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第三章 女王イリスの誕生

17話 「進撃!魔王エリカ軍団!」

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魔物統一に向けた大戦を起こしたエクセル・グリフォン・ロードのエリカ。
魔王エリカの上には彼氏のロテール君が乗っている。

《いやいやいやいやいや!何でロテール君が参加しているのぉおおお?!》

「んなモンあったり前だろ!むしろエリカは何で俺を置いていったんだよ!
彼女が戦ってんのに彼氏が参加しねぇなんて有り得ねぇだろ!」

《でもこれ魔物の戦いなんだよ?!人間のロテール君には関係無いじゃん?!》

「関係無くないね!愛するエリカが戦うなら俺も戦う!」

《!!!!もおおおお!!ロテール君のばかぁーーー!!》
ロテール君の参戦を否定しているが実は号泣するレベルで嬉しいエリカ。

《ありグスン・・・ありあとう・・・ロテール君~》

「だから戦闘中に泣くなっての!後でたくさん可愛がってあげるから!」

《だくざん・・・だくざん可愛いがってね~》もう涙ボロっボロっのエリカだった。

「泣くなっての!次の敵が来てるんだから!」

トレジャーハンターのロテール君、実は「はぐれ勇者」だったりする。
「はぐれ勇者」とは勇者として生まれたが勇者の責務を一切果たさないプータロー勇者の事である。

要するに責任感の強い勇者イリスとは真逆の自由人である。
しかし今回は愛する彼女エリカの為に全力参戦した愛に生きる勇者なのだ。

5年前に「世界の言葉」から自分が勇者だと告げられたロテール君。

「勇者ぁ?!俺には関係ないね!俺はトレジャーハンターと生きる!」
と「世界の言葉」のお告げを頭ごなしに否定したのだ。

『もおおおお!!君もですかぁ!お願いだから言う事聞けえ!』
相も変わらずに苦労が絶え無い女神ハルモニアだった。


そんな訳で・・・


「コイツらを麻痺させるんだよな?!「ライトニングブレイク!!」」
バシャーーーーン!!!バリバリ!バリバリ!

「うぎゃああああ?!痺れるうううううう!!!」

「やめろぉおおお!変な趣味に目覚めたらどうすんだぁああああ!!
ああー!ヤバい!だんだんと気持ち良くなってんじゃねぇかぁ!!」

・・・ミノタウルスとは見かけによらず結構おもろい種族だな。

エリカの上から剣撃に乗せて雷撃をミノタウルスに喰らわせるロテール君!
トレジャーハンターの時は能力を隠していたが彼女のエリカの為ならと今は勇者として大絶賛完全覚醒中でめちゃくちゃ強い!

戦闘開始30分で既に60体以上のミノタウルスを仕留めている。

《あばばばばば!!ロテール君!痺れています!私も痺れてますぅ?!》
しっかりと巻き添え事故を喰らっているエリカちゃん。

「我慢しなさい!」

《はいいいいいー!!》
今のエリカはロテール君からの溺愛を受けて3倍増しに強くなっている(精神的に)
なので愛する彼氏の雷撃に耐えれるのだ!

《キキキキキキキーーーー!!!》
そしてエリカの身体に引っ付いている魔王エリカ親衛隊のゴーストスパイダー君(10匹)達は「雷属性」ロテール君からの燃料補給を受けて元気いっぱいだ!

《キキーーーー》そしてゴーストスパイダー君達から一斉斉射で放たれる雷撃!

バリバリ!!バリバリバリバリ!!

「あばばばばば!だからやめろっつってんだろおおお?!」

「あばばばばば?!?!ああー!目覚めてしまうーー!!」

《あばばばばば!痺れるぅううううう》
そして案の定、敵と一緒に痺れる魔王エリカ、彼女は「風属性」なので「雷属性」はキツいのだ。

《あの子達・・・何してんの?》
赤い全身甲冑を着て正体を隠して参戦している真魔族四天王の1人のヴァシリーサ。
ちなみに魔王エリカ軍団の中では「赤騎士」と名乗っている。

魔導士との事だが一度もエリカやイリスの前で戦った事は無い。
その実力はいかほどか?

《さて!私も暫くぶりに暴れるわよー!》

相棒のグリフォンの上で魔法詠唱を始める赤騎士ヴァシリーサ。
練り上げられた魔力が魔王バルドルと同様に闇のオーラと化す!

その魔力は魔王バルドルに匹敵するほどに強大だ!
そしてロテール君とは違い相棒のグリフォンにはかなり気を使っているのでこれでも抑え気味なのだ。

《ライトニングアロー!!!》
そして放たれた魔法は中級の魔法の矢なのだが密度がヤバい!!

