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第三章 女王イリスの誕生
4話 「勇者を導く者」
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「うううう・・・・」
大岩プチン修行のやり過ぎでボロボロになったイリス・・・
「ふへぇー・・・」と変な声を上げたと思ったら気絶したかの様にそのまま地面で寝てしまった。
「あっ・・・やっと寝たわ」エリカが寝入ったイリスの髪を撫でる。
《ドンゴさんが亡くなってからずっと睡眠不足だったんでしょう?》
「そうですねぇ、ハイエルフとしての「送り人」の使命を初めて自分でやって長命種になった事に恐怖心が出ちゃった見たいですねぇ」
《そうねぇ、イリスは優しいから、死んでハイさよなら・・・とは行かないわねぇ。
エリカの様に転生を経験した事が有るなら割り切れるとは思うけど。
イリスは「世界の愛し子」として初めて誕生した魂だから簡単ではないわね》
「???イリスって今まで転生した事が無いんですか?」
《ええ・・・世界の意思で作られた役割を持つ魂だから今世が初めてよ》
「うーん?世界の意思で作り出す魂・・・って何ですか?」
《説明が難しいわ・・・完全に形が有るモノでは無いんだけど・・・
世界に住む者達が願う存在を世界が無機的作りだす・・・って感じかな?》
「良く分からないですねぇ」シルバニアの抽象的な説明に苦笑いのエリカ。
《私にもハッキリとは分からないのよ。
ただ「世界の愛し子」は通常では考えられない程の大きな力を持って生まれて来るのよ。
エルフが「勇者」の特性を産まれつき持っているレアなケースなんて私が知る限りでも初めてなのよねぇ・・・》
「うーん?外来種のエルフを世界が固有種として定着させる為にイリスと言う「特異点」を誕生させたとか?」
《!!!!・・・貴女凄いわねぇ・・・それ大当たりかもよ?
どうしてそんな発想が出来るのかしら?》
「あはははは、地球人・・・特に日本人はそう言う物語の設定を考えるのが大好きな民族で割とその手の感じで作られた物語が多いんですよ」
《日本人・・・恐ろしい種族ね・・・神の一族か何かなの?》
「単に思い込みと妄想が激しいだけのちょっと変わった民族ですよぉ。
何で皆んな日本人を過大評価するんですか?」
過去に日本の一般的な知識をちょっと話したら「博士」とか「女神」とか訳の分からない称号を沢山得ているエリカ。
《ホントに日本ってどんな国なのか興味あるわぁ》
「うう・・・私も興味あるわ、エリカ話してぇ」
2人の面白そうな話しを聞き付けてモゾモゾと正座しているエリカの膝の上に頭を乗っけて来るイリス。
「イリス起きたの?もう・・・少し寝なさい」
「エリカが日本の話しをしてくれたら寝る・・・」
「しょうがないなぁ・・・」
こうしてエリカは、本当に誰でも知っている日本の当たり障り無い一般的な歴史を話し始める。
途中でえらいマニアックな話しも含まれたが概ね教科書通りの説明だった。
「それから私が生きていた平和な平成の時代になったのよ。
ね?そんなにおかしな国じゃないでしょ?」
《いえ・・・充分凄い話しだったわ・・・2000年近く同一の王家が存在している国が有るなんてねぇ・・・》
「それよりエリカのご先祖様・・・凄すぎて・・・本当に人間なの?」
九州島津家の末裔のエリカは本家で読み漁った記録書や伝記書に有った戦国時代や幕末での島津家の話しをしたらイリスにドン引きされた。
《一地方都市が大国に相手に勝利するなんて本当なの?》薩英戦争の事だね。
「どっちも勝利宣言しているから「引き分け」じゃないですかねぇ。
でもその後の戦いが有利になったからどっちでも良いんですよ」
島津家の末裔のエリカからして見れば薩英戦争の勝利者よりその後の戊辰戦争の方が重要な事柄らしい。
「ニホンと言う国より、エリカが生まれたシマズと言う一族に興味しかないんですけど?
