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第一章 エルフの少女
75話 「コリーン山攻防戦」その4
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「伏兵があるかも知れぬ!バラバラに行軍するな!」
後詰50名を陣に残して、やや密集陣形で山を登り始めた魔族軍。
当初判明していた350名の他に別働隊200名が居て魔族軍の総兵力は550名にふくれていた。
ゴブリン軍は少し動揺したが、その事を聞いたエリカは、
《当然ですね、多分後方支援で同数、予備戦力を入れて約1200名が今回派遣された魔族軍の総兵力と思います》
と冷静に分析した。
後続の部隊は奴隷運搬部隊で戦闘力は高くはないだろうとの事。
《せっかくなので馬車と馬は頂いちゃいましょう》
これからの街作りに馬車と馬は幾らでも欲しい、鹵獲しちゃおう。
「もし投降者が出たらどうしますか?」
《降伏は許しません。身ぐるみ剥いで放り出します》
そもそも、こんな連中を街に入れる事は出来ない。
てかわざわざ街の位置を教えてやる道理は無い。
命は奪わんがその後の事は知らん、自分達で考えろとエリカは思う。
《ただ装備品は全て鹵獲させて貰うけどね》
そんなエリカの言葉を聞きイリスは・・・
「エリカちゃん凄い!勉強になります!」と大喜びだ。
《ああ・・・イリスがドンドン情け容赦なくなって来てる》
シルフェリアは嘆くが侵略して来た連中に情けなど必要無いと思う。
歩調を合わせて山を登って来る魔族軍、丁度6合目付近に到達した時・・・
ドオオオオオン!と遠くで爆発音が聞こえる。
「ん?なんだ今の?」
ドオオオオオン!ドオオオオオン!と立て続けに爆発音が山に響く。
「進軍停止!偵察隊前へ!」
異常を察知した指揮官は行軍を止め斥候を放つ。
走りさる斥候・・・しかし速攻で戻って来た?
「なななな雪崩れだーーー!!」
見ると二方向からこちらに向かって雪煙を上げながら雪崩れが迫って来ている!
「まっ!魔道士隊!火炎魔法だ!」
「ファイヤーボール!」「ファイヤーランス!」
咄嗟に反応出来たのは2名だけ、当然雪崩れは止められない!
ゴオオオオオオオオオ!!同時に7ヶ所で発生した雪崩れは魔族軍を見事に飲み込んだのだった。
特に直撃を受けたのは東の尾根を進んでいた部隊だ。
三方向からの雪崩れが隊列の全体に渡り襲いかかったのだ。
混乱状態で救出作業を進める魔族軍。
「ゴブリン共が意図的に雪崩れを引き起こした模様です!」
「分かりきった報告をするな!」
ワーワーと大騒ぎだ。
人間より強靭な肉体をもつ魔族なのでいきなり死ぬ事は無いが長時間雪に埋もれたままだと危険だ。
一連の救出作業は3時間に渡った。
死者は16名とさすがの魔族、人間では考えられない死者数の少なさだったが心身共に疲弊させられた。
「おのれえ!!ゴブリン共があああ!!」
「皆殺しだあああ!!」
エリカの狙い通り、冷静さを失い激昂する魔族、しかしまだまだ嫌らがせは続く。
ゴロン!ゴロゴロ!!ゴオオンン!!
「破壊しろ!」今度は大量に落ちてくる落石に苦慮するハメになった魔族軍。
「ちっくしょおがあああ!!」
ますます頭に血が昇る魔族の兵士、周囲を見渡すと山道で立ち尽くすホブゴブリンの一隊を発見!
「殺せぇーーー!!」猛然と襲い掛かる魔族達。
慌てた様子で撤退を開始するホブゴブリン隊、「逃すかぁ!」バラけた陣形のまま追撃戦を開始した魔族軍。
諌めなければならない指揮官が1番激昂しているのだ。
ドンドン隊列が乱れて好き勝手に獲物を追い始める兵士達。
「お前ら少し落ち着けーー!!」冷静な兵士が叫ぶが何も聞こえていない。
ホブゴブリンより足が早いはずなのに何故か追いつけない。
絶妙な距離を保って前を走るホブゴブリン達。
魔族達はこの異常を気にするべきだった。
ホブゴブリン達には風竜シルフィーナが「風の加護」を与えているので常に追い風が吹いているのだ。
対して魔族軍には弱い風の結界で行手を阻んでいる、
「風の魔法だーー!敵に誘い込まれているぞー!」
この罠を察知した魔道士が叫ぶが誰も聞いちゃいねえ。
鬨の声で全て塗り潰されてしまっている。
その内、両サイドに大きな岩がある地点にホブゴブリン達は逃げ込む。
弓兵達のキルゾーンにして「釣り野伏せり」の舞台だ。
なんの疑いも無く走り込む魔族軍の兵士達、するとホブゴブリン達は走るのを止めて立ち止まる。
「やっと諦めたか!覚悟しろおーー!」
魔族の兵士がそう叫ぶと矢の雨での返答が返って来た!
ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン
「ぎゃあああ!!」「うわっ?!」前衛兵士達が針鼠と化す。
しかし即死しないのはさすがだ。
異常な量の矢だ!「何だ?これは?!」魔族の兵士は必死に剣で矢を叩き落とすが矢の量が尋常じゃない!
ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン
全く衰える事無く降り続ける矢の雨。
《聞く所で魔族は矢では倒し切れないでしょう。
ですが継続ダメージの為に全ての矢を撃ち尽くして下さい》
そうエリカに指示されて弓兵は後の事を考えないで矢を放つ。
矢が尽きた時が「釣り野伏せり」の開始だ!
後詰50名を陣に残して、やや密集陣形で山を登り始めた魔族軍。
当初判明していた350名の他に別働隊200名が居て魔族軍の総兵力は550名にふくれていた。
ゴブリン軍は少し動揺したが、その事を聞いたエリカは、
《当然ですね、多分後方支援で同数、予備戦力を入れて約1200名が今回派遣された魔族軍の総兵力と思います》
と冷静に分析した。
後続の部隊は奴隷運搬部隊で戦闘力は高くはないだろうとの事。
《せっかくなので馬車と馬は頂いちゃいましょう》
これからの街作りに馬車と馬は幾らでも欲しい、鹵獲しちゃおう。
「もし投降者が出たらどうしますか?」
《降伏は許しません。身ぐるみ剥いで放り出します》
そもそも、こんな連中を街に入れる事は出来ない。
てかわざわざ街の位置を教えてやる道理は無い。
命は奪わんがその後の事は知らん、自分達で考えろとエリカは思う。
《ただ装備品は全て鹵獲させて貰うけどね》
そんなエリカの言葉を聞きイリスは・・・
「エリカちゃん凄い!勉強になります!」と大喜びだ。
《ああ・・・イリスがドンドン情け容赦なくなって来てる》
シルフェリアは嘆くが侵略して来た連中に情けなど必要無いと思う。
歩調を合わせて山を登って来る魔族軍、丁度6合目付近に到達した時・・・
ドオオオオオン!と遠くで爆発音が聞こえる。
「ん?なんだ今の?」
ドオオオオオン!ドオオオオオン!と立て続けに爆発音が山に響く。
「進軍停止!偵察隊前へ!」
異常を察知した指揮官は行軍を止め斥候を放つ。
走りさる斥候・・・しかし速攻で戻って来た?
「なななな雪崩れだーーー!!」
見ると二方向からこちらに向かって雪煙を上げながら雪崩れが迫って来ている!
「まっ!魔道士隊!火炎魔法だ!」
「ファイヤーボール!」「ファイヤーランス!」
咄嗟に反応出来たのは2名だけ、当然雪崩れは止められない!
ゴオオオオオオオオオ!!同時に7ヶ所で発生した雪崩れは魔族軍を見事に飲み込んだのだった。
特に直撃を受けたのは東の尾根を進んでいた部隊だ。
三方向からの雪崩れが隊列の全体に渡り襲いかかったのだ。
混乱状態で救出作業を進める魔族軍。
「ゴブリン共が意図的に雪崩れを引き起こした模様です!」
「分かりきった報告をするな!」
ワーワーと大騒ぎだ。
人間より強靭な肉体をもつ魔族なのでいきなり死ぬ事は無いが長時間雪に埋もれたままだと危険だ。
一連の救出作業は3時間に渡った。
死者は16名とさすがの魔族、人間では考えられない死者数の少なさだったが心身共に疲弊させられた。
「おのれえ!!ゴブリン共があああ!!」
「皆殺しだあああ!!」
エリカの狙い通り、冷静さを失い激昂する魔族、しかしまだまだ嫌らがせは続く。
ゴロン!ゴロゴロ!!ゴオオンン!!
「破壊しろ!」今度は大量に落ちてくる落石に苦慮するハメになった魔族軍。
「ちっくしょおがあああ!!」
ますます頭に血が昇る魔族の兵士、周囲を見渡すと山道で立ち尽くすホブゴブリンの一隊を発見!
「殺せぇーーー!!」猛然と襲い掛かる魔族達。
慌てた様子で撤退を開始するホブゴブリン隊、「逃すかぁ!」バラけた陣形のまま追撃戦を開始した魔族軍。
諌めなければならない指揮官が1番激昂しているのだ。
ドンドン隊列が乱れて好き勝手に獲物を追い始める兵士達。
「お前ら少し落ち着けーー!!」冷静な兵士が叫ぶが何も聞こえていない。
ホブゴブリンより足が早いはずなのに何故か追いつけない。
絶妙な距離を保って前を走るホブゴブリン達。
魔族達はこの異常を気にするべきだった。
ホブゴブリン達には風竜シルフィーナが「風の加護」を与えているので常に追い風が吹いているのだ。
対して魔族軍には弱い風の結界で行手を阻んでいる、
「風の魔法だーー!敵に誘い込まれているぞー!」
この罠を察知した魔道士が叫ぶが誰も聞いちゃいねえ。
鬨の声で全て塗り潰されてしまっている。
その内、両サイドに大きな岩がある地点にホブゴブリン達は逃げ込む。
弓兵達のキルゾーンにして「釣り野伏せり」の舞台だ。
なんの疑いも無く走り込む魔族軍の兵士達、するとホブゴブリン達は走るのを止めて立ち止まる。
「やっと諦めたか!覚悟しろおーー!」
魔族の兵士がそう叫ぶと矢の雨での返答が返って来た!
ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン
「ぎゃあああ!!」「うわっ?!」前衛兵士達が針鼠と化す。
しかし即死しないのはさすがだ。
異常な量の矢だ!「何だ?これは?!」魔族の兵士は必死に剣で矢を叩き落とすが矢の量が尋常じゃない!
ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン
全く衰える事無く降り続ける矢の雨。
《聞く所で魔族は矢では倒し切れないでしょう。
ですが継続ダメージの為に全ての矢を撃ち尽くして下さい》
そうエリカに指示されて弓兵は後の事を考えないで矢を放つ。
矢が尽きた時が「釣り野伏せり」の開始だ!
応援ありがとうございます!
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