上 下
155 / 171
第二部 家庭編

対サンドドラゴン

しおりを挟む

「くそっ! 爬虫類の分際で‥‥‥。舐めんなよ!!!!」

 こっちも向こうもお互い攻撃が届かない。正確に言えば、強力な攻撃をする為の時間が取れない‥‥‥。
 くそっ、どうしたら‥‥‥?

「ネロ様、妾が時間を作りますえ!」
「我もやります!」
「わかった! 頼む!」

 みんなには水結界を張ってあるから、一撃で致命傷には至らないだろう。怪我してもすぐ治るようにハイポーションミストを‥‥‥ダメだった。この四人は蕩けてしまうんだった。

 考えろ、考えろ‥‥‥。この間のメガレーザーは溜めに時間がかかるし‥‥‥。

 !! よし、これなら‥‥‥
 やってみるか。ダメなら違う方法だ。

「オールレンジオプションレーザー!!!!」

 全方位の無数のオプションからレーザーを放つ! 違うのは発射時間。いつもの一瞬のやつじゃなく、相手に攻撃が通じるまで出し続けてやる!
 ここからはずっと俺のターンだ!!

「グググ‥‥‥ギャオオーーー!!!!」

 少しは効いてる‥‥‥のか? 
 こっちも全力だ、MPが有限だったらとっくに倒れてるところだよ。

「みんな! まだ時間がかかるし、手が離せない! 周囲の警戒は頼んだぞ!!」

 みんなの方を向いた後、振り返るとサンドドラゴンの魔力が膨れ上がった。

 これは‥‥‥マズイ!!!!

「みんな! 離れろ!!!!」

 魔力の暴走‥‥‥大爆発‥‥‥崩壊‥‥‥

 くそっ!! 間に合えっ!!!!

 咄嗟に亜空間を展開した、爆発寸前のドラゴンごと亜空間に放り込んだ。

 ひとつ誤算があった‥‥‥
 俺も亜空間に入ってしまったのだ。




ーーーーーーーーーーーーー

 ローズ達四人はネロとサンドドラゴンのいた空間を見て膝をついた。ネロが居なくなってしまった。

「そ‥‥‥そんな‥‥‥ネロ様‥‥‥」
「主殿‥‥‥どこへ‥‥‥」
「ネローーーーーーーーーー!!!!」
「旦那ーーーーーーーーーー!!!!」

ーーーーーーーーーーーー


 四人は砂の遺跡から戻って来た。サンドドラゴンが消えたお陰で大地に潤いが戻りつつある。それは本来であれば喜ばしい事だったが、四人は全く喜べなかった。

 自分達の主であるネロの消息が掴めなかったからだ。更にその報告を家族にどう伝えたら良いかわからなかった。


 戻って来たイスタニーの町では水が戻りつつあった。水源が復活し、町人の顔が明るくなっていた。復興には時間がかかるだろうがそれは四人にはどうでも良かった。

「‥‥‥全く旦那はどこに行っちまったんだ‥‥‥」
「ネロの事だから死んではいないと思うニャ」
「我も主殿の気配を感じまする‥‥‥」
「妾もじゃ、ただはっきりとしなくての」


「シャル達にはどう伝えるかニャ?」
「それなんだよなぁ‥‥‥」
「気が重いでござるなぁ‥‥‥」
「どうすれば良いかのう‥‥‥」

「「「「ハァーーーーーーーー」」」」
 四人は一斉にため息をついた。

ーーーーーーーーーーーー


「という訳じゃ。おそらく亜空間で生きてはおるが、いつ戻ってくるのかはわからぬ‥‥‥」

「なるほどね‥‥‥、コレを見る限りまぁ生きてはいるでしょうね」
「そのうち戻って来るでしょ?」
「ネロくん、ずっとやっててくれたからポーションの備蓄だけでも10年以上あるし‥‥‥、家計としては問題は無いわ」

「アタシは早く帰って来て欲しいなぁ。この子を見せたいからさ」
 ジャンヌはそう言いながらお腹をさすった。


 それから‥‥‥
 ネロが消息不明になって六年の歳月が経とうとしていた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生先は盲目幼女でした ~前世の記憶と魔法を頼りに生き延びます~

丹辺るん
ファンタジー
前世の記憶を持つ私、フィリス。思い出したのは五歳の誕生日の前日。 一応貴族……伯爵家の三女らしい……私は、なんと生まれつき目が見えなかった。 それでも、優しいお姉さんとメイドのおかげで、寂しくはなかった。 ところが、まともに話したこともなく、私を気に掛けることもない父親と兄からは、なぜか厄介者扱い。 ある日、不幸な事故に見せかけて、私は魔物の跋扈する場所で見捨てられてしまう。 もうダメだと思ったとき、私の前に現れたのは…… これは捨てられた盲目の私が、魔法と前世の記憶を頼りに生きる物語。

