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第二章 シルフェリアとの別れとイリスの覚悟

27話 「大砲撃戦!」その2

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「全銃準備ヨシ!」射撃指揮官から船長さんに攻撃準備完了の報告が来た。

「よおーし!!お前等、しっかり狙えよ!
撃てぇーーーーーーーーー!!!!」

ズドドドトドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドオオオオンンン!!
遂にライフル銃が一斉に射撃された!!

そして悠然と泳いでいる海蛇に、
バシュン!!ズドン!バシュン!バシュン!バシュン!ズドン!ズドン!
次々と15mm弾が命中する!!

『グゲエエエエエエエエエ??!!!!!』
いきなり襲って来た激痛に海蛇は不気味な叫び声を上げる!!



「次弾装填!!」射撃指揮官の号令に装填員が銃に弾を込める。
「修正!!後方へ7m!!」索敵班の指示に射角員がハンドルで微調整をして。

「全銃準備完了!!」

「撃てーーーーーーーーーー!!!」

ズドドドトドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドオオンンン!!
第二射が斉射される!

この間、約30秒弱!!!
ハッキリ言って現在戦でも通用するレベルでめちゃくちゃ早い!

射角調整された第二斉射の弾丸が的確に海蛇の大きな身体に全弾ヒットする!!
身体がデカすぎて致命傷にはならないが、かなりの激痛が襲う!

人間に例えると全身に針を突き立てられたと思って良い。

バシュン!!バシュン!!ズドドドンンン!!バシュン!バシュン!

『グエ?!グゲエエエエエエエエエ!!!ナンダ?!ナンナノダコレハ?!」
いやお前!喋れたんかい?!

海龍を除いて自分が海の覇者だと驕り昂っていた海蛇は謎の激痛に大混乱だ!
普通の海蛇ならここで海中深く潜る選択肢を取るだろうがコイツは身体がデカ過ぎて潜航が出来ないのだ。

だから洋上を航行する船を襲い人々を餌にしていたのだ。

つまり射撃訓練の良い的にしかならないと言う訳だ。
しかし、イリス達の船の者はそんな海龍蛇の事情など分からない、自分の生命の危機に必死に攻撃を続けるのみなのだ!

ライフル銃隊の第三射の準備が整った時、いよいよ80mm榴弾砲の射程に海蛇を捉える!

「ライフル銃隊!総員衝撃に備えろ!」
榴弾砲の発射には衝撃を伴い激しく船が揺れるのだ。
転落防止にそれぞれが手摺りにしがみ付く。

「ライフル銃隊は準備完了!どうぞ!」

ゴリゴリゴリゴリと回頭する砲台、既に距離はバッチリ把握している、
砲弾は装填済み、後は左右の標準を合わせるだけなのだ。

「左右標準ヨシ!」

「撃てーーーーーーー!!!」

ゴオオオオオオオオオンンン!!ドゴオオオオオオオンンンンン!!!
前後2門の80mm榴弾砲が火を吹いた!!

二つの砲弾は海蛇の背中に見事に命中する!

ズゴオオオオオンンン!!ドオオオオオン!!
海蛇の背中に火柱が立ち、海蛇の血肉が爆散する!
しかもここからが榴弾砲の恐ろしい所、猛烈な火花が海蛇の背中を走り肉を焼く!!

『グエエエエエ?!アツい?!アツい?!アツい?!』
今まで味わった事が無い火傷の痛みに、ズバシャアアアンン!!と巨大な水飛沫を上げながら悶え苦しむ海蛇!

巨大な蛇が巨大な水飛沫を上げてのたうち回る姿は人にして見れば恐怖そのものだ。
「あれ?もう良いんじゃね?」とは誰も言わない。

「目標!!航行停止!距離8m右へ修正!!」

「一番!二番砲塔!共に準備ヨシ!!」

ゴゴゴゴゴゴ・・・今度は右へ回頭する砲台。

『ママママテーー!!オレガ!オレガワルカッタ!!ユルシテクレーーーー!!」』
そんな海蛇の悲痛な懇願など恐怖に駆られている者には聞こえ無い。

容赦なく80mm榴弾砲の左右の標準がセットされた!

「左右の標準ヨシ!!」

「撃てーーーーーーー!!!」

ドオオオオオン!!ズゴオオオオオンンン!!!

『アア?!マッテ?!・・・・・』

ゴオオオオオオオオオンンン!!ズドオオオオンン!!
二番砲塔の砲弾が海蛇の顔面に、一番砲塔の砲弾が横腹にダイレクトヒットする!!

飛び散る肉片と巨大な口が更に裂けて牙が爆散する!
そして顔面と横腹全てに火花が走り、ゴオオオオオオオオオ!!猛烈な炎が上がる!

そして『グガガガガアアアアアアアア!!!!!!』海蛇の断末魔の叫びが上がる!

船の帆のマストの上から海蛇が丸焼きになる様に眺めているイリス。

「凄い・・・」
魔道士として見ても80mm榴弾砲の砲撃の威力は上級攻撃魔法に匹敵する。
何より恐ろしいと思ったのは射程の長さと連射能力だ。

「撃ち合いになったら絶対に勝てない・・・」
イリスはそんな事をシリアスに呟いたが、陸上だと先ずは「どうやって2.5tブツを運ぶ?」との問題がある。

仮に魔法を使い運んだとしても、そこから土台作りが始まる。
設置に要する時間は一週間、戦場でそんな事を呑気にやっていたら、その間に攻撃魔法を撃ち込まれて終わりやね。

まだまだ要塞と船の上でしか使えない兵器なのだ。

そして・・・

『ア・・・・アア・・・ア・・・・・』
イリスがマストの上から見学している間にも海蛇に最後の時が訪れる。

ゴオオオオオオオオオ!!!炎が口から脳の中を燃やし始めたのだ。

脳は死んでもまだ、バッシャアアアンン!バッシャアアアンン!と、のたうち回る炎に包まれた身体。

それも徐々に動きが鈍くなり15分後に動かなくなった。
500人以上を食らった邪悪な海蛇も遂に人族の手により討伐されたのだった。

「これは・・・何とも凄まじいモノじゃ・・・」
ゴブリンロードのドンゴも唖然と砲撃戦の結末を見届けていた・・・

「おっしゃあああ!!勝ったぞ!お前等!!!」船長の勝鬨に・・・

ウオオオオオオオオオオオオオオ!!!!
船員達の歓喜の歓声が船を揺らしたのだった・・・
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