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公爵家のパヴァーヌ
2 ピクニックをどうぞ
しおりを挟むステファンの艶めくため息が、二人の男を煽る。
「かわいい、ステファン」
小さな胸の粒を舐る合間に、ヤンはステファンのとろけ顔を見て、呟く。しかし見惚れる間もなく、ステファンは顎を掬われ、後ろからゲロルトに口付けられる。
「ふむ...ん、ふぁ、はぁ...あっ!」
ゲロルトなのか、ヤンなのか、どちらかがステファンの中心に触れると、腰が跳ねた。
「ステファンのここ、素直だね」
服の上から揉まれ、刺激と期待に熱が膨らむのが、ステファン自身にも分かった。
「解放してやれよ、ヤン」
ゲロルトは強引に開かせていたステファンの足を解いてやり、ボトムを脱がせやすくする。
「寒くない、ステファン?」
ちゃちゃっとステファンを生まれたままの姿にして、ヤンはそう云ってステファン自身に手を添える。
「あっ───」
頬を染める、ステファン。「だい、じょ...ぶ」
ゲロルトに再び足を絡めて開かれ、あられもない姿を晒すステファン。両手もゲロルトに捕まり、更に胸の粒を弄られて、寒さ以外はとても大丈夫ではなさそうだ。
「もうあんなにヨダレ垂らしてるぞ、ステファンの先っぽ」
「ぁ、ぃやっ、だって、気持ち、い...」
ステファンはゲロルトの顎にすり寄るようにして頭を仰け反らせる。白く細い首が、無防備に晒される。
ヤンはプクリと滴る粘液を、ステファンの先に塗り付けるようにして指先で撫でる。
「あ...ぁは、んふぅ」
「ヤンの名前を呼んでやれよ、ステファン」
「はぁ、ヤン...も、と」
耳元で囁くゲロルトに云われるまま、ステファンは足元の男の名を呼び、そしてつい、おねだり。
「ステファン! 好きだ、愛してる、ステファン! む、んむ...」
「あっ、ヤ、ンっ! っああ!」
ヤンは堪らなくなり、ステファンの熱をパクリと咥えた。ヤンの舌は生き物のように絡みつき、舌先はセンサーで見つけるようにステファンの感じ易いところをピンポイントで責める。
「ああっ、ヤンっ、そこっ、や、ダメっ、あっ、あっ!」
喘ぐステファンの頬に這わせていたゲロルトの指が、開いた唇の奥へ侵入してきた。
「ふぁ、厶ぐ、ん、んん!」
ステファンの舌は、入り込んだゲロルトの指を絡め取り、舐め尽くすように執拗に這い、力強くチュウチュウ吸い上げる。
「そんなに欲しけりゃ、もっとイイモノをやるよ、ステファン」
ゲロルトは囁くと、ステファンの背後から離れ、目の前にポジションを変えた時には服を着ていなかった。そしてステファンの眼前に腰を落とす。
「はぁ、む、んむ、んふ」
少し強引に突っ込まれたゲロルトの熱を、ステファンは喉の奥まで飲み込み、舌先で筋をなぞったり、唇で扱いたりする。ゲロルトは理性を飛ばしそうになる。
「この前より、ずっと上手くなってるよ、ステファン」
ゲロルトはステファンの顔にかかるブロンドの巻毛を、慈しむように優しくかき上げてやる。秀麗な眉を歪め、涙目で見上げながらも尚、幼い容姿でゲロルトを昂める。
「む、ふ、あっ、はぁっ」
「ゲロルト! もう限界です!」
ご指名を受けて、ゲロルトはステファンの口元から自身を抜く。ヤンはまだまだ若い。
「お前の指で優しく解してやれ。いきなり突っ込むなよ」
「うん...どお、ステファン?」
「あ、うん...あの、もっと...」
手タレ並みの綺麗な長い指のヤン。ステファンの蕾の周りをクルクルと撫でるが、こわごわし過ぎて刺激にならない。
「もっと、これくらいだよ、ヤン」
ゲロルトはヤンの手を取り、自らの指を添えて指導する。
「あっ、あっ、ん」
ステファンには随分、構える時間を与えてしまっていた。指先しか入らない。ゲロルトは萎えかけるステファンの熱に指を絡める。
「ああっ、そん、な、激し...っ!」
改めて刺激を受けたステファンの中心は、再度先端から先走りを垂らす。ゲロルトはステファンの足先を上げ、自分の肩を踏ませる。ヤンとゲロルトの指は、二本同時にステファンの後孔を貫き、内壁を暴く。
「あ、やっ、ひぁあ、ぁんっ」
ステファンは腰を反らす。ふたりの指は別々の動きでバラバラにステファンの中を這い回る。