もしこの世界にシマズが存在してたらめちゃくちゃ強そう・・・」
「あはははは、戦いに特化した一族なのは認めるわ」
《エリカの強さの理由が良く分かったわ・・・
「勇者を導く者」として召喚された理由が・・・いえ何でもないわ》
「んー?あれぇ?今、シルバニアさん「勇者を導く者」って言いましたねぇ?」
《いいえ!何も言ってません!》どうやら秘密事項だったらしい。
「あはははは、良いんですよシルバニアさん、隠さなくても。私はその事を知ってますから」
《えええええーーー?!エリカ知っているのーーー?!なんでーー?!》
「ええっ?!2人共何の話し?私を仲間外れにしないでぇ?!」
「ん?それはね?
私が「勇者イリスを導く者」として日本からこの世界に召喚されたって話しなのよ」
「何それーーーー?!」ガバッとエリカの膝から飛び起きるイリス。
《詳しく!エリカ!詳しく説明して下さい!》
敢えてエリカに黙っていた事をエリカが知っている事に混乱するシルバニア。
エリカが今まで誰にも話した事が無かったので今回が初めての話しなのだ。
「えー?全然大した話しじゃないわ。私が死んだ時に声が聞こえたのよ。
『これからお前の魂は生涯に渡り勇者イリスと共に有る』ってね。
この声の事を思い出したのはこの世界に転生して少し経った時に「ハルモニアちゃん」の天啓の声を聞いた時よ」
《じゃあほとんど最初から知っていたって事ぉ?!》
「!!!!大した話しよ!!!
そんな・・・それじゃあエリカは私の奴隷になる様に元々住んでいた世界から強引に攫われて来たって事?・・・」
「そうねぇ、私も最初はイリスと同じ様に感じたのは否定しないわ。
だから「ハルモニアちゃん」の天啓に対して「ふっざけんなぁ!!」って怒鳴り返したくらいだからねぇ」
「!!!・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・エリカぁ・・・」
自分のせいで住んでいた世界から攫われたエリカ・・・
余りにもエリカに申し訳なさ過ぎてポロポロと泣き出したイリス。
「あはははは、でもねぇ・・・」
そう言ってエリカはイリスの頭を抱きしめて自分の胸に埋める。
「今は召喚されて本当に良かったって思っているよ?
だってイリスって大事な親友が出来たからね。
それに使命とか言われなくても私はもうずっとイリスと一緒に居るよ?
私から逃げたって絶対に追いかけるから覚悟してね?」
エリカの言葉を聞きエリカの背中をギュッと抱きしめるイリス。
既に2人の絆は、神が定めた「特異点」などを遥かに超越した固く堅固なモノなのだ。
「わあああああああんんんん!!!」大声で泣き始めるイリス。
「よしよし、たくさん泣いて早く寝ろイリス」
30分ほど泣き続けて泣き疲れて寝るまでエリカはイリスの背中を撫で続けていたのだった。
この話しを本当はイリスに伝える事無く終わらせるつもりだったエリカだったが、これから長い人生を送り続けるイリスにもその時代毎に必ず唯一無二の親友が居るのを分かって貰いたくて今回話しをしたのだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
☆
「・・・・・・・・・・おい?」
『ごめんなさーーーい?!別に隠すつもりは無かったんですぅ!
だってエリカが「誰にも言うな!」って言うモノですから・・・』
「なるほどのう・・・して?転生したエリカが「グリフォン」だった理由は?
