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第二部 家庭編

チームハイドの活躍

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「ハァーーッ!!!」
 俺の剣がオークを引き裂く。 

「セイッ! セイ、セイ、ハッ!!!」
 フローラの拳と蹴りでゴブリン達を吹き飛ばす。

「そりゃあぁーーーーーー!!!」
 ビアンカの槍がリザードマンを薙ぎ倒す。

「すごい勢いだニャ~、ウチら出番ないニャ」
「あいつら、ホント強くなったなぁ‥‥‥」

 この後も快進撃を続けた。
 俺たちは不思議と疲れないからな。

 さすがに四階層ともなると、敵自体が強くなってきた。あとは単純に物理攻撃だけじゃ効かなくなってきている。物理耐性のあるモンスターが増えてきた。

「どうする? 引き返すか?」
「ヤダ!!」
「嫌です!!」

 俺も一応聞いてみただけだ、引き返すつもりはハナからない。疲労している訳では無いし。



 五階層、フロアボスがいるはずだ。魔力が少し心許なくなってきたかな。帰りの分を考えるとそろそろ引き返すタイミングだろう。

「そろそろ戻ろう。ここまでのマッピングは出来て‥‥‥!!!! ハイド! 危ない!!」
「え? !!!!」

 サラさんが突き飛ばしてくれたお陰で俺は怪我をしなかった。‥‥‥俺は。

「大丈夫かい‥‥‥? ハイド‥‥‥」
 サラさんの肩に深々と矢のような針? が刺さっていた。
「!!!! サラさん!! ローズさん! サラさんが‥‥‥」
「大丈夫ニャ、ネロのポーションが‥‥‥ってまだまだ飛んでくるニャ!! 避けるニャ!」

 くっ! 相当な数の針が飛んできた。剣で払いつつサラさんを担いでその場を離れる。

 皆それぞれ針が掠ってしまったが、コレくらいなら‥‥‥。

 !? なんだ、これは‥‥‥、手が痺れる。剣を取り落としてしまった。

「ククク、麻痺毒が効いたようですね。やはりあなた方はこうするに限ります‥‥‥」

 暗闇から現れたのは執事に似た格好のモンスターだ。大きな角と蝙蝠の様な羽があった。
 魔族というやつか?
「なっ!? 麻痺毒だと‥‥‥? 貴様は誰だ‥‥‥?」
「これはこれは失礼しました。私は火針のプロクス。ここのフロアを任されております」


「なに‥‥‥何故フロアボスがボス部屋から出てきている?」
「ここは特殊なダンジョンでございますゆえ。他の方々もちゃ~んと効いているようですねぇ?」

「ぐっ! お前らだけでも逃げるニャ!!」
「ローズさん!!」
「うちは足が麻痺してるニャ。せめてここでこいつを食い止めるニャ! サラも置いてけニャ! 足が動くなら三人は逃げるニャ!」

「そうはいきませんよっと!」
「キャアッ!!!」
 ビアンカの足に針が刺さる。

「そっちのお嬢さんもっ!」
「キャアッ!」
 フローラも歩けなくなった。

「はい、貴方もっ!!」
「くっ! そうはいくかっ!!」
 利き手と逆で剣を持ち、払い除ける。

「ほう! 素晴らしい剣の腕ですねぇ。迂闊に近づくところでした。危ない、危ない、離れて攻撃しましょう。そして、コレだけの針は防げないでしょう?」

 くっ!! あの野郎、数えるのも嫌になるくらいの針を出してきやがった。

「ぐあぁーーー!!!!」
 ぐっ、ほとんど全身を刺された‥‥‥。

「痛いでしょう? そういう針ですからねぇ。私、強い冒険者をこうしてから蹴りつけるのが大好きでしてねぇ‥‥‥」

「‥‥‥妹達に‥‥‥手を出すな‥‥‥!」
 
「ほほーう!! 美しいぃ!! 実に美しいぃ!!! 兄妹愛というやつですかねぇ! よろしい! 貴方から先に痛めてあげましょうねぇーーーーーー!!!!」



「そら! そら! そら!! 痛いでしょう!? ほら、こっち向いてその表情を見せて下さいよ!!」

 ぐっ!! くそっ、こいつ楽しんでやがる。
全身を針で刺されたが、這うようにして妹達に覆い被さる。せめてコイツの蹴りが当たらないように‥‥‥。
 だがいつまで保つか‥‥‥。

「ふーう、貴方は声を上げないからツマラナイですねぇ~。そ~れっ!!」
 掴まれて投げられた‥‥‥。
 二人も手足が麻痺して無防備だ。

 まずい‥‥‥!! 



「だ、だれかっ‥‥‥!!!」

「クククッ! 誰も来ませ‥‥‥ぐはっ!!」
 突然、ヤツが吹き飛んだ。


 一瞬光って声がした。
「すまん、遅くなった‥‥‥」

 聞き覚えのある声‥‥‥

「ハイド、妹達をよく庇ってくれたな」

 黒い髪、黒い服‥‥‥そして黒い目‥‥‥

「ありがとう、あとは‥‥‥」

 来てくれたんだ、父様‥‥‥

「俺に任せろ!!」
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