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第二章 シルフェリアとの別れとイリスの覚悟
6話 「動乱の時代へと」
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シルフェリアの魂が世界から消えたと同時にシルフェリアの霊樹は一夜にして崩壊して文字通り粉々の灰になり風と共に消えていった・・・
かつてはウッドエルフや亜人達で賑わっていた森も彼らが移住してしまい、その最後を見届けたのは地龍達だけだった。
「「何とも呆気なく寂しい物でしたねノイミュンスター様」」
1500年の間、ユグドラシルの森のシンボルだった高さ60mシルフェリアの霊樹が消えてしまい寂しそうな地龍の龍戦士。
「「そうじゃな・・・しかしこれは、シルフェリア殿が迷う事無く転生した証でもある彼女のこれからの生が幸せであると願おうではないか」」
そして地琰龍ノイミュンスターは滅びたユグドラシルの霊樹を見つめる。
「「我にはユグドラシル様の方が心配じゃ・・・」」
シルフェリアの霊樹の10倍の高さ、640mもある大霊樹・・・
ユグドラシルが死に霊樹は枯れた・・・しかし崩壊は凄くゆっくりと進んでいる。
つまりユグドラシルの魂は輪廻の輪には入らず世界を彷徨っている事を意味する。
「「・・・一体、何処を彷徨われておられるのか・・・」」
ユグドラシルと言う文字通り世界の支柱を失い混乱する各種族達・・・
そんな中で最初に動いたのはやはり人間だ。
とりあえず人間の国同士が中央大陸と西の大陸での覇権を賭けて大規模な戦いが始めたのだ。
そしてその勝者が他種族に対して侵略を開始するのは明白であった。
そしてその第1目標にされるのが亜人種だ。
エルフの女王クレアの主導で亜人種達の南への避難が進んでいたが世界全体の40%程度の避難に留まった。
これから各大陸で人間対亜人の戦いが各地で勃発するだろう。
そんな中・・・
「中央大陸と西の大陸との国との外交や貿易を全て中止して海上封鎖を行う」
予想通りの展開にラーデンブルク公国は周辺の亜人の集落を併合して防衛線を築き南の大陸への人間の出入りを遮断した。
これで亜人と人間の接点が表向きには失われる事になる。
明らかにエルフを中心にした亜人が人間に対して抗議の姿勢を見せたのだ。
「さて・・・これで他の国はどう動いて来るのか」
女王クレアはこの鎖国政策でそれぞれの国の対応を見て今後の敵味方の区別をするつもりだ。
既にピアツェンツア王国からは鎖国の真偽を問う使節団が派遣されて来ている。
そう言う国とは個別で外交交渉を行う。
そんな感じに世界は動乱の時代に突入したのだが・・・
イリスはシルフェリアの死からまだ立ち直る事が出来ずに虚無の時間を過ごしていたのだった。
シルフェリアの死後のイリスは1人、東の大陸に渡り名も無き山の洞窟にダンジョンを作りその奥深くに引きこもってしまったのだ。
「イリスが自らの行末を見つけぬ限りは連れ戻しても一緒じゃ・・・
ここは放っておくしかあるまい・・・」
イリスの師匠のクレアは悲しそうに龍騎士隊イリスのメンバーにそう告げたのだが、とても納得出来ない龍騎士が二人居た。
グリフォンロードのエリカとリザードマンのロイの娘のミイだ。
イリスを連れ戻す為にイリスが作ったダンジョン攻略に向かったのだった。
「ここね!イリスがヒキニートをしているダンジョンは?」
ダンジョンの入り口で人間の姿で仁王立ちしているエリカ。
この30年、欠かさず日々修行に励みエリカは自他共に認める屈強な龍騎士へと成長して、龍騎士隊イリスの1番隊の隊長になっていた。
「隊長、ヒキニートって何ですか?」
エリカの相棒、リザードマン・・・リザードレディのミイが尋ねると、
「そうね・・・分かり易く言うと毎日無駄にボーとしている人間の事ね」
身も蓋も説明をするエリカに「あははは・・・そうなんですね?」苦笑いのミイ。
「・・・本当はね・・・イリスを連れ戻すつもりは無いんだアタシ」
「ええ?!嫌ですよ!私はイリスお姉ちゃんを絶対に連れ戻しますよ?!」
「それはイリス次第かな?
アタシ達がイリスの作ったダンジョンをアッサリと突破したらあの子はどう感じるのか・・・
それで悔しいとか何も思わなかったらイリスはもう戦えない・・・」
「う・・・」ミイも今では龍騎士の1人、立派な武人だ。
心が折れた者が戦場に出ても死ぬだけだと分かっている。
「その時は諦めてアタシはただのイリスの友人になるよ・・・何ならアタシもここのダンジョンに引き籠るわ」
「ええー?!」エリカの突然のヒキニートになる宣言に驚いたミイ。
「アタシがラーデンブルク公国に居たのはイリスが居たからだよ?
