恋愛模様

華月雪兎-Yuto Hanatsuki-

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将来の夢

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「将来の夢って何だった?」

「えっ、急にどうしたの?」

 顔を上げるとあなたは子供のように目をキラキラとさせていた。

「いやさ、掃除してたらこんなの見付けちゃって」

 テーブルの上には小学校の卒業アルバムが置かれていた。

 まだあったのか、なんて言いながら二人で懐かしむようにページを捲っていく。

「俺はベタだけど、サッカー選手だったなぁ。今はしがない公務員だけど」

「公務員だって立派な仕事でしょ」

 まぁね、とあなたは笑う。

「それで?将来の夢は何だったの?」

「んー、恥ずかしいから内緒、かな。まぁ、私もベタな夢だったけど」

 昔と変わらないあなたを見て思わず含羞はにかんだ。

 私の夢、叶えてくれたね。
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