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第一章 エルフの少女

76話 「コリーン山攻防戦」その5

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猛烈は矢が降り注ぎようやく罠にハマった!と気付く魔族軍。

「ここで退路を塞がれたら・・・」ここで初めて恐怖を感じた指揮官。
後方を見ると木や岩の陰にホブゴブリンの姿が見えた!

ゾクリ

明らかにホブゴブリン達は弓兵隊の射撃が終わるのを待っている。
この矢の斉射が終わると間違いなく奴等は斬りかかってくる!

どこかに挽回策は?!指揮官は更に周囲を「遠視」で見渡すと今一番見たくない者達が目に飛び込んで来た!

オーガ・・・大鬼だ。

100名を超えるオーガ達が大剣を構えて出番を待っている・・・指揮官は自分が死地に居る事を悟る。

「冗談ではない!今回は金が目的なのだ!命を賭けて戦う理由がない」
そう考えた指揮官は部下を見殺しにして自分が助かる道を探し始めた。

ワアアアアアアアア!!!
弓兵の矢が尽きてホブゴブリンの戦士が突撃を開始する!

「釣り野伏せり」の成功だ!
三方向から包囲殲滅攻撃が魔族軍を襲う!

キィーン!ギギイン!!鍔迫り合いの音があちらこちらで響く!

「オーガ達は?!」指揮官はその事ばかり気が行き周囲の警戒を怠る。

ドスン!!

「え?」

一瞬胸に氷を押し付けられた様な冷たさが走り・・・
激痛と激しい苦しさが指揮官を襲った!

「ぐわああああ??!!!」

ガストンの「spiral charge」が指揮官の心臓を貫いたのだ!
龍種に匹敵する強さを誇る「スペクター」でも心臓は不味い!

「ぐぞおおおお!!!」口から血を吹き出して必死に突き刺さった槍から逃れ様と暴れる指揮官。

「爆炎!!」ドゴオオオンンンンン!!
0距離から指揮官の体内で爆発が起こる!これで指揮官の心臓は粉々になり、
「う・・・そ・・だろ?」指揮官は絶命した。

ガアアアアアアアアアアア!!!!バシーーン!!
「ぐわあ!」龍化したブリックリンが魔族兵を爪で薙ぎ払う!

「クソォ!!このリザードマン強い?!」
キィーン!ガガガガ!ズドン!!「ぎゃあああ!!」
ロイも順調に魔族兵を倒して行く。

予定では龍騎士隊イリスの出番はまだ先だったが臨機応変に3人突撃してゴブリン隊の援護を始めたのだ。

この攻撃で魔族軍は完全な劣勢になり、それを見たオーガ隊も参戦する。

「オーガだと?!ダメだ!俺は撤退するぞ!」

「テメェ勝手に逃げんじゃねえよ!」

「じゃあテメェはそこで死ねよ?!」

徐々に逃亡を始める者が現れ始める、統率すべき指揮官が倒されて統率不能の潰走状態に陥った魔族軍。

「うおおおおお!!!」ガガガガガアアンン!!
ハルバートを竜巻の様に振り回して奮戦するゴブリンロードのドンゴ!!

《ウインドブラストー!》
覚えたての「烈風砲」を問題なく使いこなすグリフォンロードのエリカ。
やはり戦闘センスは抜群だったのだ。

「ファイヤーブラスト!」「「ウインドウォール!」」
ゴオオオオオオオオオ!!
魔族の魔導士が放った「火焔砲」をシルフィーナが「風の防壁」で防ぎきる!

「この!クソチビがぁ!!」

「誰がクソチビだ!クソ親父!!」ガアアンン!!
イリスが振り下ろすウォーハンマーを盾で受け止める魔族兵!

「ファイヤーアロー!」ドオオオオオン!!
「があああ!!クッソチビいいいい!!!」
魔導士かと思えば中々のパワーファイターの戦い方をして来る。

しかし本業は魔導士なので魔法攻撃も欠かさず来るのだ。
しかも小さな身体ですばしっこいので捉え切れない。

《イリス!右から3人!》

「了解!」加えてシルフェリアの霊視が360度を監視してるので包囲が出来ない!
敵にしたら厄介な相手だ。

「このホビット風情があ!!」

「ハイエルフだよ!見て分かんない?バーカ!」しっかりと敵を煽る事も忘れない。

その後、イリスは弟子から「師匠って血の気多いっすよね?」と言われてショックを受ける事になる。

実際に多いのだから仕方ない。

個人差は魔族の方が強いが完全に作戦勝ちで優勢になったゴブリン軍。
エリカの戦略眼は本物だと証明されたのだ!

戦闘は2時間続き、生命力が高い魔族も倒れる者が続出する。
その頃には3割の兵士が逃亡して、2割の兵士が倒れ、魔族軍の兵力は300名を切っていた。

「はあ!はあ!魔族!しぶっとい!」子供のイリスには疲れが見えて来た。

「でりゃああああ!!」ガガガガガアアンン!!
イリスのフォローはドンゴがしてくれているので龍騎士隊イリスの他のメンバーは、掃討戦を始めている。

そして遂に魔族軍のデッドラインが超える。
魔力切れの魔導士からバタバタと討ち取られ始めた。
ギリギリ戦線を支えてくれていた魔導士が倒れて前衛の戦士の回復手段が絶たれた。

「も・・・もうダメだあーー!!」
1人の兵士が逃げだすと次々と潰走を始める魔族軍。
ゴブリン軍はすぐさま掃討戦から追撃戦へ移行する。

この世界の常識ではあまり追撃戦は行わない。
自らの示威を味方に示す為に敵が逃げると勝鬨から戦功報酬の受け渡し、戦勝会と移行するのが常だ。

《そんなの後でやれば良いんじゃないでしょうか?》
そんな常識をバッサリと切り捨ててしまったエリカ軍師。

これからの事も考え今回は徹底的に叩き潰して装備品を根こそぎ奪うつもりのエリカに死角はない。

それに一つの疑問がある。
それは、ホブゴブリンは戦っているが「ゴブリン達はどこへ?」との疑問だ。

コリーン山攻防戦は最後の局面を迎える。
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