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嫉妬と薔薇と生徒会室 3 ~憧れと薔薇と生徒会室
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「この髪…とっても似合ってる」
「お、おにい、さまぁ…」
「隠さないで。さあ、君の全てをみせてごらん」
「さ…咲々羅お兄、様ぁ…」
「ここには薔薇たちしかいないよ?恥ずかしがることはないのさ」
「で、でもぉ」
「真っ赤だね。どっちが薔薇なのかわからないよ」
「んぅ…」
「ふふふ。恥ずかしがり屋さんなのは、この唇かな?」
「あ、…は、っ」
「さあ、言ってごらん。キミの願いは?」
「ぼぼぼぼくを、あなたの薔薇園へ導いてくださぁぁぁいぃ!」
「よくできました」
「…ぁんっ!…」
ーーーー
こうして妄想を繰り返すこと、早一年。
そう、一年。それは咲々羅お兄様を見つめてきた年月。
あの日が初めてだった。中庭で、ピンクの薔薇に囲まれたお兄様を見たのは…
輝く絹織物のような髪。日の光をいっぱいに集めた円らな瞳。薔薇の唇が何かを紡いでいる。
目と心臓が奪われた。
少しだけ、ほんの少しだけ。後ろ姿でもいい。あのお美しい姿を、毎日眺められたら…
それでぼくは幸せなんだ。
妄想はするけどそれはそれ。
ぼくなんかがお兄様の視界に入ることなんて、絶対にあるはずがない。教室の隅で、目立つことなく流れるように日常を送るぼくに。
そんな日が来ることはない…
「忘れ物、忘れ物っと…」
先ほど薔薇の会の会合が開かれた教室に、膝掛けを忘れてきてしまった。まだまだ寒さが続く日々。お気に入りの薔薇の香りがする膝掛けがどこかへ行ってしまう前に取りにいこうと、廊下を走り出した。
会合が開かれる教室は、特別教室が集められた校舎の端にある。
公式の部活動でないが、咲々羅親衛隊薔薇の会に入会し、素敵な隊員の方々に恵まれ、この溢れる愛を語る日々にぼくは満足している。
昨日、親衛隊の方々の勧めもあって、咲々羅お兄様と同じ髪型にした。ふわふわと四方へ遊ぶ髪質では、お兄様の織物のような髪には到底及ばないけど。
前髪が風で揺れる度、嬉しくなる。
ふわふわ髪を揺らしながら、足音を響かせ小走りで廊下を抜けていく。本来なら叱られるところだが、この時間帯ならば誰もいないだろう。
すぐ近くから聞こえる音に、踏み込んだ足をハッと止めた。どこからか、ジャラジャラと音がする。
誰もいないだろうと気を抜いていたところに、つんのめりそうになった片足で慌ててバランスを取る。ひよこのように両手をパタパタさせるのも忘れず。
「まだいたのか。もう下校時刻だぞ」
鍵の束を持った先生が、ちょうど曲がり角からやって来た。
先生の顔が見えたか見えてないかのタイミングで、もう片方の足が地面を捉える。
「ごめんなさい。すぐ帰ります」
もうそんな時間か…そうだよね、会合は放課後からだったし。
先生の姿が見えなくなると、ぼくはバタバタとまた走り出した。
「ひゃっっっ!」
「わぁ!!!」
二つの悲鳴があがった。それと同時に飛び込んできた人影。
廊下を曲がろうとした瞬間だった。
「痛ぁっ…」
ドサッという音と共に、廊下に打ち付けた背中と胸元に衝撃を食らう。
薄く目を開けると、サラサラと光を放つ髪が目の前に…
この髪の持ち主を、もちろん誰よりもよく知っている。毎日毎日見続けたその姿だ。そしてどことなくふわふわ薔薇の香り。
「さっ…さ、さっささささ」
「痛い…んもぅ、一体なに!?」
胸に乗る輝きに、言葉が上手く出てこない。
「ささ、さっささ」
絹織物のような髪が揺れ、ぴょこっと起き上がった。
「さ、さ…さっささ咲々羅お兄様ぁ!」
打ち付けた額を抑え、ぺたんと座る咲々羅お兄様が腹の上にいた。
「咲々羅お兄様ぁ!」
目の前に…というか目の前通り越して腹の上に!!
