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幸せなら良かった
5 駅まで徒歩5分、車で20分
しおりを挟むヴァルターはアーロンに云った。
「それが、この国の理なんです、先生」
国王が崩御すれば、別の誰かが王位に就かなければならない。それがあらかじめ判っているなら、その準備はしておかなければならない。
───ハリーは国王にはしない...て、誰が云ってたんだっけ...?
随分前に聞いた言葉を思い出すアーロン。ハリーを取り戻す事は出来ないのか?
アーロンの視線の先には、花瓶に花が活けてある。外は雪が積もっているが、きっとあの花は、造花ではないだろう。ハリーはあんな風にして、本来の生き方やあり方を無視されて、国のトップに据えられるのだろうか。
ヴァルターはアーロンが肩を落とすのを見て、我が事のように切なくなってきた。ヴァルターだって、彼なりの青春を過ごしてきた。慕い合うふたりの想いを叶えてやりたい。
紹介状を思い出して、アーロンに声をかける。
「先生は、私の後見人をご存知ですね」
「伯爵の、後見人?」
首を傾げるアーロンに、ヴァルターは微笑む。
「カレル=ボチェクです」
「え!?」
驚くアーロンを、ヴァルターは笑顔で見返す。
「孤児だった私を王宮に紹介してくれたのも、彼です。その頃からとても良くしてくれていますが、あなたの事も、先程の紹介状でとても気にかけていました」
「あ...ありがとう。知らなかったな、そんな関係だったなんて」
アーロンとしては、ボチェクには王宮と強いパイプがあるようなので、それを頼って紹介状を書いてもらったまでだ。
なんだか、ひどく意外な組み合わせだ。
「事情を説明するのも、彼の頼みだからです」
ヴァルターは話を戻す。
侍従長を始め、国王に仕えている者達は、決して完治を諦めてはいない。侍従長はその意味でも、時期国王にハリーを選んだ。摂政の任期が過ぎてしまっても、関白に着任すればいい。そうなれば、今まで通りで済むからだ。
「だから、あなたは早々に医師免許の再取得をして、カレル=ボチェクのもとで、ラファエルの回復をお待ち下さい」
ランチの用意が出来たので、ダイニングに移る。医療や医学界、医療制度の事を、ヴァルターが率先して話題にし、終始した。
異質だったのは手相の話で、
「手のひらを見せて下さい」
左も右も、片方ずつ出した。コーヒータイムで、既に食器は下げられていた。手相占いを少しかじった事がある、と云ってヴァルターはじっくり見てから、
「東洋医学についてはどうですか?」
と云って、アーロンの手を揉み始めた。
「......」
右手の、親指と人差し指の間にツボがある。押した皮膚の下に、確かに感触があった。
「......」
ふたりで目を見交す。
「痛くないですか、先生」
「いや。何のツボ?」
「肩凝りなんですが...」
「それじゃぁ何ともないな。肩は凝ってないから」
それから少し、東洋医学の話をした。
「そろそろ、私は病院へ戻らなければならないので、駅まで送りますよ、先生」
ヴァルターがカップを置くと、ふたりで息を合わせたように立ち上がった。
イブラントはわりと田舎なので、午後の駅は空いていた。
「今日は、ありがとうございました、伯爵」
「こちらこそ、楽しい時間でした。ありがとうございました、先生」
アーロンの挨拶に、ヴァルターはにこやかに答えた。運転手がドアを開け、アーロンはまばらな雑踏の中に消えた。
ステファンは、フワフワした意識の状態で、ベッドの上にいた。
そこは、ゲロルトに出張であてがわれた、ホテルの部屋。ゲロルトがベッドに横たわり、背中には枕をクッションにしてあてている。その前にステファンが背を預け、そしてその前に顔を埋めているのが、ヤン=ハイゼだ。
「あっ、や、だめ、あぁ...」
ステファンだけ、一糸まとわぬ姿で、華奢な胸を上下に喘いでいる。
「ダメ、なんて云ったら、ヤンはもっと激しくするぞ、ステファン」
ゲロルトが、ブロンドの巻毛が揺れる耳元で、ヤンに聞こえるかどうかの音量で囁く。
「あ、ゲロルト、...ッ」
