上 下
49 / 119

オリザ栽培計画

しおりを挟む
 オリザ(米)の栽培計画について。
 
 まずは苗作り。土を撒いた苗箱に種籾を蒔く。温室で温めて苗を育てる。育ったら田植えをする。水を張って雑草に気をつけて。秋になったら稲刈り。
 
 これから冬を迎えるこの時期に出来るのは田圃作りか。土地選びからしないとな。

 麦畑は乾燥してても良いけど田圃は湿ってて水分の保持が出来るような土じゃないといけない。土もだけど畝や土手もちゃんとしないと泥が流れちゃうからな。

 前世の記憶を掘り起こして田圃作りを開始した。例の魔道具畑起こし機も使おう。畝はさすがに自分でやらないとダメだな。

「エドガー様、今度は何を作り始めたのですか? 変わった畑ですね?」
「ティナ、この間買ってきたこのオリザを育てようと思ってな。こういう泥濘んだ田圃で作るんだよ」

 泥まみれの俺を見てティナは飛び込んでくる。当然泥が跳ねる。

「わっ! ぷっ! 田圃に飛び込むなっ!!」
「あっ! すみません! その様な作業、言っていただければ私がやりますのに‥‥‥」

「俺も自らやってみないとダメかと思ってな」
「エドガー様‥‥‥」

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 一応田圃らしきものは出来た。
「ここにその種籾とやらを撒くのですね!?」
「いや、違う。苗を育ててから植えるんだ」

 ティナは困惑した表情だ。
「? ‥‥‥種を蒔いたら育つのではないのですか?」
「まぁ、それでも育つのかもしれないが。まぁ俺の知識の通りにやってみようと思ってな」

「‥‥‥失礼致しました」
「いや、手伝ってくれてありがとな」

 とりあえずの小さな田圃作りは終わった。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 午後は新しい料理を作ってみる。この世界の小麦粉の使い方はパンばっかりだ。他に行けばいろいろあるのかもしれないが俺の記憶にはない。

 作ってみるのは「麺」だ。麺が作れれば料理の幅が広がる。前世の記憶を頼りに麵打ちをしてみる。
「あらあら、エドガー様。今度はなんですか? 小麦粉で遊んじゃダメですよ」
「遊んでるわけじゃないよ。ティナ、麺って知ってるか?」

「めん‥‥‥?」
「小麦粉を練って生地を作って切ったり伸ばしたりするんだ」

「あぁ、ヌードゥルですか! 子供の頃によく食べました、懐かしいです!」
「‥‥‥ノナン族の頃の話?」

「ええ、よくそうして食べた記憶があります。私がやってもよろしいですか?」
「あぁ、頼む。俺がやると上手くいかないだろうから」

 ティナが生地を捏ね始めた。力が強いからテーブルがギシギシいってる。

 麺の方は任せるか。俺はソースでも作ろう。
 トメートとオニオニンを刻んで炒める。もちろんトメートの種は捨てずに保存する。
 塩で味を整える、麺に絡めるので味は少し濃いめに。
 
「エドガー様、こんなものでいかがでしょうか?」
「うん、量が思ったより多いけど。いいんじゃないか? 鍋で茹でよう」
 ティナは本当に器用だな。

「‥‥‥なんかいい匂いがする。ワタシの分もありますか?」
 フルルが匂いを嗅ぎつけたのか見張り台から降りてきた。

「あるっちゃあるからいいんだけど‥‥‥。見張りはいいのか?」
「‥‥‥お腹空きました。もう一人居ますし。それ食べたら戻ります」 
 まぁ、いっぱいあるし。戻るのは食べてからでいいか‥‥‥。

 沸騰した鍋に塩を少し入れて麺を茹でる。
 麺同士がくっつかない様にしばらくかき混ぜる。
 
 数分茹でた麺を一本取って食べてみる。
うん、アルデンテだ。少し芯が残るくらいで引き上げる。

 それぞれの皿に取り分けてトメートソースをかけたら出来上がりだ。

「わぁ‥‥‥!!」
「‥‥‥美味しそう。食べていいですか?」

「もちろんだ。いただこう! あ‥‥‥しまった」
「!? なんですか?」

 フォークが人数分なかった。ロキソに言って作っておいてもらえば良かった。
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

売れない薬はただのゴミ ~伯爵令嬢がつぶれかけのお店を再生します~

薄味メロン
ファンタジー
周囲は、みんな敵。 欠陥品と呼ばれた令嬢が、つぶれかけのお店を立て直す。

クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される

こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる 初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。 なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています こちらの作品も宜しければお願いします [イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]

公爵家次男はちょっと変わりモノ? ~ここは乙女ゲームの世界だから、デブなら婚約破棄されると思っていました~

松原 透
ファンタジー
異世界に転生した俺は、婚約破棄をされるため誰も成し得なかったデブに進化する。 なぜそんな事になったのか……目が覚めると、ローバン公爵家次男のアレスという少年の姿に変わっていた。 生まれ変わったことで、異世界を満喫していた俺は冒険者に憧れる。訓練中に、魔獣に襲われていたミーアを助けることになったが……。 しかし俺は、失敗をしてしまう。責任を取らされる形で、ミーアを婚約者として迎え入れることになった。その婚約者に奇妙な違和感を感じていた。 二人である場所へと行ったことで、この異世界が乙女ゲームだったことを理解した。 婚約破棄されるためのデブとなり、陰ながらミーアを守るため奮闘する日々が始まる……はずだった。 カクヨム様 小説家になろう様でも掲載してます。

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

伝説の魔術師の弟子になれたけど、収納魔法だけで満足です

カタナヅキ
ファンタジー
※弟子「究極魔法とかいいので収納魔法だけ教えて」師匠「Σ(゚Д゚)エー」 数十年前に異世界から召喚された人間が存在した。その人間は世界中のあらゆる魔法を習得し、伝説の魔術師と謳われた。だが、彼は全ての魔法を覚えた途端に人々の前から姿を消す。 ある日に一人の少年が山奥に暮らす老人の元に尋ねた。この老人こそが伝説の魔術師その人であり、少年は彼に弟子入りを志願する。老人は寿命を終える前に自分が覚えた魔法を少年に託し、伝説の魔術師の称号を彼に受け継いでほしいと思った。 「よし、収納魔法はちゃんと覚えたな?では、次の魔法を……」 「あ、そういうのいいんで」 「えっ!?」 異空間に物体を取り込む「収納魔法」を覚えると、魔術師の弟子は師の元から離れて旅立つ―― ――後にこの少年は「収納魔導士」なる渾名を付けられることになる。

処理中です...