訳ない」
私が不正をしたと散々騒いでいたので、逃げても私を追っているのではと、探してくれていたらしい。ちょっと遅かったけど、ありがとうございます。
「皆のおかげで、何もありませんでしたよ」
「それは良かった。本当にヤエコさんは従魔に慕われているのですな」
これが普通だと思ってましたが。
改めてウェヌルが連れて行かれたが、何故か最初の頃のように騒ぐこともなく、大人しく連れられて行った。
ターレンさん達も、聞き分けが良くなったウェヌルに首を傾げていた。
「あ~、びっくりした」
「何事もなくて何よりじゃ、主殿」
「ご無事で良かったである」
「クア」
ハヤテの頭をナデナデして、癒やされる。
あ、クロが体を押しつけて来る。うふふん、ヤキモチかしら?
クロもナデナデしてやると、嬉しそうに目を細めた。可愛い。
「で、主、これから何か用事はあるのかえ?」
「う~ん、特にないからどうしようか」
「ならば! 街を見て回っても良いじゃろうか!」
「観光か。そう言えばコロシアムしか見てないね」
「ならば! 行こう! 観光じゃ! 今まで閉じ込められていたからのう。久々に羽を伸ばすのじゃ!」
クレナイが嬉しそうだったので、そのまま夕方まで観光した。と言っても、他に特に見るものはなかったから、お店なんかを覗いたりして歩き回っていただけだけど。
うん、従魔関係の道具とかいろいろ売っていて面白かったわ。
首輪とかも小さなものから大きなものまで用意されていて。
犬猫のように首輪でオシャレを楽しむこともあるのかしら?
宿に帰ると、シロガネがいつもよりも早く厩舎へと入って行ってしまった。
クレナイが余程苦手なのかしら?というか言い寄られるのが嫌なのだろうな。
クレナイはと言えば、
「人間の食べ物で大丈夫なの?」
「人の食べ物だからこそ美味いのじゃ」
一緒に夕飯を食べた。
ドラゴンだからいっぱい食べるのかと思ったけど、3人前ほどでお腹いっぱいになったらしい。小食?
「この姿ならば、そこまで食べずとも腹一杯になれるのじゃ」
3人前は結構な量だとは思うけど。
まあドラゴンの姿だと、オーク3頭は軽くいけるとのこと。
人の姿の方がいいですね。
部屋も2人部屋に変えてもらう。
女同士だからタライ風呂も遠慮なく。
いや~、ボンキュッボンは、同じ女性でもつい見入ってしまうよ。
「久々の水浴び、いや、お湯浴びなのじゃ!」
クレナイも楽しそう。クロのシャワーにもはしゃぎまくってました。
寝る支度もすんで、クレナイのこれまでの半生の話も聞くことに。
「妾は卵の時に、どうやら巣から盗み出されたらしいのじゃ。その盗人がどうなったかは知らぬが、落ちていた卵を商人が拾い、妾の最初の主に売り渡したそうじゃ。最初の主は魔獣について研究していた者での。妾が産まれた時は大層驚いていたが、妾をそれは大切に育ててくれたぞ。まあ、研究体ということもあったのじゃろうが」
最初の主が死に、次にその息子が主になった。
その息子も同じように魔獣を研究する道へと進んだため、クレナイのことはそこそこ大切にしてくれたらしい。
時折奇妙な実験などに付き合わされたとか。
そして、その2番目の主が死んだ後、その息子が3番目の主になったらしい。
「彼奴は小さい頃から我が儘というか、楽して儲けることしか考えないような狡賢い奴での。彼奴が主になった時は悲嘆に暮れたわ」
クレナイの主となると、早速この街へ来て、従魔バトルに興じたらしい。
「ドラゴンを連れているということで注目は浴びたが、本人がどうしようもない奴じゃったからの。微妙に周りの者達からも煙たがられておったぞ」
ある意味王座に着いてはいたが、ドラゴンが強すぎて対戦相手も見つからず。対戦しなければお金も入ってこず。
「稼いだ先から湯水のごとくにお金を使ってしまうような奴じゃ」
いつもお財布は空っ風に吹かれていたらしい。アホだ。
「戦う時も注文がうるさくてのう。登場時はいつも一声吠えるようにと命令されておったのじゃ」
あの、クロが「デモンストレーションだの」と呟いたあれか。
「あいつは半殺しだの、時間をかけろだの、派手な技を使えだの。もうとにかくうるさいのじゃ! 妾は戦いなんぞしたくもないのに!」
無理矢理戦わされていたようです。
「出番がなければあそこに閉じこもりっぱなしじゃし、餌もまともなものをくれないし。まったく、最低の主じゃったわ!」
つつけばもっと愚痴が出て来そう。溜まってたんだね。
「それに、妾も年頃になって来て、そろそろ番も見つけたいなと思い始めていたのに。自由もなし、恋愛対象となる輩もなし。人生灰色じゃった」
竜生かな?
「そこに現われたのが主殿とクロ殿じゃ! 妾はなんと運が良いのじゃろう!」
クロとの恋愛は禁止します。
「まあ、クロ殿は諦めたとして、シロガネ殿もいるしの」
「クレナイ、同じドラゴンで番を見つけた方が良いんじゃないの?」
「それは、できれば同じ種族の者の方がいいのじゃが。出会えんしの」
「そうだね」
そっからですね。
「でも、例え、何かの間違いで、シロガネと交尾出来たとしても、子供は出来ないと思うよ」
「人型で交尾しても無理かのう」
「無理だと思います」
まず、捕食者と被捕食者。爬虫類と哺乳類。遺伝子的に遠すぎると思う。
「いつか、時間があったらドラゴンの、里があるのか分からないけど、会いに行けたら行ってみようよ。お婿さん探しに」
「誠か?! 主殿!! 妾は主殿に出会えて幸せじゃ!」
飛びついて来るのはいいけど、その巨乳で私窒息しそうになるからやめましょう。
「そういえば、主殿は迷い人じゃと言っておったのう。そこの所も話を聞きたいのじゃ」
「うんとね…」
クロの注釈も入れつつ、簡単に今までの事を話した。
「ほう。それで、元の世界に戻る方法を探していると」
「うん。そう」
「主殿、もし…、もし主殿が元の世界に変える方法を見つけたら、妾達はどうなるのじゃ…?」
悲しそうな顔をして聞いてくる。
「従魔紋を外して、皆を自由にする。そして涙を流しつつさようなら、かな」
それが今思い描いているこの世界での最後の景色。それまでは、私の我が儘だけど、皆と一緒に旅をしたい。寂しいけれど、別れはいつか必ず来るものだしね。
それが叶う時が来るといいな。
クレナイが眉をひそめた。
ん?何か変なこと言った?
「主殿…。誠に言いにくいのじゃが…」
「何?」
「妾はその、博士達に囲まれ、それなりに人の社会についての知識も深く持っている。じゃが…、妾が学んだ中での話にはなるが、従魔紋を消す術など、聞いたこともないぞ?」
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