ズドドド!!ドドドド!!ズドドド!!!ドンドン!バリバリバリバリバリバリ!!
赤騎士から放たれた「500本?!」の雷の矢がミノタウルスの上に降り注ぐ!!
ただの魔法の矢がほとんど極大魔法に匹敵するレベルになっている。

さすがは真魔族の四天王!面目躍如だね!

「あばばばばば!!」「あばばばばば!だから何で俺達を集中砲火すんだよおお?!」

《だって君達ってめちゃくちゃ強いじゃん?》

《お姉ちゃん!凄ーーい!》

《うふふふふ~、お姉ちゃんは凄いでしょう?ねえ?コンちゃ~ん》

《あい!》

相棒のグリフォンの女の子の首を撫でる赤騎士。
まだ子供だがヴァシリーサが一目見て気に入って名前まで付けてしまったのだ。

そして、さっきから痺れているミノタウルス達はハイ・ミノタウルス・・・ミノタウルスの中でも王に次ぐ、エリカと同ランク、SSランクの魔物でやべえくらい強い個体達なのだ。
もし接近戦を仕掛けたらおそらくは秒殺されるだろう。

しかし幸か不幸か彼らは近接戦闘しか出来ないので遠距離から一方的にボコっている。
こうして空からチマチマと弱点の雷撃で痺れさせていると言う訳だ。

実際にこれだけ雷撃をかましても彼らの体力を半分も削れていないのだ。

最早、魔王エリカが先にダウンするか、ハイ・ミノタウルスが先にダウンするかの戦いになっているのだ!
《あばばばばば!!》「あばばばばば!!」「あばばばばば!!」
そこには魔王エリカを巻き込んだ阿鼻叫喚の世界が広がっていた・・・


一方その頃のミノタウルスの王様は?と言うと・・・


ズドオーーーーン!!ゴゴオーーーンン!!周囲一帯が土煙に覆われる。

「はははははははははは!楽しいなぁ!!なあ?!黒騎士よ!」

《良いぞ!素晴らしいぞ!ミノタウルスの王よ!!!》

超重量級の2人は真正面からの正々堂々と拳のみのどつき合いをしていた。

謎の黒騎士との設定だったがミノタウルスの王様の最初の一撃で兜は粉々に吹き飛び素顔を晒している覚醒魔王のマクシム君。

珍しく殴られて盛大に鼻血を出しているマクシム君、ミノタウルスの王様もマジやべえっす。

こんな面白い超絶イベントを見逃す訳がない真魔族の兵士達。
2人の周囲には集まって来た1000人以上の真魔族の兵士達と1000体の相棒のグリフォン達が取り囲み観戦している。

その一角にちょこんとミノタウルス王の親衛部隊が陣取っている。

「ほう?!対決に金を賭けるのか?面白い発想だな」

「そうっす!ミノタウルスさんも賭けますか?!」

そして「やらない訳ねぇだろ?!」と言わんばかりに始まるトトカルチョ。
ミノタウルス王の親衛部隊を巻き込んで賭けが進む。
もう完全に友達じゃねえかコイツら・・・

「うーん?」どちらに賭けるか悩むミノタウルス王親衛隊の兵士。
え?!王様一択だよね?!親衛隊なんだから?

「よし!黒騎士に3万円(相当)賭けるぞ!」いや!王に賭けんのかい!!!

「だって負けるのは嫌だろ?」・・・はい・・・ごもっともです。

最終的なオッズは5.5対4.5で黒騎士マクシム君が若干優勢になった。
実際にマクシム君は魔法を使う気が無いので勝負は拮抗している。



一方その頃、対ハイ・ミノタウルス戦も決着がつこうとしていた。

「ああ・・・・・世界が・・・見える・・・」ドシーン!!

「新しい世界(性癖)の始まり・・・だ」ドシーン!

《うふふふふ・・・愛は・・・勝つ・・・のよ》ボトッ!「ぐえ?!」「キキ?!」

限界が来て倒れるハイ・ミノタウルス、限界が来て墜落する魔王エリカ、そのエリカに潰されたロテール君とゴーストスパイダー君達。
勝負は引き分けに終わったのだった・・・

他の戦いでも大半のミノタウルス達が痺れて行動不能となり全体的には魔王エリカ軍の勝利だと言えよう。

《本当に何をやっているの?この子達は・・・》ドン引きしているヴァシリーサ。

《あい!真性の変人さん達ですぅ!》結構毒舌なグリフォンのコンちゃん。

《キュウウウンン・・・》そして完全に伸びている魔王エリカ。


そして残る戦いはミノタウルスの王と黒騎士マクシム君の戦いのみとなった。

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