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シデーロスへ帰還

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  二人の話し合いが一旦落ち着いた頃に吹雪が止んだ。
「ねぇ、アウルム。クロムさんがさっきのあったかい袋を作って売ってくれるって。アナタは発明した特許料がもらえるわ」
「開発も俺がやる。材料もだいたい俺が集められるんだが、鉄の粉だけが難しいんだよな。これ最後は鉄が錆びちまうんだろ? 使い捨てにするには少し貴重過ぎてな」
 
 うーん、そうだなぁ。これから代わりにこれを売って稼いでくれるのなら打ち明けてもいいかな。
「兄さん、俺はこういう事が出来るんです」
 ストレージから錆びた剣を取り出す。錆びていた剣がみるみる新品のように輝き出す。

「!? 何が起きているんだ?」
「俺は金属を色々出来るんですよ。ほら、こういったことも‥‥‥」
 剣を縦や横に回転させる。

「魔法か? こんな魔法あるのか!?」
「ほら、こうすれば‥‥‥」
 懐炉もどきの中身、使用済みの茶色の粉末が黒く戻っていく。

「な‥‥‥なんだそれ? それが出来たら一気に解決する!! シルヴィア! 再度検討するぞ」
「アウルム、良かったの?」
「これからこれを作って売ってしてくれる人だから信頼しなきゃ。クロム兄さん、他言無用でお願いします」

「もちろんだ、こんな事話しても信じてもらえないだろうけどな!」

ーーーーーーーーーーーー

「よし、じゃあ色々試してみるから上手く出来たら連絡するわ。待っててくれな」
 クロム兄さん家から出た。吹雪も止んで積雪は大したことないから普通に帰れそうだ。
 クロム兄さんは元々こういった商品開発とか研究が好きなんだそうだ。嬉々とした表情で俺たちを送り出してくれた。

「さて、シデーロスに戻りましょ。また天候が崩れるかもしれないわ」
「そうだな、急ごう」

ーーーーーーーーーーーー

村とシデーロスの中間くらいでやはり日が暮れてきた。今日はここで夜営だな。
「テントだけど一つでいいかしら? 一人だと怖くて‥‥‥一緒でもいいかな?」
「ん‥‥‥俺は良いけど」

 念のためテントの周囲に金属粒子を撒いておくかな。
「主殿、我とマリで見張ります故、ごゆっくりお休みください」
「そうだぜ、旦那。アタイたちは睡眠とか要らないしな」
「そうか、わかった。ありがとう」

 (テント内)
「ねぇ、アウルム。私の事どう思う?」
「? どうって仲間だと思ってるけど‥‥‥?」

「そうじゃなくて! それ以外に何か思わないの?」
「? 全属性の魔法が使えてすごいなぁとか?」

「もう!! そういう事じゃないの! 私の事なんとも思わないの?」
「え? いや、綺麗だと思うし女性としても素敵だと思うけど‥‥‥」

 途端に笑顔に変わる。
「えへへ‥‥‥そう、かな? 嬉しい。ありがと。じゃあさ‥‥‥」
「敵襲!!」

 テントから飛び出す! 
「何がいるんだ?」
「アレは『メタルスネーク』ですな」
「アイツらの鱗は特殊金属でミスリル武器ですら効かないんだよ。あ~、でも旦那なら‥‥‥」

 手を翳して反応をみると蛇の形に金属の反応を感じる。よし、そのまま引きずり出してやろう。蛇は何が起きてるのかわからないみたいだ。
 にしても蛇というにはデカいな。大蛇というのか、人くらいなら丸呑みに出来そうなサイズだぞ。

 蛇を宙に浮かせて金属の鱗を一枚剥がして手元にもってくると‥‥‥おぉ、確かに珍しい金属だ。この世界にはこういう種族がいるらしいな。
 鱗を剥がされて怒っているのか? 威嚇してきた。勘違いしてるようだけどな。

 雑巾のように搾り上げてやると中身の蛇は絶命した。おっ! ラッキー! そのまま鱗やらが残った。ドロップ大成功だ。

「‥‥‥やっぱりアウルムは強すぎるわ」
 シルヴィアがボソボソ何か言ってたが聞こえなかった。

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