転生してしまったので服チートを駆使してこの世界で得た家族と一緒に旅をしようと思います

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
俺はクギミヤ タツミ。 今年で33歳の社畜でございます 俺はとても運がない人間だったがこの日をもって異世界に転生しました しかし、そこは牢屋で見事にくそまみれになってしまう 汚れた囚人服に嫌気がさして、母さんの服を思い出していたのだが、現実を受け止めて抗ってみた。 すると、ステータスウィンドウが開けることに気づく。 そして、チートに気付いて無事にこの世界を気ままに旅することとなる。楽しい旅にしなくちゃな

前世は不遇な人生でしたが、転生した今世もどうやら不遇のようです。

八神 凪
ファンタジー
久我和人、35歳。  彼は凶悪事件に巻き込まれた家族の復讐のために10年の月日をそれだけに費やし、目標が達成されるが同時に命を失うこととなる。  しかし、その生きざまに興味を持った別の世界の神が和人の魂を拾い上げて告げる。    ――君を僕の世界に送りたい。そしてその生きざまで僕を楽しませてくれないか、と。  その他色々な取引を経て、和人は二度目の生を異世界で受けることになるのだが……

異世界転生~チート魔法でスローライフ

リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

前世は悪神でしたので今世は商人として慎ましく生きたいと思います

八神 凪
ファンタジー
 平凡な商人の息子として生まれたレオスは、無限収納できるカバンを持つという理由で、悪逆非道な大魔王を倒すべく旅をしている勇者パーティに半ば拉致されるように同行させられてしまう。  いよいよ大魔王との決戦。しかし大魔王の力は脅威で、勇者も苦戦しあわや全滅かというその時、レオスは前世が悪神であったことを思い出す――  そしてめでたく大魔王を倒したものの「商人が大魔王を倒したというのはちょっと……」という理由で、功績を与えられず、お金と骨董品をいくつか貰うことで決着する。だが、そのお金は勇者装備を押し付けられ巻き上げられる始末に……  「はあ……とりあえず家に帰ろう……この力がバレたらどうなるか分からないし、なるべく目立たず、ひっそりしないとね……」  悪神の力を取り戻した彼は無事、実家へ帰ることができるのか?  八神 凪、作家人生二周年記念作、始動!  ※表紙絵は「茜328」様からいただいたファンアートを使用させていただきました! 素敵なイラストをありがとうございます!

戦犯勇者の弟妹~追放された弟妹の方が才能あるけど、人類がいらないなら魔王軍がもらいます~

アニッキーブラッザー
ファンタジー
「お前たちの兄の所為で魔王軍に負けた」、「償え」、「王国の恥さらしは追放だ」。人類と魔王軍の争い続く戦乱の世で、人類の希望といわれた勇者の一人が戦死し、人類の連合軍は多大な被害を受けた。勇者の弟である『エルセ』は故郷の民やそれまで共に過ごしてきた友たちから激しい罵詈雑言を浴びせられ、妹と共に故郷を追放された。 財を失い、身寄りもなく、野垂れ死ぬかと思った自分たちを保護したのは、兄の仇である魔王軍の将だった。 「貴様等の兄は強く勇敢な素晴らしき武人であった。貴様らの兄と戦えたことを吾輩は誇りに思う。生きたくば、吾輩たちと共に来い」 そして、人類は知らなかった。偉大な兄にばかり注目が集まっていたが、エルセと妹は、兄以上の才能と力を秘めた天賦の超人であることを。本来であれば、亡き兄以上の人類の希望となるはずの者たちを自分たちの手で追放したどころか、敵にしてしまったことを。

【完結】天下無敵の公爵令嬢は、おせっかいが大好きです

ノデミチ
ファンタジー
ある女医が、天寿を全うした。 女神に頼まれ、知識のみ持って転生。公爵令嬢として生を受ける。父は王国元帥、母は元宮廷魔術師。 前世の知識と父譲りの剣技体力、母譲りの魔法魔力。権力もあって、好き勝手生きられるのに、おせっかいが大好き。幼馴染の二人を巻き込んで、突っ走る! そんな変わった公爵令嬢の物語。 アルファポリスOnly 2019/4/21 完結しました。 沢山のお気に入り、本当に感謝します。 7月より連載中に戻し、拾異伝スタートします。 2021年9月。 ファンタジー小説大賞投票御礼として外伝スタート。主要キャラから見たリスティア達を描いてます。 10月、再び完結に戻します。 御声援御愛読ありがとうございました。

【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~

川原源明
ファンタジー
 秋津直人、85歳。  50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。  嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。  彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。  白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。  胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。  そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。  まずは最強の称号を得よう!  地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編 ※医療現場の恋物語 馴れ初め編

処理中です...