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三章~狙われた地平線~
荒れ果てた土地と鷹
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「結局、あいつらは俺達を待ってたって事なの?」
車から降り、ネズミが呟く。
「俺達、というか…闘技場を突破出来る奴らを探してたのかもしれないな。」小さな声に応答した龍。
「一枚岩じゃ無いんですかね?あの組織は。」
「こればっかりは分からねぇな…何にせよ。」
龍が目の前の景色を見つめる。
「…言われた場所がこれか。」
人の気配がない民家、主を無くした車、ここに生き物が居なくなってから、かなりの時間が経ってる事は明らかだった。
「俺達の町と同じだ…ここも奴らの手が入ったって事なのかな?」
「いや、襲われた感じじゃないですよね?」
「あぁ、建物の劣化がそんなに酷くねえ。住民が全員逃げた。ってのがしっくりくる。」
その時、物凄い風切り音が三人の間を通り過ぎていった。
「今すぐ隠れろ!」
*
「お前は、本当に…一発で仕留められないのかよ。」
「だって…兄ちゃん。」
茶色の布、ローブのようなものを被った二人が小声で話していた。
「だって、じゃねぇよ。ほら見ろ、あいつら隠れちまったじゃねぇか。」
目線の先。標的の三人が走り出し、民家の中、車の陰に入りこちらからは見えなくなった。
「あっ、でも兄ちゃん!あいつ、一人だけあそこにいるよ!」
「大きい声を出すな。」
そう言うと、兄の方が片目で狙いを定めていたが、指は動かなかった。
「兄ちゃん?」
「誘ってるな…」
*
「ノッて来ねぇか…」
車の陰に隠れた豊と民家の中に入ったネズミ。
だが、隠れる様に叫んだ龍は微動だにせずに辺りを見回していた。
「龍さん、早く隠れないと!何処から攻撃が来るか分からないんだから!」
「まぁ、焦るな。」
龍は気付いていた、今撃てば相手は居場所がバレる事を。
思慮が浅い可能性を考慮して、二人には念のために隠れてもらったが…
ゆっくりと歩き出す龍。
三人の間を通り過ぎた物体を探す為に地面を凝視する。
すると…
「あった。」その証拠を見つけ、とある場所を探し始めた。
そして…違うモノを見つめて目を見開き、呟いた。
「来てたのか…」
*
「兄ちゃん、何か見られてない?」
「動くな、全身をローブで隠せ。」
『もう、手遅れだけどな。』
どこからか声が聞こえた瞬間、弟が右側にドサリと倒れ込んだ。
「お前!どこから!」
「兄ちゃん…」
兄が構える前に、頭に高速で何かが通過した。
どさりと前のめりに倒れる。
二人を見下ろしながら長い黒髪を後ろで束ねた男が武装解除し、ゆっくりと口を開く。
「高い所から標的を狙う。確かにセオリー通りだが、こんなに岩柱がある中で一番高い所を選ぶのはあまりにも安直過ぎねぇか?しかも、一発撃って動きもしない。呆れて物も言えねえ。」
「鰐淵兄弟をナメるな!」最後の力を振り絞り、弟が男に突進する。
が、男はヒラリと身を交わしそのまま岩柱から退場していった。
「銃を生業にしたなら、最後までそれを使えよ、馬鹿が。一発撃ってよろけた所にタックルとかあるだろうが…さてと、久しぶりだなぁ。龍。」
男が龍に向かって照準を定める。
*
「龍さん、どうなりました?」
「鷹だ…」
「えっ、鷹さんがいるの?」思わず顔を出すネズミ。
「バカ、顔出すな!こっちを狙ってる。」
「どうせ、【いつも】のでしょ?あっ、鷹さん。おーい!」
「この距離で聞こえねぇよ。」タメ息をつきながらそれでも視線は鷹から離さなかった。
*
「なんだ、ネズミがいるのか…なら、しょうがねぇな。特別サービスだ、俺は午と未。そんで、お前たちは…」
そう言うと、鷹は向きを変え、明後日の方に指を動かした。
