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第二章 シルフェリアとの別れとイリスの覚悟
閑話 「ゾンビに堕ちた男」その3
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転生の門を潜り3度目の人生を歩み始めた私・・・
今回はどう言う事か赤ん坊と時から前世の記憶を持っていた訳ではなく、
記憶が戻ったのは18歳の時、正式に婚姻が決まった夜にベッドの中でいきなり思い出したのだ。
「うわ?!」
「トマス?どうしたの?」
隣でグッスリと寝ていてのにいきなり飛び起きた私に驚き声を掛けてくれたのが私の妻になってくれた女性のケイラ。
「あ・・・いいや・何でもない。ちょっと帳簿漏れを思い出したんだ」
咄嗟に私が誤魔化すと、
「トマス・・あまり根を詰めないでね・・・
明日の朝、私も手伝うから一緒にやりましょうね?」
「ああ、そうだね、ありがとうケイラ」
今世の私は中央大陸にあるグリーンランド共和国の平民として、4家族で編成された中規模の旅商人の子として産まれた。
この時代は、まだまだ動乱期の最中で単独の商家だけで旅行商を行うには危険過ぎたので複数の商家が集まって行動するのが普通だ。
現在は本拠地のグリーンランド共和国から隣国のヴィアール共和国を経て、新しく興ったピアツェンツェア王国を目指している。
私が貴族時代に存在していたピアツェンツェア王国とは全く違う国家との事。
ピアツェンツェア王国は内陸の国家で「塩」の生産が輸入頼りとの事で塩の産出国のグリーンランド共和国の商隊がビッグチャンスとばかりに先を急ぎながら向かっているのだ。
我々の商団の他にも3つの中規模商団が随行している。
商団は大きくなればなっただけ野盗などの襲撃が減るので商売仇でも道中は全面的に協力するのが習わしだ。
そんな環境で産まれ私だが物心が付いた時から何かの焦燥感に動かされて幼い時分より真面目に家業の商売に打ち込むこの業界内では優秀な若き商人として少しは有名な男だった・・・
妻のケイラは同じ商団の別の家庭で産まれた女性で私より2つ年上だ。
幼い頃からの許嫁で私が一人前の年齢である18歳になるのを待って結婚してくれた世界で1番愛しい女性だ。
・・・とは言え恥ずかしい話しながら双方の両親公認で幼い頃から毎日一緒に寝ていたので性に目覚めた数年前にはとっくに男女の関係にはなっていたのだが。
旅商人界隈では婚約者同士が子供の頃から寝所を共にするのは割と良くある事なので全く気にしていなかったが記憶が戻った途端に恥ずかしくなってしまった・・・
男女の関係になった日から、いっつも親達はニヤニヤしながら「結婚作戦成功!」と私達を見ていたんだなぁ、と心の中で気付いたからだ。
何分に狭い馬車なのでアノ声が親に聞こえない訳が無いもんな・・・
もう開き直って今はとにかく早く子供が欲しいと思っている所だった。
「ああ・・・良かった・・・真面目にやっていて・・・」
記憶が戻った時、私は自分に有った焦燥感の理由が分かりホッとした。
少しは魂の浄化は進んだのかな?
そう思いながらまた寝入った愛しい妻の頭を撫でていた。
今世の目標は妻のケイラを守る事だと固く決意をする。
この時代、毎日が命懸けの危険な職業の旅商人。
当然、こちらも充分な武装をして野盗や理不尽な要求をして来る領主とかに対抗して行っている間に私達は「グリーンランド武装商人」と呼ばれる様になっていた。
無論、私も何かが起こると「剣士」として敵と戦う。
それでも毎年必ず家族の誰かが亡くなるのだが、2年前から商団の用心棒として加入して来た男のおかげで去年、今年と商団内での死亡者が0人になっている。
用心棒の男の名前はクルーゼ・エスピナス、私より一歳年下の若き槍使いだ。
ただ「名目上は」との注釈が付くのを知っているのは私だけだ。
「俺は「精霊」と「勇者」との子供で実際には60歳を超えてんだよ。
だから孫も同然のケイラちゃんに妙なちょっかい掛ける事は無いから安心しな」
新参者なのにケイラと仲良く話しをするクルーゼにみっともなく嫉妬をしてクルーゼに喧嘩を売って見事にボコボコに返り討ちにされた後にクルーゼが自分の正体について話してくれた。
「!!!!!・・・・最初から話してくれたら良かったじゃんかよ!」
「最初に話した所で嫉妬心で頭が一杯になってるお前は絶対に話し聞かねえだろ?
