3 / 119
テオドール村
しおりを挟む
「まずはこの村の村長様にご挨拶ですね」
「村長なんているのか?」
村というからにはいるんだろうけど。
ここでは馬車ですら珍しいのか、数人だが人だかりが出来た。
そこに髭の生えた老人が駆け寄ってくる。
「この村の村長、テオでございます。この度は私の代わりにこの村を立て直してくれると言うことで‥‥‥」
「ん? なんですか、それは? そんな話は聞いてませんけど?」
きっと誰かと勘違いしているのだろう。
「マルディア王国きっての神童、エドガー様ですよね?」
勘違いじゃないんかい。なんでそんな話に?
「俺は確かにエドガーですけど。家を追放されてここに来ただけなのですが‥‥‥」
「なんと! ‥‥‥そうでしたか。私はてっきりエドガー様を遣わしてくださったのかと」
何か目に見えて解るくらいがっかりしている。
「エドガー様、ここはお力を貸して差し上げてはいかがですか?」
「まぁ‥‥‥そうだな。特別する事もないだろうし。テオさん、俺で良ければ手伝いますよ」
するとテオさんはパッと顔を上げて俺の肩を掴む。
「ほ、本当ですか!! ありがとうございます。こんなところではなんですので是非我が家にお越しください」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
案内された家は村長宅とは思えないほど粗末な家だった。
「汚い所ですがどうぞお入りください」
「‥‥‥ホントに汚いな」
「エドガー様!!」
つい本音が出てしまい、ティナに怒られた。
「ははは、正直な方だ。まぁお掛けください」
テオさんは笑って許してくれた。いい人だ。
水差しから水を注いで出してくれた。
ティナと一緒に飲む。
「美味い水だ」
「本当に!!」
「この村の唯一の自慢です、どうぞいくらでもお飲みください」
村長が向かいに座る。
「さてこの村の立て直しの話ですが。ここは王都から遠い流刑地として様々な人が王国中から送られてきます。つまり血の気の多い輩や犯罪者など問題のある人が多いのです」
「まぁ、そうなんでしょうな」
「そういう人間は真面目に働こうともしない。さらに元々の村の住民に迷惑をかける。それで村を離れる村人まで出てきてしまい‥‥‥」
「なるほど‥‥‥」
人が減れば村の収入も減るし作物の収量も減る。
「現在の村の人口はどれくらいですか?」
「300人ちょっとです」
「その輩共は?」
「今は30人くらいでしょうか? ただしどんどん増えます」
次々と犯罪者が送られてくる訳だからな。
「じゃあその輩共に会ってみるとするか」
「!? 危険ですよ!?」
「大丈夫ですよ、ティナがいますから」
「ええ、もちろん!! お任せください!」
ティナは握り拳をテオさんに見せつけた。
「村長なんているのか?」
村というからにはいるんだろうけど。
ここでは馬車ですら珍しいのか、数人だが人だかりが出来た。
そこに髭の生えた老人が駆け寄ってくる。
「この村の村長、テオでございます。この度は私の代わりにこの村を立て直してくれると言うことで‥‥‥」
「ん? なんですか、それは? そんな話は聞いてませんけど?」
きっと誰かと勘違いしているのだろう。
「マルディア王国きっての神童、エドガー様ですよね?」
勘違いじゃないんかい。なんでそんな話に?
「俺は確かにエドガーですけど。家を追放されてここに来ただけなのですが‥‥‥」
「なんと! ‥‥‥そうでしたか。私はてっきりエドガー様を遣わしてくださったのかと」
何か目に見えて解るくらいがっかりしている。
「エドガー様、ここはお力を貸して差し上げてはいかがですか?」
「まぁ‥‥‥そうだな。特別する事もないだろうし。テオさん、俺で良ければ手伝いますよ」
するとテオさんはパッと顔を上げて俺の肩を掴む。
「ほ、本当ですか!! ありがとうございます。こんなところではなんですので是非我が家にお越しください」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
案内された家は村長宅とは思えないほど粗末な家だった。
「汚い所ですがどうぞお入りください」
「‥‥‥ホントに汚いな」
「エドガー様!!」
つい本音が出てしまい、ティナに怒られた。
「ははは、正直な方だ。まぁお掛けください」
テオさんは笑って許してくれた。いい人だ。
水差しから水を注いで出してくれた。
ティナと一緒に飲む。
「美味い水だ」
「本当に!!」
「この村の唯一の自慢です、どうぞいくらでもお飲みください」
村長が向かいに座る。
「さてこの村の立て直しの話ですが。ここは王都から遠い流刑地として様々な人が王国中から送られてきます。つまり血の気の多い輩や犯罪者など問題のある人が多いのです」
「まぁ、そうなんでしょうな」
「そういう人間は真面目に働こうともしない。さらに元々の村の住民に迷惑をかける。それで村を離れる村人まで出てきてしまい‥‥‥」
「なるほど‥‥‥」
人が減れば村の収入も減るし作物の収量も減る。
「現在の村の人口はどれくらいですか?」
「300人ちょっとです」
「その輩共は?」
「今は30人くらいでしょうか? ただしどんどん増えます」
次々と犯罪者が送られてくる訳だからな。
「じゃあその輩共に会ってみるとするか」
「!? 危険ですよ!?」
「大丈夫ですよ、ティナがいますから」
「ええ、もちろん!! お任せください!」
ティナは握り拳をテオさんに見せつけた。
71
お気に入りに追加
64
あなたにおすすめの小説
異世界でもうちの娘が最強カワイイ!
