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食後の‥‥‥

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「んー! 美味しかった!」

「美味かったやろ? あ、ワイは冒険者のハンジローや。よろしゅうな、あ、タメ語でええで」
「ウチも冒険者のカエデや。兄ちゃん達も冒険者ちゃうんか?」

「そうだ。俺がアウルムで‥‥‥」
「私がシルヴィア!」
「アリスよ、ハンジローはその剣を使うのかしら?」

「せや! アリスも剣の腕に覚えがありそうやな?」
「まぁ‥‥‥ね。少しはやるわよ」

「じゃあ満腹になったところで一丁手合わせしてもらえるか?」
「ご飯も奢ってもらったし‥‥‥いいわよね、アウルム?」

「まぁ、ギルドには行こうとしてたしな。カエデは魔法使いか?」
「うん、そやで。そういうシルヴィアもやろ?」

「まぁね。私は手合わせしないわよ」

「同感や。早よいこか?」

 ーーーーーーーーーーーー

「おう! ギルマス、ちょっと訓練所借りるで~」
「ハンジローにカエデ、今日はどないしたんや? 揃ってくるの珍しいやんか」

「今そこで面白い奴ら見つけたから連れてきたんや。手合わせするわ」
「依頼はまたそのうち行くわ」

 二人は有名人らしい。荒くれ者達が周りが道を開けている。
「ハンジローさんが手合わせやって」
「細い男と女二人かいな?」

「怪我すんで! あんたら、やめとき‥‥‥」
 その男は次の言葉が出なかった。

 首筋にハンジローの剣が当てられていた。
 その目も氷のように冷たくなっていた。

「余計なこといいなや? 楽しもうとしとるんやから‥‥‥」

「す‥‥‥すんまへん」
「次は止めへんぞ‥‥‥」

 ハンジローは剣を納めると元のにこやかな目になった。

「悪い悪い! さ、気を取り直していくでぇ」

 アリスがボソッと呟いた。
「あの動き‥‥‥、かなりやるわ」

ーーーーーーーーーーーー

 ハンジローが木剣の入った籠を持ってきた。
「さ、どれ使う? 好きなの選びや」

「‥‥‥これにするわ」
「ワイはこれやな」

 やはり周りに人が集まってきた。賭けにするのはどこも一緒らしい。
 
 ギルマスもやってきた。
「審判は俺がやろう。こういうのはちゃんとしないとな」

 アリスとハンジローが互いに向かい合って木剣を構える。ハンジローの目つきがガラッと変わる。殺気と威圧感が凄い。

「始めっ!!!」

「キェー!!!!」
 独特の掛け声で突っ込んでくるハンジロー。
 構えは上段の少し変形した感じ。

 目に見えない速さの力強い打ち下ろし。アリスが柄にもなく大きく避けた。

「よう受け止めんかったなぁ?」
「もし受けてたら‥‥‥多分折れてたわ」
「正解や、次は連続で行くで、キェー!!!」

 連続で打ち込んでくるハンジローに圧倒され、後手に回るアリス。

「くっ!! なんのっ!」
「キェッ!! キェッ!! キェー!!!!」
  
 ボキッ!!

 アリスの木剣が折れた。
 アリスは木剣を手放して両手を上げた。
「私の負けね‥‥‥、ハンジロー、アナタ強いわね」
「いや、一本もまともに入らなかった。お前もやるやん」

 俺は自然と拍手を送ってしまった。
 周りも拍手喝采していた。
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