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感染対策

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 馬車の中でフィルさんに思いついた事を説明する。それは名案だと賛成してくれた。

「ゲオルグ様には俺から話します。フィルさんはその界隈の人手を集めてください」
「わかりました!」

 辺境爵邸前で降ろしてもらって衛兵の人に話す。俺の見覚えがあった事と話を聞いていた事もあってか話はスムーズに進んで屋敷に入れた。

「こちらでお待ちくださいませ、エドガー様」
「ありがとうございます、セバスさん」

 程なくしてゲオルグ様がやってきた。臣下の礼を取る。

「やぁ、エドガー。久しぶりだな、火酒は出来たか?」
「そちらは順調に進んでおります。今回は流行り病の件できました」

 真剣な顔で返答するとゲオルグ様も真剣な顔つきになった。

「何か手立てがあるのか?」
「先程妙案を思いつきまして‥‥‥少し人を集めていただきたく。なるべく早急に」

「ふむ、その妙案とやらを聞かせてもらおうか」
「流行り病の原因は小さな微生物だとお聞きかと。流行り病はその微生物が肺に入って感染して病を発症します」

「ふむ、聞いておる。そしてテオドールの感染対策が見事であると報告も昨夜受けた」
「妙案とは『マスクに魔法陣を施し』ます。【浄化】の魔法陣でございます」

「ふむ、布に書くのか?」
「いえ、魔法陣を刺繍致します。これで装着した人の魔力でもって感染の拡大が防げると思われます」

「なんと‥‥‥! セバスよ、今すぐに適した人材を集めよ」
「既に手配済みでございます」

「エドガー、人が集まったら詳しく説明せよ」
「かしこまりました」

 一時間もしないうちに人が集まる。マッシュも呼ばれたらしい。待っている間に魔法陣を清書した。これなら発動するはずだ。

「【浄化】の魔法陣をこの覆い布【マスク】に刺繍していただきたいのです。早急に作っていただき、出来次第配ってください。テオドール村で進めていた感染症対策も同時に進めてください」

 少なくとも今後の患者数は減っていくはずだ。

「ポーションはどうですか? 足りていますか?」
「感染者が多くて作っても作っても足りません」

 そうか‥‥‥これに関してはどうしようもないな。

 すると執事の一人が部屋に飛び込んできた。
「失礼致します。ゲオルグ様‥‥‥」
「なんだ? 大事な会議中である」

 執事の人が耳打ちするとゲオルグ様の顔色が変わった。

「エドガー、近う」
 ゲオルグ様に呼ばれた。
 なんだろうか? お側に寄る。

「‥‥‥エリーゼが感染したらしい。お主に頼んでばっかりですまぬがなんとか出来ぬか?」
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