皇 雪火
ファンタジー
大人気フルダイブ型オンラインRPG『ワールド・オブ・エピローグ』、通称WoE。
1人の男がそのゲームに全身全霊をかけ、シラユキという美少女キャラクターを作り上げる。
その後、彼女をもっとカワイく輝かせる為に『シラユキ』という人間を演じながらプレイをしていたが、ある事件により命を落としてしまう。
目を覚ませばシラユキの姿に転生しており、メインストーリーが始まる1年も前の『WoE』の世界だった。
紛い物から本物になった彼女は、数々の事件に巻き込まれながらもゲーム知識を駆使し、再びシラユキのカワイさを世に知らしめる為に活動を始めるのだった。
※なろう/カクヨムにも投稿しています。
チートスキルで無自覚無双 ~ゴミスキルばかり入手したと思ってましたが実は最強でした~
Tamaki Yoshigae
ファンタジー
北野悠人は世界に突如現れたスキルガチャを引いたが、外れスキルしか手に入らなかった……と思っていた。
が、実は彼が引いていたのは世界最強のスキルばかりだった。
災厄級魔物の討伐、その素材を用いてチートアイテムを作る錬金術、アイテムを更に規格外なものに昇華させる付与術。
何でも全て自分でできてしまう彼は、自分でも気づかないうちに圧倒的存在に成り上がってしまう。
※小説家になろうでも連載してます(最高ジャンル別1位)
異世界召喚されたら無能と言われ追い出されました。~この世界は俺にとってイージーモードでした~
WING/空埼 裕@書籍発売中
ファンタジー
1~8巻好評発売中です!
※2022年7月12日に本編は完結しました。
◇ ◇ ◇
ある日突然、クラスまるごと異世界に勇者召喚された高校生、結城晴人。
ステータスを確認したところ、勇者に与えられる特典のギフトどころか、勇者の称号すらも無いことが判明する。
晴人たちを召喚した王女は「無能がいては足手纏いになる」と、彼のことを追い出してしまった。
しかも街を出て早々、王女が差し向けた騎士によって、晴人は殺されかける。
胸を刺され意識を失った彼は、気がつくと神様の前にいた。
そしてギフトを与え忘れたお詫びとして、望むスキルを作れるスキルをはじめとしたチート能力を手に入れるのであった──
ハードモードな異世界生活も、やりすぎなくらいスキルを作って一発逆転イージーモード!?
前代未聞の難易度激甘ファンタジー、開幕!
集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!
七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」
その天使の言葉は善意からなのか?
異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか?
そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。
ただし、その扱いが難しいものだった。
転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。
基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。
○○○「これは私とのラブストーリーなの!」
主人公「いや、それは違うな」
月が導く異世界道中extra
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
こちらは月が導く異世界道中番外編になります。
無限初回ログインボーナスを貰い続けて三年 ~辺境伯となり辺境領地生活~
桜井正宗
ファンタジー
元恋人に騙され、捨てられたケイオス帝国出身の少年・アビスは絶望していた。資産を奪われ、何もかも失ったからだ。
仕方なく、冒険者を志すが道半ばで死にかける。そこで大聖女のローザと出会う。幼少の頃、彼女から『無限初回ログインボーナス』を授かっていた事実が発覚。アビスは、三年間もの間に多くのログインボーナスを受け取っていた。今まで気づかず生活を送っていたのだ。
気づけばSSS級の武具アイテムであふれかえっていた。最強となったアビスは、アイテムの受け取りを拒絶――!?
夜遊び大好きショタ皇子は転生者。乙女ゲームでの出番はまだまだ先なのでレベル上げに精を出します
ma-no
ファンタジー
【カクヨムだけ何故か八千人もお気に入りされている作品w】
ブラック企業で働いていた松田圭吾(32)は、プラットホームで意識を失いそのまま線路に落ちて電車に……
気付いたら乙女ゲームの第二皇子に転生していたけど、この第二皇子は乙女ゲームでは、ストーリーの中盤に出て来る新キャラだ。
ただ、ヒロインとゴールインさえすれば皇帝になれるキャラなのだから、主人公はその時に対応できるように力を蓄える。
かのように見えたが、昼は仮病で引きこもり、夜は城を出て遊んでばっかり……
いったい主人公は何がしたいんでしょうか……
☆アルファポリス、小説家になろう、カクヨムで連載中です。
一日置きに更新中です。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる