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第二章 シルフェリアとの別れとイリスの覚悟

外伝!「黒龍ラザフォードとマッドサイエンティスト」その17

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身嗜みを整えて事前準備の為に早めに御前コンサート会場に来たラザフォード。
とは言え出演者サイドで出来る事はほぼ無いのでスタッフ達もどっかに遊びに行ってて誰も居なかった・・・

「貴賓席から何か異様な気配がします!!」

「気のせいっす」

さすがに鈍感ラザフォードにも感じる変態が放つ異様な気配をリリーが即断でぶった斬り役人さんが目で部下に合図を送り変態を喜ばせ・・・蹴りを入れに行かせる。

「あっ!気配が消えました?!」

「気のせいっす」

おそらく蹴りを入れられて変態が喜んだのだろう。

「気のせいは放っておいて見学に行くっすよ」

そう言って歩きだすアイドルグループ?の3人。
あまり奇抜な格好だと失礼になると思い黒のスクエアネックラインのワンピースに白の上着を羽織ると言った無難な衣装にした。

そしてなぜかリリーと役人さんも同じ衣装を着ている・・・

「凄く可愛い服だったので・・・」
実は可愛い物が大好きな役人さんは少し恥ずかしそうにモジモジしながら頬を赤らめる。
めっちゃ大人っぽい役人さんがモジモジすると自分の可愛さも爆増である。

「役人が可愛い!!」
そんな役人さんを見てテンション爆上がりのラザフォード。

「わたくしは可愛くありません??!!」おや?素の話し方が出ておるぞ役人さん。

ちなみに役人さんの本名は「クローディア」さんと言う名前で凄く珍しい地龍と海龍のハーフだそうだ。

割といい加減な地龍達が「父親が海龍で母親が地龍の組み合わせって史上初じゃね?」とか話しをしていたが「クローディアで5人目だよ?」と海龍達にぶった斬られた。

外見はウェーブの掛かった長い茶髪で水色の瞳の大人っぽい近世龍種の女性で中世龍種のリリーより滅茶苦茶歳下・・・と言うより先祖と子孫ほどの年齢差があるとの事。

若手にも拘らず物怖じせずに古代龍種の海星龍ジャコブを調教・・・教育的指導をする気概を海龍王アメリアから買われてジャコブの教育係に任命された。
13000歳も歳下の教育係遠を付けられるジャコブ・・・マジで終わってんなぁ。

「皆んなお揃いっす」ワンピースの裾を持ち楽しそうにクルクル回るリリー。
リリーは単純に見た事ない新しいタイプの服に興味が出て着ているだけの様子だ。

話しを戻すと今回の催し物は一応正式には「ピアツェンツア王国国王御前芸術演奏鑑賞会」と言う名前なのだがその御前様が緊縛放置プレイ中で芸術鑑賞どころでは無いので御前コンサートで良いだろう。

会場の広場に観客はまだほとんど来ていないが出演者達がアッチコッチでリハーサルをしていてそれを見学する為に弁当を持って孫を連れて来ているお婆ちゃん、お爺ちゃんなどが居てなんかロックコンサート前とは思えない牧歌的な長閑な感じだ。

「クローディア」
3人で他の出演者達のリハーサルを見学して回っていると誰かが役人さんを呼び止めた。

ラザフォードが声がした方向を見るが・・・あれ?誰も居ない??

「アメリア様??!!」メチャクチャ驚いた声を上げる役人さんだがやっぱり誰も居ない?

「アメリア様、お久しぶりっす」
リリーも誰も居ない空間に対して頭を下げるがラザフォードには見えない??

「面白そうだったから来ちゃった。この子がラザフォードね」
声はするが姿は見えず・・・ミーアキャットの如くキョロキョロと左右の確認をするラザフォードを見て、
「あっ・・・アメリア様、ラザフォードは魔力感知が全然出来ないっす。
認識阻害魔法を少し緩めて欲しいっす」とリリーが言うと。

「そうなの?話しに聞いた通り黒龍王ぽく無いのねぇ」
声の主が認識阻害魔法効果を緩めたのか徐々に声の主の姿が空間に浮かび上がる。

「ふああああああああ???」声の主を認識して妙な悲鳴を上げたラザフォード。
ラザフォードが映画でも見た事も無い程の神々しいまでの美しさを誇る水色の髪と水色の瞳の女性が笑顔で立っていたからだ。

「わたくしの名前はアメリアよ、よろしくねラザフォード」

「ふああああああああ???」

突然遊びに来た海龍王アメリアに最早「ふあああああ??」しか言えないラザフォード。
ラザフォードには突然女神様降臨?!としか思えないからだ。

「落ち着いて?リラックス?リラックスよラザフォード」
そう言ってラザフォードの頭を撫でるアメリアだが絶対それ逆効果だと思う。

「ふあああああああああ?????」
女神様に頭を撫でられて更に大混乱の一般市民ラザフォード。
だがラザフォードも自分がはたから見るとアメリアと同じくらい神秘的な美しさを持っているのだが本人には自覚は無いのだ。

「リリー?クローディア?この子どうしたら良いの??」
顔を赤くして完全に壊れたラザフォードを見てオロオロするアメリアに、
「あ~・・・とりあえず抱きしめて見たら良いんじゃないすっか?」
超適当な事を言うリリー。

「抱きしめる?うん分かったわ!ぎゅううーーー!!!」
リリーの言う通りにギュウウウウとラザフォードを思い切り抱きしめるアメリアだが?
「ふああああああああああ????」ラザフォードはやっぱり余計パニックになった。






30分後・・・

「アメリア様の香りと柔らかさがヤバい・・・」
やっと落ち着いた黒龍王ラザフォードの海龍王アメリアとの抱擁の感想である。

「え?!わたくし臭かったですか?!」

「いいえ、殺人的に良い香りでした。危ない扉が盛大に開きそうになりました」

「そうかなぁ?香水とか特に何も付けて無いんだけど?」
そう言って自分のシャツの裾をクンクンするアメリア。

このラザフォードの異常反応は前黒龍王の影響だ。
前黒龍王が海龍王アメリアに恋をしていたので黒龍王を継承したラザフォードも強制的にアメリアに恋をしたのだ。
まだ女性同士でラザフォードにそっちの気が全く無いので影響が少なかった方なのだ。

「アメリア様は「千代萩」の匂いがするっすね」リリーがアメリアの髪をクンクンする。

「スイートアリッサムじゃない?」クローディアもめっちゃクンクンしている。

「二人共やけに例えが具体的じゃない??!!ってクンクンしないでぇ?!」
クンクンされまくってさすがに恥ずかしいアメリア。

こうして暫くクンクンされた海龍王アメリアだった。
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