御伽の国

素うどん

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珠樹(じゅき)の国編

第7話

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「ねぇ、何で執事さんが病気だって分かったの?」
「掃除だよ、掃除」
「掃除?」
「えぇ、例えば。家具の後ろや、床の隅っこ。ここが1番埃がたまりやすくなってますよね?」
「そういえば、そうだけど」
「掃除好きの執事さんなら、きちんと掃除されてるはずです。」
「それに、あいつは手抜き掃除をしないからな。老ぼれたとて、老眼鏡かけてんだしゴミは見えてる」
「なら、原因は1つ。病気か、身体が動かなくなったかです」
「で、病気にかけたの?」
「はい。」
「そうだ」
「病気治ると良いね…」
「あぁ。」
珠樹は、ユズハを横目で見た。
ユズハは何故他人の執事の心配をするのか。俺たちは他人の心配より自分の心配を先にしろがルールだった。
それなのに、そのルールを覆すユズハが現れて内心戸惑っていた。
「不思議な方でしょう?ユズハ様は」
黒羽は笑顔で、珠樹に話しかける。
「不思議な…。そうだな、俺たちの作ったルールをことごとくひっくり返すからな」
「そんな方だからこそ、目が離せないのです。成長を見守りたい。そう思うのです」
「珍しいな、黒羽がそんなにものめり込むなんて」
「そうですか?」
「いつもは…」
「お黙り下さい」
一瞬で珠樹の口を塞ぐ
顔は笑っていたものの、声は怒っていた。
「あいつに魅力があるのか?」
「ありますよ、とても沢山。私が持っていないものすらお持ちです」
「へぇ…」
この何日かしかユズハを見ていないが、そんな魅力どこにも感じなかった。
黒羽が夢中になるくらいだから、きっと凄いのだろう。
「俺も知りたくなった」
「教えませんよ?」
黒羽は微笑むと、ユズハを抱き寄せた。
「!?」
ユズハは急な事に驚いて、珠樹と黒羽を交互に見た。
「く、く、黒羽?ど、どうしたの?」
頬を赤く染めて、ユズハは問う。
「いえ、急に抱きつきたくなりまして」
微笑みながら、ユズハの頭を撫でる。
「そ、そう」
さっきよりも落ち着いた。
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