御伽の国

素うどん

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珠樹(じゅき)の国編

第2話

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ようやく勉強から解放され、図書館を出て廊下に出た。
窓から入ってくる光は、薄暗く月が照らしてくれる光しか足元を照らさない。
「暗いー。何でこの廊下だけ照明がついてないの!?」
図書館は離れにつくってあり、長い廊下を右に曲がると本館に繋がる。
なので、この薄暗い廊下を歩かないといけないのだ。

「お化け出てきたら絶対倒れる!!」
そう宣言して、本館へ戻ろうとした。
その時、ドンッと何かにぶつかった。
「何なの!?」
薄明かりで、辺りを見渡すも誰もいなくて自分が尻餅をついてた。
「お、おばっ!?ま、さかおばっ!!お化けっ!!!」
声が震えて、上手く言葉が出ない。
足も震えてて立てずに、どうしようかと悩んでいた。
もし、このままだとお化けに捕まってしまう。
「ヤダ、怖いっ」
どうにかして、立ち上がろうとするも力が入らない。
「姫様!」
「く、黒羽っ」
遠くから黒羽の声が聞こえる。
安心して、座り込んだ。
「大丈夫ですか?」
息を切らしながら、黒羽は駆け寄った。
「お化けにぶつかったっ!!」
「お化け?ですか?」
「絶対信じてないー!!!」
黒羽の目は、お化け?そんなのいるのですか?という目だった。
「いたもん!ぶつかったしっ」
「なら、人間の可能性がありますね。ここでお待ち下さい。すぐ見つけてきますから」
「え!?待って、1人にしないでっ」
伸ばした手は、黒羽の服を掴みきれず空を掴んだ。
「あっ…」
置いて行かれた。
そう思った途端、涙が出てきた。
「アレ、おかしいな…。悲しくなんて無いのにっ」
拭っても、涙は溢れてきた。
「寂しいな…」
そう呟くと、すぐに黒羽が目の前に現れた。
「黒羽?」
「泣いてるのですか?」
「泣いて無い、目にゴミが入って痛かっただけっ」
「お化け、見つけて来ましたよ。」
「え?待って、もう一回言って」
「お化けの正体が分かりました。」
「誰!?」
「この方です」
黒羽が前に押し出した。
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