ならボコって冷静になってから話そうって思ったんだよ」
「うっ!」
もっともですね・・・すみません。
「何でクルーゼ・・・さんは家の商団に入った・・・んですか?」
さすがに50歳近く年上にタメ口は憚られた。
「敬語はキモいからやめれ、精神年齢は見た目相応だから今まで通りでよろしくな。
ここに入ったのは「修行の旅のついで」だ。
ここに居れば飯に困る事は無いし、世界中を回ってるから修行相手なんざほっといても、わんさか来るからな」
「の・・・脳筋じじい・・・」
「ははははははは!その通りだな!」
クルーゼは、こんな感じにおちゃらけていたが武者修行の最中に腹を空かして街道でへたり込んでいる所を親父に拾われた恩義もかなり感じている様子だ。
敵の来襲をいち早く察知して突撃してくれるのだ。
クルーゼが時間を稼いでいる間に私達が戦闘態勢を整えるのだ。
「ただよ、俺1人で全員が守れる訳が無いからな、お前も強くなれ」
そう言って問答無用で軍隊より過酷な修行を課してくるのは止めて欲しかったな。
2年間の修行で私も冒険者基準で「ソード・マスター」と言う剣士の上級職になってしまい商団の仲間も驚いていた。
一応は前々世の時もソードマスターだったので下地はあったんだ。
・・・・・・・・もう思い出したくない記憶だが。
記憶が戻りクルーゼには「人喰いの罪」の話しはしてある・・・
クルーゼにだけ自分の秘密を話させるのは不公平だと感じたからだ。
「ふーん?・・・まぁ、別に良くねぇかそれ?」
「え?!」
正統派の勇者の子供のクルーゼからどんな罵倒や叱責を受けるか覚悟を決めていた私に意外な言葉をぶつけて来るクルーゼ。
「つかお前、俺より年上じゃねえか!つまりそんだけ苦労したって事だろ?
お前の農民時代の60年はそんな軽いモンじゃねえよな?」
「う・・・それは・・・でも・・・」
「お前の「人喰い」で悪いのは全部ネクロマンサー・・・だろ?
お前が今やんなきゃならねえのはケイラちゃんを守る事だ。
余計な雑念はお前だけじゃ無く、ケイラちゃんも死なせるぜ?」
「よ・・・余計な雑念??」
「ああ、余計な雑念だぜそれ?忘れろよ?くだらねえ。
今はケイラちゃんの事だけ考えて仕事を頑張るしかねえだろ?」
うう!正論だ・・・クルーゼは本当に私より年下かな?
生きた合計年数で100歳近い俺より全然大人なんだけど?
それからの俺は必死に商人の仕事をして、敵から一生懸命にケイラや仲間達を守って、守って・・・
いつしか「人喰いの罪」を思い出す事も少なくなって行った・・・
10年が経過して私達の商団はドンドン大きくなって商人200人、護衛部隊150名規模の「武装商人旅団」と呼ばれる様になった。
その中で私は半分引退している親父に変わって「副旅団長」になっていた。
武者修行中のクルーゼがいつ退団するかヒヤヒヤしていたが・・・
「俺の寿命はえらい長えらしいんだよな、精霊の母曰く「多分、数千年は楽に生きる」だってよ。
だから後50年程度はなんて事はねぇ、お前が死ぬまで付き合うぜ、副旅団長さんよ」
と笑いながら旅団に残留してくれている
その間にもケイラとの間に子供が3人も産まれて充実した毎日を送っていた私だったが29歳の時に事件が起こる。
☆
お知らせです^^
この閑話が終わりますと「龍騎士イリス」は少しお休みしまして、
本家の「魔法世界の解説者」の大幅改稿と大幅加筆に集中したいと思います。
説明が不足していたエピソードの大幅な追加に加えて裏方のエピソードとして、
ここで登場するイリスやバルドルも序盤からバンバン登場する展開になるので本家を一度読んだ方にも楽しめる出来栄えになっています^^)/
投稿を開始しましたら「魔法世界の解説者・完全版」も読んで下さると嬉しいです。
「龍騎士イリス」の方は帳尻合わ・・・内容の調整のエピソードのサイレント改稿を行いながら新シリーズの書き溜めを行います。
これからも「魔法世界の解説者シリーズ」をよろしくお願いします^^)/
こちらの閑話は後2話で完結する予定です。
