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5 もう戻れない [完]
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はぁ…
はぁ…
ただいまを言う間も無く、照太は階段を駆け上がった。後ろ手で勢い良く閉めた自室の扉が、音を立て家を揺らす。大丈夫、家にはまだ誰も帰っていないはずだ。
鞄を持つ手から力が抜けた。ドアに背を預けたたまま、ズルズルと滑っていく。
汗に濡れた肌がぶつかり合う音、それに合わせた上擦った声、揺れる身体、そうさせる大きな男…二人だけの世界を作り出す行為。
身体の真ん中辺りで繋がり絡み合う二人の形が頭から離れない。
クッソ…
ここまでどうやって帰ってきたのか、それすらもよく覚えていない。
顔の火照りが引くのを待つことを諦め、ヨロヨロと照太は起き上がった。そして制服のまま、薄暗い部屋のベッドに身を投げた。
いつもの癖で、無意識にパソコンを起動させていたらしい。すぐ横で電子音が静かに鳴る。
空き教室で見たことが、頭の中で繰り返される。
先から溢れる白い粘液
限界まで広げられたにも関わらず飲み込み続ける穴
食い荒らすように進む太い肉
二人が絡み合い、熱を飲み込み飲み込ませる快楽を得るための行為。身体の外に出た器官を使い熱を相手の内側にぶつける、身体の中をうねらせ相手の欲を受ける…
自分も同じものを持つが、果たしてどちらなのか…疑問が浮かんだが、それはすぐに解決した。
自身のポジションを決める決めないじゃない。目の前で起きていること…これが、自分の中でのセックスの完成形である。そう確信した。
もっと見たい、もっと、もっともっともっと…
泥のように重たい身体を、脳ミソの指令でなんとか起き上がらせ、画面に向かう。
いつもの要領で、カチ、カチとマウスを動かしていく。慣れた手つきでファイルを開くが、もちろんそこに求めるものは無い。
…
照太は無言でキーボードを叩き、端の白いスペースに思い付く限りのワードを入力していく。
男、セックス、体位、…、……
重かった身体は前のめりになり、画面を食い入るように見つめる。
これは体位が違う、これはカメラの視点が違う…これじゃない、これでもない!クソっ、全然出てこねぇじゃねぇか!!
素早く切り替わる画面で、右手は、求めるものに近いものでもひたすらチェックしていく。昨日まで集めていたブックマークは、どんどんと奥に追いやられていく。
日に日に増えていく空の段ボール箱が部屋の天井まで積み上げられていく。まるで、壁に掛けられたままの着なくなった制服を隠すように。
薄暗い部屋に浮かぶ、無機質な四角い光。その画面の中では、二人の男が絡み合う。
あの日、空き教室で見た光景。そっくりそのまま、人を変えカメラ方向を変え何度も何度も再生される。
もう何度目かわからない絶頂といつまでも冷めない興奮の中、照太は静かに笑った。
はぁ…
ただいまを言う間も無く、照太は階段を駆け上がった。後ろ手で勢い良く閉めた自室の扉が、音を立て家を揺らす。大丈夫、家にはまだ誰も帰っていないはずだ。
鞄を持つ手から力が抜けた。ドアに背を預けたたまま、ズルズルと滑っていく。
汗に濡れた肌がぶつかり合う音、それに合わせた上擦った声、揺れる身体、そうさせる大きな男…二人だけの世界を作り出す行為。
身体の真ん中辺りで繋がり絡み合う二人の形が頭から離れない。
クッソ…
ここまでどうやって帰ってきたのか、それすらもよく覚えていない。
顔の火照りが引くのを待つことを諦め、ヨロヨロと照太は起き上がった。そして制服のまま、薄暗い部屋のベッドに身を投げた。
いつもの癖で、無意識にパソコンを起動させていたらしい。すぐ横で電子音が静かに鳴る。
空き教室で見たことが、頭の中で繰り返される。
先から溢れる白い粘液
限界まで広げられたにも関わらず飲み込み続ける穴
食い荒らすように進む太い肉
二人が絡み合い、熱を飲み込み飲み込ませる快楽を得るための行為。身体の外に出た器官を使い熱を相手の内側にぶつける、身体の中をうねらせ相手の欲を受ける…
自分も同じものを持つが、果たしてどちらなのか…疑問が浮かんだが、それはすぐに解決した。
自身のポジションを決める決めないじゃない。目の前で起きていること…これが、自分の中でのセックスの完成形である。そう確信した。
もっと見たい、もっと、もっともっともっと…
泥のように重たい身体を、脳ミソの指令でなんとか起き上がらせ、画面に向かう。
いつもの要領で、カチ、カチとマウスを動かしていく。慣れた手つきでファイルを開くが、もちろんそこに求めるものは無い。
…
照太は無言でキーボードを叩き、端の白いスペースに思い付く限りのワードを入力していく。
男、セックス、体位、…、……
重かった身体は前のめりになり、画面を食い入るように見つめる。
これは体位が違う、これはカメラの視点が違う…これじゃない、これでもない!クソっ、全然出てこねぇじゃねぇか!!
素早く切り替わる画面で、右手は、求めるものに近いものでもひたすらチェックしていく。昨日まで集めていたブックマークは、どんどんと奥に追いやられていく。
日に日に増えていく空の段ボール箱が部屋の天井まで積み上げられていく。まるで、壁に掛けられたままの着なくなった制服を隠すように。
薄暗い部屋に浮かぶ、無機質な四角い光。その画面の中では、二人の男が絡み合う。
あの日、空き教室で見た光景。そっくりそのまま、人を変えカメラ方向を変え何度も何度も再生される。
もう何度目かわからない絶頂といつまでも冷めない興奮の中、照太は静かに笑った。
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