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しおりを挟む夕方になり、練習試合が終わった。
もうすぐ!兄貴に!!会える!!!
兄貴のいつもの不機嫌顔を思い浮かべ、口元が緩むのを隠すのに精一杯だ。
今にも走り出しそうな気持ちをなんとかおさえ、いつもの倍速で荷物を片付けた。
挨拶を簡単に済ませ、体育館を後にした。
何かに誘われるように、オレは一目散に生徒会室へ向かう。向いの校舎の窓に、方向からするに、生徒会室へ向かっている兄貴の姿を見つけてしまったからだ。
「はぁ、はぁ、なんで最上階に生徒会室があんだよ…」
息を切らし、扉の前に立つ。しかし、その口許は緩んでいる。
オレはドアノブを握り、ゆっくり押した。
「あに……ぅぐっ!」
そのとき。
後ろから音もなく現れた影が、オレの口を塞いだ。
なんだ!?
突然のことに頭がパニックになる。
固まるオレに、にゅっと伸びた長い腕が巻き付いた。やけに強いその腕は、身動きを取ることを許さない。
「…っ!」
動かすことのできる唯一の目を、ぐっと後ろに動かす。
見覚えのある口元、兄貴にそっくりな横顔、そして兄貴と同じ制服。
今朝顔を合わせたばかりだからもちろん知っている。
凛…!
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