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市場にて

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 ゲオルグ様から承認と協力を得た後、辺境爵領都メッサーラの市場を訪れた。

「さすがは大貴族の街ですね。活気があって品物もたくさんありますね!」

「人もたくさんいるな。迷子になるなよ、ティナ?」
「なりませんよ!」

 ずっと探してたものが見つかるかもしれないな。穀物を取り扱っている店を探そう。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 一番大きな穀物を取り扱っている店を訪れた。
「小麦や大麦ならあるけどな‥‥‥。兄ちゃんの言うそんなのは取り扱ってないねぇ」
 うーん、この世界には無いのかな。

「もう何軒か店があるからそこで聞いてみな?」
 場所を教えてくれた。親切な店だ。

「ありがとうございます、そちらに行ってみます」

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 三軒教わった店のうち、二軒はやはりなかった。残りの一軒の『ヤリス穀物店』に有れば‥‥‥。

「お兄さん、お使いかい?」 
 同じくらいの歳の女の子に話しかけられた。

「はい、こういうのを取り扱っていませんか?」
「これは‥‥‥もしかしてオリザかな? あまり量は無いけど」
 オリザって言うのか。地球での学名だ。

「!? あるんですか!?」
「ちょっと待ってて。んーと、コレだろ?」

 見せてくれたものはまさしく‥‥‥オリザという名の穀物、日本人の主食「米」だ。
 ずっと探していたものだ。

「やったぁ!! コレ、全部ください!!」
「えっ!? 全部かい?」

「あっ、買い占めたらまずかったですか?」
「いや、売れなくて困ってたからさ。食べ方もよくわかんないしさ。買ってくれるならありがたいけど返品は出来ないよ」

 返品などするものか。
「もちろん。全て買わせてください」
「小さいのに買い方が豪快だねぇ。金貨一枚と銅貨五枚‥‥‥、いいや、金貨一枚にまけとくよ!」

 お、ありがたいな。
「じゃあ銅貨五枚で屋敷に届けてくれますか? 俺じゃ持てそうにないんで」

「お? よしきた! クロス、この兄さんの言うところまでコレを運んでやって」
「あいよー」

「あたいはノア! 兄さんは?」
「エドガーと言います。よろしく」
 俺が手を差し出しノアと握手をした。

 奥から出てきたクロスさんは大きな身体で米袋をヒョイと担いでくれた。

「で、コレはどこに運べばいいんだい?」
「あ、辺境爵様の屋敷にお願いします」

ザワッ!!!

 ガヤガヤしてた雑踏が一瞬静まり返った。
 
 ノアさんが青褪めた顔になる。
「き、貴族様‥‥‥大変失礼な口を聞いてしまい‥‥‥」
「あ、違います! 俺は貴族じゃないんで‥‥‥」
 勘違いさせてしまった事を謝罪する。

「あ、そうなのかい。びっくりしたよ、貴族様がこんな所に来るのかと思って‥‥‥」
「また買いに来ます。よろしくお願いします」

 良い買い物が出来た。あとは何か掘り出し物でも探すか。
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