大方察するに「人間に転生させ様として失敗した」って所かのぅ?」
『あ・・・すみません、それ私も問い合わせたんですけど明確な返答が無かったんです。
おそらく・・・エリカが自分でグリフォンを世界に願ったフシが有るらしいです。
「どうせなら強くて飛べる鷲の様な鳥に転生させろ!」って・・・』
「マジで?」
『天界の見立てではマジらしいです』
「ホントに変わった娘じゃのう・・・」
大岩プチン修行のやり過ぎでボロボロになったイリス・・・
「ふへぇー・・・」と変な声を上げたと思ったら気絶したかの様にそのまま地面で寝てしまった。
「あっ・・・やっと寝たわ」エリカが寝入ったイリスの髪を撫でる。
《ドンゴさんが亡くなってからずっと睡眠不足だったんでしょう?》
「そうですねぇ、ハイエルフとしての「送り人」の使命を初めて自分でやって長命種になった事に恐怖心が出ちゃった見たいですねぇ」
《そうねぇ、イリスは優しいから、死んでハイさよなら・・・とは行かないわねぇ。
エリカの様に転生を経験した事が有るなら割り切れるとは思うけど。
イリスは「世界の愛し子」として初めて誕生した魂だから簡単ではないわね》
「???イリスって今まで転生した事が無いんですか?」
《ええ・・・世界の意思で作られた役割を持つ魂だから今世が初めてよ》
「うーん?世界の意思で作り出す魂・・・って何ですか?」
《説明が難しいわ・・・完全に形が有るモノでは無いんだけど・・・
世界に住む者達が願う存在を世界が無機的作りだす・・・って感じかな?》
「良く分からないですねぇ」シルバニアの抽象的な説明に苦笑いのエリカ。
《私にもハッキリとは分からないのよ。
ただ「世界の愛し子」は通常では考えられない程の大きな力を持って生まれて来るのよ。
エルフが「勇者」の特性を産まれつき持っているレアなケースなんて私が知る限りでも初めてなのよねぇ・・・》
「うーん?外来種のエルフを世界が固有種として定着させる為にイリスと言う「特異点」を誕生させたとか?」
《!!!!・・・貴女凄いわねぇ・・・それ大当たりかもよ?
どうしてそんな発想が出来るのかしら?》
「あはははは、地球人・・・特に日本人はそう言う物語の設定を考えるのが大好きな民族で割とその手の感じで作られた物語が多いんですよ」
《日本人・・・恐ろしい種族ね・・・神の一族か何かなの?》
「単に思い込みと妄想が激しいだけのちょっと変わった民族ですよぉ。
何で皆んな日本人を過大評価するんですか?」
過去に日本の一般的な知識をちょっと話したら「博士」とか「女神」とか訳の分からない称号を沢山得ているエリカ。
《ホントに日本ってどんな国なのか興味あるわぁ》
「うう・・・私も興味あるわ、エリカ話してぇ」
2人の面白そうな話しを聞き付けてモゾモゾと正座しているエリカの膝の上に頭を乗っけて来るイリス。
「イリス起きたの?もう・・・少し寝なさい」
「エリカが日本の話しをしてくれたら寝る・・・」
「しょうがないなぁ・・・」
こうしてエリカは、本当に誰でも知っている日本の当たり障り無い一般的な歴史を話し始める。
途中でえらいマニアックな話しも含まれたが概ね教科書通りの説明だった。
「それから私が生きていた平和な平成の時代になったのよ。
ね?そんなにおかしな国じゃないでしょ?」
《いえ・・・充分凄い話しだったわ・・・2000年近く同一の王家が存在している国が有るなんてねぇ・・・》
「それよりエリカのご先祖様・・・凄すぎて・・・本当に人間なの?」
九州島津家の末裔のエリカは本家で読み漁った記録書や伝記書に有った戦国時代や幕末での島津家の話しをしたらイリスにドン引きされた。
《一地方都市が大国に相手に勝利するなんて本当なの?》薩英戦争の事だね。
「どっちも勝利宣言しているから「引き分け」じゃないですかねぇ。
でもその後の戦いが有利になったからどっちでも良いんですよ」
島津家の末裔のエリカからして見れば薩英戦争の勝利者よりその後の戊辰戦争の方が重要な事柄らしい。
「ニホンと言う国より、エリカが生まれたシマズと言う一族に興味しかないんですけど?