今回はどう言う事か赤ん坊と時から前世の記憶を持っていた訳ではなく、
記憶が戻ったのは18歳の時、正式に婚姻が決まった夜にベッドの中でいきなり思い出したのだ。
「うわ?!」
「トマス?どうしたの?」
隣でグッスリと寝ていてのにいきなり飛び起きた私に驚き声を掛けてくれたのが私の妻になってくれた女性のケイラ。
「あ・・・いいや・何でもない。ちょっと帳簿漏れを思い出したんだ」
咄嗟に私が誤魔化すと、
「トマス・・あまり根を詰めないでね・・・
明日の朝、私も手伝うから一緒にやりましょうね?」
「ああ、そうだね、ありがとうケイラ」
今世の私は中央大陸にあるグリーンランド共和国の平民として、4家族で編成された中規模の旅商人の子として産まれた。
この時代は、まだまだ動乱期の最中で単独の商家だけで旅行商を行うには危険過ぎたので複数の商家が集まって行動するのが普通だ。
現在は本拠地のグリーンランド共和国から隣国のヴィアール共和国を経て、新しく興ったピアツェンツェア王国を目指している。
私が貴族時代に存在していたピアツェンツェア王国とは全く違う国家との事。
ピアツェンツェア王国は内陸の国家で「塩」の生産が輸入頼りとの事で塩の産出国のグリーンランド共和国の商隊がビッグチャンスとばかりに先を急ぎながら向かっているのだ。
我々の商団の他にも3つの中規模商団が随行している。
商団は大きくなればなっただけ野盗などの襲撃が減るので商売仇でも道中は全面的に協力するのが習わしだ。
そんな環境で産まれ私だが物心が付いた時から何かの焦燥感に動かされて幼い時分より真面目に家業の商売に打ち込むこの業界内では優秀な若き商人として少しは有名な男だった・・・
妻のケイラは同じ商団の別の家庭で産まれた女性で私より2つ年上だ。
幼い頃からの許嫁で私が一人前の年齢である18歳になるのを待って結婚してくれた世界で1番愛しい女性だ。
・・・とは言え恥ずかしい話しながら双方の両親公認で幼い頃から毎日一緒に寝ていたので性に目覚めた数年前にはとっくに男女の関係にはなっていたのだが。
旅商人界隈では婚約者同士が子供の頃から寝所を共にするのは割と良くある事なので全く気にしていなかったが記憶が戻った途端に恥ずかしくなってしまった・・・
男女の関係になった日から、いっつも親達はニヤニヤしながら「結婚作戦成功!」と私達を見ていたんだなぁ、と心の中で気付いたからだ。
何分に狭い馬車なのでアノ声が親に聞こえない訳が無いもんな・・・
もう開き直って今はとにかく早く子供が欲しいと思っている所だった。
「ああ・・・良かった・・・真面目にやっていて・・・」
記憶が戻った時、私は自分に有った焦燥感の理由が分かりホッとした。
少しは魂の浄化は進んだのかな?
そう思いながらまた寝入った愛しい妻の頭を撫でていた。
今世の目標は妻のケイラを守る事だと固く決意をする。
この時代、毎日が命懸けの危険な職業の旅商人。
当然、こちらも充分な武装をして野盗や理不尽な要求をして来る領主とかに対抗して行っている間に私達は「グリーンランド武装商人」と呼ばれる様になっていた。
無論、私も何かが起こると「剣士」として敵と戦う。
それでも毎年必ず家族の誰かが亡くなるのだが、2年前から商団の用心棒として加入して来た男のおかげで去年、今年と商団内での死亡者が0人になっている。
用心棒の男の名前はクルーゼ・エスピナス、私より一歳年下の若き槍使いだ。
ただ「名目上は」との注釈が付くのを知っているのは私だけだ。
「俺は「精霊」と「勇者」との子供で実際には60歳を超えてんだよ。
だから孫も同然のケイラちゃんに妙なちょっかい掛ける事は無いから安心しな」
新参者なのにケイラと仲良く話しをするクルーゼにみっともなく嫉妬をしてクルーゼに喧嘩を売って見事にボコボコに返り討ちにされた後にクルーゼが自分の正体について話してくれた。
「!!!!!・・・・最初から話してくれたら良かったじゃんかよ!」
「最初に話した所で嫉妬心で頭が一杯になってるお前は絶対に話し聞かねえだろ?
