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3、友達と恋人の違いのヒント

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 オレたちは今、正座で膝を突き合わせている。ベッドの上で。


「き、今日はとりあえず…今から始めます!……って、こんな感じで、いいか?」

「うん。いいよ」


 嬉しそうな忠俊に、オレも思わず笑顔になる。


 愛があるとかないとか雑誌に書いてあったけど、今からは確実に愛がある。ってことは、セックスすることで、あるかないかわからなかった愛を、オレと忠俊で作ってくってことか?


 ………オレ愛しちゃうのか!?愛されちゃうのか!?!?!?!?


 急に気恥ずかしくなったオレは、自分の顔が真っ赤になってくのがわかる。火が出そうだ。


「お、おっ、お願いしゃぁぁぁっす!!」

「はははっ!ユウ、それじゃ今から対戦でもするみたいだよ?」

「じゃ、じゃあ塩でも撒くか!?!?」

「ひが~し~ってあはははっ!もう笑わせないでよ」


 勢い良く膝を広げポーズを決めるオレに、忠俊は腹を抱え笑う。笑顔はオレが二番目に好きな顔だ。


「まぁそんなユウも好きなんだけどねっ」


 そう言うと、忠俊の顔がゆっくり近づいてくる。


 あぁぁかっこいい顔がぁぁぁっ!こんな近くにぃぃっ!!!!


 しかも真面目な顔に変わって…オレの一番好きな顔だ!



 今日気づいた…この顔見ると、心臓が一番キュン!!ってなるんだけど………これって、一体、なんなんだ!?!?


 





ーーーー

 忠俊はオレのパーカーのファスナーを下ろす。オレは忠俊のカーディガンのボタンに苦戦する。
 一度気恥ずかしさに気づいてしまうと、一枚一枚服を脱がせるたび、脱ぐたび、指先が言うことを聞かなくなっていくのがわかる。


「たっ、忠俊…」


 オレの方が二枚少なかったから、オレはもう一糸まとわぬ姿だ。だから、既に反応している下半身はオレだけが丸見えで…オレは視線を感じ身をよじった。
 忠俊はまだボトムスを着たままだから、もちろん見えない。


 友達と恋人の関係の境界線はここにある、気がする…ような、そうでないような……


 一人で全裸なのが恥ずかしくて、オレは忠俊を促す。


「忠俊も早く脱げよっ!」

「う、うん、そだ、ね」


 忠俊も緊張しているのがわかる。膝立ちになると、わたわたとベルトを外し、下着ごと一気に下ろした。


「ぁ」


 硬く反り上がっていたそこは、ウエストゴムの力で一度下に引っ張られ、反動で勢い良く跳ね返る。


「ゎ」


 普段は上半身、というかほぼ顔しか見ていないけど…今回ばかりはこちらに視線が奪われる。


「ユウ、どうした?」

「あっ、いや、あの、なんでもないです!!」


 普段は真面目な顔しておいて…いや真面目は関係無いか…ってかデケェなおい!!


 …おふざけは置いといて。


 目に見えない関係性を築く行為、それを作り出すのがその部分…と思うと、緊張しつつもオレは魅入ってしまう。


 もしかして、忠俊も同じ気持ちでオレの見てたの、かな…





ーーーー



 オレたちは今、再び正座で膝を突き合わせている。ベッドの上で。
 さっきと違うのは、緊張していることと、全裸なこと。そして、このあとの行為に期待で下半身を膨らませていること。


「な、なぁ、忠俊。今のオレたちの感じ…さっきと違って、友達から恋人に、変わってるっぽくないか?」

「そ、そう、か…も……」

「なんかヒントつかめた気がするな!!」

「そうだね。ありがとう、ユウ」








ーーー



 忠俊の指が、オレの身体の中を慎重に進む。


「んっ、あっ、あっ」

「ユウ大丈夫?痛くない?」

「んっ、だい、じょぶ……」


 初めての場所で感じる初めての感覚に、こんなとこで気持ちよくなるんだと自分の身体に驚きつつも……オレは思った。


 オレだけベッドに全裸で仰向けになって股をおっ広げて他人に晒してるこの姿は……………なんともマヌケじゃないか…?


 オレは思わず抱きしめていたクッションで顔を隠した。


「ユウ……可愛いなぁ」

「えっ!?」


 オレの心を読んだような言葉に、オレはびっくりして忠俊の指をぎゅっと締め付ける。


「オ、オレ、こんな格好だけどっ…か、かかか可愛いのか!?マヌケじゃないか!?!?」

「す、すごく可愛いよ?」


 友達がこんな格好してたら、オレは笑うぞ?なんかそういうネタかなって思うぞ?


「全部可愛いよ。ユウ」

「…ぅ」

「ユウの全部が可愛いし……愛しいなぁって、思う」


 混乱するオレ。
 しかし、忠俊の心の底からの言葉を何度も聞くうちに、自分の全身が赤くなり始めたのがわかる。


「ユウはさ。僕が同じ格好してたら、どう思う?」


 オレは想像した。忠俊が股を広げ、おいでおいでとしている姿を。


「いいと思う!!むしろいただきますごちそうさまです!!!」


 全然マヌケじゃないし!むしろかっこいい、ってかありがたい(?)し!


「ふふふ、僕は食べられちゃうのか」

「隅から隅までまるっと美味しくいただきますっ!!」


 なんと言っていいのかわからないけれど…もちろんマヌケじゃないぞ……すごくめちゃくちゃヤバいくらい最っ高にいいと思う!食べちゃいたいくらい!


 オレの頭の中には、あーんなポーズやこーんなポーズの忠俊が浮かんでは消える。そんな妄想をしていると、忠俊の真面目な顔を見た時と同じように、オレの心臓がキュン!!ってした。


「ふふふ。ありがとう…でいいのかな?」

「た、たぶん…」


 同じことをしてても、友達と恋人じゃ違うんだ。

 オレも、友達と恋人との関係…まだわかってなかったんだなぁ………




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