「んん?おに、い、様…?」
「あ、い、いや、あの…その…」
しまった…!親衛隊のことは咲々羅お兄様には秘密で…
この『咲々羅お兄様』は親衛隊内でのみ使っている呼び名だ。不審に思うのも無理はない。
「まぁいいや」
小さなことにはあまり拘らない性格なのだろう。すっきりとした返事に、遠くから見ているだけではわからなかった咲々羅お兄様の一面を見た。
いや、今はぽーっとしてる場合じゃないって!!
「さ…んんっ、せ、先輩!大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃないよ!結構痛かったんだから!!」
「ご、ごめんなさ…い…」
いつもの癖でついつい謝ってしまう。しかし、お互いに前を見ていなかった上に、両者とも走っていた。まるでぼくだけが悪いような物言いだ。
小さなことにあまり拘らない性格だと思ったが、少し違ったようだ。
「まったく。そんなでっかい図体しといて、ぼくが当たっただけで倒れるなんてどういうこと?」
「ご、ごめんなさぁい」
関係のないぼくの図体にまでも一方的に苛立ちをぶつけてくる。
華奢な両手を腹に揃えキャンキャンと吠える姿は、まるで小さな洋犬のようだ。薔薇の唇には刺ではなく小さな牙があったのだ。
…そんな高飛車な性格!堪らなく良い!!
ニヤニヤ顔を隠すよう、ぼくは顔を背けた。
「ちょっと、泣かないでよ!」
そっぽを向き震えるぼくは、泣いているように見えたらしい。
「あーもう!ぼくも悪かったって。ね?」
面倒臭そうに、口先だけの謝罪を乗せた唇。サラリと髪が流れ、円らな瞳とその唇がぼくを覗き込む。
毎日の小さな幸せを望んでいたぼくは。
この美しい髪と薔薇の唇を前に、どこか遠くへ飛んでいってしまった。
「あ、そうだ!おわびに、こーれ!あげるよ!むふふふふふ!」
咲々羅お兄様が、ぼくの手を強引に取った。そして、その手に薄くて四角い物を握らせてきた。
「えぇ?…あ……は…い」
手、手がぁぁぁぁ…触れてるぅぅぅ…
華奢で細長い指が、落とさないようにとぼくの手をきゅっと包み込む。
「じゃあね。むふふっ」
楽しそうに笑いながら、咲々羅お兄様は腹の上からスクッと立ち上がった。そして、ぴょんぴょんと跳ねるように行ってしまった。
揺れる髪が夕日に輝くのを眺めながら、ぼくは、手におわびを無理やり握らされたときの形のまま暫く固まっていた。
興奮冷めやらぬ中。手のひらには裏返しの写真。
何が写っているのだろうかと、廊下に寝転んだままのぼくは小さな写真を裏返した。
「え!?」
この人は…生徒会役員の…?名前は忘れてしまったが、確か…
写真の中の彼は、甘くとろけるような顔でキスをしている。そして、その顔が向けられているであろう相手は見切れている。
後ろには、大きめのソファ。壁の感じからして、場所は生徒会室だろう。
明らかに隠し撮りとわかるこの写真、咲々羅お兄様はなぜぼくに…?
頭に大きなはてなマークを浮かべ、しばらく写真を眺める。
この写真のように、咲々羅お兄様は生徒会室でぼくにキスをしたいって意味で…
なーんて。ね。
初めて知った咲々羅の一面と、新たに得たオカズに…
今夜は日課の妄想がますます止まらないだろう。
寝転がっている廊下は冷たいはずだが、この短い時間に起こった出来事のせいで全く気にならない。
静かな廊下にチャイムが響く。そろそろ門が閉められる時刻だ。学校から出られなくなってしまう。
薔薇の残り香を感じながら、ぼくは口許が緩みに緩んだ顔で帰り支度を始めた。
…あっ、忘れてた!!!
