上 下
16 / 36

16

しおりを挟む

かしわ(以下 か)「皆さん、こんにちは」
サキ(以下 サ)「こんにちは~」
か「蒸し暑いね。梅雨入りした?」
サ「まだみたいよ」
か「そっか~。週末、拳銃強奪事件とかあって、月曜日休みだったら羨ましいなと思ってたよ」
サ「捕まったでしょ、今朝」
か「だね~。かしわが高校生くらいだったら今頃『早いわ!』て突っ込んでたよ」
サ「でも買い物も行けなかったみたいじゃない? スーパーとかお休みで」
か「月曜日1日くらい、食いつなげるよ」
サ「ジコチューだわ」
か「どっちが? かしわ? それとも強奪犯?」
サ「どっちも~」
か「スイマセン」
サ「この週末はどうだったの?」
か「え~、特に出かけてもいないし、録り溜めたビデオ観て、掃除してあじさいの城やって...」
サ「勉強はっ? 今わざと外してたでしょ!」
か「やりましたよ。私がやりました」
サ「なんか犯罪みたい。───やったのね、取り敢えず」
か「やったよ。なぜか土日の昼間、すんげー眠くて、大変だったけどね」
サ「夜更かし?」
か「何時もと同じだけど、起きたのがいつもより早かったかな?」
サ「寝不足かよ」
か「でも頑張った。頑張って読み切って、あ、でも理解度チェックは割と出来た方だったな」
サ「あら、頑張ったのね」
か「問題数は少なかったけどね」
サ「だから? なんで?」
か「何故少ないかは判らない。担当者が違うんじゃないかな。問題作る人」
サ「あるかもねー、そーゆーの」
か「問題の出し方も違ってたしね」
サ「じゃあきっと優しい問題だったのね」
か「国語の勉強に近いからかなぁ?」
サ「今までだってそうじゃないの?」
か「今までは、ナントカ論とかナニナニ仮設とか、知らなくたって暮らせるような内容だったけど、テキスト変わって品詞とかになったら、国語でかつてやった事とかも出てきてるからかな、と」
サ「そーいやそんな事云ってたわね。まだその品詞なの?」
か「うん。なんか、日本語の会話の分析してるみたい。発話時より前の出来事ならタ形、とか」
サ「何それ。タケー?」
か「『タ形』。単純に云えば過去形の事だね」
サ「じゃ『過去形』て云えばいーじゃない」
か「そこが日本語の難しさだよ。時間を表す『タ形』と、状態を表す『タ形』があるわけ」
サ「ん?」
か「今思い浮かぶのは、例えば『~と云った』」
サ「過去形よね」
か「『~と云った』だけならね。でも、そういった』だったら、『~と云った』て意味───つまり『過去形』と、『そういった事』みたいに、過去じゃない事も、同じ云い方だよね、日本語、て」
サ「ああ、云い変えれば『そういう事』とも云えるヤツ? じゃあ、もう『そういった』は使わないようにすればいーじゃない」
か「そんなわけにいくかいな。それでなくても『ヤバい』とか、美味しいのかまずいのか判んない言葉も生まれてるのに」
サ「日本人でもややこしい日本語を、わざわざ勉強するなんて、もの好き通り越して変わり者よね」
か「小学生の時も、ややこしいとは思ったよな」
サ「えー、あんな授業、右から左よ」
か「え? だってちゃんと聞いてないと、退屈だろ?」
サ「聞いてたって退屈じゃなかった?」
か「いろいろ考えてたよ。今でも覚えてる。あんまり授業で目立つことない子が、助詞か何かを他と違う、て手をあげて発言してて、褒められてた」
サ「そんな印象的だったら、聞いてるかも知れないし、覚えてるかもね」
か「あれ、ちょっと悔しかったんだよな。なんでかしわは気付かなかったんだろ、てか、分類の項目外があるとか、聞いてないし、きたない先生だな、て」
サ「あんたその頃から反抗的だったの?」
か「まるで昔反抗的だったみたいに云うなよっ」
サ「違うの?」
か「ちょー優等生だったわっ」
サ「そーなの?」
か「クラスの代表として新学年の抱負を作文にして全校生徒の前で読んだ」
サ「クラス何人?」
か「25人」
サ「少なっ。全校生徒、何人?」
か「100人とちょい」
サ「少な!」
か「ちょー田舎だからな」
サ「今もうないんでしょ?」
か「市町村合併でうちの村なくなったよ」
サ「分校でしょ」
か「うちは本校だったっ。分校あったけどね」
サ「田舎~」
か「隣の村のヤツに『お前らの村は、10時に日が昇って15時に日が沈む』て云われた」
サ「どんぐりの背比べね」
か「日照時間はともかく、星空は残念だったな」
サ「なんで? キレイなんじゃないの、田舎なんだから?」
か「山が迫り過ぎて、空が狭い」
サ「そんな事ってある?」
か「庭に出ると屋根がこうあるだろ。高くはないけど山が真ん前にあるから、空これしかないんだよ」
サ「見渡さなくていいわね」
か「絶対に中天だけどね」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

【完結】雨上がり、後悔を抱く

私雨
ライト文芸
 夏休みの最終週、海外から日本へ帰国した田仲雄己(たなか ゆうき)。彼は雨之島(あまのじま)という離島に住んでいる。  雄己を真っ先に出迎えてくれたのは彼の幼馴染、山口夏海(やまぐち なつみ)だった。彼女が確実におかしくなっていることに、誰も気づいていない。  雨之島では、とある迷信が昔から吹聴されている。それは、雨に濡れたら狂ってしまうということ。  『信じる』彼と『信じない』彼女――  果たして、誰が正しいのだろうか……?  これは、『しなかったこと』を後悔する人たちの切ない物語。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

Bo★ccia!!―アィラビュー×コザィラビュー*

gaction9969
ライト文芸
 ゴッドオブスポーツ=ボッチャ!!  ボッチャとはッ!! 白き的球を狙いて自らの手球を投擲し、相手よりも近づけた方が勝利を得るというッ!! 年齢人種性別、そして障害者/健常者の区別なく、この地球の重力を背負いし人間すべてに平等たる、完全なる球技なのであるッ!!  そしてこの物語はッ!! 人智を超えた究極競技「デフィニティボッチャ」に青春を捧げた、五人の青年のッ!! 愛と希望のヒューマンドラマであるッ!!

教え子に手を出した塾講師の話

神谷 愛
恋愛
バイトしている塾に通い始めた女生徒の担任になった私は授業をし、その中で一線を越えてしまう話

女豹の恩讐『死闘!兄と妹。禁断のシュートマッチ』

コバひろ
大衆娯楽
前作 “雌蛇の罠『異性異種格闘技戦』男と女、宿命のシュートマッチ” (全20話)の続編。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/329235482/129667563/episode/6150211 男子キックボクサーを倒したNOZOMIのその後は? そんな女子格闘家NOZOMIに敗れ命まで落とした父の仇を討つべく、兄と娘の青春、家族愛。 格闘技を通して、ジェンダーフリー、ジェンダーレスとは?を描きたいと思います。

処理中です...