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第一章 エルフの少女

67話 「グリフォンロード!エリカちゃん」その1

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なし崩し的に龍騎士隊イリスに加入したグリフォンのエリカちゃん。
色々と身の上の相談を聞いて見るイリス。

《私、大学で登山部に入ってたんです》

「ほう?登山部?」って何?山を登る集まり?何が目的で?とは思ったが黙ってエリカの話しを聞くイリス。

《それで軽いトレーニングのつもりで地元の県内の1000mちょいの山で日帰りの雪山登山にひとりで行ったんです》

色々と分からない単語があるがニュアンスは伝わって来る。
要するに修行やね。

《そしたら、多分・・・地震だと思うんですが急に視界が揺れて、そしたらすぐに雪崩れが発生して目の前が真っ暗になって気を失ったんです》

なっ・・・なんてついてない。
大学の登山部なら1000mの雪山は確かに単独の日帰りのトレーニングだ。
そこで地震に雪崩れの連続コンボを喰らうとは・・・

イリス的には「火炎系の魔法」でぶっ飛ばせば?とは思ったが、ラザフォードから地球には魔法は無いと聞いていたので、それは気の毒にと思った。

《そして目を覚ましたらこうなってました・・・》
大きく翼を広げるエリカ、うん!素晴らしい立派なグリフォンですな。

《最初はこの子の魂?もあって色々と教えてくれていたのですが・・・
徐々に同化して行って私ひとりになってしまいました・・・》

イリスとシルフェリアと同じ様な状態だったのかな?

《1人が寂し過ぎて今日から他のグリフォンの仲間が居ないか探す旅に出るつもりだったんです》

「えっ?今日から旅に出るつもりだったの?」

《そうです》

「じゃあさ、私達と一緒に行動しながらグリフォンを探そ?」

現実的に予備知識無しにグリフォンを探すのはかなり難易度が高い。

グリフォンは群れを作らずに単独もしくは、つがいで行動して行動範囲は1000kmとかなり広い、偶然見つける可能性は皆無に等しい。
おそらく遭遇確率は天龍の方が高いくらいなのだ。

「それにラーデンブルクに帰ってもう1人の転生者からも何か情報が聞けるかも知れないし・・・どうかな?」

《!!!はい!よろしくお願いしますイリスちゃん》
ここまでの良い条件を蹴る訳が無い、即答するエリカ。

しかし、ここで白ちゃんが待ったをかける。

「あー、2人共?ちょっと良いかな?
一緒に行動するなら一応は言っておくとエリカは「グリフォンロード」で普通のグリフォンとは違うからね」

《えっ?!グリフォンロード!!って何ですか?なんかカッコいいですね?》

「んん?カッコいいじゃなくて「偉い」のよ?
グリフォンの王様と言って良い存在よ、無論潜在能力も普通のグリフォンより凄く高いわ」

《へー?そうだったんですか?》全く他人事のエリカ

「黒龍のラザフォードと言い「地球」からの転生者って欲が無いのかな?
その気になれば一国程度、簡単に支配出来るよ?」

《あっ、私はそう言うのいいですから》
ブリックリンの言葉をドキッパリと拒否るエリカ。

確かにある朝目覚めたら「今日から君が王様だ!」とか言われても、
「何じゃいそりゃ?」ってなるよね。
つうか、いきなり王様になれとか言われたら普通の人間は怖いわ。

「イリスも面白い子だけどエリカも面白い子ねえ・・・
ここの所、アタシを見ても怖がらない子が増えて嬉しいわ」

《え?お姉さん、お綺麗じゃないですか?何で怖がるんです?》
コテンと首を傾げるエリカ、大きなグリフォンだが、なかなか可愛い仕草だ。

「あら?エリカは「真実の目」を持っているのね?」
これにはビックリの白ちゃん、Sランクの鑑定眼スキルだからだ

《真実の目って何ですか?》そんな事など全く知らないエリカ。

「そっか知らないか・・・その者の本質を見抜く最高クラスの鑑定眼よ。
うーん?そうねえ・・・なら試しにガストンを見てエリカ」

そう言ってガストンを指差す白ちゃん。

「えっ?私?」ビクンと驚くガストン、まさか自分に振られるとは来るとは思って無かったのだ。

うぬぬぬぬ???と一生懸命にガストンを見つめるエリカ。
《えーと?ガストンさんは真面目な人に見えます》
鑑定結果を告げると、

「わあ!正解だね!ねえねえ私は?」面白そうな話題にワクテカするイリス。
なんか占いの館のノリになって来た。

エリカはイリスをジッと見て、
《イリスちゃんは・・・ええ?!ロリコン?!なんでぇ?!》
幼児がロリコンって何じゃい?!とパニックになるエリカ、確かに訳が分からん。

「あっ、一応は正解ですけど、それ私じゃ無くて同居人の本質なので忘れて下さい。
その他の事を見て下さい」

うん、エリカはシルフェリアの方を見ているね。

《イリス酷い!》

「やかましい!ロリコン精霊」

《その他ですか?・・・うーん???眩しくて何も見えないですね》
エリカから意外な言葉が出て来た、眩しい?って何?

「ああ・・・やっぱりね、イリスは不確定要素が多すぎて本質がまだまだ出来てないのよ。つまり将来は白にも黒にもなるのよ。
でも眩しいなら「光」の属性になりつつあるかもね」

「そんな事も分かるんだ・・・」
その内ペカーって光るのだろうか?と自分の手を見るイリス。
もしそうなったら絶対に皆んなから大爆笑される!と慄くイリスだったのだ。
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