上 下
110 / 143

アレ探し

しおりを挟む
 アレとは‥‥‥米だ。
 タイタン王国と周辺地域では見つからなかったが、東の方から来た人に聞いたことがあったのだ。

 日本人だった俺の精神が目覚めたのか、最近無性に米が食いたくなってしまったのだ。

 船兼屋敷の「サターン号」(命名はシルヴィア)
 サターンとはこちらの世界の輪っかのついた惑星の事らしい。土星も輪っかのついた惑星でサターンだから偶然だな。
 見た目が似ているかららしい。まぁ確かに土星かUFOにしか見えないよな。


「アウルム! アリス! ご飯出来たわよ」
「わかった、今行くよ」
 シルヴィアはいろんなところのレシピを集めているのでご飯が美味しい。だからこそ米が食いたくなるのだ。

 今はタイタン王国よりかなり東の国の上空だ。
何という国かわからない。
 かなり上空を飛んでいるから大丈夫だと思うが、もしかしたら‥‥‥?

「主殿! ワイバーンに乗った騎士が複数!! 向かって来ます!!!」
「‥‥‥わかった。俺が外に出よう」

 ふう、悪い予感は当たるものだな。
 
 サターン号を空中で停止させる。
 俺は出口とか関係無しに出入り出来るからそのまま外に出る。万が一に備えてルーを隣に配置する。
  
 程なくワイバーンに乗った騎士達が現れる。
 

「お前は何者か? コレは何だ? どこへ行くつもりか?」
「質問が多いな。俺はアウルム、冒険者だ。コレは俺の船‥‥‥」

「コレが船だと!? こんなものが船なわけないだろう? 怪しいやつだ。スパイかもしれん。捕らえよ!!」

 いぃ!? そういう展開?

「待ってくれ! このまま降りるからこの船に危害を加えるな」

 ゆっくりと下げて行くと、竜騎士もそのままついてくる。揉め事を起こすつもりはない。

「このまま下げると建物に当たる。誘導するからこっちに進んでくれ」
「わかった」

ーーーーーーーーーーーー

「よし、この辺で下ろせ。妙な真似はするなよ?」
「しないよ」
 じゃなきゃこんなに大人しくしてないだろうよ。
 言われるままに降りる。

「中に誰かいるのか?」
「‥‥‥中には俺の家族がいる。手を出さないと約束してくれ、それなら質問にも答えよう」

 一人の竜騎士が激昂する。
「何をキサマ!? 我らに条件を突きつけるとは‥‥‥、自分の立場がわかっているのか?」

「まぁまぁ、そのくらいは良いだろう。約束しよう」

 おっ? こっちのやつは話が出来そうかな?

「まずお前さん、アウルムって言ったか? アンタは我が国の領空に無断で侵入した。それは認識しているか?」
「あ‥‥‥、それは‥‥‥すみませんでした」

 この世界でも領空侵犯とかあるんだな。領地、領海とかなら分かるけど。

「まぁ、アンタを見たらそこまで怪しい感じはしないな。冒険者だって? どこかに行くつもりだったのか?」
「あぁ、米を求めて旅をしているところだ」

「米? 米が欲しいのか?」
「あるのか!?」

「あるにはあるが‥‥‥、作っているのはもっと東の方だ」
「そうか、ありがとう。じゃあ、これで」

 ガシッと止められる。
「いや、待て。このまま帰す訳にはいかん。来てもらおう」
「あ‥‥‥、ソウデスネ。コレはここに置いても?」
 サターン号を指差す。

「まぁ、問題無かろう。でもアンタの家族も連れて来てもらうぞ、降ろしてくれ」
「‥‥‥わかった。約束は守ってくれよ」


 一旦中に入り、シルヴィア、アリスに伝える。二人とも降りてきてくれた。
 シルヴィアは念のため変身魔法を使って。
 長時間でなければ大丈夫だろう。

 どうもこの国はエルフに対してのイメージが良くなさそうだからな。
 それなりにいるだろうに‥‥‥。

 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ポリゴンスキルは超絶チートでした~発現したスキルをクズと言われて、路地裏に捨てられた俺は、ポリゴンスキルでざまぁする事にした~

喰寝丸太
ファンタジー
ポリゴンスキルに目覚めた貴族庶子6歳のディザは使い方が分からずに、役に立たないと捨てられた。 路地裏で暮らしていて、靴底を食っている時に前世の記憶が蘇る。 俺はパチンコの大当たりアニメーションをプログラムしていたはずだ。 くそう、浮浪児スタートとはナイトメアハードも良い所だ。 だがしかし、俺にはスキルがあった。 ポリゴンスキルか勝手知ったる能力だな。 まずは石の板だ。 こんなの簡単に作れる。 よし、売ってしまえ。 俺のスキルはレベルアップして、アニメーション、ショップ、作成依頼と次々に開放されて行く。 俺はこれを駆使して成り上がってやるぞ。 路地裏から成りあがった俺は冒険者になり、商人になり、貴族になる。 そして王に。 超絶チートになるのは13話辺りからです。

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

迷い人 ~異世界で成り上がる。大器晩成型とは知らずに無難な商人になっちゃった。~

飛燕 つばさ
ファンタジー
孤独な中年、坂本零。ある日、彼は目を覚ますと、まったく知らない異世界に立っていた。彼は現地の兵士たちに捕まり、不審人物とされて牢獄に投獄されてしまう。 彼は異世界から迷い込んだ『迷い人』と呼ばれる存在だと告げられる。その『迷い人』には、世界を救う勇者としての可能性も、世界を滅ぼす魔王としての可能性も秘められているそうだ。しかし、零は自分がそんな使命を担う存在だと受け入れることができなかった。 独房から零を救ったのは、昔この世界を救った勇者の末裔である老婆だった。老婆は零の力を探るが、彼は戦闘や魔法に関する特別な力を持っていなかった。零はそのことに絶望するが、自身の日本での知識を駆使し、『商人』として新たな一歩を踏み出す決意をする…。 この物語は、異世界に迷い込んだ日本のサラリーマンが主人公です。彼は潜在的に秘められた能力に気づかずに、無難な商人を選びます。次々に目覚める力でこの世界に起こる問題を解決していく姿を描いていきます。 ※当作品は、過去に私が創作した作品『異世界で商人になっちゃった。』を一から徹底的に文章校正し、新たな作品として再構築したものです。文章表現だけでなく、ストーリー展開の修正や、新ストーリーの追加、新キャラクターの登場など、変更点が多くございます。

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。 剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。 しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。 休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう… そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。 ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。 その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。 それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく…… ※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。 ホットランキング最高位2位でした。 カクヨムにも別シナリオで掲載。

処理中です...