「そろそろいいぞ、ヤン」
「いくよ、ステファン!」
内腿に音を立ててキスをして、ヤンは相変わらずの偉丈夫を露わにした。
「ひああっ、はあ、ヤン...!」
覚えのある圧迫感。しかしステファン自身でも意外な程スムーズに入って来るヤンの熱。彼は奥まで進めずに抽挿を始める。
「あ、あ、はぁ、っあ、だ...めっ」
ヤンは腰を徐々に深く進めながら、揺れるステファンのモノを掴んだ。前と後ろ、同時に責める。
「はっ、く、キツいけど、すごくいいっ、ステファン!」
ベッドの軋む音とともに揺さぶられるステファンの手が握られる。握り返すと、その手を引かれ、固くなったモノを掴まされる。
「あ、ゲロル、ト、はっ、ふ、ン」
そろそろステファンの意識も、与えられる快感に朦朧としてきた。絶頂はすぐ目の前。ヤンの動きも激しさを増す。
「ひぁ、ヤン、は、ああっ、あ、あ、あぁあっ...っ!」
「く、ステファン!」
何度も奥を激しく突かれ、ステファンは悲鳴のような声とともに、腰を仰け反らせた。ヤンの熱は、ステファンの中でびゅくびゅくと痙攣し、溢れる程白濁をほとばしらせた。
ゲロルトが覗き込むと、華奢な胸を上下させ、虚ろな目で見上げるステファン。
「ヤンの一撃で参ったのか、ステファン?」
ゲロルトはニヤニヤしながら云った。四肢を力なく投げ出しているステファンには、もう一戦交える気力はなさそうだ。
「俺もこのままお預けを食らうつもりはないんだ、ステファン。───」
耳元で吐息混じりに囁く。「今度は俺が、お前を犯す」
ステファンの目に光が戻り、下腹部が膨らみ先端が滲む。
「あ、ゲロルト...?」
耳を舐められ、肩を震わせる。「ふ、んっ」
肌が粟立つとすぐ、耳に歯をたてられる。首筋を、強めに舌を押し付けながら鎖骨まで這わされ、胸の粒を強く摘まれる。
「んっ、あっ」
「なんだ、感じてるのか、ステファン?」
「い、や、ちが...ぅ」
唇を噛むステファン。しかしなぜか、期待している自分を否定できない。
ゲロルトはステファンをくるりとうつ伏せにし、背中や腰を強く吸う。腰を抱き上げ膝で立たせ、お尻を突き出させると、後ろからステファンの中心をまさぐり、指先を絡める。
「はぅん、ふ、んっ...」
吸われたり爪をたてられる事でチリ、と小さな痛みが走るのを、時には腰が疼き、欲しいと感じてしまう身体にステファンは戸惑う。そしてそれを、いちばん知られたくないゲロルトに指摘されてしまう。
「ステファンはイジメられるのが好きなのか」
「違う、やっ...あ」
「そうは云ってもほら、こんなにヨダレ垂らしてるぞ。この音、聞こえるだろ?」
ステファン自身を扱く水音を立て、ゲロルトの手は激しく動く。
「あン、や、ダメ、はン」
枕に頬を押し当て、拒否にも喘ぎにも聞こえる声で啼くステファン。ゲロルトは膝をより開かせ、背中を反らせるように押さえる。
「ぁ...な、に...?」
脇から伸ばしていたゲロルトの手が、後ろからに変わる。それだけで、ステファンの感じる感覚が変わって、別の何かに触れられたみたいだ。ゲロルトの手は柔らかいところを揉みしだき、そして後ろに指を這わせる。
「んぁっ、そこ、はぁっ!」
慣れていたせいか、ゲロルトの指はすんなり入り、すぐに激しく内側を暴く。上半身が動かせない体勢はまるで拘束されているようで、それが不思議とステファンを昂める。
「ひぅ、ん、ゲロル、ト、ぁ」
「どうした、ステファン? 腰が揺れてるぞ」
焦らされてる?───そうは思いながらも、まさか催促なんて、恥ずかしいと思うステファン。
「どうした? 唇噛んでちゃ俺には分かんないな。どうして欲しい、ステファン?」
「...ズルい、ゲロルト」
「ズルい? それはステファンの方だろ? 何も云わなくてもご奉仕してもらえるなんて、甘いぞ。恥ずかしい事、して欲しいんだろ? それとも、もう疲れたか?」
そう云ってゲロルトは、指を抜いてしまった。
「あっ、ゲロルト、ダメっ」
「なんだよ、どうしろ、て?」
「もう!───」
涙目で振り返って睨むステファン。「ゲロルトの、入れてよ! 僕をぐちゃぐちゃにして!」
思っていた以上のおねだりに、口角を上げながらも衝動に突き動かされるゲロルト。
