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料理教室

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「ちょうど料理が出来たようだ。エドガーよ、隣に座れ。食べながらもっといろいろと教えてくれるか?」
「はい、私などでお役に立てれば‥‥‥」

 料理がいろいろと運ばれてくる。料理の取り分けもメイドさんのお仕事だ。
 並べられた料理を見ると‥‥‥全体的に芋が多い。ポタート、前世で言うところの『じゃがいも』だ。

「すまんな、ポタートばかりが豊作で。オレとしても少々飽き気味で困っとるんだ」

 蒸したじゃがいも、前世でもたまに食べててそれなりに美味かったけど。まさかこんなに出てくるとは思わず。
 料理の付け合わせと言うよりポタートの付け合わせに肉が申し訳程度に少し載ってるみたいな感じだ。
 お貴族様なのにな‥‥‥。

「エドガーよ、このポタートを美味く食えるアイディアは無いか?」
「‥‥‥ございますよ」

「そうだよなぁ‥‥‥って!? 本当か!? 作り方わかるのか?」
「はい、宜しければやってみますか? 料理人の方をお借りしても?」

 ゲオルグ様は少し興奮気味だ。
「何人でも連れて行け。是非やって見せてくれ」

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

「料理長のクロケットです。ポタートの新しい料理法を教えていただけるそうで」
「エドガーです。生のポタートはありますか」

「この通りたくさんありすぎて困っているくらいです」
 出てくる出てくる、まさに山のようだ。

 先程出ていた付け合わせの肉と蒸しポタートの皿も持ってきてもらった。

「生のポタートはこの様に棒状に切ってください。くし形に切った物と薄く輪切りにした物も作りましょう」
 さすがは貴族様お抱え料理人だ。手つきが鮮やかだ。

「そしたら鍋に油を入れてください。揚げ物をします。良い温度になったら刻んだポタートを揚げてください。いい色に揚がったら塩を振って出来上がりです」


「こちらの調理済みのポタートと肉はどうします?」
「ポタートはすべて潰します、その肉も細かく刻んで混ぜましょう。オニオニンもありますか? それも微塵切りにして炒めます」

 じゃーじゃー! 

「炒めたオニオニンと刻んだ肉と潰したポタートを混ぜてこねます。出来たらこう楕円形になる様に形を作ります」

「卵を割って水と少し小麦粉を混ぜます。さっきのポタートを混ぜたものにこの卵液、パン粉の順で付けて揚げます」

 コネコネ‥‥‥ペタペタ‥‥‥ジュー!!

「いい感じの揚げ色になったら引き上げて、油を切ったら出来上がりです」

 さすがは貴族様のお抱え料理人。手つきが澱みない。

 揚げたてを食べてみて貰った。
 サクッとフォークで切って口に入れたクロケットさん。サクッと歯切れの良い音がここまで届く。

「!!!! 美味い!! 熱いけど美味い!! こんなの食べた事ありませんよ!」

 こっちの世界では無いのかな? 無いなら名前パクっても平気だろうか。

「こっちの手間がかかった方は名前がありません。クロケットさんの名前をもじって「コロッケ」としてはどうでしょうか?」
「そんな!! 私の名前からなど畏れ多い!! 是非エドガー様の名前を付けるべきかと!!」

 言われる気はしたけど。クロケットさんの名前でコロッケを思い出したんだからそうして欲しいんだよな。

「俺の作り出すものはまだまだありますから。これは是非クロケットさんの「コロッケ」でお願いします」
 俺は頭を下げて頼み込む。

「そんな‥‥‥わ、わかりました。コレはコロッケと名付けましょう。光栄です、ありがとうございます!!」

 良かった。上手くいった。
「で、どうでしょう? 辺境爵様は気に入っていただけますかね?」
「ええ!! これならばゲオルグ様も満足いただけるはずです!! ありがとうございます!」

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

「美味い!! これは良いな!!」
 コロッケは思いの外好評だった。
 揚げたてなら特に美味しいもんな。

「こっちも手が止まらんぞ」
 揚げポタートをひたすら食べているロキソ。居酒屋の定番メニューだからつまみにもなるしな。
 イブが食べながら質問。
「いつも思うけど、何故こんな物を思いつくのかしらね?」

 そしてティナが立ち上がって場を制す。
「理由は一つ! エドガー様だからです!!」

「坊の思いついた物を作るのは楽しいからのぅ。今後もよろしく頼むぞ」
「ロキソ達がいないと俺だけじゃ何も作れないからな。こちらこそよろしくな!」
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