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第二章 シルフェリアとの別れとイリスの覚悟
52話 「グリフォンの羽ばたき」
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「では、イリス中尉、農耕作を行う為に必要な要素って分かりますか?」
イリスが真面目になったのでエリカも敏腕参謀に戻る、ついでに、ボウン!、と人化してグリプス戦隊を驚かせた。
つまりエリカはグリプス戦隊に対する警戒を完全に解いた訳だ。
「エリカ様・・・何て、お美しい・・・女神様・・・」
ハドソン君他、グリプス戦隊の面々はエリカの素顔を見て拝む勢いだ。
「あの、それ・・・イリスの前で本当にやめて下さい、逆に落ち込みます・・・お願いします」
エリカは「愛嬌がある顔」でイリスの様な神秘的な美しさと言われると違うかな?
まあ、凄く可愛いらしい顔をしてるのは事実だから別に気にせんで良いと思うぞ?
「農作ですか?・・・・・・・・・うーん?
土の栄養・・・太陽の光・・・気温・・・水・・・かな?」
「はい正解です、そしてここに「風」が加わります」エリカがそう言うと・・・
「ああーーー!!解りました!そう言う事だったのですね!!」
だから話しを一瞬で終わらせんじゃねえ!これだから天才に秀才共の頭脳ときたら・・・
エリカよ!魔王命令じゃ!最後まで話しを進めよ!
「えー?話しが早くて良いじゃん?・・・まま良いわ。
そうですね「風」も重要なファクターをしめます、全ての要素が噛み合って初めて農耕作が成功します。
風の要素は農作物の受粉と「湿度が高くなり過ぎない」為に必要な事です」
「つまり風が吹かないと湿度が抜けなくて、赤カビなどの「病気」が発生するのですね?」完全に問題を理解したイリス。
「そうです、受粉に関しては養蜂で代用も出来ますが、「農作物の病気」の防止には風の力が必要不可欠な訳です」
日本でも何故「新潟県」が米の生産日本一なのか、それは山風がとても大事な要素だと言われている。
つまり、他の土地と違い新潟は「山風が良い感じに穀倉地帯を抜けて稲の赤カビとか稲熱病の病気発生率が極端に少ないから」と言われている。
あー、だから新潟水田は段々水田なのか。
「その通りです。
グリプス王国は山岳地帯ですが「高温多湿」の気候です。
元々、大昔から農作物の健康被害に悩まされていたのですが、グリプス様達が近くに住み着いて頂いたお陰で一気に改善されたと古書にも記されています」
約800体のグリフォンが一斉に飛び立つと、その「羽ばたき」の威力で山間部を良い感じの風が吹き抜けたらしい。
その風が農作物に纏わりついていた、赤カビ等の病気や湿気を定期的に吹き飛ばしたのだ。
「そのお陰で農作物の生産は一気に3倍になり、「国」としてやって行けるまで国力が上がったのです」
「グリフォン様々ですねー、それで国名も「グリプス王国」となったのですね?」
「そうですね、グリプス様達が居なかったら未だに小規模な集落のままだった事でしょう」
そう言って悲しそうに笑うハドソン君。
「そして国に恵みをもたらしてくれるグリプス様を「神獣」として崇めて参りました」
「その見返りにグリフォン達は何か要求して来ましたか?」エリカが問うと、
「ええ!出来た小麦から「クッキー」が欲しいと、定期的に献上してくれるなら必要な時に風を起こすと約束してくれてました。
そのお陰で「グリプスクッキー」が国の名産にもなってます」
「本当に良い関係を築けていたんですねー・・・しかし」
「はい・・・そんな中であの忌まわしい事件です。
我々グリプス王国も国を上げて卑劣な虐殺者共からグリプス様をお守りしました。
先程、我々を攻撃した連中もそんな虐殺者共の末裔共です」
なるほど、お互いに深い因縁があったから容赦なく戦った訳だ。
「でも連合軍は組んでましたよね?」
「ああ、あれは情報収集の為にヴィアール共和国と組んでの謀略です。
我々にはヴィアール共和国と組む理由はありますが、グリプス様を虐殺した奴等と手を組む謂れなど何一つもありませんからね。
私達からして見れば最初から徹頭徹尾の敵ですよ連合軍は」
「なるほどね、戦場で全く動かなかった理由が分かったわ。
でもそれだけグリフォンに寄り添ったグリプス王国からグリフォン達は居なくなってしまったの?」
不思議そうにエリカが首を傾げると。
「はい、それだけ虐殺が粘着質で悍ましいモノだったのです。
あれは最早、羽を手に入れると言うよりグリプス様を殺す為の殺しだったと曾祖父が言ってました。
そして虐殺の嵐が始まり10年が経った頃にグリプス様達が「これ以上、自分達の為に倒れる我々を見るのが辛い」と仰り土地を離れて行ったそうです」
「そしてグリプス王国にグリフォンの風が無くなり、そのせいで農作物の病気が再発生して現在に至り、飢饉まで発生している・・・か」
想像以上に深刻な話しにイリスは目を閉じて考え込む。
「ねえエリカ?これ魔法で何とかなると思う?」
イリスの風の極大魔法なら問題解決は可能か?との問いに、
「無理だと思う、出来るならグリプス王国の人達がやってるから」
そりゃそうか、極大魔法云々より風を起こすだけなら初級魔法でも可能なのだから。
「グリフォンの風は1000体以上のグリフォンの毎日の生活活動で起こった副産物だからね。
これを意図的にやるとしたらグリフォン1000体と同じ力が必要になるし、イリスの極大魔法でそれをやったら間違い無く深刻な環境破壊を引き起こすわ」
イリスの「アーク・トルネードブラスト」は純粋な破壊、攻撃魔法だ。
そんなモン、ぶっ放したら風は起こるが普通に森が破壊される。
「そっか・・・でもグリフォン以外で空を羽ばたいて風を起こせる大型の生命体なんて・・・・・・・・・・・・・・竜?」
あれ?龍騎士隊イリスって隊員が約500人を超えていて、竜の数も800体を超えていたよね?
突然の竜の激増は、あの大空中戦で・・・・
「あれ?龍騎士隊イリスに参加したら天舞龍リール様のキスを受けるチャンスがあるのでは?」
と観戦していた竜が思って、たくさん参加希望して来たからだ。
しかも天舞龍リールも「じゃあ年2,3回くらいの定期訓練しよっか?」と否定しなかったのだ。
そりゃ参加するっきゃないね!
「もし、グリプス王国にあるグリフォン達の古巣に龍騎士隊イリスの訓練所を作って竜達が離陸したらグリフォンと同等の風を起こせるのでは?
足りない人員はグリプス戦隊から人を出してくれれば隊員不足の問題も解決して、
グリプス王国の赤カビなどの問題も解決が前進する?」
解決しなければならない問題は多いがグリプス王国の問題解決に一筋の光明が見えたのだった。
イリスが真面目になったのでエリカも敏腕参謀に戻る、ついでに、ボウン!、と人化してグリプス戦隊を驚かせた。
つまりエリカはグリプス戦隊に対する警戒を完全に解いた訳だ。
「エリカ様・・・何て、お美しい・・・女神様・・・」
ハドソン君他、グリプス戦隊の面々はエリカの素顔を見て拝む勢いだ。
「あの、それ・・・イリスの前で本当にやめて下さい、逆に落ち込みます・・・お願いします」
エリカは「愛嬌がある顔」でイリスの様な神秘的な美しさと言われると違うかな?
まあ、凄く可愛いらしい顔をしてるのは事実だから別に気にせんで良いと思うぞ?
「農作ですか?・・・・・・・・・うーん?
土の栄養・・・太陽の光・・・気温・・・水・・・かな?」
「はい正解です、そしてここに「風」が加わります」エリカがそう言うと・・・
「ああーーー!!解りました!そう言う事だったのですね!!」
だから話しを一瞬で終わらせんじゃねえ!これだから天才に秀才共の頭脳ときたら・・・
エリカよ!魔王命令じゃ!最後まで話しを進めよ!
「えー?話しが早くて良いじゃん?・・・まま良いわ。
そうですね「風」も重要なファクターをしめます、全ての要素が噛み合って初めて農耕作が成功します。
風の要素は農作物の受粉と「湿度が高くなり過ぎない」為に必要な事です」
「つまり風が吹かないと湿度が抜けなくて、赤カビなどの「病気」が発生するのですね?」完全に問題を理解したイリス。
「そうです、受粉に関しては養蜂で代用も出来ますが、「農作物の病気」の防止には風の力が必要不可欠な訳です」
日本でも何故「新潟県」が米の生産日本一なのか、それは山風がとても大事な要素だと言われている。
つまり、他の土地と違い新潟は「山風が良い感じに穀倉地帯を抜けて稲の赤カビとか稲熱病の病気発生率が極端に少ないから」と言われている。
あー、だから新潟水田は段々水田なのか。
「その通りです。
グリプス王国は山岳地帯ですが「高温多湿」の気候です。
元々、大昔から農作物の健康被害に悩まされていたのですが、グリプス様達が近くに住み着いて頂いたお陰で一気に改善されたと古書にも記されています」
約800体のグリフォンが一斉に飛び立つと、その「羽ばたき」の威力で山間部を良い感じの風が吹き抜けたらしい。
その風が農作物に纏わりついていた、赤カビ等の病気や湿気を定期的に吹き飛ばしたのだ。
「そのお陰で農作物の生産は一気に3倍になり、「国」としてやって行けるまで国力が上がったのです」
「グリフォン様々ですねー、それで国名も「グリプス王国」となったのですね?」
「そうですね、グリプス様達が居なかったら未だに小規模な集落のままだった事でしょう」
そう言って悲しそうに笑うハドソン君。
「そして国に恵みをもたらしてくれるグリプス様を「神獣」として崇めて参りました」
「その見返りにグリフォン達は何か要求して来ましたか?」エリカが問うと、
「ええ!出来た小麦から「クッキー」が欲しいと、定期的に献上してくれるなら必要な時に風を起こすと約束してくれてました。
そのお陰で「グリプスクッキー」が国の名産にもなってます」
「本当に良い関係を築けていたんですねー・・・しかし」
「はい・・・そんな中であの忌まわしい事件です。
我々グリプス王国も国を上げて卑劣な虐殺者共からグリプス様をお守りしました。
先程、我々を攻撃した連中もそんな虐殺者共の末裔共です」
なるほど、お互いに深い因縁があったから容赦なく戦った訳だ。
「でも連合軍は組んでましたよね?」
「ああ、あれは情報収集の為にヴィアール共和国と組んでの謀略です。
我々にはヴィアール共和国と組む理由はありますが、グリプス様を虐殺した奴等と手を組む謂れなど何一つもありませんからね。
私達からして見れば最初から徹頭徹尾の敵ですよ連合軍は」
「なるほどね、戦場で全く動かなかった理由が分かったわ。
でもそれだけグリフォンに寄り添ったグリプス王国からグリフォン達は居なくなってしまったの?」
不思議そうにエリカが首を傾げると。
「はい、それだけ虐殺が粘着質で悍ましいモノだったのです。
あれは最早、羽を手に入れると言うよりグリプス様を殺す為の殺しだったと曾祖父が言ってました。
そして虐殺の嵐が始まり10年が経った頃にグリプス様達が「これ以上、自分達の為に倒れる我々を見るのが辛い」と仰り土地を離れて行ったそうです」
「そしてグリプス王国にグリフォンの風が無くなり、そのせいで農作物の病気が再発生して現在に至り、飢饉まで発生している・・・か」
想像以上に深刻な話しにイリスは目を閉じて考え込む。
「ねえエリカ?これ魔法で何とかなると思う?」
イリスの風の極大魔法なら問題解決は可能か?との問いに、
「無理だと思う、出来るならグリプス王国の人達がやってるから」
そりゃそうか、極大魔法云々より風を起こすだけなら初級魔法でも可能なのだから。
「グリフォンの風は1000体以上のグリフォンの毎日の生活活動で起こった副産物だからね。
これを意図的にやるとしたらグリフォン1000体と同じ力が必要になるし、イリスの極大魔法でそれをやったら間違い無く深刻な環境破壊を引き起こすわ」
イリスの「アーク・トルネードブラスト」は純粋な破壊、攻撃魔法だ。
そんなモン、ぶっ放したら風は起こるが普通に森が破壊される。
「そっか・・・でもグリフォン以外で空を羽ばたいて風を起こせる大型の生命体なんて・・・・・・・・・・・・・・竜?」
あれ?龍騎士隊イリスって隊員が約500人を超えていて、竜の数も800体を超えていたよね?
突然の竜の激増は、あの大空中戦で・・・・
「あれ?龍騎士隊イリスに参加したら天舞龍リール様のキスを受けるチャンスがあるのでは?」
と観戦していた竜が思って、たくさん参加希望して来たからだ。
しかも天舞龍リールも「じゃあ年2,3回くらいの定期訓練しよっか?」と否定しなかったのだ。
そりゃ参加するっきゃないね!
「もし、グリプス王国にあるグリフォン達の古巣に龍騎士隊イリスの訓練所を作って竜達が離陸したらグリフォンと同等の風を起こせるのでは?
足りない人員はグリプス戦隊から人を出してくれれば隊員不足の問題も解決して、
グリプス王国の赤カビなどの問題も解決が前進する?」
解決しなければならない問題は多いがグリプス王国の問題解決に一筋の光明が見えたのだった。
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