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第二章 シルフェリアとの別れとイリスの覚悟

57話 「国王ロテール」

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「ロテール陛下の力は魔力に似てますが魔力では無いようです。
陛下が纏う力は何なのでしょうか?」

「多分あれは「気」じゃないかな?」

シルフィーナの問いかけに「気」の力だと答えるゲーム脳のエリカ。

「「気」とは何ですの?」

「分かり易く言うと「精神力」で自分の「生命力」を引き出す力?かな?」
気功術とかの話しは良く聞くが具体的に説明しろと言われても難しい。

「じゃあ陛下は精神生命体ですの?」

「少し違うかな?「気」は肉体が無いと成立しない力だからね。
呼吸を整えて良い精神状態だと健康な身体を維持し易くなる考えだね」

「それは分かりますわ。
呼吸が乱れて精神状態が悪いと思う存分に力を発揮出来ませんからね」

「ところでエリカ殿の呟いた「せんにん」とは何ですか?」
先程ボソリとエリカが呟いた言葉の意味が気になるロイ。

「自分の精神状態を完全にコントロールする事が出来る「賢者」の別称かな?」

「精神を完全にコントロール??そんな事出来る存在が居るのですか?」

上位精霊のシルフィーナだが、彼女でも自分の感情を完全にコントロールする事は出来ない。
つーかシルフィーナは上位精霊の中でもかなり怒りっぽい方なので、もっと精神修行をした方が良いと思う。

「その完全な精神コントロールを自分一人で長い時間を掛けて向き合って鍛えて成功した人を「仙人」と言うのよ。
「達観」「無我の境地」とか言う事もあるね」

「無我・・・わたくしやエリカには無理ですわね・・・」

「何でピンポイントで私なの?!私だって頑張れば、無我の境地くらい!

「欅の木窃盗事件・・・」

「ごめんなさーーい!!」シルフィーナに瞬殺されるエリカ、あの事件の事は後100年はいじり倒されるだろう。
うん!煩悩塗れのエリカには絶対に無理だね!

儂?儂は欲望よ!こんにちは!我慢よ!さようなら!がモットーなので無我の境地など10万年掛かろうが無理だろうな。
最近仕事ばっかりしてるのは、今まで魔王の立場を利用して欲望を叶え過ぎてしまい今は達観しているだけに過ぎ無い。
要するに若い頃に飽きるまで遊び倒して遊びに対して食傷を起こした訳じゃな。

「しかし話しを聞く限り、気力であれ程大きな力を持つ事は出来なそうですが?」
そうなんだよね、気功や仙術とはあくまで自分との戦いなので、その個体以上の力を得るのは難しいだろ。
百歩譲って気力で300年以上生きる事が出来てもロテールが纏う巨大な気圏の説明になっていない。

どれくらい巨大かと言うとエクセル・グリフォンロードのエリカの3倍の力場を持っている。
ランクに例えるとSSS、龍種と同レベルの力だ。

そんな事をコソコソ話していたら料理が完成した様子だ。
ハドソン隊長が給仕をしてくれている、ロテール国王には侍女とかは居ない様だ、と思ってたらパンを焼いていた。

「さあさあ、自己紹介は食事をしながらで、温かい内にどうぞ」
侍女から焼きたてのパンを受け取りニコニコ顔でやって来たロテール国王が先に食事を促す。

「はっ、はい!では遠慮なく!」
家主にそう言われてるに無理に断り挨拶をすると逆に不敬になるのでとりあえず食事を始める一行。

「いただきます」

「いただきますわ」

「いただきます」

エリカとシルフィーナとロイが日本語でそう言うと少し驚いた顔になるロテール。

「随分と懐かしい言葉を聞きました・・・」

「やっぱりロテール陛下も日本人だったのですか?」
エリカが日本語で尋ねると・・・

「ええ・・・もう・・・本当に昔の話しよ。
思い出すのも苦労するくらいに昔に日本人として生きていたわ」
そう日本語で返すロテール。

「貴女・・・日本でのお名前は?」

「九州熊本県出身の永吉絵梨花です」

「まあ!私も九州の熊本の出身で加治木多恵子と言う名前でした」

「加治木!さん・・・ですね!お会い出来て嬉しいです」
笑顔で答えたエリカだが内心で思った!《加治木さん・・・モロに島津の家系じゃん!やっべー親戚かも知れね》と、

「それで?それで?絵梨花さんは何年産まれだったんですか?」
同郷の者に会えてテンション爆上がりのロテール国王。
アッサリと仙人の皮を投げ捨ててしまう!話しが違うじゃねえか!

すっかり日本人の多惠子さんに戻ってしまったロテール国王陛下。
いつも静かなロテール国王が突然日本語で楽しそうに早口で話し始めてハドソン隊長もビックリしている。

「私ですか?ピッタリ西暦2000年産まれです」
何故かドヤ顔のエリカ、まぁキリは良いよね。

「2000年ですか?!お姉さんじゃないですか!私は2015年産まれでした」

「ええーーー?!多惠子さんって私より年下なのーーー?!」

ちなみに二人の会話は全部日本語なのでロイもシルフィーナもハドソン隊長もポカーン状態だ。

しかしこうなると、ある疑問が出る、
「年下の多恵子さんが何で私より300年以上も前にこの世界に転生したのでしょうか?」
そうこれである。

「それが全然分からないんですよ。
高校での部活中に急にお腹痛くなって搬送された病院で診察待ちをしていたら急に胸も苦しくなって・・・
急いで看護師さんを呼ぼう思った瞬間に意識を失って、目を醒したらこの身体でこのお城のベッドで寝ていたのです」

「おおー、いわゆる原因不明系ですね!そして女子高生だったんだね!」
やっとまともな異世界転生モノが来たー!と喜ぶエリカ。

なんせ自分は目を覚ましたらグリフォンだ!
思わず「なんばいいよっとーー?!?!」と叫んでしまったのは言うまでも無い。

「ところで多恵子さんは「人間」なんですか?」
同郷で年下と分かったので遠慮が無くなるエリカ、ズケズケと核心に迫るのだ。

「人間かどうか?と聞かれると違うわ。
私って「ダンピール」・・・「ヴァムピール」なのよ」

「何だってーーーー?!?!・・・ってダンピールって何ですか?」

「吸血鬼と人間のハーフよ」

あー・・・すまんこの件に関してはノーコメントだ。
ダンピールは、ちょっとR-15で説明するのに憚れるとてもエロい内容なのじゃ。
ロテール国王陛下は吸血鬼とのハーフなんだね、と思ってくれて良い。

強いて分かり易く言うと「ヴァンパイア・ハンターー!!」だ。

「そっか!でも人型で良かったじゃん!私なんてグリフォンだからね!」

「グリフォン良いじゃないですかぁ!」

「あっ・・・はい」
そう言えばロテール国王陛下がグリフォン至上主義だった事を思い出したエリカ。

こうしてキャピキャピと話しが弾むエリカとロテール国王陛下だった。
つーか無我の境地とか仙人はどうしたんじゃい?!なんかキャピキャピしとるぞ!

え?ちゃんと理由あんの?次回説明する?

だそうです・・・・本当かよ?
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