イリスが居ないんじゃ・・・あんまり公国に居る意味が無いのよね。
クレア師匠には申し訳ないのだけど」
グリフォンロードのエリカの本来の目的は「仲間のグリフォンを探す」事だ。
そしてもう一つの目的、「黒龍王ラザフォードに会う」のは既に達成している。
元は同じ地球人のラザフォードとエリカは、すぐに友達になったのだが現在彼女は全世界ツアーに出て今は西の大陸に居るらしい。
その事からもエリカが南の大陸に居る理由が乏しいのだ。
それなら落ち込んでる友人のイリスに寄り添った方が良いのだ。
「まっ!とりあえずは全力でダンジョンを攻略してイリスに会わない事には何の話しも進まないんだけどね」
「そうですよ!先ずはダンジョン攻略からです!」
二人の思惑は違えど目標は同じ、「ダンジョンの奥に居るイリスに会う」
この目標の為に二人のイリスダンジョンの攻略が始まった。
かつてはウッドエルフや亜人達で賑わっていた森も彼らが移住してしまい、その最後を見届けたのは地龍達だけだった。
「「何とも呆気なく寂しい物でしたねノイミュンスター様」」
1500年の間、ユグドラシルの森のシンボルだった高さ60mシルフェリアの霊樹が消えてしまい寂しそうな地龍の龍戦士。
「「そうじゃな・・・しかしこれは、シルフェリア殿が迷う事無く転生した証でもある彼女のこれからの生が幸せであると願おうではないか」」
そして地琰龍ノイミュンスターは滅びたユグドラシルの霊樹を見つめる。
「「我にはユグドラシル様の方が心配じゃ・・・」」
シルフェリアの霊樹の10倍の高さ、640mもある大霊樹・・・
ユグドラシルが死に霊樹は枯れた・・・しかし崩壊は凄くゆっくりと進んでいる。
つまりユグドラシルの魂は輪廻の輪には入らず世界を彷徨っている事を意味する。
「「・・・一体、何処を彷徨われておられるのか・・・」」
ユグドラシルと言う文字通り世界の支柱を失い混乱する各種族達・・・
そんな中で最初に動いたのはやはり人間だ。
とりあえず人間の国同士が中央大陸と西の大陸での覇権を賭けて大規模な戦いが始めたのだ。
そしてその勝者が他種族に対して侵略を開始するのは明白であった。
そしてその第1目標にされるのが亜人種だ。
エルフの女王クレアの主導で亜人種達の南への避難が進んでいたが世界全体の40%程度の避難に留まった。
これから各大陸で人間対亜人の戦いが各地で勃発するだろう。
そんな中・・・
「中央大陸と西の大陸との国との外交や貿易を全て中止して海上封鎖を行う」
予想通りの展開にラーデンブルク公国は周辺の亜人の集落を併合して防衛線を築き南の大陸への人間の出入りを遮断した。
これで亜人と人間の接点が表向きには失われる事になる。
明らかにエルフを中心にした亜人が人間に対して抗議の姿勢を見せたのだ。
「さて・・・これで他の国はどう動いて来るのか」
女王クレアはこの鎖国政策でそれぞれの国の対応を見て今後の敵味方の区別をするつもりだ。
既にピアツェンツア王国からは鎖国の真偽を問う使節団が派遣されて来ている。
そう言う国とは個別で外交交渉を行う。
そんな感じに世界は動乱の時代に突入したのだが・・・
イリスはシルフェリアの死からまだ立ち直る事が出来ずに虚無の時間を過ごしていたのだった。
シルフェリアの死後のイリスは1人、東の大陸に渡り名も無き山の洞窟にダンジョンを作りその奥深くに引きこもってしまったのだ。
「イリスが自らの行末を見つけぬ限りは連れ戻しても一緒じゃ・・・
ここは放っておくしかあるまい・・・」
イリスの師匠のクレアは悲しそうに龍騎士隊イリスのメンバーにそう告げたのだが、とても納得出来ない龍騎士が二人居た。
グリフォンロードのエリカとリザードマンのロイの娘のミイだ。
イリスを連れ戻す為にイリスが作ったダンジョン攻略に向かったのだった。
「ここね!イリスがヒキニートをしているダンジョンは?」
ダンジョンの入り口で人間の姿で仁王立ちしているエリカ。
この30年、欠かさず日々修行に励みエリカは自他共に認める屈強な龍騎士へと成長して、龍騎士隊イリスの1番隊の隊長になっていた。
「隊長、ヒキニートって何ですか?」
エリカの相棒、リザードマン・・・リザードレディのミイが尋ねると、
「そうね・・・分かり易く言うと毎日無駄にボーとしている人間の事ね」
身も蓋も説明をするエリカに「あははは・・・そうなんですね?」苦笑いのミイ。
「・・・本当はね・・・イリスを連れ戻すつもりは無いんだアタシ」
「ええ?!嫌ですよ!私はイリスお姉ちゃんを絶対に連れ戻しますよ?!」
「それはイリス次第かな?
アタシ達がイリスの作ったダンジョンをアッサリと突破したらあの子はどう感じるのか・・・
それで悔しいとか何も思わなかったらイリスはもう戦えない・・・」
「う・・・」ミイも今では龍騎士の1人、立派な武人だ。
心が折れた者が戦場に出ても死ぬだけだと分かっている。
「その時は諦めてアタシはただのイリスの友人になるよ・・・何ならアタシもここのダンジョンに引き籠るわ」
「ええー?!」エリカの突然のヒキニートになる宣言に驚いたミイ。
「アタシがラーデンブルク公国に居たのはイリスが居たからだよ?
イリスが居ないんじゃ・・・あんまり公国に居る意味が無いのよね。
クレア師匠には申し訳ないのだけど」
グリフォンロードのエリカの本来の目的は「仲間のグリフォンを探す」事だ。
そしてもう一つの目的、「黒龍王ラザフォードに会う」のは既に達成している。
元は同じ地球人のラザフォードとエリカは、すぐに友達になったのだが現在彼女は全世界ツアーに出て今は西の大陸に居るらしい。
その事からもエリカが南の大陸に居る理由が乏しいのだ。
それなら落ち込んでる友人のイリスに寄り添った方が良いのだ。
「まっ!とりあえずは全力でダンジョンを攻略してイリスに会わない事には何の話しも進まないんだけどね」
「そうですよ!先ずはダンジョン攻略からです!」
二人の思惑は違えど目標は同じ、「ダンジョンの奥に居るイリスに会う」
この目標の為に二人のイリスダンジョンの攻略が始まった。
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