『片思い』×『片思い』＝？ 一方通行の終着点

side∶凛 4

  陸は、兄さんに、陸が思い描く優しくて頭が良い理想の兄さんに抱かれたいんだよ。心では、優しくて聖らかな兄さんはそんなことしないって思ってるんだろうけどさ。陸の身体は、兄さんを求めてるんだよ。

 それが、僕が陸に教えたかった、イイコト。






  僕は陸のジャージの中に手を這わせる。汗で少しベタついているけど、それが逆に気持ちいい。


「ふふっ、ジャージって、こういうとき便利だよね」


  僕は右手を陸のウエストに滑らせた。伸び縮みするゴムは僕の手を拒む事無く通過させる。湿らせた指は、少しの抵抗の後にスルリと陸の中に入った。


「ん、やっ」


  耳元で聞こえる声が、少しだけ甘くなる。
  中に入れた指に、陸が絡みついてくるのがわかる。

  僕は反対の手で、下着の中で窮屈そうにしている陸を撫でた。


「なーんでかなー。パンツが引っ掛かって下まで下げられなーいーの、なーんでかなぁー？」


  僕はワザとらしく言う。


「や、だ…見る、な」


  口ではやだって言っておきながら、陸の身体は素直に反応する。
  兄さんを、こうやって自分の中に入れると気持ちよくなることを、身体はすぐに理解する。







  けれど。
  指に熱さを感じるぶんだけ、僕に暗い影が覆い被さる。


　この甘い声をさせているのは。
　絡みつく肉が求めているのは。


　僕じゃない。