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第一章 エルフの少女

65話 「対バジリスク戦」

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「とりあえず家に居候してなさい。我が家って無駄に広いから問題無いわ」
オーガキングのホワイトの好意でロイ一家は白ちゃん宅の居候になった。

ロイの娘のミイは強面の白ちゃんを一目見て、あっと言う間に懐いた。
今まで子供には絶対に泣かれていた白ちゃんは感動の余り・・・

「ミイは家の子にするわ!」とのたまい・・・「ダメです」とイリスに一蹴されていた。

どうやらミイには、その者の本質を見抜く特殊な技能がある様だ。

「まだクレア様の到着まで時間があるよね・・・」
豊穣の祝福の儀式の為にこちらへ向かって来ているハイエルフ一行の到着までにまだ2週間弱あるのだ。

地図の方は順調に完成しつつあるので・・・

「予定通りに魔物の間引きを行いますか?」ガストンが提案して来る。
鬼族の街の周辺の脅威の排除・・・これも大切な仕事だ。

「そうだね、ロイとの連携も確認しないとね」
前衛職のロイが加わって、ブリックリンにガストンとロイが乗り前衛に、
シルフィーナにイリスが乗り、索敵と後方からの支援に隊形が決まった。

ガストンと離れてシルフィーナは少し不貞腐れていたが、
「今度2人で遊びに行きましょう」とのガストンの言葉に有頂天になった。
少しずつシルフィーナの扱いになれて来たガストンだった。

「なら、バジリスクの討伐を依頼するわ」
ここで白ちゃんがガチの依頼を持って来たのだが?

「バジリスク?蛇の魔物ですよね?結構強めの魔物だと・・・
でも白ちゃんなら楽勝ですよね?」

そう・・・オーガキングとバジリスクなら格が違い過ぎてバジリスクに勝ち目などは皆無だろう。

「蛇が嫌いなのよぉ・・・」明らかに嫌そうな白ちゃん。
白ちゃんの戦闘スタイルは「拳闘士」嫌でも敵と近接する必要があるからだ。

「あー、なるほどぉ。他に蛇が嫌いな人は?」

「直接触らなければ」とシルフィーナ。

「私も問題ありません」とガストン。

「俺は蛇は嫌いだけど近づかせないから」とブリックリン。

「蛇は貴重なご飯だったので」とロイ。

《あんまり大量に出なければ》とシルフェリア。

イリスも大量にごちゃごちゃと蠢いていなければ大丈夫だ。

「多少の不安要素はあるけど大丈夫そうだね」
こうして龍騎士隊イリスのバジリスク討伐が開始されたのだ。

「数が多くて陣形攻撃する知能があるから気をつけてね」
過去に白ちゃんはバジリスクの陣形攻撃で大量のバジリスクに身体中を巻き憑かれて以来バジリスクが苦手になったとの事。

「ならミドルレンジからの攻撃が有効ですね」
ガストンの指摘通りバジリスクは巣穴や物陰に待ち伏せして敵を襲う。
その為に遠距離攻撃は効果が薄いのだ。

「じゃあ、シルフェリアが索敵して発見したら私達が囮になって誘きだしてブリックリン達がトドメを刺す戦法で良いかな?」

「それで問題ありません」

「良し!最初は慎重に行きます!」

『石橋を見つけたら鉄筋コンクリートで固めてから渡ろう!』
戦闘に関して言えばそれくらい慎重なイリス、今回も当然万全の準備で挑む。

「さすがにそんなに要らなくね?」と皆んなが少し呆れるくらいにエルフ特製の毒消し薬を大量に作るイリス。
バジリスクが毒球を高速で撃ち出して来ると聞いたからだ。

加えて全員が対毒耐性の盾も持つ、龍形態のブリックリンとシルフィーナには、追加で檜製の対毒装甲を加える、鉄製だと重いからだ。

「どう?2人共」

「「悪くありませんわ、軽くてほとんど加重を感じませんわ」」

「「そうだね、空気流動にも問題無いね」」

こうして「過剰じゃね?」と言うくらいの準備をして対バジリスク戦を開始した龍騎士隊イリスだが、この過剰装備が役に立つのだ。

「「きゃああああ??イリスー?右!右!ああ?!左ーーー!!
いやあーーーーん?!ダメーーー!!」」

バチュン!バチュン!バジリスクの毒球の直撃を受けまくるシルフィーナ!
なんとか追加装甲でほとんど防いでいるが少し毒を受ける!

「解毒!!」毒消し薬で相乗効果を爆上げした解毒魔法で即座にシルフィーナを治療するイリス!

「クソ!コイツら!」毒球を盾で受けながらバリスタを突き倒すガストン!

「攻撃がいやらしいですな!」ロイも防戦一方だ。

「「俺が対毒を引き受けるから2人は攻撃に専念して!」」

「スパイラル・チャージ!!」ドオオオオオン!!

「アイス・スパイラル!!」ゴオオオン!!

大技で何とか数匹のバジリスクを倒す物の・・・
前衛のブリックリン隊はさすがにシルフィーナほど直撃は受けない物のバジリスクの飽和攻撃で無傷とは言えない。

予想を遥かに上回る苦戦に追い込まれていたのだ。

なぜこんな事になったか・・・
それはバジリスクの徹底的な防御戦法を破り切れないからだ!
囮などでヒョイヒョイと出て来る個体はいない。

とにかく障害物に隠れての毒球長距離攻撃を徹底して来るバジリスク。
撃っては離脱を繰り返しているので位置の特定が上手く出来ない。

《・・・右の岩陰に3体!》
「アイス・ジャベリン!!」ドンドン!ドン!!

シルフェリアも頑張って索敵してイリスが徐々に仕留めてはいるが動き回るバジリスクに苦労している。

《!!シルフィーナ!上です!!》

「「今度は上ーーー??!」」バチュンバババチュン!!

「「いやーーーーん!!」」
かわし切れずにまた上からの毒球の直撃を受けるシルフィーナ!

イリスも盾で防ぐがやはり毒に侵される!
すぐに毒消し薬を嚙るが体力は消耗させられるのだ。

「解毒!!」シルフィーナへの解毒で魔力も消費させられる。

「「これ不味いね!イリス!一旦離脱!!」」

「了解!全員離脱!!」

こうして敗走する龍騎士隊イリス、初戦はバジリスクの完勝に終わった。
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