34 / 36
34
しおりを挟むかしわ(以下 か)「皆さん、こんにちはっ」
サキ(以下 サ)「こんにちは~、て、ちょっと元気?」
か「いや~、まあ、ちょっとだけね」
サ「えー、じゃあ、試験、上々だったの?」
か「それはどうかな?」
サ「え、ダメ過ぎて、ちょっとおかしくなってる?」
か「始まる前は緊張し過ぎて、マスクの下で笑ってたけどね。今は大丈夫」
サ「きも。───ダメだったの、試験?」
か「イケてない、全然。聞いたことない単語、結構出てきたし、問題のパターンが問題集とかと違ったし。時間内に出来るかも心配だった」
サ「問題多かったの?」
か「分かんないけど、問題の冊子を他の人が捲る音が気になった、最初」
サ「それ、余裕じゃない」
か「緊張し過ぎだよ。場慣れも大事だよなぁ」
サ「会場、てどんな感じだったの?」
か「大学の教室なんだけど、受験者多かったんだと思う。広いのに机カツカツだった。かしわはいい席だったけど」
サ「いい席?」
か「前から4番目の壁側。通路になってたけど、出入口すぐそこで、トイレの行列まで見えた」
サ「混んでた?」
か「混んでた。それでも男子トイレが女子専用になってて、男子は違うフロアまで行かなきゃいけなかった」
サ「こういう時、男子は割を食うのよね。女子、てズルい」
か「さすがにまだ日本では共用にはなってないからな」
サ「あんた、共用派?」
か「いや、そこについてはなんとも...」
サ「なによ、歯に衣着せて」
か「───机が斜めは困るよな。置いたペットボトルが下がって来るし、シャープペンも消しゴム噛まして転がらないようにしてたよ」
サ「飲み物オッケーだったの?」
か「休憩の時だけね。スマホ持って入るの忘れててさー」
サ「話飛ぶわね。───試験じゃ使えないでしょ?」
か「休憩時間に復習しようと思ってた。パートナーとも連絡つけられなかった」
サ「どうしたの?」
か「送ってもらった時に、終了時間の10分後にまたここで待ってる、て云ってたから、連絡必要なかった」
サ「なんだ」
か「でもゲームとか、『あじさいの城』とか...」
サ「それは試験終わってからでしょ?」
か「そう。だから教室では必要なかった。帰りは他の教室もフロアも一斉に終わったから出口混んじゃって、ちょっとひと押ししたらドミノ倒しになってたかも」
サ「物騒なこと云うわね。で、結果はいつ判るの?」
か「12/20に合否通知を送る、て云ってた。年末にもう一回ダメ出しされるんだな」
サ「いい知らせでいい年越しが出来るかもよ」
か「期待しないで待ってて。てか、待たなくていいや」
サ「え~。あたし、どうなっちゃうの?」
か「そもそも合格しなかったらこの会話自体がお蔵入りだからね」
サ「それじゃあ、これを他人が読んでたら、合格したって事?」
か「そこだよ」
サ「え、どこどこ?」
か「───コレ、34回やってきたけど、どうかな、と...」
サ「スルーしたわね。───勿体ないわよね。絶対」
か「サキがそう云うのは当たり前だよな」
サ「あんたがどうか、て事ね」
か「不合格でかっこ悪い、てのもあるけど、実際合格したかった訳じゃないのは事実。何が、てやっぱこの34回が全て無になるのが残念だよ」
サ「もう頑張れないもんね」
か「結構、時間も割いたよ」
サ「ねえ!」
か「っんだよ、痛いな」
サ「ご褒美、てのはどお?」
か「ご褒美、て、コレが?」
サ「そう! コレを公開して、読んでもらう事が、あんたへのご褒美。どお?」
か「...どうだろう」
サ「いーじゃない! このお喋りの楽しさは伝わるわよ」
か「楽しかったのはサキだけだろ。てか、楽しかった?」
サ「あたしは毎週お喋り出来て、そうね、あんた慰めるの大変だったけど、思い返せば楽しかった、かな。あ、慰める、て励ましの方ね」
か「当たり前だよっ! 他に何もあるもんかい!」
サ「照れない照れない」
か「また話、ちょっと飛ぶんだけど、添削テスト、返ってきたみたい」
サ「どうだった?」
か「う~ん。もう時間ないから、次回にしよかな?」
サ「え? え、次回、あるんですか?」
か「だって時間ないしさ...て、なんか、嬉しそう...?」
サ「だって、だって、まだあたし、出番あるんでしょ?」
か「あー、そっか。あとは合否通知だけだもんな。それまでサキには用事ないもんなぁ」
サ「用事ないとか、あからさまに云わないでよ」
か「あー、じゃあ、来週またやる?」
サ「やるやる! 来週ね! いつもの時間に、ココね!」
か「わ、分かった。───てか、その、後ろでブンブン回ってんの、まさか、...しっぽ?」
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
校長先生の話が長い、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。
学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。
とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。
寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ?
なぜ女子だけが前列に集められるのか?
そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。
新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。
あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。
校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれた女子高生たちが小さな公園のトイレをみんなで使う話
赤髪命
大衆娯楽
少し田舎の土地にある女子校、華水黄杏女学園の1年生のあるクラスの乗ったバスが校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれてしまい、急遽トイレ休憩のために立ち寄った小さな公園のトイレでクラスの女子がトイレを済ませる話です(分かりにくくてすみません。詳しくは本文を読んで下さい)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる