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第一章 エルフの少女
49話 「ピアツェンツェア王都」その3
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ガストン・エスピナス、彼はユグドラシル瞳を継承した勇者だ。
彼が最初からイリス達の事を把握していたのに、すっとぼけて何も知りません的な態度を取っていた事にイリスは拗ねた、それはもう盛大に。
精神的に大人だろうが幼児なのだ!拗ねる時は拗ねるのだ。
抗議の為に通路のド真ん中で体育座りして動かなくなったイリス。
「ごめんごめん、君があまりに小さくて可愛いかったからさ、
なんか揶揄いたくなっちゃっただけだよ」
「それ全然謝罪になってませんわ!」
同じユグドラシルの眷属だと判った以上は何の遠慮もしないシルフィーナ。
「・・・・・・・・やっぱり人間嫌い」
「だからごめんって」
すると突然、
「ああ!だから食糧を取り返しに来たゴルド軍を返り討ちに出来たのか!」
今度こそ納得が行った!と言う様子のブリックリン。
ブリックリンには、どう考えてもゴルド軍を弾き返せる戦力がこの王都に有ると思えなかったのだ。
しかし三龍王に匹敵する力が有る彼が居れば造作もないだろう。
「おっと、勘違いは早い内に訂正しないとね。
確かに僕は強いけど龍王には全然及ばない、一人でゴルド軍を撃破出来るだけの力は無いよ。
それに強い個体は必ず数に負ける。それだけは覚えておいてね」
「そこまで世の中甘く無いよ」と勇者万能説を否定をして笑うガストン。
ガストン曰く、
本当にゴルド王国に反発した強い人物達がこの王都に集結しているのだそうだ。
何よりも国王代理の知恵が無かったらここを制圧するなど不可能だったそうだ。
そんな話しを通路のド真ん中でしていると・・・
「ガストン・・・いつになったら使者殿を部屋に連れて来てくれるんだ?」
カイゼル風の髭を蓄えた初老の男性がそんな事を言いながら通路の向こうから歩いて来る。
それから「意地でも動かん!」と地面にへばり付いてるイリスの前まで来たら・・・
男性はイリスと向かい合って通路に正座した?!
イリスと目線を合わせて、
「初めまして龍騎士イリス殿、私はクレマン・ヴィアールと言います。
よろしくお願いします」と頭を下げた。
イリスはポカンとしたがすぐに我に返り、
「龍騎士のイリスです、こちらこそよろしくお願いします」
と体育座りのまま頭を下げた。
「使者殿はこの場が良さそうなので、こちらで話しをしましょう」
そう言ってマジで通路のド真ん中で正座のまま会談を始めてしまいそうなクレマン。
途端にイリスはここに座っているのが恥ずかしくなり、顔を真っ赤にして、
「うう~、また変な人が・・・」と悪態をついた。
クレマンの奇行に意地を張るのを観念したイリスは大人しく王の間へ入った。
「見事なくらいに何も無いっすね」
思わずブリックリンが笑うほど王の間には何も無かった。
50畳ほどの無駄に広い部屋に8人掛けの机と椅子が置いてあるだけなのだ。
いや・・・その奥に小さな机の上に書類が積んで置いてあるか。
「ほらね、ここも通路も大差が無いでしょう?」そうクレマンは笑う。
「ここに住んでるんですか?」思わずイリスが尋ねると、
「そうですよ?ほら」クレマンの指は部屋の隅に申し訳なさげに置いてある、ひと組の布団と大きな鞄を指し示す。
「そうですか・・・」イリスはこの変な人間達に困惑しっぱなしだ。
とりあえず2対3で座り、対ゴルド軍共同戦線の構築の話し合いを始める。
先ずはピアツェンツェア王国からの要求からだ。
「我々の望みはゴルドの勢力を中央大陸から追い出す、望みはこれだけです」
この点はラーデンブルク公国も同じなので頷く。
「ですがご覧の通りここには兵士が少なく長距離の遠征は不可能です。