親衛隊の規則の一つ、一人で咲々羅お兄様に話しかけてはいけない…このことを、ぼくは今になって思い出した。
「お、おにい、さまぁ…」
「隠さないで。さあ、君の全てをみせてごらん」
「さ…咲々羅お兄、様ぁ…」
「ここには薔薇たちしかいないよ?恥ずかしがることはないのさ」
「で、でもぉ」
「真っ赤だね。どっちが薔薇なのかわからないよ」
「んぅ…」
「ふふふ。恥ずかしがり屋さんなのは、この唇かな?」
「あ、…は、っ」
「さあ、言ってごらん。キミの願いは?」
「ぼぼぼぼくを、あなたの薔薇園へ導いてくださぁぁぁいぃ!」
「よくできました」
「…ぁんっ!…」
ーーーー
こうして妄想を繰り返すこと、早一年。
そう、一年。それは咲々羅お兄様を見つめてきた年月。
あの日が初めてだった。中庭で、ピンクの薔薇に囲まれたお兄様を見たのは…
輝く絹織物のような髪。日の光をいっぱいに集めた円らな瞳。薔薇の唇が何かを紡いでいる。
目と心臓が奪われた。
少しだけ、ほんの少しだけ。後ろ姿でもいい。あのお美しい姿を、毎日眺められたら…
それでぼくは幸せなんだ。
妄想はするけどそれはそれ。
ぼくなんかがお兄様の視界に入ることなんて、絶対にあるはずがない。教室の隅で、目立つことなく流れるように日常を送るぼくに。
そんな日が来ることはない…
「忘れ物、忘れ物っと…」
先ほど薔薇の会の会合が開かれた教室に、膝掛けを忘れてきてしまった。まだまだ寒さが続く日々。お気に入りの薔薇の香りがする膝掛けがどこかへ行ってしまう前に取りにいこうと、廊下を走り出した。
会合が開かれる教室は、特別教室が集められた校舎の端にある。
公式の部活動でないが、咲々羅親衛隊薔薇の会に入会し、素敵な隊員の方々に恵まれ、この溢れる愛を語る日々にぼくは満足している。
昨日、親衛隊の方々の勧めもあって、咲々羅お兄様と同じ髪型にした。ふわふわと四方へ遊ぶ髪質では、お兄様の織物のような髪には到底及ばないけど。
前髪が風で揺れる度、嬉しくなる。
ふわふわ髪を揺らしながら、足音を響かせ小走りで廊下を抜けていく。本来なら叱られるところだが、この時間帯ならば誰もいないだろう。
すぐ近くから聞こえる音に、踏み込んだ足をハッと止めた。どこからか、ジャラジャラと音がする。
誰もいないだろうと気を抜いていたところに、つんのめりそうになった片足で慌ててバランスを取る。ひよこのように両手をパタパタさせるのも忘れず。
「まだいたのか。もう下校時刻だぞ」
鍵の束を持った先生が、ちょうど曲がり角からやって来た。
先生の顔が見えたか見えてないかのタイミングで、もう片方の足が地面を捉える。
「ごめんなさい。すぐ帰ります」
もうそんな時間か…そうだよね、会合は放課後からだったし。
先生の姿が見えなくなると、ぼくはバタバタとまた走り出した。
「ひゃっっっ!」
「わぁ!!!」
二つの悲鳴があがった。それと同時に飛び込んできた人影。
廊下を曲がろうとした瞬間だった。
「痛ぁっ…」
ドサッという音と共に、廊下に打ち付けた背中と胸元に衝撃を食らう。
薄く目を開けると、サラサラと光を放つ髪が目の前に…
この髪の持ち主を、もちろん誰よりもよく知っている。毎日毎日見続けたその姿だ。そしてどことなくふわふわ薔薇の香り。
「さっ…さ、さっささささ」
「痛い…んもぅ、一体なに!?」
胸に乗る輝きに、言葉が上手く出てこない。
「ささ、さっささ」
絹織物のような髪が揺れ、ぴょこっと起き上がった。
「さ、さ…さっささ咲々羅お兄様ぁ!」
打ち付けた額を抑え、ぺたんと座る咲々羅お兄様が腹の上にいた。
「咲々羅お兄様ぁ!」
目の前に…というか目の前通り越して腹の上に!!