もしこの世界にシマズが存在してたらめちゃくちゃ強そう・・・」
「あはははは、戦いに特化した一族なのは認めるわ」
《エリカの強さの理由が良く分かったわ・・・
「勇者を導く者」として召喚された理由が・・・いえ何でもないわ》
「んー?あれぇ?今、シルバニアさん「勇者を導く者」って言いましたねぇ?」
《いいえ!何も言ってません!》どうやら秘密事項だったらしい。
「あはははは、良いんですよシルバニアさん、隠さなくても。私はその事を知ってますから」
《えええええーーー?!エリカ知っているのーーー?!なんでーー?!》
「ええっ?!2人共何の話し?私を仲間外れにしないでぇ?!」
「ん?それはね?
私が「勇者イリスを導く者」として日本からこの世界に召喚されたって話しなのよ」
「何それーーーー?!」ガバッとエリカの膝から飛び起きるイリス。
《詳しく!エリカ!詳しく説明して下さい!》
敢えてエリカに黙っていた事をエリカが知っている事に混乱するシルバニア。
エリカが今まで誰にも話した事が無かったので今回が初めての話しなのだ。
「えー?全然大した話しじゃないわ。私が死んだ時に声が聞こえたのよ。
『これからお前の魂は生涯に渡り勇者イリスと共に有る』ってね。
この声の事を思い出したのはこの世界に転生して少し経った時に「ハルモニアちゃん」の天啓の声を聞いた時よ」
《じゃあほとんど最初から知っていたって事ぉ?!》
「!!!!大した話しよ!!!
そんな・・・それじゃあエリカは私の奴隷になる様に元々住んでいた世界から強引に攫われて来たって事?・・・」
「そうねぇ、私も最初はイリスと同じ様に感じたのは否定しないわ。
だから「ハルモニアちゃん」の天啓に対して「ふっざけんなぁ!!」って怒鳴り返したくらいだからねぇ」
「!!!・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・エリカぁ・・・」
自分のせいで住んでいた世界から攫われたエリカ・・・
余りにもエリカに申し訳なさ過ぎてポロポロと泣き出したイリス。
「あはははは、でもねぇ・・・」
そう言ってエリカはイリスの頭を抱きしめて自分の胸に埋める。
「今は召喚されて本当に良かったって思っているよ?
だってイリスって大事な親友が出来たからね。
それに使命とか言われなくても私はもうずっとイリスと一緒に居るよ?
私から逃げたって絶対に追いかけるから覚悟してね?」
エリカの言葉を聞きエリカの背中をギュッと抱きしめるイリス。
既に2人の絆は、神が定めた「特異点」などを遥かに超越した固く堅固なモノなのだ。
「わあああああああんんんん!!!」大声で泣き始めるイリス。
「よしよし、たくさん泣いて早く寝ろイリス」
30分ほど泣き続けて泣き疲れて寝るまでエリカはイリスの背中を撫で続けていたのだった。
この話しを本当はイリスに伝える事無く終わらせるつもりだったエリカだったが、これから長い人生を送り続けるイリスにもその時代毎に必ず唯一無二の親友が居るのを分かって貰いたくて今回話しをしたのだ。
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☆
「・・・・・・・・・・おい?」
『ごめんなさーーーい?!別に隠すつもりは無かったんですぅ!
だってエリカが「誰にも言うな!」って言うモノですから・・・』
「なるほどのう・・・して?転生したエリカが「グリフォン」だった理由は?
大方察するに「人間に転生させ様として失敗した」って所かのぅ?」
『あ・・・すみません、それ私も問い合わせたんですけど明確な返答が無かったんです。
おそらく・・・エリカが自分でグリフォンを世界に願ったフシが有るらしいです。
「どうせなら強くて飛べる鷲の様な鳥に転生させろ!」って・・・』
「マジで?」
『天界の見立てではマジらしいです』
「ホントに変わった娘じゃのう・・・」
応援ありがとうございます!
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