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襲撃③
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後発部隊もかなり近づいてきた。こちらは銃撃を再開する。
あらかた先程までと同じだが一体だけ大きいのがいる。
ライフル弾を受けてもどこ吹く風といった様子でのっしのっしと近づいてきている。
「‥‥‥あれはオーガだな。ライフル弾じゃ歯がたつまい」
「ど、どうしましょう、エドガー様?」
アレが間に合えば‥‥‥。
「坊!! 完成したぞ!!」
キタコレ!!
「ナイスタイミングだ、ロキソ!! イブ、見張り台のフルルの所に持って行ってくれ!!」
「あいよー!」
イブは自分の背丈より大きな銃、いやどっちかっていうと砲に近い。
いわゆるアンチマテリアルライフルだ。バレル(銃身)だけで1200mmある。弾丸は口径30mm 薬莢長173mmで作ってもらった。本来なら30mm機関砲で使うべき弾薬だ。
「フルル、反動がすごいから気をつけろよ! ジョイ、お前は下りてこい!!」
「了解です!」
「えー?」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
イブが上がってきて渡された対物ライフルの大きさに少し引いてしまうフルルとジョイ。
「設置するところまではアタイがやるね。フルルちゃん、あとは頑張って! ジョイ、下りるよ」
「えー? ここで見たいよー」
「‥‥‥この大きさじゃ反動で怪我するわ。アナタは下におりた方が良いと思う」
呟きながらボルトハンドルを引いて巨大な弾を込めるフルル。装填数は一発のみ。薬莢はフルルの手首くらいの太さだ。予備の弾薬はもう一本だけ。
「これはフルルちゃん専用だからね。反動が減る様に作ってはあるけど試してないから気をつけてね」
イブとジョイは見張り台をおりていった。
オーガは大きいので的としては狙いやすい。
「こんなの撃ったことないけど絶対に外せないわ」
少し緊張したフルルはエドガーから貰ったポーションを取り出して飲み切った。
中身は無いが栓をして懐にしまう。エドガーから貰ったものは空き瓶ですら捨てられない、といったところだろう。
(エドガー様のお陰で弓も引けないワタシが生きる価値を見出せた‥‥‥これも絶対に外さない!!)
集中するフルル、一切の雑音が消える。まるで自分が銃の一部になったみたいに思える。
そこでオーガが息を大きく吸った。特殊攻撃の予備動作だ。
「やばい!! みんな耳を塞げ!! 物陰に隠れろ!!」
エドガーの声が響いたほぼ直後にオーガの口が開いた。
「ガァアアアアアッッ!!!!」
オーガの雄叫び‥‥‥空気が震えた。戦いの勝利が見えて油断していた村人がバタバタと何人も意識を失った。
エドガーは城壁の陰に隠れて、耳を塞いだにもかかわらず、たまらず膝をつく。鼻血も出てきた。
(隠れて耳を塞いでもこれか!! フルルは!? 大丈夫か?)
何人もの意識を刈り取ったオーガの雄叫びにフルルは動じなかった。耳も塞がずにお構いなしにライフルを構えていた。目と耳から血が流れているにも関わらず‥‥‥。
フルルの目が照星と照門の合った先にオーガの急所をとらえる。
引き金に指を当てて‥‥‥引いた。
ドンッ!!!!
銃と言うより砲の音である。フルルはあまりの反動で後方に転がってしまい見張り台の柵に軽く頭をぶつけてしまった。
しかし結果次第ではもう一発撃たねばならない。急いで立ち上がり確認するフルル。
オーガの頭部は大きく吹き飛んでていた。
そしてゆっくりと力無く倒れる首無しオーガ、その下敷きになったゴブリンもいた事だろう。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
オーガが倒されたのをみて周りのモンスター達は大きく動揺した。
その結果モンスター達の取った行動は‥‥‥逃げる事だけだった。
「モンスター達が引き上げて行くぞ! 俺たちの勝ちだ!!!」
雄叫びにやられなかった住民の一人が声を上げる。
「「「「うおおお!!!!」」」
住民は誰彼構わずに抱き合って勝利を喜んた。しかし‥‥‥。
「!? 逆方向から何かくるわよ!!」
新手のモンスターか? と村民に動揺が走る。もう弾薬も残り少ない。
「‥‥‥あれは?」
「モンスターじゃないぞ、ウェストール辺境爵軍だ!!」
辺境爵軍のお出ましだった。
辺境爵軍の騎兵隊はこちらを訝しげに見ながらもモンスター達の去った方向に駆けて行った。
「開門! 開門!! 我々はウェストール辺境爵軍である。応援に参った次第である!」
(今頃来やがった‥‥‥)
誰も口にはしなかったがそう思っていた。
あらかた先程までと同じだが一体だけ大きいのがいる。
ライフル弾を受けてもどこ吹く風といった様子でのっしのっしと近づいてきている。
「‥‥‥あれはオーガだな。ライフル弾じゃ歯がたつまい」
「ど、どうしましょう、エドガー様?」
アレが間に合えば‥‥‥。
「坊!! 完成したぞ!!」
キタコレ!!
