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第二章 シルフェリアとの別れとイリスの覚悟

15話 「爆走!グリフォンロードのエリカちゃん」その4

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九頭竜王の前に倒れ伏すグリフォンロードのエリカちゃん!
遂に彼女の命運もここまでか?!

「違うわい!九頭竜王様は別に何もして無いじゃんか!
自分で勝手に何も考えないで爆走した挙げ句に全ての力を使い果たして疲れただけじゃんか!」 
ダウンしたエリカに追い討ちを掛けるべく、エリカをしこたま罵倒するイリス。

《キュイイイーン、クウウウウ》

「可愛く鳴いて誤魔化すなぁーーーー!!」

「「ハイエルフよ、お主はどうする?やるか?」」

「やりません!」

倒れて地面に転がるエリカを一頭が鼻でツンツンする。
ツンツンされたエリカは死んだ振りのつもりなのか仰向けのまま動かない。
動画でたまにインコが仰向けで寝ている物があるが、エリカもその状態だと思ってくれて良い。

「今更死んだ振りしても遅いっての!」
ツッコミ所満載のエリカの行動にツッコミを入れ続けるイリスもだんだんと疲れて来て元気が無くなってきた。

「「愉快なグリフォンロードじゃのう」」

「「うむうむ、見ていても飽きぬわい」」

「「変わった魂を持っておるしのう」」

「「そうじゃのう、暇潰しにもなるし、アレじゃの?」」

「「うむうむ、アレじゃ、アレじゃ」」

何やら「アレ」について話し合いを始める九頭竜王・・・アレって何じゃい?
一頭がヌウとエリカに近寄って額にチュッとキスをした。

「うわあああ?!エリカ、九頭竜王様の「祝福」を受けちゃったよ?!」
するとフワッとエリカの身体が仄かに光った。

《お?おお?あれえ?祝福って重ね掛けが出来るの?》

「「うむ、祝福を与える者同士の相性が悪いと無理じゃが、天龍王と我等の相性は良いからのう、問題ない」」

「「例えば「天使」と「悪魔」からは同時に祝福は受けられぬな」」

「「後は「火の精霊王」と「水の精霊王」とかも無条件では無理じゃのう。
体内に水蒸気が溜まってボン!するからのう」」

《ほうほう、なるほど、勉強になります》
普通ならとんでも無い事態なのだが、一回祝福を受けたら二回も三回も一緒だと、
エリカは気にもしていない。

《有り難く祝福を頂戴します!九頭竜王様!》

「「うむうむ、精進するのじゃぞ、エリカよ」」

「「困った事が有ればいつでも尋ねて来るが良いぞ」」

「「では我等は眠い故、そろそろ寝るぞ」」

「「そうじゃのう、寝るとするか」」

「「では、またのう、エリカにハイエルフよ」」

《はーい、おやすみなさい》羽根をバッサバッサさせるエリカ。

「はい!おやすみなさいませ!」何故か敬礼をするイリス。

最後はめっちゃ友好的に滝壺へと戻っていく九頭竜王。
ザザザザザザザザザザザザザザザザザザーと姿が消えていった。

グリフォンロードのエリカちゃん、九頭竜王の祝福ゲットだぜ!

《いやん♪儲けちゃったね?イリス》

「私はエリカに対して本気で恐怖心が湧いて来たわ・・・」

《んー?でも「祝福」って重ね掛け出来るのかぁ・・・》

「?!?!嫌よ?!私絶対に付き合わな!!」パックンチョオオオオ!!!
またイリスをパックンチョしたエリカはどこぞへと飛び立った・・・

そしてエリカが飛び去って直ぐに二人を心配したブリックリンがやって来た。

「「アレ?誰も居ない?エリカとイリスの魔力を感じたのに?」」
不思議そうに周囲を見渡すブリックリン。
爆走するエリカの行動が全然予測出来ず二人を完全に見失う。




ここは「大地の精霊王が住む」と言われる東の大陸の最高峰の山。
この地域はどこの勢力にも属して無い辺境で、誰も勝手に名前を付けて良いのか分からんので名前は無い。

便宜上「精霊王の山」と呼ぼう。

山の中腹の開けた場所に降り立ち、イリスをペッ!するエリカ。
また地面にコロコロ転がるベタベタイリス。

「もー!いい加減に解放してよ!どこなのココは?」本日二回目の丸洗いイリス。

《ふっふっふ~、ちょっと汗の味がしたイリス、たいへん美味しかったです》

「もう!そう言う事を言わないで!!
・・・だから舌をレロレロさせてたのかぁ?!私は塩飴じゃない!
てか・・・本当に食べないでね?」

ちなみにグリフォンは雑食だ、エリカも肉料理は大好きです。

《少女エルフ肉のソテー・・・柔らかそうね・・・
ごくり・・・》

「だから怖い事を言うなあーーー!!唾を飲み込むなぁーーー!
私が調理された料理各種を想像しちゃうじゃないの!」

《あははは、でもイリスってば食べれる所がほとんど無いじゃん》
身長が伸びて成長するにつれてハイエルフらしいスレンダー体型になりつつあるイリス。

「それって私が太って食べれる所が出たら食べたいって事?」

《・・・・・・・・・・・》

「お願いだから真剣に考え込まないでぇ?!
うわあああーん!助けてお母さーん!グリフォンに食べられるよおー!!」

魔物のグリフォンの本能で食材イリス料理をマジで考えるエリカ。
《!!!エルフ肉の野菜炒めならいける!!》

「いけません!!エリカってそんな暴走キャラだっけ?!」

《元々こんな感じだよ?
ああ、でもアメデ様の眷属になってリミッターは外れた感じはするわ。
高揚感?万能感?そんな感情は渦巻いているわねぇ》

・・・・・・Orz 「と言う事は今後ずっとこんな感じなの?」

《心配しなくても大丈夫だって》

「心配しなくても大丈夫じゃないから言ってるの!!」

そんな不毛な言い合いを続ける二人。
そしてイリスはすぐに諦めた!基本的に「何とかなるさ」精神なもんで。
と言うより、「どうせ何言っても聞かないだろコイツ」と思ったからだ。

「ハアハアハアハア・・・で?ここは何?」イリスは話しを本題に戻すらしい。

《噂では此処に大地の精霊王が居るらしいの。
上手く気に入られて祝福でも、ぶん盗ろうかな?って》

「・・・・・・その噂ってどこから?」

《そりゃあ・・・アレ?どこからだろ?此処に大地の精霊王が居るらしいって事は分かるんだけど?」

「多分それ天龍王様の記憶だよ、魂が繋がれば多少なら記憶も共有出来るからね。
と言う事は・・・ここに大地の精霊王様が居るの確定っぽい」

天龍王アメデの眷属らしい超チートをゲットしてしまったエリカ。
果たして大地の精霊王とは?!
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