「いい子だ、ステファン。云う通りにしてやる」
「はあん!」
ゲロルトは深く腰を沈め、一気に奥までステファンを貫く。
「ひああっ、ゲロル、ト、激し...っ!」
速い抽挿と深い突きに揺さぶられ、ベッドの軋む音に混じって、ゲロルトの息遣いが聞こえる。
「はぁっ、ンん、やあっ、ダメぇ、おかし、なる、ふ、ぁ」
腰を深く押し付け、グリグリと奥を責めるゲロルト。ステファンの熱を同時に扱き、文字通りぐちゃぐちゃに掻き回され、意識が飛びそうになる。
「ふ、ん、ぁあ、もう、ダメ、イ...く、ああっ、...あああっ!」
ゲロルトの熱をきゅう、と締付け、ステファンは白濁をぶちまけて果てた。
祖母が亡くなって、ハリーはかなりのショックを受けている。
風邪気味の状態が一週間も続いている。その上、食が明らかに細くなっている。周囲が指摘しても、返ってくるのは生返事。
「はぁ...」
「どうなさいました、ため息などついて?」
ニコルにそう云ったのは、お付きのメイド───メヒティルト。
「私の当面の悩みのタネは、繊細な上司よ」
「ハリー殿下ですか?」
ニコルに紅茶を淹れながら、メイドは分かりきった事を口にした。
「仕方ないんだけどね。実の母親じゃないかと噂されていたくらい、仲がよろしかった方だもの」
「たしか、ニューエンブルグのお城も、元公爵夫人から相続されたとか」
ニコルは、メイドを呼び止める。
「あなた、少しくらいはこちらのメイド仲間から、何か聞いているでしょ、メヒティルト?」
メイドは待っていたように、半ば身を乗り出して云った。
「いずれは分かる事ですが、訊かれない限りは話すな、と云われましたが───」
ハリーはニコルの後を着いて、廊下を歩いていた。
───ゲストルームのフロアだな。
イブラントの城のゲストルームは、ドアに特徴があり、その特徴を部屋の名前にしている。
この日は午前中は出掛けず、ハリーの私的な書類の整理をする予定になっていた。
秘書のニコルは、相変わらずのパンツスーツだ。深いグリーンの落ち着いた色合い。ヒールの高い靴は、なるべくハリーの身長に見合うようにしているそうだ。そのヒールをものともしない大きな歩幅で颯爽と歩く、公爵令嬢。
「ここです」
彼女が立ち止まって振り向いた。そのドアには、三日月と散りばめられた星の彫刻が施されている。
「三日月───アルテミスか」
「どうぞ」
秘書はドアを開けた。そこは前室。玄関みたいなものだ。
アルテミスの間は、ハリーもたまにあてがわれる部屋だ。よく知っている。向かって右手がプライベート空間。反対側は執務や来客に使う表向きの部屋。応接セットやダイニングなども、こちら側にある。
ニコルが先に立って、摂政を案内する。ダイニングルームに入って、ハリーは立ち止まった。
「これは、どういうつもりなんだ、ニコル?」
テーブルも椅子も取り払われ、代わりに絨毯が敷かれてあった。バスケットに花が飾られ、バケットとスープセット、そしてポットが置かれている。───まるで、ピクニックだ。
「殿下に少しでもお元気に過ごして頂きたくて、ご用意しました。───」
ニコルは笑顔で肩をすくめる。「お相手をするのは私ですが、そこは悪しからず、ご了承下さいませ」
つられた感じで、ハリーもフッと笑った。
摂政になって初めての休暇の朝、遅い時間だったが、アーロンがハリーの為に、こんなピクニック風の朝食を用意してくれた。
「懐かしいな」
その場に立ち止まったまま、ハリーは呟いた。
その後、アーロンと部屋の中でピクニックをする事はなかった。ちゃんと、外に出てピクニックをしたから。
ハリーはやっと歩き出し、絨毯の上に座った。ニコルも後について、上司に倣う。メイドが集まり、スープセットの用意をする。
「最近、食が細くなっちゃってるでしょ。温かいスープだから、飲んでね」
ニコルは個室に入ったので、フランクな話し方に変えた。その間にスープセットに注がれるスープから、湯気がたつ。
───この香り...。
ハリーはゆっくり、深く息を吸う。
「アーロン先生特製チキンスープ、でしょ」
「どうして───」
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