忠告ついでにゲロルトに舌を這わされ、耳をなぶられる。縁を甘噛みされ、中に舌を入れられ、耳たぶをキツく吸われた。眉根を寄せ、白い頬を染めて、甘い声を漏らす。
「ん、ふ、あン、...あぁっ!」
胸の粒をヤンに摘まれ、ステファンは思わず背を反らす。
「いや、ダメ、おかし...なる...っ」
「もっとおかしくなれよ。俺とヤンで受け止めてやる。三人で一緒にイこう、ステファン」
そう云いながら、ゲロルトはステファンを振り返らせ、深く口付ける。
「ふ、あ、...ンむ、ぅ」
ステファンの唇の端から液体が溢れる。ゲロルトの舌が蠢くのと同時に、ヤンの舌も、ステファンの中心を執拗に這い回る。正直もう、早く上り詰めて、解放されたい。
「ん...ステファン、腰が動いてるじゃないか」
「いやっ、だって、だ...て...っああ!」
ゲロルトはステファンの細い腰を少し持ち上げて、後孔に指を這わせる。
「力を抜いてみな、ステファン。それとも、ヤンの口で一回イくか?」
「わか、ない...ヤン、あッ!」
ふたりの会話を聞いてなのか、ヤンは添えるだけだった手を動かし、ステファンを導こうと、ご奉仕にスパートをかける。
「あ、あぁっ、ヤン、ダメっ、はげし、あ、あ、あぁああーーっ!」
ステファンの腰はビクビクと上下に震え、ヤンにされるがまま、白濁を放出してしまった。
「いい顔だよ、ステファン」
放心状態の耳に、ゲロルトの囁きが聞こえた。その直後、
「どう、ステファン、僕の舌使い?」
口の端から白い液を垂らしながら、ヤンが、下から伸び上がってきた。ステファンの顔を見て、思わず生唾を飲み込む。
「ちょ、ちょ、待て、ヤン!」
ステファンの膝を掴んで立たせ、ベルトに手を伸ばすヤンを、ゲロルトが止める。
「いや、僕はもう、ガマンできません!」
「分かってる。分かってるけど、いきなりお前のをぶっ刺すのは良くない」
「じゃあ、ゲロルトの方が適度な大きさだと?」
「そーゆーことじゃねーわ!」
ゲロルトは体勢を整え、枕に寄りかかる自分の膝に、ステファンが座るように乗せる。細い足をゲロルトの足の外側にして、更にゲロルトは足を開いた。
「いい眺めだよ、ステファン」
もう一度しゃぶりつきそうなヤン。
───インテリのくせに、もうちょっと表現なんとかなんねーのか、こいつは。
中学生みたいなヤンの様子に、ゲロルトは苦笑い。
「ステファンは初めてなんだから、優しくしてやらないと。な、ステファン」
後ろから抱きしめるように、ステファンの下腹部へゲロルトの手が伸びる。中心の柔らかいところの更に奥へ。
「あ...ッ!」
ビク、と腰を震わせるステファン。閉じようとした足は、ゲロルトの足にブロックされて閉じられない。
「力を抜いて、ステファン」
赤い耳に口を付けて、熱い息で囁くゲロルト。空いた手は華奢な胸を這い、小さな突起を摘む。
「あ、ん...はぁん、や、そこ、は...!」
「ステファン、かわいい!」
悶える姿に欲情するヤン。今にも飛びかかりそうな勢いで、前を膨らませている。
ゲロルトは多少焦りながら、ステファンを解す。指は入ったものの、どうしても力が入ってしまい、奥に進みにくい。強引に進めれば中を傷つけてしまいかねないし、ステファンにイヤな思いはさせたくない。
「もうちょっと、ステファンの膝を上げてくれ、ヤン」
「わ、分かった。こう?」
ヤンはステファンの小さな膝頭を鷲掴みにして、グイグイと押し上げる。ゲロルトの指が奥へ入りやすくなる。
「ひぁあっ、やあ...ッ」
感じ安いポイントをトントンと刺激すると、ステファンは身を捩りながらも、体全体を染めている。
「さっきイッたばっかりなのに、もうこんなになってるよ、ステファン」
「あ、ダメ、さわ...なぃっ!」
ステファンはすっかり感じ安くなっていて、敏感なところに触れると体が跳ねる。呼吸は早く吐息は熱く、艶っぽく啼いてはふたりを煽る。華奢な体は陶器のように白く、匂い立つように全身がピンクに染まる。半開きの唇、潤んだブルーの瞳、汗に濡れるブロンドの巻毛。胸の二つの粒は誘うように小さく膨らみ、しかし下腹部は二人の男を挑発するように勃ち上がる。その尖端からはだらしなくよだれを垂らし、ゲロルトが指でこねる後ろは、待ちかねるようにクチュクチュと音をたてる。