その方向に龍達が顔を向けて、戻す頃には鷹の姿は何処にもなかった。
車から降り、ネズミが呟く。
「俺達、というか…闘技場を突破出来る奴らを探してたのかもしれないな。」小さな声に応答した龍。
「一枚岩じゃ無いんですかね?あの組織は。」
「こればっかりは分からねぇな…何にせよ。」
龍が目の前の景色を見つめる。
「…言われた場所がこれか。」
人の気配がない民家、主を無くした車、ここに生き物が居なくなってから、かなりの時間が経ってる事は明らかだった。
「俺達の町と同じだ…ここも奴らの手が入ったって事なのかな?」
「いや、襲われた感じじゃないですよね?」
「あぁ、建物の劣化がそんなに酷くねえ。住民が全員逃げた。ってのがしっくりくる。」
その時、物凄い風切り音が三人の間を通り過ぎていった。
「今すぐ隠れろ!」
*
「お前は、本当に…一発で仕留められないのかよ。」
「だって…兄ちゃん。」
茶色の布、ローブのようなものを被った二人が小声で話していた。
「だって、じゃねぇよ。ほら見ろ、あいつら隠れちまったじゃねぇか。」
目線の先。標的の三人が走り出し、民家の中、車の陰に入りこちらからは見えなくなった。
「あっ、でも兄ちゃん!あいつ、一人だけあそこにいるよ!」
「大きい声を出すな。」
そう言うと、兄の方が片目で狙いを定めていたが、指は動かなかった。
「兄ちゃん?」
「誘ってるな…」
*
「ノッて来ねぇか…」
車の陰に隠れた豊と民家の中に入ったネズミ。
だが、隠れる様に叫んだ龍は微動だにせずに辺りを見回していた。
「龍さん、早く隠れないと!何処から攻撃が来るか分からないんだから!」
「まぁ、焦るな。」
龍は気付いていた、今撃てば相手は居場所がバレる事を。
思慮が浅い可能性を考慮して、二人には念のために隠れてもらったが…
ゆっくりと歩き出す龍。
三人の間を通り過ぎた物体を探す為に地面を凝視する。
すると…
「あった。」その証拠を見つけ、とある場所を探し始めた。
そして…違うモノを見つめて目を見開き、呟いた。
「来てたのか…」
*
「兄ちゃん、何か見られてない?」
「動くな、全身をローブで隠せ。」
『もう、手遅れだけどな。』
どこからか声が聞こえた瞬間、弟が右側にドサリと倒れ込んだ。
「お前!どこから!」
「兄ちゃん…」
兄が構える前に、頭に高速で何かが通過した。
どさりと前のめりに倒れる。
二人を見下ろしながら長い黒髪を後ろで束ねた男が武装解除し、ゆっくりと口を開く。
「高い所から標的を狙う。確かにセオリー通りだが、こんなに岩柱がある中で一番高い所を選ぶのはあまりにも安直過ぎねぇか?しかも、一発撃って動きもしない。呆れて物も言えねえ。」
「鰐淵兄弟をナメるな!」最後の力を振り絞り、弟が男に突進する。
が、男はヒラリと身を交わしそのまま岩柱から退場していった。
「銃を生業にしたなら、最後までそれを使えよ、馬鹿が。一発撃ってよろけた所にタックルとかあるだろうが…さてと、久しぶりだなぁ。龍。」
男が龍に向かって照準を定める。
*
「龍さん、どうなりました?」
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「えっ、鷹さんがいるの?」思わず顔を出すネズミ。
「バカ、顔出すな!こっちを狙ってる。」
「どうせ、【いつも】のでしょ?あっ、鷹さん。おーい!」
「この距離で聞こえねぇよ。」タメ息をつきながらそれでも視線は鷹から離さなかった。
*
「なんだ、ネズミがいるのか…なら、しょうがねぇな。特別サービスだ、俺は午と未。そんで、お前たちは…」
そう言うと、鷹は向きを変え、明後日の方に指を動かした。
その方向に龍達が顔を向けて、戻す頃には鷹の姿は何処にもなかった。
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