「ナイスタイミングだ、ロキソ!! イブ、見張り台のフルルの所に持って行ってくれ!!」
「あいよー!」
イブは自分の背丈より大きな銃、いやどっちかっていうと砲に近い。
いわゆるアンチマテリアルライフルだ。バレル(銃身)だけで1200mmある。弾丸は口径30mm 薬莢長173mmで作ってもらった。本来なら30mm機関砲で使うべき弾薬だ。
「フルル、反動がすごいから気をつけろよ! ジョイ、お前は下りてこい!!」
「了解です!」
「えー?」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
イブが上がってきて渡された対物ライフルの大きさに少し引いてしまうフルルとジョイ。
「設置するところまではアタイがやるね。フルルちゃん、あとは頑張って! ジョイ、下りるよ」
「えー? ここで見たいよー」
「‥‥‥この大きさじゃ反動で怪我するわ。アナタは下におりた方が良いと思う」
呟きながらボルトハンドルを引いて巨大な弾を込めるフルル。装填数は一発のみ。薬莢はフルルの手首くらいの太さだ。予備の弾薬はもう一本だけ。
「これはフルルちゃん専用だからね。反動が減る様に作ってはあるけど試してないから気をつけてね」
イブとジョイは見張り台をおりていった。
オーガは大きいので的としては狙いやすい。
「こんなの撃ったことないけど絶対に外せないわ」
少し緊張したフルルはエドガーから貰ったポーションを取り出して飲み切った。
中身は無いが栓をして懐にしまう。エドガーから貰ったものは空き瓶ですら捨てられない、といったところだろう。
(エドガー様のお陰で弓も引けないワタシが生きる価値を見出せた‥‥‥これも絶対に外さない!!)
集中するフルル、一切の雑音が消える。まるで自分が銃の一部になったみたいに思える。
そこでオーガが息を大きく吸った。特殊攻撃の予備動作だ。
「やばい!! みんな耳を塞げ!! 物陰に隠れろ!!」
エドガーの声が響いたほぼ直後にオーガの口が開いた。
「ガァアアアアアッッ!!!!」
オーガの雄叫び‥‥‥空気が震えた。戦いの勝利が見えて油断していた村人がバタバタと何人も意識を失った。
エドガーは城壁の陰に隠れて、耳を塞いだにもかかわらず、たまらず膝をつく。鼻血も出てきた。
(隠れて耳を塞いでもこれか!! フルルは!? 大丈夫か?)
何人もの意識を刈り取ったオーガの雄叫びにフルルは動じなかった。耳も塞がずにお構いなしにライフルを構えていた。目と耳から血が流れているにも関わらず‥‥‥。
フルルの目が照星と照門の合った先にオーガの急所をとらえる。
引き金に指を当てて‥‥‥引いた。
ドンッ!!!!
銃と言うより砲の音である。フルルはあまりの反動で後方に転がってしまい見張り台の柵に軽く頭をぶつけてしまった。
しかし結果次第ではもう一発撃たねばならない。急いで立ち上がり確認するフルル。
オーガの頭部は大きく吹き飛んでていた。
そしてゆっくりと力無く倒れる首無しオーガ、その下敷きになったゴブリンもいた事だろう。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
オーガが倒されたのをみて周りのモンスター達は大きく動揺した。
その結果モンスター達の取った行動は‥‥‥逃げる事だけだった。
「モンスター達が引き上げて行くぞ! 俺たちの勝ちだ!!!」
雄叫びにやられなかった住民の一人が声を上げる。
「「「「うおおお!!!!」」」
住民は誰彼構わずに抱き合って勝利を喜んた。しかし‥‥‥。
「!? 逆方向から何かくるわよ!!」
新手のモンスターか? と村民に動揺が走る。もう弾薬も残り少ない。
「‥‥‥あれは?」
「モンスターじゃないぞ、ウェストール辺境爵軍だ!!」
辺境爵軍のお出ましだった。
辺境爵軍の騎兵隊はこちらを訝しげに見ながらもモンスター達の去った方向に駆けて行った。
「開門! 開門!! 我々はウェストール辺境爵軍である。応援に参った次第である!」
(今頃来やがった‥‥‥)
誰も口にはしなかったがそう思っていた。
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