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しおりを挟むかしわ(以下 か)「皆さん、こんにちは」
サキ(以下 サ)「こんにちは~」
か「蒸し暑いね。梅雨入りした?」
サ「まだみたいよ」
か「そっか~。週末、拳銃強奪事件とかあって、月曜日休みだったら羨ましいなと思ってたよ」
サ「捕まったでしょ、今朝」
か「だね~。かしわが高校生くらいだったら今頃『早いわ!』て突っ込んでたよ」
サ「でも買い物も行けなかったみたいじゃない? スーパーとかお休みで」
か「月曜日1日くらい、食いつなげるよ」
サ「ジコチューだわ」
か「どっちが? かしわ? それとも強奪犯?」
サ「どっちも~」
か「スイマセン」
サ「この週末はどうだったの?」
か「え~、特に出かけてもいないし、録り溜めたビデオ観て、掃除してあじさいの城やって...」
サ「勉強はっ? 今わざと外してたでしょ!」
か「やりましたよ。私がやりました」
サ「なんか犯罪みたい。───やったのね、取り敢えず」
か「やったよ。なぜか土日の昼間、すんげー眠くて、大変だったけどね」
サ「夜更かし?」
か「何時もと同じだけど、起きたのがいつもより早かったかな?」
サ「寝不足かよ」
か「でも頑張った。頑張って読み切って、あ、でも理解度チェックは割と出来た方だったな」
サ「あら、頑張ったのね」
か「問題数は少なかったけどね」
サ「だから? なんで?」
か「何故少ないかは判らない。担当者が違うんじゃないかな。問題作る人」
サ「あるかもねー、そーゆーの」
か「問題の出し方も違ってたしね」
サ「じゃあきっと優しい問題だったのね」
か「国語の勉強に近いからかなぁ?」
サ「今までだってそうじゃないの?」
か「今までは、ナントカ論とかナニナニ仮設とか、知らなくたって暮らせるような内容だったけど、テキスト変わって品詞とかになったら、国語でかつてやった事とかも出てきてるからかな、と」
サ「そーいやそんな事云ってたわね。まだその品詞なの?」
か「うん。なんか、日本語の会話の分析してるみたい。発話時より前の出来事ならタ形、とか」
サ「何それ。タケー?」
か「『タ形』。単純に云えば過去形の事だね」
サ「じゃ『過去形』て云えばいーじゃない」
か「そこが日本語の難しさだよ。時間を表す『タ形』と、状態を表す『タ形』があるわけ」
サ「ん?」
か「今思い浮かぶのは、例えば『~と云った』」
サ「過去形よね」
か「『~と云った』だけならね。でも、そういった』だったら、『~と云った』て意味───つまり『過去形』と、『そういった事』みたいに、過去じゃない事も、同じ云い方だよね、日本語、て」
サ「ああ、云い変えれば『そういう事』とも云えるヤツ? じゃあ、もう『そういった』は使わないようにすればいーじゃない」
か「そんなわけにいくかいな。それでなくても『ヤバい』とか、美味しいのかまずいのか判んない言葉も生まれてるのに」
サ「日本人でもややこしい日本語を、わざわざ勉強するなんて、もの好き通り越して変わり者よね」
か「小学生の時も、ややこしいとは思ったよな」
サ「えー、あんな授業、右から左よ」
か「え? だってちゃんと聞いてないと、退屈だろ?」
サ「聞いてたって退屈じゃなかった?」
か「いろいろ考えてたよ。今でも覚えてる。あんまり授業で目立つことない子が、助詞か何かを他と違う、て手をあげて発言してて、褒められてた」
サ「そんな印象的だったら、聞いてるかも知れないし、覚えてるかもね」
か「あれ、ちょっと悔しかったんだよな。なんでかしわは気付かなかったんだろ、てか、分類の項目外があるとか、聞いてないし、きたない先生だな、て」
サ「あんたその頃から反抗的だったの?」
か「まるで昔反抗的だったみたいに云うなよっ」
サ「違うの?」
か「ちょー優等生だったわっ」
サ「そーなの?」
か「クラスの代表として新学年の抱負を作文にして全校生徒の前で読んだ」
サ「クラス何人?」
か「25人」
サ「少なっ。全校生徒、何人?」
か「100人とちょい」
サ「少な!」
か「ちょー田舎だからな」
サ「今もうないんでしょ?」
か「市町村合併でうちの村なくなったよ」
サ「分校でしょ」
か「うちは本校だったっ。分校あったけどね」
サ「田舎~」
か「隣の村のヤツに『お前らの村は、10時に日が昇って15時に日が沈む』て云われた」
サ「どんぐりの背比べね」
か「日照時間はともかく、星空は残念だったな」
サ「なんで? キレイなんじゃないの、田舎なんだから?」
か「山が迫り過ぎて、空が狭い」
サ「そんな事ってある?」
か「庭に出ると屋根がこうあるだろ。高くはないけど山が真ん前にあるから、空これしかないんだよ」
サ「見渡さなくていいわね」
か「絶対に中天だけどね」
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