協力出来るのはこの街から半径50km圏内が限界と思って頂きたい」
言い方を変えると半径50km圏内の敵は全てピアツェンツェア側で殲滅すると言っているのだ。
「分かりました充分です、よろしくお願いします」
元々ゴルド軍の東端部を突っつく予定なのでそれで問題は無い。
「そちらからの要求がありましたらお願いします」
「こちらからの要求もただ一つです。
東方に住むエルフ達の保護をお願いします。」
「それは勿論約束致します。
・・・ただ下手をすればこちらが保護対象になりかねないですけどね」
そう笑うクレマンを見て「大丈夫かな?この同盟」と少し不安になるイリスだった。
「では、そちらも共同戦線と言う事で」
「分かりました、その方がこちらも助かります」
結局は東部方面も「不戦同盟」と言う形になる。
「以上ですかな?」
「以上ですね」
え?!これで終わり?と思われるかも知れないが今回は「私達は共同戦線を張るけど大丈夫?聞いて無いなんて事ないよね?」との確認だけなので話し合いはここまでなのだ。
話しの主題はここからの雑談なのだ。
イリス的には現時点でもツッコミ所満載、疑問だらけなのだ。
「それで貴方達は将来的にエルフとはどう言う関係を築いて行くつもりですか?」
この連中に駆け引きしても負けて揶揄われるだけだと思ったイリスは超ド直球で行く事に決めた。
そんなイリスにクレマンは少し驚いた表情をした。
「そう来るか?」とでも言いたげた。
クレマンはイリスを少し子供扱いしていた節がある、実際に幼児だから仕方ない。
どちらかと言うとイリスを使者として認めるのが凄い事なのだが・・・
この点もイリスが困惑している事の一つだ。
「こんな子供を使者になど!」と憤慨する国王相手に「じゃあ試して見ます?」とか言って側近の兵士をボコる算段までしていたのだ。
今はやらんで良かったと思っている・・・全然勝てる気がしない!
「少し長くなると思うけど良いかな?」
どうやらクレマンはイリスを大人として扱うと決めた様子だ。
彼が最初からイリス達の事を把握していたのに、すっとぼけて何も知りません的な態度を取っていた事にイリスは拗ねた、それはもう盛大に。
精神的に大人だろうが幼児なのだ!拗ねる時は拗ねるのだ。
抗議の為に通路のド真ん中で体育座りして動かなくなったイリス。
「ごめんごめん、君があまりに小さくて可愛いかったからさ、
なんか揶揄いたくなっちゃっただけだよ」
「それ全然謝罪になってませんわ!」
同じユグドラシルの眷属だと判った以上は何の遠慮もしないシルフィーナ。
「・・・・・・・・やっぱり人間嫌い」
「だからごめんって」
すると突然、
「ああ!だから食糧を取り返しに来たゴルド軍を返り討ちに出来たのか!」
今度こそ納得が行った!と言う様子のブリックリン。
ブリックリンには、どう考えてもゴルド軍を弾き返せる戦力がこの王都に有ると思えなかったのだ。
しかし三龍王に匹敵する力が有る彼が居れば造作もないだろう。
「おっと、勘違いは早い内に訂正しないとね。
確かに僕は強いけど龍王には全然及ばない、一人でゴルド軍を撃破出来るだけの力は無いよ。
それに強い個体は必ず数に負ける。それだけは覚えておいてね」
「そこまで世の中甘く無いよ」と勇者万能説を否定をして笑うガストン。
ガストン曰く、
本当にゴルド王国に反発した強い人物達がこの王都に集結しているのだそうだ。
何よりも国王代理の知恵が無かったらここを制圧するなど不可能だったそうだ。
そんな話しを通路のド真ん中でしていると・・・
「ガストン・・・いつになったら使者殿を部屋に連れて来てくれるんだ?」
カイゼル風の髭を蓄えた初老の男性がそんな事を言いながら通路の向こうから歩いて来る。
それから「意地でも動かん!」と地面にへばり付いてるイリスの前まで来たら・・・
男性はイリスと向かい合って通路に正座した?!
