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1 渋々だけど
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うっわー、すげぇ…
目の前で繰り広げられる二人の光景に、オレは顔をひきつらせる。先輩のピー(自粛)が親友のピー(自粛、再)にピー(またまた自粛)している。ネッチョグッチョのBGM付きだ。
…こんなこと、親友の頼みでなかったら、絶対に断っていた。
照太はため息をつく。
…他人のセックスを見ないといけないなんて。嫌に決まってんだろ普通ぅぅ!
口に出せない心の叫びがモヤモヤと頭の上に浮かび上がる。
親友がしてきたこのおかしな頼み事は、少し前に遡る。
聞いた瞬間、もちろん拒否。断然拒否。断固拒否!!当然だ。
しかし…毎日毎日のメールやら電話やら靴箱の手紙やら授業中のノートの切れ端回覧やらに嫌気が差し…最後は涙ながらのお願いに根負けしてしまった。渋々、もう渋々渋々、渋々がなんかの生き物に見えてくる…って感じで引き受けた。
自分達のセックスを見てほしい。
それが、オレが渋々(渋々に申し訳ない)引き受けた頼み事。
そこにいるだけでいい…懇願する小動物のような顔で親友は言った。
親友である順とは、まだ付き合いはそんなに長くはないが、オレは親友だと思ってる。(順はどう思ってるかわからないが…)
くるくる変わる表情、大きな瞳、物怖じしない性格…順がいるだけで、その場が一気に華やかになる。人との距離感を探しあぐねていたオレに、順がちょこまかとやってきては一人の空間から誘い出してくれた。順の存在が、外との関わりを作ってくれた。
そんな順に、彼氏ができたことは知っていた。いつもあーしたこーしたと惚気てくる幸せそうな顔に、オレは純粋に嬉しかった。
そんな順が、オレに頼み事をしてきた。もちろん断る理由はない。親友の頼みならば全力を尽くそう!と、内容を聞いた途端…前述のアレだ。
しかし。
最後は泣き落としに負けた…ことにした。
もう五億回くらい断ったような気がした頃。オレに、この頼み事を引き受ける理由ができてしまったのだ。
誰もいない廊下。さささーっと順が近づいてきて、耳元に口が…そこでこっそり打ち明けられたのは。
「実は、今まで誰にも言えなかったんだけど…」
そんな秘密を知ってしまったからには、断る訳にはいかない。それよりもなによりも、親友のオレしか力になれないのならしゃーないわ…そう思って、順の頼みを受け入れた。
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