ならボコって冷静になってから話そうって思ったんだよ」
「うっ!」
もっともですね・・・すみません。
「何でクルーゼ・・・さんは家の商団に入った・・・んですか?」
さすがに50歳近く年上にタメ口は憚られた。
「敬語はキモいからやめれ、精神年齢は見た目相応だから今まで通りでよろしくな。
ここに入ったのは「修行の旅のついで」だ。
ここに居れば飯に困る事は無いし、世界中を回ってるから修行相手なんざほっといても、わんさか来るからな」
「の・・・脳筋じじい・・・」
「ははははははは!その通りだな!」
クルーゼは、こんな感じにおちゃらけていたが武者修行の最中に腹を空かして街道でへたり込んでいる所を親父に拾われた恩義もかなり感じている様子だ。
敵の来襲をいち早く察知して突撃してくれるのだ。
クルーゼが時間を稼いでいる間に私達が戦闘態勢を整えるのだ。
「ただよ、俺1人で全員が守れる訳が無いからな、お前も強くなれ」
そう言って問答無用で軍隊より過酷な修行を課してくるのは止めて欲しかったな。
2年間の修行で私も冒険者基準で「ソード・マスター」と言う剣士の上級職になってしまい商団の仲間も驚いていた。
一応は前々世の時もソードマスターだったので下地はあったんだ。
・・・・・・・・もう思い出したくない記憶だが。
記憶が戻りクルーゼには「人喰いの罪」の話しはしてある・・・
クルーゼにだけ自分の秘密を話させるのは不公平だと感じたからだ。
「ふーん?・・・まぁ、別に良くねぇかそれ?」
「え?!」
正統派の勇者の子供のクルーゼからどんな罵倒や叱責を受けるか覚悟を決めていた私に意外な言葉をぶつけて来るクルーゼ。
「つかお前、俺より年上じゃねえか!つまりそんだけ苦労したって事だろ?
お前の農民時代の60年はそんな軽いモンじゃねえよな?」
「う・・・それは・・・でも・・・」
「お前の「人喰い」で悪いのは全部ネクロマンサー・・・だろ?
お前が今やんなきゃならねえのはケイラちゃんを守る事だ。
余計な雑念はお前だけじゃ無く、ケイラちゃんも死なせるぜ?」
「よ・・・余計な雑念??」
「ああ、余計な雑念だぜそれ?忘れろよ?くだらねえ。
今はケイラちゃんの事だけ考えて仕事を頑張るしかねえだろ?」
うう!正論だ・・・クルーゼは本当に私より年下かな?
生きた合計年数で100歳近い俺より全然大人なんだけど?
それからの俺は必死に商人の仕事をして、敵から一生懸命にケイラや仲間達を守って、守って・・・
いつしか「人喰いの罪」を思い出す事も少なくなって行った・・・
10年が経過して私達の商団はドンドン大きくなって商人200人、護衛部隊150名規模の「武装商人旅団」と呼ばれる様になった。
その中で私は半分引退している親父に変わって「副旅団長」になっていた。
武者修行中のクルーゼがいつ退団するかヒヤヒヤしていたが・・・
「俺の寿命はえらい長えらしいんだよな、精霊の母曰く「多分、数千年は楽に生きる」だってよ。
だから後50年程度はなんて事はねぇ、お前が死ぬまで付き合うぜ、副旅団長さんよ」
と笑いながら旅団に残留してくれている
その間にもケイラとの間に子供が3人も産まれて充実した毎日を送っていた私だったが29歳の時に事件が起こる。
☆
お知らせです^^
この閑話が終わりますと「龍騎士イリス」は少しお休みしまして、
本家の「魔法世界の解説者」の大幅改稿と大幅加筆に集中したいと思います。
説明が不足していたエピソードの大幅な追加に加えて裏方のエピソードとして、
ここで登場するイリスやバルドルも序盤からバンバン登場する展開になるので本家を一度読んだ方にも楽しめる出来栄えになっています^^)/
投稿を開始しましたら「魔法世界の解説者・完全版」も読んで下さると嬉しいです。
「龍騎士イリス」の方は帳尻合わ・・・内容の調整のエピソードのサイレント改稿を行いながら新シリーズの書き溜めを行います。
これからも「魔法世界の解説者シリーズ」をよろしくお願いします^^)/
こちらの閑話は後2話で完結する予定です。
応援ありがとうございます!
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