イリスと目線を合わせて、
「初めまして龍騎士イリス殿、私はクレマン・ヴィアールと言います。
よろしくお願いします」と頭を下げた。
イリスはポカンとしたがすぐに我に返り、
「龍騎士のイリスです、こちらこそよろしくお願いします」
と体育座りのまま頭を下げた。
「使者殿はこの場が良さそうなので、こちらで話しをしましょう」
そう言ってマジで通路のド真ん中で正座のまま会談を始めてしまいそうなクレマン。
途端にイリスはここに座っているのが恥ずかしくなり、顔を真っ赤にして、
「うう~、また変な人が・・・」と悪態をついた。
クレマンの奇行に意地を張るのを観念したイリスは大人しく王の間へ入った。
「見事なくらいに何も無いっすね」
思わずブリックリンが笑うほど王の間には何も無かった。
50畳ほどの無駄に広い部屋に8人掛けの机と椅子が置いてあるだけなのだ。
いや・・・その奥に小さな机の上に書類が積んで置いてあるか。
「ほらね、ここも通路も大差が無いでしょう?」そうクレマンは笑う。
「ここに住んでるんですか?」思わずイリスが尋ねると、
「そうですよ?ほら」クレマンの指は部屋の隅に申し訳なさげに置いてある、ひと組の布団と大きな鞄を指し示す。
「そうですか・・・」イリスはこの変な人間達に困惑しっぱなしだ。
とりあえず2対3で座り、対ゴルド軍共同戦線の構築の話し合いを始める。
先ずはピアツェンツェア王国からの要求からだ。
「我々の望みはゴルドの勢力を中央大陸から追い出す、望みはこれだけです」
この点はラーデンブルク公国も同じなので頷く。
「ですがご覧の通りここには兵士が少なく長距離の遠征は不可能です。
協力出来るのはこの街から半径50km圏内が限界と思って頂きたい」
言い方を変えると半径50km圏内の敵は全てピアツェンツェア側で殲滅すると言っているのだ。
「分かりました充分です、よろしくお願いします」
元々ゴルド軍の東端部を突っつく予定なのでそれで問題は無い。
「そちらからの要求がありましたらお願いします」
「こちらからの要求もただ一つです。
東方に住むエルフ達の保護をお願いします。」
「それは勿論約束致します。
・・・ただ下手をすればこちらが保護対象になりかねないですけどね」
そう笑うクレマンを見て「大丈夫かな?この同盟」と少し不安になるイリスだった。
「では、そちらも共同戦線と言う事で」
「分かりました、その方がこちらも助かります」
結局は東部方面も「不戦同盟」と言う形になる。
「以上ですかな?」
「以上ですね」
え?!これで終わり?と思われるかも知れないが今回は「私達は共同戦線を張るけど大丈夫?聞いて無いなんて事ないよね?」との確認だけなので話し合いはここまでなのだ。
話しの主題はここからの雑談なのだ。
イリス的には現時点でもツッコミ所満載、疑問だらけなのだ。
「それで貴方達は将来的にエルフとはどう言う関係を築いて行くつもりですか?」
この連中に駆け引きしても負けて揶揄われるだけだと思ったイリスは超ド直球で行く事に決めた。
そんなイリスにクレマンは少し驚いた表情をした。
「そう来るか?」とでも言いたげた。
クレマンはイリスを少し子供扱いしていた節がある、実際に幼児だから仕方ない。
どちらかと言うとイリスを使者として認めるのが凄い事なのだが・・・
この点もイリスが困惑している事の一つだ。
「こんな子供を使者になど!」と憤慨する国王相手に「じゃあ試して見ます?」とか言って側近の兵士をボコる算段までしていたのだ。
今はやらんで良かったと思っている・・・全然勝てる気がしない!
「少し長くなると思うけど良いかな?」
どうやらクレマンはイリスを大人として扱うと決めた様子だ。
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