異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜

芍薬甘草湯

文字の大きさ
上 下
109 / 119

不動産屋

しおりを挟む
 翌朝、歩いて教わった不動産屋に来た。
「すみませーん」
「はいはい、いらっしゃい。どんな物件をお探し?」
 男の店員が出てきた。この人が店長かな?

「明後日学院を受験するんですけど、合格したら寮じゃなく家に住む必要がありまして‥‥‥」
「ほほう、なるほど‥‥‥学生さんね。こちらの用紙にお客様情報を記載してください」

 えっと本人と同居人の名前、種族。希望の部屋タイプ、他希望内容‥‥‥か。

 本人は俺だな、エドガーっと。種族はヒューマン。同居人のティナ(ノナン族)、ロキソ(ドワーフ)、フルル(エルフ)と。
 部屋タイプは四人で住むからそれなりに広くないとな、誰か泊めたりするかもしれないから4+1部屋か。みんなで飯を食うダイニング、寛ぐリビング、シャワー室にトイレは二つはあった方がいいな。

 ロキソの為に鍛冶が出来るようなスペースも欲しいよな。フルルの為の射撃スペースもあった方がいいか?

 うるさくなるかもしれないし密集してる所じゃない方がいいかな?

「‥‥‥と、こんなもんか。はい、お願いします」

「‥‥‥お客さん、バカにしてんの? こんな物件、学生が借りられる訳ないだろうが? 冷やかしなら帰んな!!」
 記載された内容を見て子供がふざけて冷やかしに来たと思われたみたいだ。まぁ普通ならそうか。
 ティナ、懐のガバメントから手を離しなさい。

「‥‥‥しかもノナン族? 家主が嫌がるんだよ、ノナン族は! それにドワーフはまだいいとしても、エルフだって? あんた、本当に見た事あんの?」
 ‥‥‥あー、忘れてたわ。王都でのノナン族の扱い。差別の対象だったもんな。

 うーん、しかしこいつの態度からしてここは利用したくなくなったな。別のとこ探すか。

「わかりました、結構です」
「あぁ、とっとと帰れ! こっちは遊びじゃねぇんだよ」

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 エドガー達が出て行った後‥‥‥。

「全くふざけやがって‥‥‥。あ、店長。おはようございます。見てくださいよ、このふざけた内容を‥‥‥。朝一から冷やかしですよ」

 お茶の入ったカップを片手に用紙を受け取る店長と呼ばれた男。
「そりゃ災難だったな。どれ‥‥‥って。ははっ、こりゃあひどいな」
「歩いてくるような普通民のくせにこんな家住める訳ないだろ。冗談にしたってちっとも面白くないし‥‥‥」

 一般的に貴族は馬車で移動し、普通民は歩きで移動する。それも間違いではない。

「ノナン族じゃ借りるのは無理だろうな。買うか、建てるかしないと。ドワーフにエルフってのもウケるな」
「エルフなんて見た事ないですよ。あー! まったくもう!! 朝からついてねー!!」

「‥‥‥ほら。別のお客が来たぞ。今度は馬車だから貴族だ。気を取り直して接客頼むぞ」
「はーい」

「‥‥‥全く今時こんなイタズラをする学生がいるんだな」

 馬車を停めて降りてくる。
「いらっしゃいませ!」
「ウェストール辺境爵家執事長のセバスと申します。エドガー様達はこちらに参りましたかな?」

 お茶を口に含みながら店長は思った。
(エドガー‥‥‥? どこかで見たような)

 手に持っていた普通民用の用紙を再度見て店長はお茶を噴き出した。
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

異世界に転生したら?(改)

まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。 そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。 物語はまさに、その時に起きる! 横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。 そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。 ◇ 5年前の作品の改稿板になります。 少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。 生暖かい目で見て下されば幸いです。

明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。 彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。 最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。 一種の童話感覚で物語は語られます。 童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?

歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。 それから数十年が経ち、気づけば38歳。 のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。 しかしーー 「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」 突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。 これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。 ※書籍化のため更新をストップします。

転生令息は攻略拒否!?~前世の記憶持ってます!~

深郷由希菜
ファンタジー
前世の記憶持ちの令息、ジョーン・マレットスは悩んでいた。 ここの世界は、前世で妹がやっていたR15のゲームで、自分が攻略対象の貴族であることを知っている。 それはまだいいが、攻略されることに抵抗のある『ある理由』があって・・・?! (追記.2018.06.24) 物語を書く上で、特に知識不足なところはネットで調べて書いております。 もし違っていた場合は修正しますので、遠慮なくお伝えください。 (追記2018.07.02) お気に入り400超え、驚きで声が出なくなっています。 どんどん上がる順位に不審者になりそうで怖いです。 (追記2018.07.24) お気に入りが最高634まできましたが、600超えた今も嬉しく思います。 今更ですが1日1エピソードは書きたいと思ってますが、かなりマイペースで進行しています。 ちなみに不審者は通り越しました。 (追記2018.07.26) 完結しました。要らないとタイトルに書いておきながらかなり使っていたので、サブタイトルを要りませんから持ってます、に変更しました。 お気に入りしてくださった方、見てくださった方、ありがとうございました!

元万能技術者の冒険者にして釣り人な日々

於田縫紀
ファンタジー
俺は神殿技術者だったが過労死して転生。そして冒険者となった日の夜に記憶や技能・魔法を取り戻した。しかしかつて持っていた能力や魔法の他に、釣りに必要だと神が判断した様々な技能や魔法がおまけされていた。 今世はこれらを利用してのんびり釣り、最小限に仕事をしようと思ったのだが…… (タイトルは異なりますが、カクヨム投稿中の『何でも作れる元神殿技術者の冒険者にして釣り人な日々』と同じお話です。更新が追いつくまでは毎日更新、追いついた後は隔日更新となります)

処理中です...