「んん?おに、い、様…?」
「あ、い、いや、あの…その…」
しまった…!親衛隊のことは咲々羅お兄様には秘密で…
この『咲々羅お兄様』は親衛隊内でのみ使っている呼び名だ。不審に思うのも無理はない。
「まぁいいや」
小さなことにはあまり拘らない性格なのだろう。すっきりとした返事に、遠くから見ているだけではわからなかった咲々羅お兄様の一面を見た。
いや、今はぽーっとしてる場合じゃないって!!
「さ…んんっ、せ、先輩!大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃないよ!結構痛かったんだから!!」
「ご、ごめんなさ…い…」
いつもの癖でついつい謝ってしまう。しかし、お互いに前を見ていなかった上に、両者とも走っていた。まるでぼくだけが悪いような物言いだ。
小さなことにあまり拘らない性格だと思ったが、少し違ったようだ。
「まったく。そんなでっかい図体しといて、ぼくが当たっただけで倒れるなんてどういうこと?」
「ご、ごめんなさぁい」
関係のないぼくの図体にまでも一方的に苛立ちをぶつけてくる。
華奢な両手を腹に揃えキャンキャンと吠える姿は、まるで小さな洋犬のようだ。薔薇の唇には刺ではなく小さな牙があったのだ。
…そんな高飛車な性格!堪らなく良い!!
ニヤニヤ顔を隠すよう、ぼくは顔を背けた。
「ちょっと、泣かないでよ!」
そっぽを向き震えるぼくは、泣いているように見えたらしい。
「あーもう!ぼくも悪かったって。ね?」
面倒臭そうに、口先だけの謝罪を乗せた唇。サラリと髪が流れ、円らな瞳とその唇がぼくを覗き込む。
毎日の小さな幸せを望んでいたぼくは。
この美しい髪と薔薇の唇を前に、どこか遠くへ飛んでいってしまった。
「あ、そうだ!おわびに、こーれ!あげるよ!むふふふふふ!」
咲々羅お兄様が、ぼくの手を強引に取った。そして、その手に薄くて四角い物を握らせてきた。
「えぇ?…あ……は…い」
手、手がぁぁぁぁ…触れてるぅぅぅ…
華奢で細長い指が、落とさないようにとぼくの手をきゅっと包み込む。
「じゃあね。むふふっ」
楽しそうに笑いながら、咲々羅お兄様は腹の上からスクッと立ち上がった。そして、ぴょんぴょんと跳ねるように行ってしまった。
揺れる髪が夕日に輝くのを眺めながら、ぼくは、手におわびを無理やり握らされたときの形のまま暫く固まっていた。
興奮冷めやらぬ中。手のひらには裏返しの写真。
何が写っているのだろうかと、廊下に寝転んだままのぼくは小さな写真を裏返した。
「え!?」
この人は…生徒会役員の…?名前は忘れてしまったが、確か…
写真の中の彼は、甘くとろけるような顔でキスをしている。そして、その顔が向けられているであろう相手は見切れている。
後ろには、大きめのソファ。壁の感じからして、場所は生徒会室だろう。
明らかに隠し撮りとわかるこの写真、咲々羅お兄様はなぜぼくに…?
頭に大きなはてなマークを浮かべ、しばらく写真を眺める。
この写真のように、咲々羅お兄様は生徒会室でぼくにキスをしたいって意味で…
なーんて。ね。
初めて知った咲々羅の一面と、新たに得たオカズに…
今夜は日課の妄想がますます止まらないだろう。
寝転がっている廊下は冷たいはずだが、この短い時間に起こった出来事のせいで全く気にならない。
静かな廊下にチャイムが響く。そろそろ門が閉められる時刻だ。学校から出られなくなってしまう。
薔薇の残り香を感じながら、ぼくは口許が緩みに緩んだ顔で帰り支度を始めた。
…あっ、忘れてた!!!
親衛隊の規則の一つ、一人で咲々羅お兄様に話しかけてはいけない…このことを、ぼくは今になって思い出した。
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