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冒険者 編

デフロック領

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 デフロック領は差別意識が強い。領主の所為だろう。冒険者として同列視される平民も、この領地では獣人を明らかに下に見ている。

 元日本人の俺としては奴隷に関しても今は別に違和感がない。この世界の奴隷って前世で言う会社員みたいだからだ。
 古代ローマの奴隷も現代の社畜に比べれば、ホワイトだって聞いた事があった。事実は知らないが、この世界の奴隷は別に鞭で叩かれて働かされてる訳ではないし。

 ただこの領地では、獣人が酷い扱いを受けていると思った。その証拠に宿を探したが二人を理由に取れなかった。
 なるべくこの地に俺のローズとサラを置いておきたくないと思い、ミストドアで我が家に繋いだ。二人の手を借りる事態になったら迎えに行こう。出来たらこの地の獣人の人々もどうにか出来ないものか‥‥‥。
 
 馬車にずっといるのも飽きるので交代で家に帰る、家に帰れば風呂も有るし、ベッドでも眠れる。

 翌日、馬車が取り囲まれている、物々しい雰囲気だ。

「冒険者のネロ様、侯爵邸まで御同行願います」

 あっれ?コレ、マズイパターンじゃね?



「どうしてこうなった?」

侯爵邸の牢屋だ、なんで俺、牢屋に入れられてんの?

「キサマのせいで水不足が悪化したのだ、近日中に処刑だ、ざまあみろ!」

 なんか話し合いの結果そうなったらしい。明らかに俺が雨を降らせているのに悪化させたって言う話になるのが理解に苦しむ。
 だがこの牢屋、結界とか張って無いんだよね。出放題じゃん。とりあえず悔しそうにしておいた方が良さそうかな?

「くっ、ここから出してくれー(棒)」
「ハハハ、悔しいか?存在を偽ったキサマが悪いのだ。そこでしばらく反省するが良い!」

「存在を偽った、って何の事だ?」
「水神の祝福だったか?そんなものがあるのなら、この領地も救えただろうがな」

 えっ?そこ疑われてんの?とりあえず疲れたから座ろうか、ウォータークッションに。
「な?お前、何座ってんだ⁉︎なんだ、それ⁉︎ どこから出した?」
「疲れたので」

「ダニエル様、至急お越し下さい!」

 兵士さんがダニエル氏を呼びに来た、なんか焦ってる。

「どうした?」
「領都中の水位がひどく下がっているのです。特にデフ湖の貯水量が制限を大きく下回ってます」

「何ぃ?大変ではないか。すぐに参る。おい!水、キサマ余計な事するなよ」

「いえ、こちらの方もデズモンド様がお呼びです」
「何?コイツのせいで悪化しているのだぞ?」

「‥‥‥お呼びですので」
「‥‥‥わかった」

 なんか出してもらえた。
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