「ゲロルト、もう、限界です...」
ヤンは堪らずに服を全て脱ぎ捨てた。その中心は隆々とそそり勃ち、ゲロルトさえ戦慄を覚えるような偉丈夫が待ち構えていた。
───ヤバいな。ステファンの初めてが、アレか...。
できればゲロルトが代わってやりたいが、ヤンは本当に限界みたいだ。
「しょうがねえな...」
ゲロルトはヤンにフェイスタオルを持ってこさせ、ステファンに目隠しをした。
「これで感覚がより研ぎ澄まされる。素直に感じるんだ、ステファン」
ゲロルトが離れるか離れないかのうちに、ヤンはステファンに飛びかかった。まさに野獣。
「ンあっ、ああ、はああぁッ!」
圧迫感の激しさに、ステファンは声を上げて息を抜く。それでもヤンの全部は入っていないらい。
「気持ちいいところだけ感じろ、ステファン」
目隠しで何も見えないが、ゲロルトもまだ傍にいて、囁きかけてくれる。ステファンが手を泳がせると、ギュッと掴んでくれた。
「...ヤン?」
もう片方の手を、別の手に握られた。
「ステファン...ッ!」
ヤンの腰が動く。
「ひぁっ、あ、ぁ...」
圧迫感の中に、ムズムズというかモヤモヤというか、別の感覚が潜んでいる。
「ステファン...ステファン...ッ!」
ヤンが名前を呼ぶたびに、深くなっていく。自分のものとは思えない、高く甘い声で、ステファンは喘ぐ。
───ヤンの...どんどん入ってくる...!
圧迫と衝撃は、摩擦で痺れるような感覚から次第に鈍くなっていく気がする。
───この感じで、合ってるの? みんな、こんな感じで気持ちいいの?
自分でもよく分からない感覚の中、意識が遠のくような気がした時、昂ぶっていたステファン自身を握られた。
「ひああぁっ!」
ステファンは悲鳴のような声を上げた。
外からの刺激を受け、敏感な感覚が蘇る。そしてヤンの動きに伴う刺激が中から、感じ安いところを擦る。裏側の感覚が全身に及んで、何をされても快感に変換されてしまうみたいだ。
「あ...そんなに締め付けたら、ステファ...」
ヤンは呟くように云って、腰の動きを速める。
「あぁ、ヤン、そんな、激し、したら...」
ステファンの意識が飛びそうになる。迫る快感の波は、まだ頂点に達しないのか───!
「っん、や、あっ、ああ、ぁああっ!」
ヤンが呻きを漏らし、ステファンは絶頂に達した。
───ステキ...! こんなの、初めて...!
ステファン=ベルジュの世界が、この時変わった。
勃ち上がるゲロルトの中心に、おずおずと手を添えるステファン。
「自分でスル時みたいにして、ステファン」
何か云おうとして顔を上げると、ゲロルトのブルーの瞳が艷やかに潤んでいて、ステファンは思わず目を伏せた。
「ひぁ...ヤン!?」
ゆるゆるとゲロルトを扱くステファンの後ろから、裸のままのヤンが抱きついてきた。大柄のヤンに、小柄なステファンはすっぽり包まれてしまう。
「ゲロルトを乱れさせられるのは、ステファンだけだよ」
ヤンはブロンドの巻毛に囁く。その手はステファンの胸を弄りながら。
「ぁん、ダメだよ、ヤン。集中できない」
「じゃあこの手はどうすれば...そうだ!」
ヤンは伸ばした手を、ステファンの手に重ねる。
「なんだよ。今度は俺がふたりにヤられるのか?」
そう云いながらもゲロルトは怒るでもなく、受け入れている。それをいいことに、ヤンは手の動きを激しくする。
ステファンは巻き込まれる手の動きに戸惑いながらも、ゲロルトの表情が恍惚の波に流されていくのを見ていた。
───いつも平気な顔してるけど、ゲロルトはどんな顔でイクんだろう?
そう思うと、ステファンは身の内がゾクゾクしてきた。
「エロい顔してるよ、ステファン」
「ふ、んム...ふぁ」
後ろからヤンに顎を取られ、口付けられる。ゲロルトに向き直ると、妖艶に微笑みながら、彼の手はステファンのブロンドの頭部を押さえ付け、グッと下げた。目の前には先走りの溢れるゲロルトの猛りがステファンを誘っていた。
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